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桐蔭学園高が充実の内容で優勝、1年生村尾三四郎が全試合一本勝ちでMVP獲得・第20回朱雀杯争奪選抜高等学校対抗柔道大会男子レポート

(2016年10月23日)

※ eJudoメルマガ版10月23日掲載記事より転載・編集しています。
桐蔭学園高が充実の内容で優勝、1年生村尾三四郎が全試合一本勝ちでMVP獲得
第20回朱雀杯争奪選抜高等学校対抗柔道大会男子レポート
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決勝、桐蔭学園高の副将村尾三四郎が東海大相模高・平下麟太郎から大外刈「一本」

高校柔道の新シーズンを占う第20回朱雀杯争奪選抜高等学校柔道大会が23日、平成国際大学総合武道館(加須市)で男女合わせて92チームが参加して行われ、25チームが参加した男子1部は桐蔭学園高(神奈川)が優勝を飾った。

桐蔭学園は決勝で同県内のライバル・東海大相模高を4-1の大差で破る圧勝。全試合一本勝ちを果たした1年生副将の村尾三四郎は最優秀選手賞を獲得した。

男子2部は東海大相模高が決勝で足立学園高(東京)を破って優勝を決めた。

戦評と入賞者、桐蔭学園高・高松正裕監督のコメントと準々決勝以降の対戦詳細、および第2部入賞者と決勝の対戦詳細は下記。

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準決勝、東海大相模高の大将笹谷健が足立学園高・川田武史から内股「一本」

【戦評】

決勝で相まみえることとなったのは東海大相模高と桐蔭学園高の神奈川県勢2校。ともに決勝進出が濃厚と目されていた強豪同士の対戦となった。

とはいえ両者の勝ち上がりは決して盤石ではなく、東海大相模は初戦(2回戦)の前橋商高(群馬)戦で次鋒宮原峻汰が岡村京介に背負投「有効」で敗れ、続く中堅石川智啓も試合が始まるなりの内股「一本」で小室豪太に屈して連続失点。副将平下麟太郎と大将笹谷健の一本勝ちにより3-2でこの試合を収拾するも非常に落ち着かない出だし。以後は準々決勝で安田学園高(東京)に後衛3枚が連続一本勝ちを果して3-0で勝利、準決勝は先鋒大村康太と大将笹谷の一本勝ちにより足立学園高を2-0で下して決勝進出決定。この試合で相手方のエース山本瑛介としっかり引き分けた副将平下、そして大将笹谷と並べた後衛2枚の戦闘力を前面に押し出しての勝ち上がり。

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準決勝、村尾三四郎が埼玉栄高・大山翔から大外刈「一本」

一方の桐蔭学園は村尾三四郎、千野根有我、賀持喜道という1年生のスター候補3人に、今夏のインターハイ100kg級3位の関根聖隆と昨年から団体戦に度々出場していた試合巧者佐藤虎太郎の2年生2人を加えた非常に面白いチーム。

こちらは2回戦で前橋育英高(群馬)を4-0で下す順調な滑り出し。しかし以降は準々決勝で東海大浦安高(千葉)、準決勝で埼玉栄高(埼玉)としぶとい強豪チームとの対戦となったこともありそれぞれ勝利はしたものの2-0、1-0とスコアは伸び切らず。ここまで全試合無失点で安定感を示したものの、副将村尾が全試合一本勝ちを果たす一方で警戒された大将関根が3戦全てで引き分けられてしまうなど、危ない場面こそなかったが圧倒的な爆発力を示すにも至らずといった印象。

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決勝、桐蔭学園高の先鋒賀持喜道が東海大相模高・大村康太から内股「有効」

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桐蔭学園高は次鋒千野根有我が東海大相模高・宮原峻汰の内股を返して一本勝ち、早くもリードを2点に広げる

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東海大相模は中堅石川智啓の払腰「一本」で1点を返す

迎えた決勝、先鋒戦は東海大相模・大村康太と桐蔭学園・賀持喜道ともに左組みの相四つ。賀持は引き手でまず襟を持つ着実な組み手を丹念に続け、しのぎに掛かる大村を大内刈、内股、出足払で追い詰める。57秒大村に「指導1」宣告、大村は機を見て内股を放ち以降の「指導」失陥を回避し続けるが、残り1分になるとこれまでの賀持の圧が効き始め一気に試合の様相が変わる。3分17秒賀持両手を得るなり左内股、大村を高く跳ね上げて決定的な「有効」奪取。続く展開では鋭い支釣込足で大村を背中から叩きつけ、主審のノーポイント判断にも慌てずそのまま上四方固に抑え込んで一本勝ち。桐蔭学園がまず先制を果たす。

巨漢対決となった次鋒戦は桐蔭学園・千野根有我の圧が良く掛かり、40秒宮原峻汰に場外の「指導」。またも場外際に追い詰められた宮原は打開を狙って左内股を放つが前進傾向にあった千野根はこれを見逃さず押し込み、股中で回転させる形で返して「一本」。あっという間にスコアは2-0となる。

中堅戦は東海大相模・石川智啓が体格差を生かして佐藤虎太郎を圧倒。圧を掛けて潰しては両手を離さず体ごと裏に抜けて大外刈で刈り込むなど密度高くプレッシャーをかけ続け、1分50秒には釣り手を持つなり思い切った左払腰。佐藤は耐えた体ごと吹っ飛ばされこれは文句なしの「一本」、東海大相模が1点を返してスコアは2-1となる。

ここからの2戦はポイントゲッター対決。
副将戦は東海大相模・平下麟太郎と桐蔭学園高・村尾三四郎ともに左組みの相四つ、互いに二本持ち合ったエース対決らしい攻防が続く。前半は体の厚みに勝る平下がパワーで優位の感あり、村尾は両襟を交えて強気に応じ続けるものの横変形に位置を変えて圧をずらしつつ、どこかで訪れるはずのチャンスを探しているという印象。ところが残り1分半あたりから平下がガックリ疲労、直後両者に「指導1」が与えられてからは時間が経つほどに村尾が優位となり、終盤はほとんど一方的に攻め続けることとなる。大外刈に出足払、横三角と攻め続けた3分48秒、握った両袖を合わせるように左大外刈に踏み込めば上体を斜めに固められた平下両足を天井に向けて真っ逆さまに畳に落下、もちろん文句なしの「一本」。この時点で3点を得た桐蔭学園の勝利が確定。

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大将戦、既に勝利を決めた桐蔭学園高は関根聖隆が笹谷健から背負投「技有」を奪ってダメ押し

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優勝直後の桐蔭学園チーム。高揚感は薄く、しっかり仕事を果たしたという印象だった。

迎えた大将戦は35秒に関根聖隆が笹谷健から左背負投で「技有」獲得。前戦の豪快な「一本」決着の熱気まだ冷めやらぬ中で決めてみせたこの一発でもはや勝敗は決した感あり。1分を過ぎたあたりから立ち直った笹谷はみずから回り込みながらの左払腰に左内股と取り味のある技を並べるが、試合巧者の関根をなかなか崩し切ることが出来ない。関根は最終盤にスタミナ切れを起こしたものの大事には至らず、この試合は「技有」優勢で関根が勝利。決勝は最終スコア4-1という大差で桐蔭学園が勝利することとなった。同校の朱雀杯制覇は第13回大会以来8年ぶり、3度目。

人材揃った好チームと評判高い中での初陣V、それも積年のライバル東海大相模から4点奪っての圧勝という好材料つきの優勝であるが、高松正裕監督のコメントは比較的淡々。「うちとしては何十年に一度のチーム」との自軍評もどちらかというと絶対に勝たねばならない使命感の表出といった印象で、保有戦力の高さに奮い立つというようなステージはとうにくぐり抜けている印象。選手たちも全戦通じて高揚感よりは「しっかり仕事をする」という使命感のほうが強く感じられ、淡々と戦い続けて、結果きちんと優勝を果たしたという印象であった。

賀持、村尾、千野根の1年生3人は7月の金鷲旗大会に比べれば逞しさは増したもののまだまだ体力不足で、中学時代のように最初から最後まで全てを塗りつぶすような圧倒的な試合は出来ていない。しかし村尾と賀持の1年生離れしたメンタルタフネスと良い意味でのプライドの高さは大いに買える。当初「やれる」と前に出て来た相手が組めば組むほど疲労していく様は圧巻、試合開始の様相と全く変わって最後は圧勝となった決勝の2試合にはこのあたりが端的であった。また村尾の身体の強さと一撃の威力はやはり素晴らしく、1年生にして今代の主役と周囲に思わしめるものがあった。まだ絶対的な力はないが、桐蔭学園は少なくとも今期最も面白いチーム、現時点での優勝候補の第1グループにあるチームと考えて良いだろう。現在主役を張りつつある3人がまだ1年生で、十分な伸びしろが見込めるところも非常な魅力だ。

東海大相模は平下、笹谷のポイントゲッター2枚が塗りつぶされてしまうという完敗。この日2部に出場した山科良悟など入れ替え候補は存在するものの、1人2人の成長だけではこの差はなかなか埋めがたい。毎年必ず揉める神奈川県予選で桐蔭学園を倒すことを最大の指標にしてくると思われるが、どこまで全体的な底上げが図れるか、新任の水落健太監督の手腕に大いに注目したい。

全体としては新チーム結成間もない秋口とあって参加各チームまだ「やすり」の掛かっていない良くも悪くも粗い試合の多い大会であったが、その中にあって足立学園高の全体的な練度の高さは印象的であった。大駒の顔が見えにくいチームではあるが非常に良く鍛えられており、少なくとも今季高校選手権に「4」枠が与えられている東京都からの全国大会進出は有望と見る。

過去2代にわたって国士舘高が大本命として君臨した高校柔道界であるが、今季は全国的な混戦。その中にあって前評判の高い桐蔭学園高が、ひとつ大きな存在感を示した大会であった。

■ 男子1部
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男子1部優勝の桐蔭学園高

(エントリー25チーム)

【入賞者】

優 勝:桐蔭学園高(神奈川)
準優勝:東海大相模高(神奈川)
第三位:足立学園高(東京)、埼玉栄高(埼玉)

最優秀選手:村尾三四郎(桐蔭学園高)
優秀選手:笹谷健(東海大相模高)

桐蔭学園高・高松正裕監督のコメント
「どちらかというと弱点を見せた大会。強いチームは必ず弱いポジションを狙ってくるので、チームの弱点をなくしつつ、取り味のある3人の中から少なくとも2点確実に取れるようにしていきたいですね。村尾と賀持は夏には体力的にもまだ『中学生』を引きずっているところがありましたが、今日は1つ成長したところを見せられたと思います。(-ポイントゲッターたちの「伸びしろ」はどのあたりですか?)村尾は2020年の東京五輪を本気で目指すと言っているくらいで、とにかく意識が高いですね。心配していません。関根はインターハイ王者を目指していますが、夏に3位になったので気が緩んでいるところがあった。今日は準決勝まで全部引き分けでしたので、いい刺激になったんじゃないでしょうか。(-昨年全中超級王者の千野根選手はどんな性格ですか?)大食いです(笑)。それで体調を崩したりして、生活を見直し始めたのでそのあたりがまずひとつ成長かなと。典型的な関西人、ノンビリしていて良く喋るのでチームの雰囲気が明るくなりました。どう育てるか二人三脚で私も頑張っていきたいです。(-この先の育成についてはどう考えていますか?)桐蔭としては数十年に1度くらいの良いメンバーですが、勝負どころは必ず接戦に縺れるのが高校柔道ですので、戦術面もこの段階からしっかり意識させて、たとえ僅差であっても勝ち抜くような稽古を考えています。オリンピックの傾向を見て寝技もかなり強化しているのですが、まだまだ。ただ今日は寝技自体で取れずとも、攻めたその直後に技が掛かることも多く一定の成果があったなと。今季の目標ですか?もちろん、全国優勝です」

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準々決勝、東海大相模高の大将笹谷健が安田学園高・今田光星から大外返「一本」

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準々決勝、桐蔭学園高・賀持喜道と東海大浦安高・山中堅盛による先鋒戦

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準々決勝、埼玉栄高の先鋒西願寺哲平が白鴎大足利の長身選手浅沼亮太を後袈裟固「一本」に仕留める

【準々決勝】

東海大相模高(神奈川) 3-0 安田学園高(東京)
(先)大村康太×引分×近藤駿介
(次)宮原峻汰×引分×金野晃大
(中)石川智啓〇内股△杉山寛恭
(副)平下麟太郎〇送襟絞△奥谷優佑
(大)笹谷健〇大外返△今田光星

足立学園高(東京) 1-0 横浜高(神奈川)
(先)武岡毅×引分×原田竜希
(次)白石隼人×引分×村岡勇太
(中)相山隼汰×引分×岡田和孝
(副)山本瑛介〇大内刈△立川佑
(大)川田武史×引分×大河内祐飛

桐蔭学園高(神奈川) 2-0 東海大浦安高(千葉)
(先)賀持喜道×引分×山中堅盛
(次)千野根有我〇優勢[僅差]△城所隆也
(中)佐藤虎太郎×引分×高橋倫太郎
(副)村尾三四郎〇内股△鈴木駿
(大)関根聖隆×引分×畠山竜弥

埼玉栄高(埼玉) 3-1 白鴎大足利高(栃木)
(先)西願寺哲平〇後袈裟固△浅沼亮太
(次)梅野雅崇〇合技△岩瀬裕希
(中)豊永貫太×引分×長谷川明伸
(副)蓜島創△優勢[有効・支釣込足]〇小林慶太
(大)岩田歩夢〇払腰△村山雄士郎


【準決勝】

東海大相模高 2-0 足立学園高
(先)大村康太〇払腰△武岡毅
(次)宮原峻汰×引分×白石隼人
(中)石川智啓×引分×相山隼汰
(副)平下麟太郎×引分×山本瑛介
(大)笹谷健〇内股△川田武史

桐蔭学園高 1-0 埼玉栄高
(先)賀持喜道×引分×西願寺哲平
(次)千野根有我×引分×梅野雅崇
(中)佐藤虎太郎×引分×豊永貫太
(副)村尾三四郎〇大外刈△大山翔
(大)関根聖隆×引分×岩田歩夢

【決勝】

桐蔭学園高 4-1 東海大相模高
(先)賀持喜道〇上四方固(3:52)△大村康太
(次)千野根有我〇内股透(0:55)△宮原峻汰
(中)佐藤虎太郎△払腰(1:10)〇石川智啓
(副)村尾三四郎〇大外刈(3:48)△平下麟太郎
(大)関根聖隆〇優勢[技有・背負投]△笹谷健

■ 男子2部
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男子2部優勝の東海大相模高

(エントリー28チーム)

【入賞者】
優 勝:東海大相模高(神奈川)
準優勝:足立学園高(東京)
第三位:桐蔭学園高(神奈川)、白鴎大足利高(栃木)

【決勝】

東海大相模高 3-1 足立学園高
(先)吉田宗晃〇優勢[技有・背負投]△松村士
(次)鳴海勝成〇背負投△吉井拓実
(中)山科良悟△優勢[有効・背負投]〇上領教史朗
(副)成澤登夢×引分×奥平竜雄
(大)榎田大人〇優勢[僅差]△樋口誠二朗




取材・文:古田英毅

※ eJudoメルマガ版10月23日掲載記事より転載・編集しています。

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