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平成28年度講道館杯全日本柔道体重別選手権男子レポート①(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級)

(2016年11月28日)

※ eJudoメルマガ版11月28日掲載記事より転載・編集しています。
平成28年度講道館杯全日本柔道体重別選手権男子レポート①(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級)
■ 60kg級・大学2年生永山竜樹が初優勝、投技のキレ味ひときわ光る
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60kg級準決勝、志々目徹が青木大から大内刈「有効」

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準決勝、永山竜樹が大島優磨を豪快な内股「一本」に仕留める

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3回戦、米村克麻が古賀玄暉から内股返「有効」

(エントリー34名)

【決勝まで】

他階級同様、五輪代表の髙藤直寿以外ほぼすべての有力選手が顔を揃えた超豪華トーナメント。

その中を決勝に進んだのは第1シードの志々目徹(了徳寺学園職)と永山竜樹(東海大2年)の2人。

昨年度世界選手権3位、五輪代表の座を最後まで争った志々目はもちろん優勝候補の筆頭。この日は2回戦で岩井貴史(福井県警)を大外刈と内股の合技「一本」(3:56)に仕留めて大会をスタート、3回戦はしぶとい川端龍(センコー)を「指導2」対「指導1」の優勢で振り切り、準々決勝は前戦で古賀玄暉(大成高3年)をGS延長戦の内股返「有効」で破っている米村克麻(日体大4年)にも「指導2」の優勢で勝利。この日最初の勝負どころとなった準決勝は強敵青木大(日体大4年)の小外掛を切り返し、激しい際の投げ合いに競り勝っての大内刈「有効」で勝利をもぎ取り、ぶじ決勝の舞台へとたどり着くこととなった。

一方、昨年の世界ジュニア王者永山はまず初戦(2回戦)で齋藤昂矢(日本エースサポート)から小外刈「有効」を奪って優勢勝ち。ここからは圧巻の勝ち上がり、3回戦では前戦で杉本大虎(日体大1年)を背負投「有効」で下している宮野原誠也(国士舘大3年)を内股「一本」(2:30)で一蹴、続く準々決勝は前戦で木戸慎二(パーク24)を大内刈「一本」(4:55)で下す快挙を演じたばかりの宮川太暉(筑波大3年)を裏投「一本」(3:14)に仕留め、そして選抜体重別2位の大島優磨(国士舘大4年)を畳に迎えた注目の準決勝はまず小外刈で「有効」を奪い、さらに鮮やかな内股「一本」(2:06)を決めるという圧勝。3連続一本勝ちで堂々講道館杯決勝の畳へと乗り込むこととなった。

ほか、若手有望選手の結果を簡単に紹介しておきたい。学生体重別2位の藤阪泰恒(國學院大2年)は初戦で北村翔(鹿屋体育大3年)に巴投「一本」(2:16)で敗れ、次戦にセットされていた学生王者林浩平(国士舘大4年)との再戦に辿り着けず。その林は2回戦から登場、まず前戦で警察選手権の覇者黒瀬遼(警視庁)を小内巻込「一本」(2:47)で破った大島拓海(筑波大2年)をGS延長戦の抱分「技有」で下し、続く3回戦は北村翔に「指導4」の反則で勝利。しかし準々決勝でライバル青木大とのGS延長戦に隅返「有効」を失って敗れた。全日本ジュニア55kg級王者の徳本千大(初芝橋本高3年)は1回戦を一本勝ちしたが、2回戦で宮川太暉(筑波大3年)に「指導2」優勢で敗退。高校選手権王者の市川龍之介(習志野高2年)は初戦(2回線)で五味佳将(日体大3年)から「有効」を奪うも内股透「技有」を失い敗退、インターハイ王者の武岡毅(足立学園高2年)は初戦で澤田涼(日本エースサポート)に「指導2」優勢で勝利したものの3回戦で青木大に合技「一本」(3:45)で敗れた。

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志々目と永山による60kg級決勝。引き手争いが続く。

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志々目は片手の内股をベースに試合を組み立てる

【決勝】

永山竜樹(東海大2年)〇GS技有・小外掛(GS0:48)△志々目徹(了徳寺学園職)

決勝は志々目が左、永山が右組みのケンカ四つ。永山は足技を繰り出しながら、志々目は片手の内股を仕掛けながらの引き手争いが続く。永山が小外刈と引き手を得ながらの右内股で拮抗から半歩抜け出しかかるが危機を感じた志々目は片手の左内股、さらに右への肩車と手数を積んでいったん押し戻し、41秒双方に片手の咎で「指導1」。

志々目はこの後短い時間に3つ左内股を集中させるがいずれも片手技で有効打にはなりえず。永山は左に肩車を打って対抗、志々目の左出足払に反応良く右出足払を合わせ返してその体をぐらつかせる。この攻防以降志々目はまたもや慎重になり決定的な技が出ず。永山の方も出足払に左一本背負投と放つものの試合を壊すほどの思い切りはなく、3分35秒双方に消極的との判断による「指導2」宣告が為される。

以降も試合は大きく動かず。永山が両襟で勝負に出る場面はあったが志々目はいち早く大内刈を放って剥がし、大枠引き手争いが続いたままあっという間に本戦5分間が終了。試合はGS延長戦に持ち込まれることとなる。

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GS延長戦、永山の小外刈が志々目を捉える

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永山機を逸せず押し込んで浴びせ「技有」獲得

延長戦が始まると永山が一段加速、左一本背負投を連発してまず主導権を握る。志々目内股で抗するがこれもまたもや片手技で、投げを狙うというよりはひとまず技数上の不利を奪回しチャンスを待つという印象。

48秒、永山が引き手争いに混ぜ込んで右小外刈。しぶとく当て続けて志々目の身体が崩れるや両手の拘束を効かせて一歩前進、その上体を固定しながら浴びせ倒す。志々目必死に身を捩じるが、永山がめくり返す「決め」の良さに抗えず背中から畳に落ちてこれは「技有」。結果、永山の講道館杯初制覇が決定した。

決勝は双方慎重な戦いぶり。永山は準決勝までの勝ちぶりの良さを考えれば意外なほどに大人しかったが、一貫して接近して、あるいは二本持っての勝負を挑んでいたのはやはり永山の側であった印象。ワンチャンスを生かした集中力の高さは勿論だが、投げで勝負を決しようという前のめりの姿勢、その角度の差が勝敗を分けたと考えたい。ただし、若さを考えれば永山にはもっと思い切った勝負を仕掛けて欲しかった。そして丁寧に戦い、勝負どころを先送りしてチャンスを待つその若者らしからぬ地に足着いた試合姿勢を許してしまったのは優勝候補・志々目の慎重過ぎる戦いぶりである。当年の選抜体重別を制しながら五輪に届かなかった無念や捲土重来を期す思い、そういった感情の量自体を表に出して戦うべき試合であったはずだし、誰もが「五輪を逃して志々目は変わった」と言われるような前のめりの試合姿勢を期待したはず。しかし長所も短所もやはりこれまでの志々目の延長線上にあり。来年の世界選手権代表奪取に向けたアピールにはなりえず、少なくとも評価を上げた試合ではなかった。

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60kg級優勝の永山竜樹

【入賞者】
優 勝:永山竜樹(東海大2年)
準優勝:志々目徹(了徳寺学園職)
第三位:大島優磨(国士舘大4年)、青木大(日体大4年)

【グランドスラム東京代表】
髙藤直寿(パーク24)、永山竜樹(東海大2年)
志々目徹(了徳寺学園職)、大島優磨(国士舘大4年)

永山竜樹選手のコメント
「東京五輪に向けた戦いは既に始まっています。その1発目でアピールしたかった。志々目選手には選抜体重別で負けていて、今回も長い試合になると考え、しぶとくやろうと思っていました。受けも強い選手ですので、ワンチャンスをモノに出来て良かったと思います。まずグランドスラム東京で優勝して、国際大会に全部勝って、4年後の東京で金メダルを獲りたい。今後の課題は、稽古で地力をさらに強化することです」


【準々決勝】

志々目徹(了徳寺学園職)〇優勢[指導2]△米村克麻(日体大4年)
青木大(日体大4年)〇GS有効・隅返(GS0:38)△林浩平(国士舘大4年)
大島優磨(国士舘大4年)〇優勢[有効・巴投]△田中崇晃(筑波大4年)
永山竜樹(東海大2年)〇裏投(3:14)△宮川太暉(筑波大3年)

【敗者復活戦】

米村克麻〇優勢[技有・小内巻込]△林浩平
田中崇晃〇小外刈(0:10)△宮川太暉

【準決勝】

志々目徹〇優勢[有効・大内刈]△青木大
永山竜樹〇内股(2:06)△大島優磨

【3位決定戦】

青木大〇優勢[指導2]△田中崇晃
大島優磨〇横四方固(1:24)△米村克麻

【決勝】

永山竜樹〇GS技有・小外掛(GS0:48)△志々目徹

■ 66kg級・優勝は磯田範仁、注目の阿部一二三は好調橋口祐葵に一本負けで7位
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66kg級2回戦、橋口祐葵が徳田慎之介から袖釣込腰「技有」

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2回戦、阿部一二三が杉本翔也から背負投「一本」

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3回戦、阿部一二三が原田誠丈から袖釣込腰「一本」

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注目の準々決勝、橋口が阿部から袖釣込腰「一本」で勝利

(エントリー32名)

【決勝まで】

男子7階級中もっとも人材が揃った最激戦区。その中にあってトーナメントを席捲したのは10月末の学生体重別団体で見せた好調をそのまま持ち込んだ橋口祐葵(明治大4年)。2回戦で徳田慎之介(帝京科学大柔道クラブ)を袖釣込腰「技有」で下し、3回戦では前戦で浅利昌哉(東海大3年)を「指導1」対「指導2」で破っている末木貴将(筑波大3年)を「指導2」優勢で振り切り、準々決勝では全階級通じた今大会の最注目選手・阿部一二三(日体大1年)との対戦を迎える。4月の全日本選抜体重別を圧倒的な内容で制した阿部はここまで2回戦で杉本翔也(陸上自衛隊)を背負投「一本」(1:25)、3回戦では今季の全日本ジュニア王者原田誠丈(福岡大2年)から袖釣込腰で「有効」「一本」(3:04)と立て続けに奪って勝利しており、順当な勝ち上がり。

そしてこの橋口対阿部の一番は、3分4秒橋口の鮮やかな袖釣込腰「一本」に終着。両袖の得意な阿部であったがそのお株を奪われた格好、「元祖・天才」橋口得意の一発に屈した形となった。橋口は続く準決勝ももと世界選手権代表の髙市賢悟(旭化成)を左背負投「一本」(2:21)に仕留めて見事決勝進出。世界ジュニア制覇時の輝きを再び取り戻したかのような素晴らしい内容を背に、初の講道館杯決勝に挑む。

橋口に敗れた阿部は、敗者復活戦で藤阪太郎(国士舘大4年)を相手に所謂「頭突っ込み」の反則を犯してしまいダイレクト反則負け。まさかの7位に終わることとなった。

阿部のパフォーマンスは、一貫して良くなかった。なにより出世期の高校時代に見せていた畳上の迫力が失せており、2つマークした一本勝ちも阿部独特の力感よりは、相手にリアクションをさせない入りと、担ぎ上げてからの決めの技術の巧みさのほうが強く印象付けられるものであった。減量苦か、それとも単なるコンディション不良か原因は定かでないが、一頃に比べ体の力が削げていると見ておくべきだろう。

相四つ相手に見せる方法論的な手詰まり感も見逃せない。釣り手で背中を叩く「脇差しスタイル」は阿部出世の大きな要因であったが、ここに来てこれが、前襟(あるいは横襟)を持って相四つの強者と対峙出来ないという弱点として大きく露出しつつある印象。橋口戦も背中を探ってはひっこめる行動で相手に展開上の陣地を浸食されてしまっていた。

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橋口は準決勝の髙市賢悟戦も背負投「一本」で快勝

攻撃においては相手の釣り手を潰す両袖の大技を併用することで解決を試みて来たわけだが、これからパワーに秀でた海外勢と戦わねばならぬことを考えると、攻撃と防御を同じ形から行える「二本持つ」強みの欠如は痛い。控えめに言って、この先も実力に比して成績が安定しない可能性がある。3年前からスポット的に華々しい活躍を見せながらこの講道館杯だけで言えば、優勝、5位、7位と成績が下降していることになるが、これは阿部の柔道の特徴と無縁ではないと考える。

才能豊かな阿部が中学時代に為した「脇差し」への変更、ために得た急速な出世と、顔を出し始めた方法論上の手詰まり。これをどう回収し、どう消化していくのか。阿部と所属が打ち出すであろう次の手立てに注目したい。

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準決勝、磯田範仁が丸山城志郎を得意の小外刈で攻める

橋口の反対側から決勝に進んだのは磯田範仁(国士舘大3年)。この日は2回戦で大村智輝(福岡大4年)を内股と横四方固の合技「一本」(3:23)で下すと以降は強敵と連戦。3回戦では今季の学生王者田川兼三(筑波大2年)を「指導1」の優勢で退け、勝負どころの準々決勝では第1シードの髙上智史(旭化成)を「指導2」対「指導1」の優勢で下してベスト4入り。準決勝は丸山城志郎(ミキハウス)をこれも「指導2」対「指導1」で凌ぎ切り、見事決勝の畳まで辿り着くこととなった。

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磯田(左)と橋口による66kg級決勝

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磯田が隅返に身を躍らせる

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磯田の鋭い小外刈が決まり「技有」

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磯田の大外刈。最後までしっかり攻めて橋口にきっかけを与えなかった。

【決勝】

磯田範仁(国士舘大3年)〇優勢[技有・小外刈]△橋口祐葵(明治大4年)

決勝は磯田が左、橋口が右組みのケンカ四つ。磯田は足技を織り交ぜながら釣り手で前襟、背中と狙い引き手争いを優位に進めるが、地力のある橋口は落ち着いて対峙、まず先に引き手で袖を抑えることに成功。しかし磯田すかさず内股フェイントの隅返に身を躍らせて先制攻撃、切り返しのタイミングの早い、かつ取り味のある技に橋口間合いへの侵入を許してしまいいったんこの良い組み手はリセット、「待て」が宣告される。経過時間は33秒。

以後磯田は両襟を交えながら巧みに自分の形を作りに掛かる。橋口はパンと乾いた音を立てる強烈な出足払を一発、さらに鋭い小内刈を繰り出して対抗。磯田も釣り手を直しながら小外刈、大内刈で攻め返して展開に差はつかず。1分40秒、橋口が釣り手をたたんで右背負投に入り込むが磯田は揺るがず、双方が場外まで歩き出る形で「待て」。

ここで磯田が手立てを少々変え、引き手の狙い先を襟から袖へと定め直す。腰を入れ合いながら場外際に移動したところで、磯田引き手を切らんと手首を立てて掌を広げ、一瞬相手のの意識を右引き手に流す。攻防の流れにエアポケットが出来たその瞬間、磯田引き手で襟を狙いながら勝負技の左小外刈。攻防の焦点である右の逆から襲う左足、意識のフェイント、そして肉体的なスピードギャップと3つ揃えたこの激しい緩急に橋口反応が遅れ、あっという間に畳に転がり「技有」。あわや「一本」という見事な一撃であった。試合時間は2分7秒、残り時間は2分53秒。

磯田はここが大事とばかりに攻撃の矛を収めず、組み際に両襟を握って左大外刈の大技。相手の膝裏に踵を滑り込ませて橋口を大きく崩す。

後のない橋口は前進を続け、右背負投に大内刈と攻めて3分0秒には磯田に場外の「指導」。しかし磯田も小外刈に体落と機を見てしっかり技を放ち続けて、展開に大きな波乱の予感は漂わず。残り1分半、橋口が出足払から右内股と繋いだ良い攻撃を磯田が揺るがずガッチリ受け止めたところで、ほぼ勝負の行方は見えた感あり。磯田は組み手巧みに橋口を封殺、残り1分となったところでは抜き上げるような右小外刈で橋口にたたらを踏ませ、続いて膝裏に小外刈を入れてと機を見て足技を織り交ぜあくまで追撃を許さず。4分13秒双方に消極的との咎で「指導」が与えられるが試合は大きく動くことなくそのまま終了。結果、磯田が初の講道館杯制覇を成し遂げることとなった。

決勝、磯田の柔道はまことに巧みであった。組み手を制すだけでなく、得意の小外刈に繋ぐ起爆スイッチの多さを利して果敢に攻撃、強者橋口にまったくきっかけを与えなかった。行動にいちいち理があり、知性の高さで優勝を勝ち取ったと評して差し支えないかと思われる面白い柔道であった。

また、小学校時代からその技術の高さの一方で常に線の細さを指摘されて来た磯田であるが、背筋を伸ばして橋口の内股を堂々弾き返す場面、また残り30秒となったところで橋口の小外刈に逆に足を絡め、大内刈の形で浴びせ返した場面などはむしろ体の強さが際立った。役者揃った最激戦階級、2016年度講道館杯66kg級を制すにふさわしい戦いぶりであったと高く評価しておきたい。

橋口は相手の釣り手を一回開けて背負投に繋ぎたかったところだが、磯田の粘り強い組み手管理と巧みな足技の前にきっかけを掴めなかった。主役級の活躍を見せながら最後は表彰台の真ん中に立つこと叶わず、非常に悔しい大会であった。

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66kg級優勝の磯田範仁

【入賞者】
優 勝:磯田範仁(国士舘大3年)
準優勝:橋口祐葵(明治大4年)
第三位:髙上智史(旭化成)、藤阪太郎(国士舘大4年)

【グランドスラム東京代表】
磯田範仁(国士舘大3年)、橋口祐葵(明治大4年)
阿部一二三(日体大1年)、髙上智史(旭化成)

磯田範仁選手のコメント
「橋口選手は、同じ道場(宮崎・芦塚柔道場)の出身。一緒に戦えることにまずうれしさを感じましたし、結果を残せたこともうれしい。相手は豪快な技が持ち味、自分は足技から寝技と繋ぐ泥臭い柔道、自分のやり方を貫こうと思っていました。全体通じてチャンスの少ない試合と思ってましたが、得意の足技が効いて良かったです。去年は準決勝まで進みましたが結果は5位、去年負けた相手に勝って決勝に進めたことも、うれしいです。66kg級は強い選手ばかりで自分はまだまだ1位というレベルには達していない。これからもひたむきに、頑張ります」

【準々決勝】

磯田範仁(国士舘大3年)〇優勢[指導2]△髙上智史(旭化成)
丸山城志郎(ミキハウス)〇反則[指導4](4:39)△竪山将(パーク24)
橋口祐葵(明治大4年)〇袖釣込腰(3:04)△阿部一二三(日体大1年)
髙市賢悟(旭化成)○優勢[有効・肩車]△藤阪太郎(国士舘大4年)

【敗者復活戦】

髙上智史〇優勢[指導2]△竪山将
藤阪太郎〇反則(0:50)△阿部一二三
 ※所謂「頭突っ込み」によるダイレクト反則負け

【準決勝】

磯田範仁〇優勢[指導2]△丸山城志郎
橋口祐葵〇背負投(2:21)△髙市賢悟

【3位決定戦】

藤阪太郎〇優勢[有効・谷落]△丸山城志郎
髙上智史〇GS指導2(GS3:48)△髙市賢悟

【決勝】

磯田範仁〇優勢[技有・小外刈]△橋口祐葵

■ 73kg級・大学1年生の立川新が優勝、同門の先輩中矢力を破る
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73kg級準決勝、中矢力が土井健史を払腰「一本」に仕留める

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準決勝を戦う立川新

(エントリー33名)

【決勝まで】

決勝に進出したのは中矢力(ALSOK)と立川新(東海大1年)の2人。

もと世界王者で五輪代表の有力候補であった中矢は勿論第1シード。この日は2回戦から登場、まず田原高志(福岡拘置所)から背負投で「有効」さらに一本背負投で「技有」「一本」と立て続けに奪って快勝。3回戦は岩渕侑生(センコー)を「指導2」対「指導1」の優勢で振り切り、準々決勝は井上倫貴(神奈川県警)に一本背負投「技有」で勝利。準決勝はしぶとい土井健史(ダイコロ)を開始僅か15秒、回旋鋭い右払腰「一本」で一蹴。大過なく決勝まで勝ち進んだ。

一方今季の全日本ジュニア王者立川は驚きの決勝進出。2回戦で杉山慎吾(防衛大)を大腰「一本」(3:20)で下すと以降は強豪と連戦、3回戦は本間大地(ALSOK)から大内刈「有効」、小内刈「技有」と奪って勝利し、準々決勝では第2シードの昨年度王者・橋本壮市(パーク24)を「指導2」対「指導1」の反則累積差で振り切りベスト4入り。準決勝はここまで前野将吾(旭化成)、竹中英士(東海大3年)、込山龍哉(東海大2年)とこちらも強豪を立て続けに破って来た昨季の学生王者・福岡克仁(日本大2年)を「指導1」の優勢で退け、持ち前のしぶとさを存分に発揮しての決勝進出。

この勝ち上がりから読み取れる通り、中矢以外の上位進出者は若手が中心。西山雄希(了徳寺大学園職)は3回戦で橋本壮市にGS延長戦「指導3」で敗れて入賞なしに終わり、田村和也(パーク24)は初戦で吉田優平に「有効」、そして背負投「一本」(2:56)と失う完敗、太田慶一(了徳寺学園職)も3回戦で吉田に「指導2」優勢で敗れた。ベテラン枠から3位決定戦に生き残った橋本も3位決定戦で土井健史に背負投「一本」(2:26)で屈し、表彰台に上がることが出来ずに終わった。

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決勝、立川は一貫して組み手を有利に進める

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立川は組み際の小外刈を的確に当て、中矢を牽制

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立川が左大内刈に混ぜ込んで左一本背負投を押し込み「有効」

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立川が左一本背負投から大外落に技を繋ぐ

【決勝】

立川新(東海大1年)〇優勢[有効・一本背負投]△中矢力(ALSOK)

新田高と東海大の同門である両者の試合は中矢が右、立川が左組みのケンカ四つ。

立川は先に釣り手を得ては巧みな肘の操作で中矢に持ちどころを与えず、一貫して組み勝ち続ける。引き手で袖も得て完璧な組み手を作り出した52秒には中矢が思わず膝を着いて状況をリセット、中矢にのみ「指導」が与えられる。

再開直後、立川組み際に二段の左小外刈。中矢大きくバランスを崩すがいったん離れて組み手をリセット。以降も立川が組み勝ち、組み勝つと中矢が先んじて技を仕掛けて潰れる場面が続くが展開上大きく差はつかず。

1分40秒を過ぎたところから立川が小外刈、左一本背負投、さらに二段の小外刈と技を集中。さらに組み勝って左大内刈で探りを入れながらジワリと前へ。釣り手のコントロール権を確保出来ない中矢は右袖釣込腰に潰れて展開を流す。経過時間は2分25秒。

続く展開、立川は組み際に釣り手を絡ませると小外刈に混ぜ込んで一気に引き手で袖を奪取。続いて一旦釣り手を背中に回すと、一転内側に滑らせて左一本背負投に打って出る。この際立川の左足はこれまで再三探りを入れて来た大内刈の形となっており、これがフェイントとなったか足を刈り開かれた中矢は本命の担ぎを受け損なって左前隅に崩落、立川見逃さずに体を投げ出して押し込み「有効」奪取。経過時間は2分53秒。

立川以後も一貫して組み勝ち続け、その巧みな肘の操作の前に釣り手のコントロール権を奪回出来ない中矢は苦しい戦いが続く。3分38秒には中矢に2つ目の「指導」。立川は機を見て鋭い小外刈を当て続け、残り50秒となったところでは釣り手を絡ませたところから思い切った左一本背負投、さらに大外落に連絡して中矢を大きく崩す。

一発逆転を狙った中矢は釣り手で背を抱いて前に出るが、立川逆らわず場外に出て「待て」。これは当然立川に場外の「指導」が与えられるが、あわよくば振り崩してそのまま得意の寝技に持ち込もうとした中矢はその入り口を封じられた格好で万事休す。立川は攻撃志向を止めず、残り18秒となったところで思い切った左腰車で展開をブレイク、あくまで主導権を譲らない。

最後は中矢が肩車を狙って潰れたところでタイムアップ。立川、大先輩を破って見事講道館杯初優勝を成し遂げた。

中矢がコンディションを作り切れていないという印象はあったが、立川の巧みな組み手と、何より徹底した攻撃志向は勝者の名にふさわしいものであった。どちらかというとしぶとさが売りの選手であったが、技に至る手立てが増えたことで本来の攻撃性が表に出始めた感あり。もうひと化けしそうな予感が漂ってきた、と評しておきたい。

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73kg級優勝の立川新

【入賞者】
優 勝:立川新(東海大1年)
準優勝:中矢力(ALSOK)
第三位:吉田優平(東海大2年)、土井健史(ダイコロ)

【グランドスラム東京代表】
大野将平(旭化成)、立川新(東海大1年)
中矢力(ALSOK)、橋本壮市(パーク24)

立川新選手のコメント
「憧れの選手に勝てるというのはとてもうれしいです。投げる技がそんなにあるわけではないので一戦一戦泥臭く戦っていこうと思っていました。先輩と決勝が出来てとてもうれしかった。今日自分で評価できるのは、前に出る姿勢で柔道が出来たこと。目の前の試合を1つ1つ勝って、最終的に4年後に辿り着けたらいいなと思っています。まずは練習を一生懸命取り組む姿勢からです。期待に応えられるように頑張ります」

【準々決勝】

中矢力(ALSOK)〇優勢[技有・一本背負投]△井上倫貴(神奈川県警)
土井健史(ダイコロ)〇優勢[技有・背負投]△吉田優平(東海大2年)
立川新(東海大1年)〇優勢[指導2]△橋本壮市(パーク24)
福岡克仁(日本大2年)〇優勢[指導2]△込山龍哉(東海大2年)

【敗者復活戦】

吉田優平〇GS払巻込(GS1:54)△井上倫貴
橋本壮市〇優勢[有効・袖釣込腰]△込山龍哉

【準決勝】

中矢力〇払腰(0:15)△土井健史
立川新〇優勢[指導1]△福岡克仁

【3位決定戦】

土井健史〇背負投(2:26)△橋本壮市
吉田優平〇GS指導1(GS1:45)△福岡克仁

【決勝】

立川新〇優勢[有効・一本背負投]△中矢力

■ 81kg級・渡邉勇人が圧勝、全試合一本勝ちで優勝飾る
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81kg級準決勝、渡邉勇人が小原拳哉から払腰「有効」

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準決勝、春山友紀が佐藤正大を抑え込む

(エントリー36名)

【決勝まで】

決勝に進んだのは渡邉勇人(了徳寺学園職)と春山友紀(自衛隊体育学校)の2人。まずこの2人の勝ち上がりを追うことからトーナメントを俯瞰してみたい。

渡邉の勝ち上がりは圧巻。まず2回戦で釘丸将太(国士舘大2年)を腕挫十字固「一本」(2:16)に仕留めると、続く北浦大基(天理大4年)戦は釣腰「技有」、さらに一本背負投「一本」(2:44)と立て続けに奪って快勝。準々決勝は前戦で川上智弘(國學院大職)を破っている笠原大雅(天理高校3年)を巴投「技有」、そして大外刈「一本」(0:31)とあっという間に2度投げつけて退け、準決勝は前戦で第1シードの丸山剛毅(パーク24)を内股「技有」で下している後輩小原拳哉(東海大4年)を払腰「有効」、さらに横四方固「一本」(0:46)とこれも早い時間に攻め落として快勝。全試合一本勝ちという素晴らしいスコアで決勝へと駒を進めることとなった。

もう片側からの決勝進出者はダークホース・春山友紀(自衛隊体育学校)。こちらは2回戦で渋川大也(近畿第2年)を大外刈「一本」(1:27)、3回戦では今季のジュニア王者佐々木健志(筑波大2年)から一本背負投「有効」に内股「一本」(1:21)と連取して快勝。勝負どころの準々決勝は第2シードの長島啓太(日本中央競馬会)から裏投「有効」を奪い、「指導3」まで失うも逃げ切るアップセットを演じ、準決勝は大学の後輩である今季の学生王者・佐藤正大(国士舘大4年)を横三角からの横四方固「一本」(2:28)で一蹴。ついに決勝まで勝ち上がることとなった。

第1シードの丸山は前述の通り準々決勝で小原に敗退、背負投「有効」をリードも内股「技有」で逆転を許した。この日の丸山、2回戦はジュニア世代の芦川泰隆(東海大2年)に「指導3」優勢、3回戦は片岡仁(日本中央競馬会)に浮落「有効」の優勢と勝ち上がりも冴えず、迎えた敗者復活戦も高校生の笠原大雅(天理高3年)にGS延長戦「指導3」で勝利とスコア的には大苦戦。それでも決勝ラウンドまで生き残るのはさすがというべき、なんとか3位に入ってグランドスラム東京での復活を期したいところだったが、佐藤正大を畳に迎えた3位決定戦を背負投「一本」(3:47)で落としこの目論見も崩落。グランドスラム東京の出場権を逃し、昨年来確保して来た永瀬貴規に続く序列2番手の位置をついに失うこととなった。

第2シードの長島も3位決定戦で後輩の小原に敗れて最終成績は5位。川上智弘も前述の通り3回戦で高校生の笠原に大外刈「有効」のリードを守れず、終盤小外刈で一本負け。この階級にも世代交代の波が押し寄せている感あり。

一方高校カテゴリを代表する強者藤原崇太郎(日体荏原高3年)は3回戦で小原に「指導4」を奪われて敗戦。全日本ジュニア2位の天野拓実(日体大2年)は3回戦で長島に「指導3」対「指導2」で惜敗、正木聖悟(天理大2年)は初戦を一本勝ちも2回戦で小林雅司(パーク24)に浮落「技有」で敗れた。

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決勝、春山は得意の寝技を狙うが渡邉は体勢を崩さず

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渡邉が春山の立ち上がり際に左大外刈を打ち込み「有効」

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渡邉は小外刈で「技有」追加

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渡邉の小外刈一閃、「一本」で試合は決着

【決勝】

渡邉勇人(了徳寺学園職)〇小外刈(3:53)△春山友紀(自衛隊体育学校)

決勝は渡邉が左、春山が右組みのケンカ四つ。
上背に大きく勝る渡邉がまず釣り手を上から抑える。得意の寝技に持ち込みたい春山は低く構えて「ケンカ四つクロス」の形に腕を抱き込み、首下に袖を抱え込むような左一本背負投で先制攻撃。しかし渡邉崩れず「待て」。以後も春山は釣り手を突いて低く構え難剣遣いの雰囲気満載、隅返を交えながら引き手争いを続け、寝技に持ち込むチャンスを探る。

1分30秒、渡邉背中を掴んで小外掛。一歩間合いを詰めると渡邉が「セルフ内股透」を仕掛けた形となって、その股中で崩れた春山は前方に伏せて「待て」。

続く展開、春山は渡邉の袖を首下に抱き込むようにして左一本背負投。試合最序盤にも見せた寝技への移行を狙った技だが渡邉は背筋を伸ばしてまったく崩れず。そしてその戻り際に合わせて左大外刈を叩きこむと、春山後ろに仰け反って転がりこれは「有効」。経過時間1分49秒、渡邉が先制に成功する。

ビハインドを負った春山はしかし心折れず、今度は攻撃方向を変え低く座り込んでの右袖釣込腰。しかしこれも渡邉は崩れず、その戻り際を狙いすまして被さるように小外刈。襟を持ったまま相手の首に当てた釣り手の決めが良く効き、これは「技有」。

圧倒的なリードを得た渡邉だが以後も戦いぶりは変わらず、手堅く組み手を運んでは機を見て取り味のある技を放つ、まことに落ち着いた試合運び。春山がようやく良い組み手を得たかに見えた3分6秒には両足を効かせた巴投一発、あわやポイントという場面も作り出す。

そして3分53秒に試合は決着。近い距離での組み手争いのさ中、春山が釣り手を持ち替えようとした刹那渡邉の左小外刈が閃く。上半身は正面から、足は真裏から襲った形のこの一撃に春山ほとんど反応できず一瞬で真裏にひっくり返る。

これは文句なしの「一本」。渡邉は全試合一本勝ちで講道館杯初優勝達成、決勝はここまで素晴らしい勝ちぶりを見せた春山から「有効」「技有」「一本」と立て続けに奪うというまさしく圧勝での優勝劇だった。

渡邉は昨年4月の全日本選抜体重別選手権で膝に大ケガを負い、1年以上畳から離脱。しかしこの勝ちぶりの良さは率直に言って負傷前以上の出来、この時点で永瀬貴規に次ぐ国内序列2番手に昇格したと考えてまず間違いないだろう。

復帰戦であった8月の全日本実業個人も制している渡邉、今季唯一の失策は10月に派遣されたグランプリ・タシケント大会で優勝を逃したこと(2位)。国際大会での適性が疑われかねないミスであったが、今大会の凄まじい勝ちぶりはそれを補って余りあるもの。国内序列2番手をほぼ確定したこの状況で、残る課題は国際大会での活躍と、一番手永瀬との直接対決。来るグランドスラム東京では、現在の出来を持ち込めば相当の活躍が期待できるはず。永瀬との対戦が実現すれば、2020年東京五輪に向けた日本81kg級最初の大一番になるのではないだろうか。以後が非常に楽しみになって来た。

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81kg級優勝の渡邉勇人

【入賞者】

優 勝:渡邉勇人(了徳寺学園職)
準優勝:春山友紀(自衛隊体育学校)
第三位:佐藤正大(国士舘大4年)、小原拳哉(東海大4年)

【グランドスラム東京代表】

永瀬貴規(旭化成)、渡邉勇人(了徳寺学園職)
春山友紀(自衛隊体育学校)、佐藤正大(国士舘大4年)

渡邉勇人選手のコメント
「去年1年間で2回手術をして、しばらく柔道が出来なくて・・・。辛い時期がありましたが、試合にも出られない自分を応援してくれる人、支えてくれる人たちがいた。その人たちのおかげでこの舞台に戻ってこられて、期待に応えることが出来てうれしい。(-4年後に向けて一言?)勝負の世界が甘くないのは良く知っています。永瀬選手もいますし、海外選手も強い。簡単に五輪とは言えない状況ですが、ひとつひとつ勝つことを心掛けて頑張ります」

【準々決勝】

小原拳哉(東海大4年)○優勢[技有・内股]△丸山剛毅(パーク24)
渡邉勇人(了徳寺学園職)○大外刈(0:31)△笠原大雅(天理高3年)
春山友紀(自衛隊体育学校)○優勢[有効・裏投]△長島啓太(日本中央競馬会)
佐藤正大(国士舘大4年)○優勢[指導1]△尾方寿應(東海大3年)

【敗者復活戦】

丸山剛毅○優勢[指導2]△笠原大雅(天理高3年)
長島啓太(日本中央競馬会)○優勢[指導3]△尾方寿應(東海大3年)

【準決勝】

春山友紀〇横四方固(2:28)△佐藤正大
渡邉勇人〇横四方固(0:46)△小原拳哉

【3位決定戦】

小原拳哉〇優勢[有効・小外刈]△長島啓太
佐藤正大〇背負投(3:47)△丸山剛毅

【決勝】

渡邉勇人〇小外刈(3:53)△春山友紀

※ eJudoメルマガ版11月28日掲載記事より転載・編集しています。

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