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グランドスラム・アブダビ女子7階級レポート

(2016年11月2日)

※ eJudoメルマガ版11月2日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム・アブダビ女子7階級レポート
■48kg級・因縁対決は実現せず、ガルバトラフが充実の内容で優勝
(エントリー7名)

【入賞者】
1.GALBADRAKH, Otgontsetseg(KAZ)
2.NIKOLIC, Milica(SRB)
3.BRIGIDA, Nathalia(BRA)
3.MUNKHBAT, Urantsetseg(MGL)
5.CORCHER, Sephora(FRA)
5.FIGUEROA, Julia(ESP)
7.MOUNIER, Cheyenne(FRA)

ムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)の意外な敗退で因縁対決は実現せず。初戦(準決勝)でランキング21位のミリカ・ニコリツ(セルビア)を相手に内股巻込「有効」を失い、そのまま逃げ切られてしまった。続く3位決定戦ではランキング91位のセフォラ・コルチャー(フランス)相手に得意の腕挫十字固で一本勝ちしたものの、実力からすればまったく不本意な結果。今大会モンゴルからの参加選手はただ1人のみ、コーチボックスすら誰も入っていないというまさしく孤軍奮闘であったが、そもそもの参加の動機、試合の内容とちょっと判断に苦しむ大会であった。

一方ライバルのガルバトラフ・オトコンツェツェグは相変わらずのパワフルさを如何なく発揮、みごと優勝を飾った。唯一の勝負どころとなった準決勝のジュリア・フィギロア(スペイン)戦はGS延長戦の末釣腰「有効」で勝利、決勝でっは豪快な裏投でニコリツを一蹴してみせた。もともと腰を抱いての一発が得意な選手であったが、五輪の大活躍を経て裏投への志向が加速、もはやこの技は代名詞となりつつある印象。「裏投師」と呼んで差し支えないレベルに到達しつつある。

期待の実力派フィギュロアはガルバトラフ戦で消耗し過ぎたか、ブラジルの2番手ナサリア・ブリヒダ(ブラジル)との3位決定戦を落とし表彰台から転落。最終成績は5位にとどまった。

【準決勝】

ガルバドラフ・オトゴンツェトセグ(カザフスタン)◯GS有効・釣腰△ジュリア・フィゲロア(スペイン)
ミリカ・ニコリツ(セルビア)〇優勢[有効・内股巻込]△ムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)

【3位決定戦】

ナサリア・ブリヒダ(ブラジル)◯優勢[有効・谷落]△ジュリア・フィゲロア(スペイン)
ムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)◯腕挫十字固(2:36)△セフォラ・コルチャー(フランス)

【決勝】

ガルバドラフ・オトゴンツェトセグ(カザフスタン)◯裏投(1:54)△ミリカ・ニコリツ(セルビア)

■52kg級・「ネトの妹」がツアー初優勝、ただし高評価獲得には至らず
(エントリー10名)

【入賞者】
1.GNETO, Astride(FRA)
2.DELGADO, Angelica(USA)
3.EDWARDS, Kelly(GBR)
3.PEREIRA, Jessica(BRA)
5.PIENKOWSKA, Karolina(POL)
5.TOPOLOVEC, Tihea(CRO)
7.GILES, Chelsie(GBR)
7.SIKIC, Tena(CRO)

唯一国際大会で呼吸が出来る選手である、昨年の欧州ジュニア王者アストリーデ・ネト(フランス)が優勝。しかしその内容はと言えばただ一つだけの勝負どころと目されたティナ・シキッツ(クロアチア)戦を「足取り」による相手のダイレクト反則負けで拾い、準決勝も「指導1」の辛勝という映えないもの。決勝は一本勝ちも相手はパンナム地区のコンチネンタルオープンが主戦場のアンジェリカ・デルガド(アメリカ)で、これでは高い評価を与えるのは難しい。まさしくコンチネンタルオープン勝利くらいに考えておくのが妥当だろう。

ネトは同国同階級の五輪代表プリシラ・ネトの妹。顔も似ているが「ガチャガチャ柔道」と呼ぶべき戦闘スタイルも相似。この先混乱せぬよう、ファンはツアー初優勝のこのタイミングでしっかり「妹」の存在を認識しておくべきかと思われる。

【準決勝】

アストリーデ・ネト(フランス)◯優勢[指導1]△カロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)
アンジェリカ・デルガド(アメリカ)〇優勢[指導1]△ケリー・エドワーズ(イギリス)◯

【3位決定戦】

ジェシカ・ペレイラ(ブラジル)◯腕挫十字固(3:26)△カロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)
ケリー・エドワーズ(イギリス)◯GS優勢[指導1](GS2:54)△ティエア・トポロビック(クロアチア)

【決勝】

アストリーデ・ネト(フランス)◯大外刈(2:58)△アンジェリカ・デルガド(アメリカ)


■57kg級・ルスヴォあっさり優勝、試合数少なく評価は次戦に持ち越し
(エントリー7名)

【入賞者】
1.RECEVEAUX, Helene(FRA)
2.STOLL, Theresa(GER)
3.BENARROCHE, Lola(FRA)
3.MUELLER, Johanna(GER)
5.DURBACH, Manon(LUX)
5.ROGIC, Jovana(SRB)
7.EQUISOAIN, Jaione(ESP)
7.

唯一絶対の優勝候補と目されたエレン・ルスヴォ(フランス)がしっかり優勝。「リオー東京」期のフランス一番手として上々の滑り出しと言える。ただし今大会は2試合しかしておらず、一本勝ちも決勝の1試合だけ。初戦は同国のロラ・ベナロチェ(フランス)に「指導2」勝利で、これも評価は次に持ち越しといったところ。25歳のベナロチェはザグレブ大会の優勝に続く表彰台を確保、今後一定の期間は同国の2番手としてツアー継続派遣があり得るところまで地位を上げることとなった。

【準決勝】

エレン・ルスヴォ(フランス)〇優勢[指導2]△ロラ・ベナロチェ(フランス)
テレザ・シュトル(ドイツ)〇横四方固(3:27)△ヨアンナ・ミューラー(ドイツ

【3位決定戦】

ヨアンナ・ミューラー(ドイツ)◯片手絞(0:34)△マノン・ドゥルバッハ(ルクセンブルク)
ロラ・ベナロチェ(フランス)◯GS優勢[技有・内股透](GS0:36)△ヨヴァナ・ロギッチ(セルビア)

【決勝】

エレン・ルスヴォ(フランス)◯片手絞(0:51)△テレザ・シュトル(ドイツ)

■63kg級・フランセンがツアー初優勝、力強い柔道に今後も注目
(エントリー12名)

【入賞者】
1.FRANSSEN, Juul(NED)
2.UNTERWURZACHER, Kathrin(AUT)
3.QUADROS, Ketleyn(BRA)
3.SILVA, Mariana(BRA)
5.MISKOVIC HASANBEGOVIC, Marijana(CRO)
5.PINOT, Margaux(FRA)
7.OZDOBA, Agata(POL)
7.TALACH, Karolina(POL)

ワールドマスターズで2位に入賞したユール・フランセン(オランダ)がワールドツアー初優勝を飾った。3試合して2つの一本勝ちという好内容、対戦相手もケトレン・クアドロス(ブラジル・GS隅返「有効」)、マリアナ・シウバ(ブラジル・隅落「一本」)、そしてカトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア・横四方固「一本」)となかなかの面子でこれは高く評価出来る勝利。パワー自慢のウンターヴルツァハーにもまったく力負けしておらず、今後が非常に楽しみな選手。少なくともツアーの上位常連として定着するところまでは間違いないかと思われる。

【準決勝】

ユール・フランセン(オランダ)◯隅落(2:19)△マリアナ・シウバ(ブラジル)
カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)〇優勢[指導1]△マルゴ・ピノ(フランス)

【3位決定戦】

マリアナ・シウバ(ブラジル)◯優勢[有効・大外巻込]△マリアナ・ミスコビッツ ハサンベゴビツ(クロアチア)
ケトレン・クアドロス(ブラジル)◯優勢[有効・一本背負投]△マルゴ・ピノ(フランス)

【決勝】

ユール・フランセン(オランダ)◯横四方固(1:48)△カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)

■70kg級・ガヒエ優勝、決勝でポーテラを破る
(エントリー9名)

【入賞者】
1.GAHIE, Marie Eve(FRA)
2.PORTELA, Maria(BRA)
3.TIMO, Barbara(BRA)
3.YEATSBROWN, Katiejemima(GBR)
5.BERNHOLM, Anna(SWE)
5.SCOCCIMARRO, Giovanna(GER)
7.BAKACAK, Sukran(TUR)
7.MOSSONG, Lynn(LUX)

今年の欧州ジュニア王者マリーイブ・ガヒエ(フランス)が優勝。実はこれが既に今季ツアー3度目の優勝である。しかしこの間メダルクラスの強豪からの勝利はグランプリ・サムスンにおけるサリー・コンウェイ(イギリス)戦ただ1試合のみで、全キャリア通じて一流どころにはほぼ全敗。

今大会もツアーの常連は決勝で戦ったマリア・ポーテラ(ブラジル)のみで、そこまでの対戦相手はスクラン・バカジャク(トルコ・崩袈裟固「一本」)にケイティジェミマ・イェーツブラウン(イギリス・大外刈「技有」)と国際水準以下の選手ばかり。優勝3つはかなり大会を選んだ結果と言え、まだまだ上位陣とは差があると観察しておくべきだろう。戦闘スタイルは同国の若手アフリカ系選手の例に漏れずひたすら前に出続ける「指導」奪取柔道であり、戦いぶりもまだまだ雑。オドレイ・チュメオやクラリス・アグベニュー、アンドル・エミリーのような一線級と比べると決定的に「技」が足りない。この先羽化はあるやなしや、まだまだ観察が必要というところ。

【準決勝】

マリーイヴ・ガヒエ(フランス)◯優勢[技有・大外刈]△ケイティジェミマ・イェーツブラウン(イギリス)
マリア・ポーテラ(ブラジル)〇優勢[指導1]△アンナ・ベルンホルム(スウェーデン)

【3位決定戦】

ジョバンナ・スコチマルロ(ドイツ)◯優勢[技有・袖釣込腰]△ケイティジェミマ・イェーツブラウン(イギリス)
バーバラ・ティモ(ブラジル)◯優勢[技有・外巻込]△アンナ・ベルンホルム(スウェーデン)

【決勝】

マリーイヴ・ガヒエ(フランス)◯優勢[指導1]△マリア・ポーテラ(ブラジル)


■78kg級・ステインハウス貫禄の優勝、フランスは若手育成の手詰まりいよいよ明らか
(エントリー9名)

【入賞者】
1.STEENHUIS, Guusje(NED)
2.WAGNER, Anna Maria(GER)
3.SOARES, Samanta(BRA)
3.TURCHYN, Anastasiya(UKR)
5.CAMARA, Sama Hawa(FRA)
5.MALONGA, Madeleine(FRA)
7.APOTEKAR, Klara(SLO)
7.ROSE, Brigitte(SEY)

第1シードのフッシェ・ステインハウス(オランダ)が貫禄の優勝。3戦して一本勝ちは初戦のブリジット・ローズ(セイシェル・開始21秒で大内刈「一本」)戦のみと出来は決して良くなかったが、しっかり結果を残した格好だ。

フランスが期待を持って送り込んだであろう世界ジュニアあがりの2人は全く映えず、サマアワ・カマラ(フランス)とマドレーヌ・マロンガ(フランス)ともに5位という低空飛行に終わった。両者ともにその柔道はひたすら前進圧力を掛けて展開上の有利を作るという偏狭なもの、とにかく決定的に技がない。70kg級のマリーイブ・ガヒエも同根同病、志向する柔道のスケールが低く、技術も伴っていないということだ。戦術を叩き込むことで歩留まり良く人材を輩出して来たフランス女子だが、ジュニア以下の育成はハッキリ閉塞気味、非常な危機にあると観察しておきたい。同じ若手であれば、むしろ今年の欧州ジュニア王者で今大会2位に入賞したアンナマリア・ワグナー(ドイツ)や、2014年世界ジュニア3位で今大会も表彰台を確保したアナスタシア・ターチュン(ウクライナ)のほうが単純に強く、かつ伸びしろを感じさせる柔道をしていた。トーナメントの総括としては、ステインハウスが強者の位置を変わらずキープ、注目しておくべきターチュンとワグナーのジュニア世代2人のピックアップ、そしてフランスの若手育成の手詰まりがいよいよ明らかになりつつある、という3点を挙げておきたい。参加者少数ながら観察すべきところの多いトーナメントであった。

【準決勝】

フッシェ・ステインハウス(オランダ)◯優勢[指導2]△サマアワ・カマラ(フランス)
アンナ マリア・ワグナー(ドイツ)〇優勢[指導3]△マドレーヌ・マロンガ(フランス)

【3位決定戦】

サマンタ・ソアレス(ブラジル)◯優勢[指導2]△マドレーヌ・マロンガ(フランス)
アナスタシア・ターチュン(ウクライナ)◯優勢[指導1]△サマアワ・カマラ(フランス)

【決勝】

フッシェ・ステインハウス(オランダ)◯優勢[有効・大内刈]△アンナ マリア・ワグナー(ドイツ)

■78kg超級・アルセマンが格の違い示す圧勝、2位のヴァイスも実力の高さ証明
(エントリー7名)

【入賞者】
1.ALTHEMAN, Maria Suelen(BRA)
2.WEISS, Carolin(GER)
3.PAKENYTE, Santa(LTU)
3.SLUTSKAYA, Maryna(BLR)
5.KALANINA, Yelyzaveta(UKR)
5.KINDZERSKA, Iryna(UKR)
7.KARA, Kubra(TUR)
7.

大本命のマリアスエレン・アルセマン(ブラジル)が圧勝V、その強さ際立つ大会であった。初戦こそクブラ・カラ(トルコ)を相手に大外刈と払腰で奪った「有効」2つによる優勢に留まったが、以降は全試合一本勝ち。準決勝ではマリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)相手に袖車絞という「隠し芸」も披露してその動きの良さは特筆もの。凄まじい形相でスルツカヤを殺さんばかりに絞めあげた場面は今大会全体を通じたハイライトとなった。格の違いを見せつけた大会であった。

2位のカロリン・ヴァイス(ドイツ)も出場は2試合のみだったが、出来は非常に良し。準決勝は面倒なサンタ・パケニテ(リトアニア)を大腰「一本」、完全に腰に載せておいての豪快な一撃で見せ場を作った。ヴァイスは今年6月のグランプリ・ブタペスト優勝時にマー・スース(偽装攻撃による「指導1」)とユー・ソン(片襟による「指導1」)の中国2トップを立て続けに破っており、現在急成長中。現在ドイツでは3番手扱いだが、近い将来ヤスミン・クルブスとフランジスカ・コニッツを抜いて同国の1番手に出世すると予言しておきたい。

【準決勝】

カロリン・ヴァイス(ドイツ)〇大腰(1:31)△サンタ・パケニテ(リトアニア)
マリア スエレン・アルセマン(ブラジル)◯袖車絞(1:19)△マリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)

【3位決定戦】

マリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)◯優勢[有効・袖釣込腰]△イリーナ・キンザルスカ(ウクライナ)
サンタ・パケニテ(リトアニア)◯合技[外巻込・袈裟固](1:10)△イエリザベータ・カラニナ(ウクライナ)

【決勝】

マリア スエレン・アルセマン(ブラジル)◯合技[払巻込・崩袈裟固](1:44)△カロリン・ヴァイス(ドイツ)


文:古田英毅/林さとる

※ eJudoメルマガ版11月2日掲載記事より転載・編集しています。

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