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グランドスラム東京2016・第1日5階級(60kg級、66kg級、48kg級、52kg級、57kg級)プレビュー

(2016年12月1日)

※ eJudoメルマガ版12月1日掲載記事より転載・編集しています。
第1日5階級(60kg級、66kg級、48kg級、52kg級、57kg級)プレビュー
グランドスラム東京2016
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60kg級の髙藤直寿は今大会から試合に復帰

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近藤亜美が出場する48kg級は女子の最激戦区となった

グランドスラム東京2016はあす2日、東京体育館で開幕。3日間にわたる熱戦が繰り広げられる。

リオデジャネイロ五輪という大イベントが終わって、以後ワールドツアーは明らかにオフシーズン。メダリストクラスの強豪は以後ほとんどツアーに姿を見せず、この期間を休養に当てている。

今大会も例年と比べると海外勢の陣容はかなり貧弱だが、それでも今季下半期の他大会に比すればトーナメントの陣容は突出して豪華。強国日本から各階級4名という大量出場があることはもちろん、「東京大会」へのリスペクトゆえかスポット的ながら超強豪の参戦がみられることがその因。みどころは、東京五輪を狙うべくこの大会で名をあげたい日本選手たちと、これら一流選手の直接対決。また、これら一線級不在の間にツアーでのし上がった新進選手が「本物」たちを相手にどれだけ戦えるかも来年の世界選手権を占う上で見逃せないファクターだ。

男子の最注目階級は、五輪王者ファビオ・バジーレ(イタリア)と昨年度世界選手権の覇者アン・バウル(韓国)が同時エントリーを為し、これにミハイル・プルヤエフ(ロシア)を入れたハイレベルの海外勢に阿部一二三ら日本の若手が挑む66kg級。ウルフアロン(東海大3年)と飯田健太郎(国士舘高3年)のホープ2人が挑む100kg級も見逃せない。

女子は五輪メダリスト3名が集結した48kg級、五輪銀メダリストのdルジスレン・スミヤ(モンゴル)にフランスの新エースとなったエレン・ルスヴォ(フランス)を大会2連覇を狙う芳田司(コマツ)ら充実布陣の日本勢が迎え撃つ57kg級に注目が集まる。

■ 60kg級・髙藤に立ちはだかるは日本勢、前半戦の山場はキアvs志々目
(エントリー21名)

優勝候補筆頭は第2シードに座った髙藤直寿(パーク24)。

そして国際的な序列から言えばライバルは第1シードに座った2013年リオ世界選手権の準優勝者ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)ということになる。モンゴル選手らしい密着柔道が売りで、体を開くような大内刈は威力十分。ただし過酷と言えるほどの大会連続出場が影響したかここ1年は一貫して低調。今年も下半期のグランプリ2大会を制してはいるがその間他国の強豪との対戦はほとんどなく、本来の力を見せる場面は僅少であった。ダシュダヴァーの山には講道館杯で素晴らしいパフォーマンスを見せた永山竜樹(東海大2年)が入っており、この人が勝ち上がる可能性も十分と見る。

髙藤は2戦目で大島優磨(国士舘大3年)が待ち受けており、勝てば準決勝で志々目徹(了徳寺学園職)との戦いが予想される。国内大会でなかなか勝てない髙藤にとっては海外勢よりもこちらのほうがはるかに厄介。

志々目の山には不確定要素として今季欧州選手権を制して大ブレイクしたワリーデ・キア(フランス)が配されている。歩留まりの良いフランス柔道とは一線を画す、あたかも中東アジア勢のような抱き着いての一発がこの選手の持ち味。ケンカ四つで片手状態を受け入れる傾向がある志々目にはこの武器が噛み合ってしまう可能性が大いにあり、直接対決あれば前半戦最大のみどころとなるのではないだろうか。

五輪代表という土台のある髙藤にとっては戦線復帰をどう滑り出すかという「足し算」の大会であるが、他選手にとってはまさしく生き残りを掛けた鉄火場。永山は講道館杯の大活躍をフイにすることなく世界選手権第3次予選である欧州シリーズへの進出が果たせるか、志々目にとってはそもそも以後の代表戦線への生き残りを許されるかどうか、柔道人生の掛かる大事な大会だ。

【プールA】
第1シード:ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
第8シード:アルバート・オグゾフ(ロシア)
有力選手:永山竜樹(東海大2年)

前述の通り、ダシュダヴァーと永山の対決が最大のみどころ。ダシュダヴァーの密着を許さず、二本持ってしっかり自分の間合いで戦いたい。

【プールB】
第4シード:フェリペ・キタダイ(ブラジル)
第5シード:ルスタン・イブラエフ(カザフスタン)

柔道が綺麗な背負投ファイターのキタダイ、隅返一発の威力でブレイクを果たしたイブラエフという対照的な両者が配置された。国際的な序列はキタダイが上だが、仕掛けに至るためにはきちんと持たねばならぬがパワー不足のキタダイ、乱戦でも生き残るタフさを持ったイブラエフという図式を考え、イブラエフの勝ち上がりを推しておく。

【プールC】
第2シード:髙藤直寿(パーク24)
第7シード:大島優磨(国士舘大3年)

選抜体重別の準決勝では大島が髙藤を抑え込んで一本勝ちを果たしている。大島の寝技には一種軽量級離れした取り味があり、髙藤が「追い込んだ稽古をする時間がなかなかなかった」(本人談)状態にあることを加味すれば、再びのアップセットの可能性も十分。

【プールD】
第3シード:志々目徹(了徳寺学園職)
第6シード:ワリーデ・キア(フランス)

前述の通り、一発屋のキアにとっては脇の差しやすいケンカ四つは望むところのはず。キアは決して受けが強い選手ではないので、志々目としてはしっかり二本持って先に投げてしまいたいところ。この選手の得意技は密着型の定番である裏投、小外掛だが奇襲技の「韓国背負い」にも注意。

■ 66kg級・世界王者2人に阿部一二三が挑戦、バジーレは初戦で磯田範仁と『足技対決』
(エントリー25名)

冒頭書いた通り、大会最大の豪華階級。五輪で驚きの金メダル獲得、「モデル並み」と騒がれた容姿とナルシスティックなパフォーマンスでも話題をさらったファビオ・バジーレ(イタリア)が五輪後初の大会エントリーを為し、雪辱に燃える2015年度世界選手権の覇者アン・バウル(韓国)が果敢に参加。昨今珍しい「立ち背負い」の使い手であるミハエル・プルヤエフ(ロシア)も参加して現在のワールドランキングトップ5がすべて顔を揃えた形、まさしくオリンピック並みの陣容が実現した。

迎え撃つ日本勢は、国内ではバジーレ並みのインパクトを残しながら五輪出場叶わなかった阿部一二三(日体大1年)を中心にこれも充実の陣容。4人のブロックが綺麗に分かれたこともありトーナメントの密度は非常に高し、見逃せない試合が続く。

【プールA】
第1シード:アン・バウル(韓国)
第8シード:カマル・カン マゴメドフ(ロシア)
日本選手:橋口祐葵(明治大4年)

講道館杯で久々その天才性を発揮した橋口だが、非常に厳しいところに配置されてしまった。初戦がカンマゴメドフ、準々決勝がアンという組み合わせはこれが世界選手権でもまったくおかしくない、やりがいのある配置。

アンは左右に担ぎがあるしぶとい選手だが、手先の組み手争いに付き合う線の細さもあり両袖からの担ぎを厭わぬ橋口には十分チャンスあり。目の覚めるような「一本」での国際戦線復帰に期待したい。

【プールB】
第4シード:ドフトン・アルタンスフ(モンゴル)
第5シード:髙上智史(旭化成)

五輪前後の強豪不在期間にツアーで3度表彰台に登攀、一気にランキングを上げたドフトンがAシードを張る。しかしその試合ぶりを観察する限り、実力的には髙上に及ぶものではないと見る。ベスト4進出は髙上。

【プールC】
第2シード:ファビオ・バジーレ(イタリア)
第7シード:アドラン・ゴンボツ(ロシア)
日本選手:磯田範仁(国士舘大3年)

バジーレの直下に講道館杯王者の磯田が配され、2回戦での激突が濃厚。バジーレは座り込むような独特の大腰が得意だが足技(送足払、出足払)の切れ味も抜群。一方磯田の武器も「わかっていても掛かってしまう」足技(小外刈)で、この「足技対決」という構図は非常に面白い。バジーレは下がりながらでも相手を吸い込むような出足払で「一本」が狙え、前に出ることで小外刈へのスイッチを押す磯田とは攻防が噛み合う可能性もある。とにかく見逃せない一番。

【プールD】
第3シード:ミハエル・プルヤエフ(ロシア)
第6シード:阿部一二三(日体大1年)

プールCが「足技対決」なら、このプールDは「立ち背負い対決」。低く転がすような担ぎ技が全盛の現代柔道において「立って投げる」豪快な一撃が持ち味の2人がシード選手としてこのブロックに同居することとなった。
今大会の阿部は勝利すること以上に、手詰まりが明らかになりつつある「相四つ相手」の取り味をしっかり見せることが肝要ではないかと思われる。ケンカ四つのプルヤエフ戦は阿部の強さが十分発揮出来ると思われるが、ファンにはぜひこの「相四つの強者とどう戦うか」をを焦点に以後の戦いぶりを見守ってもらいたい。もう1つ、阿部は講道館杯(7位)においては減量苦ゆえか、その強さの源泉である体の力を見せることが出来なかった。今大会これが修正出来ているのか、それともこれは以後継続してしまう傾向なのか注目して見守りたい。間違いなく以後の4年間を占う大会である。

■ 48kg級・海外勢五輪並みの豪華陣容も、最注目は近藤vs渡名喜の日本人対決
(エントリー16名)

前述の通りリオ五輪銀メダルのジョン・ボキョン(韓国)、銅メダルを獲得した近藤亜美(三井住友海上)とガルバトラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)、さらに2013年リオ世界選手権王者のムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)までが参加するという、ちょっとこの時期としてはありえない豪華な陣容。優勝の行方は混沌だ。

ひとつ注目したいのは講道館杯で圧倒的な強さを見せて優勝した渡名喜風南(帝京大3年)の出来。今大会は近藤亜美と同ブロックに配され2戦目(準々決勝)で早くも対決が待ち受けている。参加者の少なさゆえここで負けても表彰台に上がるチャンスは十分残されているが、世界選手権代表を目指すならばこの時点での一線級撃破と優勝は必須要件。十分な成長と実績を残しながらなかなかブレイクできなかったここ1年の閉塞感を打ち破ることができるか、今大会は柔道人生における大きな勝負どころになるはずだ。

【プールA】
第1シード:ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)
第8シード:遠藤宏美(日本)

裏投への傾倒を強めることで出世、ますます「一発」の力を上げているガルバトラフに遠藤が挑戦。前襟を持ち、相手と駆け引きしながら抜け出すタイプで柔道がやや繊細な遠藤にはやりにくい相手ではないかと思われる。五輪を終えて3か月、その調整の程は未知数だがここ1年の出来の良さに鑑みてガルバトラフの勝ち上がりを推す。

【プールB】
第4シード:ジョン・ボキョン(韓国)
第5シード:ミリカ・ニコリツ(セルビア)
日本選手:森﨑由理江(A-LINE)

五輪での素晴らしい出来を考えればジョンのベスト4入りを推さざるを得ない。森﨑の健闘に期待。

【プールC】
第2シード:ムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)
第7シード:ノア・ミンスカ(イスラエル)

徹底マークにあってなかなか調子を上げられず、結局五輪ではメダルを逃したムンクバット。加えて現在はオフシーズンであり絶頂時の出来は期待できないと思われるが、それでもこのメンバーでの敗退は考えられない。ベスト4入りは間違いなくムンクバット。

【プールD】
第3シード:近藤亜美(三井住友海上)
第6シード:渡名喜風南(帝京大3年)

■ 52kg級・優勝候補は志々目、前半の注目対決は阿部vsネト妹、角田vsファンスニックの2戦
エントリー25名)

海外勢がさみしい。注目選手は五輪代表プリシラ・ネトの妹アストリーデ・ネト(フランス)と、48kg級から階級を上げたばかりのシャーリーン・ファンスニック(ベルギー)くらい。

この2人には日本の若手が早い段階で挑戦。ネトには期待の新人・阿部詩(夙川学院高1年)が、ファンスニックには講道館杯を制したばかりの角田夏実(了徳寺学園職)がマッチアップする予定。

アストリーデ・ネトはグランドスラム・アビダビで優勝を飾ったばかりだが粘戦型で、阿部の一発が嵌る可能性は十分。角田は寝技が得意なファンスニックとストロングポイントが被っており、どんな試合を見せてくれるか非常に楽しみ。

優勝候補筆頭は第1シードの志々目愛(了徳寺学園職)。実績、実力ともに十分だが講道館杯で肘を負傷したとのことで、その点のみが心配。いずれここで星を落とすようでは世界選手権代表を勝ち取るには物足りない。しっかり勝ち切ってもらいたいところ。

【プールA】
第1シード:志々目愛(了徳寺学園職)
第8シード:ニークー・ノルドメイヤー(ドイツ)

【プールB】
第4シード:チェン・チェン(中国)
第5シード:チェン・チンイン(台湾)
有力選手:シャーリーン・ファンスニック(ベルギー)
日本選手:角田夏実(了徳寺学園職)

【プールC】
第2シード:アストリーデ・ネト(フランス)
第7シード:イネス・ベイシュミト(ドイツ)
日本選手:阿部詩(夙川学院高1年)

【プールD】
第3シード:エカテリーナ・グイカ(カナダ)
第6シード:ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)

■ 57kg級・ドルジスレンがトーナメントの軸、充実の日本勢が虎視眈々優勝を狙う
(エントリー25名)

リオ五輪準決勝で松本薫を鮮やかに担ぎ「一本」を奪ったドルジスレン・スミヤ(モンゴル)が参戦、第1シードに配された。もともと手数狙いの掛け潰れファイターであったドルジスレンだが徐々に技の取り味を増し、辿り着いたあの松本戦が今年為した羽化の集大成。今大会も優勝候補と見積もっておくべきだろう。

海外勢は「次の4年」のフランスのエースと目される昨年度準優勝者エレン・ルスヴォ、そして第3シードのキム・ジャンディ(韓国)も参戦。この3人までが表彰台候補。

国際的な序列から言えばこれに対抗しうるのは2連覇を狙う芳田司(コマツ)だが、講道館杯の順位(1位石川慈、2位宇髙菜絵、3位芳田)でわかる通り、この階級は所属内の力関係と競り合いがトーナメントに大きく影響する。ちょっと先が読めない状態だ。

【プールA】
第1シード:ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)
第8シード:イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)
有力選手:石川慈(コマツ)

【プールB】
第4シード:芳田司(日本)
第5シード:マーティ・マロイ(アメリカ)
有力選手:プリシラ・ネト(フランス)

【プールC】
第2シード:エレン・ルスヴォ(フランス)
第7シード:玉置桃(日本)

【プールD】
第3シード:キム・ジャンディ(韓国)
第6シード:ヨアナ・ロギッチ(セルビア)
有力選手:宇髙菜絵(コマツ)


文責:古田英毅

※ eJudoメルマガ版12月1日掲載記事より転載・編集しています。

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