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平成28年度全日本ジュニア柔道体重別選手権・女子マッチレポート②(63kg級、70kg級、78kg級、78kg超級)

(2016年9月30日)

※ eJudoメルマガ版9月30日掲載記事より転載・編集しています。
平成28年度全日本ジュニア柔道体重別選手権・女子マッチレポート②(63kg級、70kg級、78kg級、78kg超級)
■ 63kg級・結果にこだわり荒木穂乃佳が初優勝、粘戦で世代の注目選手次々下す
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準決勝、荒木穂乃佳は先手の担ぎ技で鍋倉那美を攻める

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延長戦、鍋倉の小外刈に「有効」が宣されるが取り消しとなる

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負けを悟った鍋倉は勝者宣告を前にガックリ

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2回戦、米澤夏帆が小畑樺奈から一本背負投「技有」

【決勝まで】

昨年度世界ジュニア王者で優勝候補筆頭と目された鍋倉那美(三井住友海上)が準決勝で敗れる波乱。

首級を挙げたのは夙川学院高から今春兵庫県警察に進んだ荒木穂乃佳。この試合荒木は手先を絡ませ、あるいは背を抱き、徹底した先手攻撃で鍋倉とのやりとりを拒否。一貫して取り味のある技を仕掛けるのは鍋倉で、2分7秒荒木に「指導1」、しかし2分35秒双方に「取り組まない」との判断で「指導」が宣告されて差は開かず。以降片手の形を厭わず仕掛け、気を見て密着を試みと、極端に距離を出し入れながら先手掛け潰れと一発狙いを繰り返す荒木の前に終盤鍋倉やや慎重になり残り27秒で鍋倉に「取り組まない」咎の「指導2」宣告、スコアはタイとなる。

以後ポイントの積み上げはなく、試合はGS延長戦に突入。

延長32秒に鍋倉が小外刈を絡ませると荒木激しく崩れて主審は「有効」を宣告。しかし両手が離れたこと、荒木が腹ばいに落ちたことを確認したか鍋倉は開始線で立ったまま表情を変えず。果してこのポイントは取り消され、試合は継続。

鍋倉は片襟を差して相手の裏側に抜ける右大外刈の一発を再三狙うが、拘束の甘さと荒木の体の強さが相まってなかなか決まらない。GS1分41秒双方に「指導3」。荒木の形を定めぬ、かつ返される前に畳に体を捨てて展開を切ってしまう一方通行の先手攻撃は時間を追うごとに加速、一方鍋倉は一発決着を狙うゆえか技が止まり、GS3分24秒ついに鍋倉に4つ目の「指導4」が宣告されて試合は終了となった。

決勝に進んだのは荒木と、第2シード扱いの米澤夏帆(龍谷大2年)。荒木は初戦で宮宇地朱菜(帝京科学大1年)を背負投「一本」(0:57)で下すと、ここからはまさしく強敵続き。2回戦で佐藤史織(山梨学院大2年)を相手に「指導」2つを失いながらも背負投「技有」のアドバンテージで勝利を収めると、準々決勝は対戦相手の三浦裕香理(創志学園高3年)が相手の肘関節を極めながら体を捨てる反則を犯しダイレクト反則負け(2:44)。準決勝は前述の通り鍋倉をGS延長戦の末「指導3」対「指導4」の反則累積差で破って決勝進出決定。

一方の米澤は優勝候補の一角。2回戦は小畑樺奈(徳山大2年)を一本背負投「技有」、準々決勝は下沢由季(仙台大3年)を「指導3」優勢で下して勝利。準決勝は飯野鈴々(鹿屋体育大2年)を「指導1」の優勢で振り切って、無事決勝へと駒を進めることとなった。

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決勝、荒木は相手の左腕を抱える形で崩し技の右内股巻込を連発

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米澤が縦四方固、しかし荒木は6秒で逃れて窮地を脱する

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延長戦、荒木は両手を離す形で右内股

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荒木が背負投、米澤は回り込んで引込返に吸収するが評価は変わらず。直後米澤に「指導」
が宣告され試合終了

【決勝】

荒木穂乃佳(兵庫県警)○GS指導2(GS2:08)△米澤夏帆(龍谷大2年)

決勝は荒木、米澤ともに右組みの相四つ。手先の組み手争いを経て荒木が片手の右内股に潰れ、米澤はすかさず「国士舘返し」。腕を掬って横に返すと荒木は足を絡んで耐えるが、米澤はこれを引き抜き、相手の体をまたいで縦四方固に入り込む。主審は「抑え込み」を宣告、しかしここは荒木が必死で逃れ6秒で「解けた」。米澤は大きなチャンスを逸する。

以後はともに形を作れない動的膠着。荒木は相手の左を両手で抱えての右内股巻込に潰れ、応じた米澤は引込返を試みるが「待て」。荒木は自軍陣営の「片手で打て!」との指示そのまま、投げるというよりは展開を確保するために技を掛け続け、米澤は得意の担ぎ技を放つ形がそもそも全く作れない苦境。

組み合っての駆け引きがほとんどないままに2分36秒、両者に「取り組まない」咎による「指導1」。しかし直後荒木は不十分な形のまま内股巻込に潰れてその戦術はブレず。荒木陣営からは「片手でええから」「叩きながら掛けろ」と刹那的なアドバイスが立て続けに飛ぶ。

米澤は引き手で襟を掴んでおいての左背負投、さらに左袖釣込腰と仕掛けるがいずれも潰れてしまいノーポイント。荒木が組み付きながら右に巻き込みを見せたところで本戦4分が終了、試合はGS延長戦となる。

延長戦序盤、荒木陣営からは「丁寧な柔道したら負けるぞ!」と強烈な叱咤が飛ぶ。荒木は片襟の右体落、さらに釣り手で背中を抱えての右体落と連続攻撃。しかし米澤が片襟を掴んで対抗、荒木は掛け潰れてしまい展開はタイに戻る。

GS1分17秒、荒木は立ったまま相手に背中を向けて前技、自ら前にダイブする形で崩れる。これは偽装攻撃の判断ありうるところだったが審判団はひとまずスルー。荒木はここから内股巻込に潰れ、背負投で裏に抜けて潰れと先手攻撃を積み続け、さらに組み際の大内刈から背負投を仕掛けたGS2分8秒に主審が試合を止める。この間米澤は完全に沈黙しており、ここは荒木の攻勢を採らざるを得ないところ。米澤に「指導2」が宣告されて試合は終了、荒木の初優勝が決まった。

組み合って投げを競うあう形がほとんどなかった超戦術的試合。あくまで結果にこだわって強敵を連破、初の全国優勝を果たした荒木の執念と体力は評価に値する。ただしカデ以下の若年カテゴリであれば「将来伸びない」と判を押されること間違いなしの手数特化ゲームで、世界と伍する人材の供給源であるべき全日本ジュニアタイトルに手が届いてしまったという結果には危機感を感じざるを得ない。

結果にこだわった選手の一方的な手数攻撃をこれぞと目される強者たちが突破出来なかったという構図は、投げを武器とするスター候補たちを前進力と組み手で封殺した形でトーナメントが終わってしまった52kg級の状況と相似。さらに偏狭になりつつあるカデ以下の世代の女子柔道競技文化に警鐘を鳴らすためにも、今後人材供給的に苦戦が予想されるシニアカテゴリが「強い日本」の姿を保つためにも、強豪選手たちのいま一段の奮起に期待したい。

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63kg級優勝の荒木穂乃佳

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63kg級入賞者。左から米澤、荒木、飯野、鍋倉。

【入賞者】
優 勝:荒木穂乃佳(兵庫県警)
準優勝:米澤夏帆(龍谷大2年)
第三位:飯野鈴々(鹿屋体育大2年)、鍋倉那美(三井住友海上)

荒木穂乃佳選手のコメント
「自分は県予選も近畿予選も3位。組み合わせを見て、これは大変な戦いになるなと思った。特に準決勝で当たる鍋倉選手には幼稚園の頃から1度も勝ったことがない。気持ちで負けないように、楽しんで試合をしました。攻めの柔道が自分の持ち味、これからも頑張っていきたい。まず強化に入りたいです」

【準々決勝】

鍋倉那美(三井住友海上)○優勢[指導2]△武居沙知(国際武道大3年)
荒木穂乃佳(兵庫県警)○反則(2:44)△三浦裕香理(創志学園高3年)
 ※「腕挫腋固のような技を掛けながら畳の上に直接倒れ込む」行為によるダイレクト反則負け
米澤夏帆(龍谷大2年)○優勢[指導3]△下沢由季(仙台大3年)
飯野鈴々(鹿屋体育大2年)○優勢[指導3]△渡邉聖子(横須賀学院高2年)

【敗者復活戦】

武居沙知○不戦△三浦裕香理
渡邉聖子○GS指導4(GS1:48)△下沢由季

【準決勝】

荒木穂乃佳○GS指導4(GS3:24)△鍋倉那美
米澤夏帆○優勢[指導1]△飯野鈴々

【3位決定戦】

飯野鈴々○優勢[技有・大外刈]△武居沙知
鍋倉那美○合技[内股・裏投](1:24)△渡邉聖子

【決勝】

荒木穂乃佳○GS指導2(GS2:08)△米澤夏帆

■ 70kg級・新添左季初優勝、人材揃った階級を圧勝で勝ち抜く
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70kg級2回戦。柿澤史歩が中江美裕から袖釣込腰「一本」

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準々決勝、青柳麗美が和田梨乃子から大外刈「一本」

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2回戦、新添左季が佐藤星麗七から内股「一本」

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激戦の準決勝、延長戦で池絵梨菜が柿澤史歩から小外掛「技有」

(エントリー20名)

【決勝まで】

ベスト4に進出したのは池絵梨菜(国士舘大2年)、柿澤史歩(三井住友海上)、青柳麗美(環太平洋大1年)、新添左季(山梨学院大2年)の4人。

昨年度大会準優勝者、世界ジュニア選手権で代表を務めた池は第1シード待遇。2回戦で前原悠花(武庫川女子大2年)を背負投と上四方固の合技「一本」(2:00)、準々決勝では畠石香花(山梨学院大1年)から開始早々背負投で「有効」を奪い、最終的には縦四方固「一本」(3:09)に仕留めて貫禄の勝ち上がり。

東京ジュニアを制している柿澤はこの日の前半戦では主役級の活躍。1回戦は畑中優希(近畿大2年)を「指導1」優勢と決して順調な出だしではなかったが、2回戦で中江美裕(筑波大1年)を袖釣込腰「一本」(2:14)で下すと、準々決勝では高校選手権の覇者・新森涼(敬愛高3年)から背負投と小内刈で2つの「有効」を奪って完勝。入賞候補者2人を完璧に下してベスト4へと駒を進めることとなった。

青柳も持ち前の力強い柔道を存分に披露、ここまでは完璧な内容。2回戦は小山内茉緒(新田高2年)を送襟絞(0:18)、準々決勝は和田梨乃子(大成高2年)を大外刈「一本」(1:26)で下して余裕のベスト4入り。

新添は2回戦で佐藤星麗七(鶴田中3年)を内股「一本」(2:25)で下し順調な出だし。準々決勝はインターハイ王者の田中志歩(聖光高3年)を仕留め切れず「指導1」の優勢だったが、戦い自体は危なげなし。

充実の勝ち上がりを見せたこの4人の中から決勝に進んだのは、池と新添。

池と柿澤による準決勝第1試合はどちらも取り味のある技を放ち、かつ互いが落ち際ギリギリで回避してノーポイントに収めることが続く極めてエキサイティングな試合。どちらが勝ってもおかしくない激戦だったが、GS延長戦28秒に池の小外掛が決まって「技有」。池が2年連続の決勝進出を決めることとなった。

一方前戦で僅少差の勝負を演じたばかりの新添だが、本領発揮はこの準決勝第2試合から。強者青柳をなんと僅か38秒、凄まじい内股「一本」に仕留め、会場どよめく中堂々勝ち名乗りを受ける。

決勝に先立って行われた3位決定戦では青柳が新森に、田中が柿澤に勝利してそれぞれ表彰台を確保。青柳は新森を僅か8秒の大外刈「一本」で叩きつけ、あまりの強打に脳震盪を起こした新森は担架で退場。田中は柿澤をGS延長戦1分55秒内股「有効」で退け、新添相手に大接戦を演じた実力を結果を以て証明した。

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70kg級決勝、新添が大内刈「技有」を先制。一時は「一本」が宣告された強烈な一撃。

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追撃態勢の池は新添の払巻込を冷静に返して「有効」を獲得

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残り時間僅か、池の左大外刈を新添が大外返に捉え豪快な「一本」

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【決勝】

新添左季(山梨学院大2年)○大外返(3:58)△池絵梨菜(国士舘大2年)

決勝は池、新添ともに左組みの相四つ。大内刈から払腰と繋いだ新添の先制攻撃を経た35秒に激しく試合が動く。池の左大外刈を受けた新添が返す刀で鋭く左大内刈、池は背中から真っ逆さまに畳に落ちる。主審は「一本」を宣告、次いでこれを「技有」に訂正。試合序盤にして新添に大きなアドバンテージ。

直後新添ガブリと音がするような勢いで相手に組み付き、この圧をまともに受けた池は頭が下がって守勢。55秒、池に「極端な防御姿勢」の咎で「指導1」。

以後は池が粘りの柔道。新添が奥襟を掴み、池が釣り手を落として両袖で凌ぎ、あるいは互いに横変形で拮抗する形を経ながらの動的膠着。残り1分、新添の組み手を池が落とすとこれが袖口を絞ったと判断され、池に2つ目の「指導」。

奮起した池が釣り手で背中を叩くと、新添は畳に手をついて耐えてしまい3分19秒新添に「指導1」。新添は左の巻き込みで池の突進を一旦いなそうと試みるが、追撃態勢に入って集中力の上がっている池は冷静にこれを返して隅落「有効」獲得。

この時点で残り時間は30秒。逆転のためには投げるしかない池は突進を続け、残り2秒で思い切った左大外刈を放つが待ち構えた新添は真っ向これを迎え撃って大外返。これは豪快に決まって文句なしの「一本」。

新添は青柳と池という世代きっての大物2人をいずれも豪快な「一本」で下す素晴らしい内容で初優勝達成。決勝はあくまで投げにこだわって勝利を収めた新添、優勢負けを受け入れず、投げずば逆転叶わずと肚を括って一か八かの大技で勝負に出た池、ともに肉体的にも精神的にも「女子」の枠を超えたポテンシャルを見せつけた一番。意地と意地のぶつかりあった好試合であった。

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70kg級優勝の新添左季

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70kg級入賞者。左から池、新添、青柳、田中。

【入賞者】
優 勝:新添左季(山梨学院大2年)
準優勝:池絵梨菜(国士舘大2年)
第三位:青柳麗美(環太平洋大1年)、田中志歩(聖光高3年)

新添左季選手のコメント
「弱い選手は1人もいない大会、一戦一戦一生懸命戦いました。初戦から決勝まで、いつも通り練習してきたことを出せたと思います。去年初めて全国大会の決勝に出て、負けて、課題は気持ちだと思っていたので、決勝は挑戦者だという気持ちしかありませんでした。日本一は初めてなのでとてもうれしいです。講道館杯でも上位を目指します。」

【準々決勝】

池絵梨菜(国士舘大2年)○縦四方固(3:09)△畠石香花(山梨学院大1年)
柿澤史歩(三井住友海上)○優勢[有効・背負投]△新森涼(敬愛高3年)
青柳麗美(環太平洋大1年)○大外刈(1:26)△和田梨乃子(大成高2年)
新添左季(山梨学院大2年)○優勢[指導1]△田中志歩(聖光高3年)

【敗者復活戦】

新森涼○優勢[有効・大内刈]△畠石香花
田中志歩○優勢[技有・大内刈]△和田梨乃子

【準決勝】

新添左季○内股(0:38)△青柳麗美
池絵梨菜○GS技有・小外掛(GS0:28)△柿澤史歩

【3位決定戦】

青柳麗美○大外刈(0:08)△新森涼
田中志歩○GS有効・内股(GS1:55)△柿澤史歩

【決勝】

新添左季○大外返(3:58)△池絵梨菜

■ 78kg級・梅津志悠が本領発揮、『一本』連発で頂点極める
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78kg級準決勝、山内真子が泉真生を崩袈裟固で抑え込み「一本」

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2回戦、梅津志悠が福嶋佳愛から内股「一本」

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準々決勝、梅津は最終盤の大外刈「一本」で山中満紀から逆転勝利

(エントリー21名)

【決勝まで】

昨年度インターハイの覇者にして本大会2年連続3位入賞中、上位候補の一であった鈴木伊織(環太平洋大1年)が初戦敗退という波乱の出だし。上林山未来(新田高1年)に仕掛けた技が「腕挫腋固のような技を掛けようとしながら畳の上に直接倒れる」禁止条項に触れたと判断され、開始僅か僅か14秒でダイレクト反則負けとなった。

決勝に進んだのは山内真子(東京学芸大1年)と梅津志悠(三井住友海上)、同学年の強者2人。

山内は2回戦で横山愛海(富士学苑高3年)を大内刈「技有」で下し、準々決勝は新垣さつき(国士舘大2年)を大内返「技有」による優勢で畳から退ける。1学年上のインターハイ王者で昨年の講道館杯3位の強者・泉真生(山梨学院大2年)を畳に迎えた準決勝は最終盤に小外掛「有効」を得、そのまま崩袈裟固に抑え込んで一本勝ち(4:10)。中学時から大物と期待されながら高校カテゴリ後半は失速した印象であったが大学に進学するなり見事復活、全日本ジュニア決勝という大舞台まで辿り着くこととなった。

一方今春高校を卒業するなり皇后盃ベスト4という素晴らしい成績を収めた梅津は優勝候補の筆頭格。2回戦は福嶋佳愛(山形中央高3年)を内股「一本」(0:53)、準々決勝は山中満紀(山梨学院大3年)に大外刈「有効」をリードされる苦しい展開だったが、残り1秒で大外刈「一本」をマークして逆転勝利。鈴木伊織が消えた山から勝ちあがって来た東加珠(東大阪大敬愛高3年)との準決勝は2つの「指導」を得て危なげなく終え、無事決勝まで勝ち上がることとなった。

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決勝、梅津の大外刈を山内が食いついて返しに掛かる

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抑え込み完成直前で山内が逃れるが、梅津は腕挫十字固に移行

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梅津の膝車が豪快に決まり「一本」

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【決勝】

梅津志悠(三井住友海上)○膝車(2:32)△山内真子(東京学芸大1年)

決勝は山内、梅津ともに右組みの相四つ。

山内は高校1年の出世時を思わせる強気の柔道、梅津相手にも怖じることなくいきなり釣り手で相手の奥襟を叩く。梅津思わず巻き込み潰れて回避し「待て」。

梅津ここで退いてはならじとすかさず釣り手で奥襟をガッチリ得ての大外刈で逆襲。取り味抜群の技であったが、山内も必死に耐えてここはノーポイント。

以後数合の攻め合いを経て、1分過ぎから梅津がやや攻勢。引き手で前襟、釣り手で奥襟を叩くと大内刈、さらに相手の右足を支釣込足の形で蹴り飛ばし、崩れた山内の上体に被さって抑え込みを狙う。これは山内が足を絡んで耐え、引き抜き際に攻防が縺れたところから梅津が腕挫十字固を試み、ここで「待て」。直後の1分54秒山内に「指導」が宣告される。

奮起した山内は半身の内股、梅津を潰すとすかさずその片腕をロックして寝勝負を狙うが取りきれず「待て」。経過時間は2分15秒。

続く展開、梅津は引き手で襟を得るなり身を引きながら膝車。掴んだまま距離を取ることで相手を引きずり出すクラシカルな一撃に山内大きく崩れ、支えられた膝を軸に一回転。背中から激しく畳に落ちてこれは文句なしの「一本」。

2分32秒、梅津の一本勝ちで試合は終了。梅津は4戦して3つの一本勝ちという素晴らしい成績で頂点に登攀、見事全日本ジュニア初優勝を成し遂げた。

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78kg級優勝の梅津志悠

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78kg級入賞者。左から山内、梅津、秋場、泉。

【入賞者】
優 勝:梅津志悠(三井住友海上)
準優勝:山内真子(東京学芸大1年)
第三位:泉真生(山梨学院大2年)、秋場麻優(環太平洋大1年)

梅津志悠選手のコメント
「今日は一日通して良い柔道が出来たと思います。技の勢いがあるのが持ち味だと思っていて、それが出せたかなと。ただ、まだまだ足りない。得意の大外刈と大内刈にもっと磨きを掛けたいです。皇后盃(3位)が自信になって、自分の柔道にプラスに働いたなと思います。三井住友海上ですごく良い稽古が出来ています。新井(千鶴)先輩の柔道が好きで、ああいう柔道が出来るようになりたい。講道館杯でも、少しでも新井先輩の柔道に近づけるように頑張りたいです」

【準々決勝】

泉真生(山梨学院大2年)○合技[小外刈・袈裟固](0:44)△太郎丸夏帆(敬愛高3年)
山内真子(東京学芸大1年)○優勢[技有・大内返]△秋場麻優
東加珠(東大阪大敬愛高3年)○優勢[指導2]△上林山未来(新田高2年)
梅津志悠(三井住友海上)○大外刈(3:59)△山中満紀(山梨学院大3年)

【敗者復活戦】

秋場麻優○横四方固(2:09)△太郎丸夏帆
上林山未来○反則(4:00)△山中満紀
 ※「腕挫腋固のような技を掛けながら畳の上に直接倒れ込む」行為によるダイレクト反則負け

【準決勝】

梅津志悠○優勢[指導2]△東加珠
山内真子○崩袈裟固(4:10)△泉真生

【3位決定戦】

秋場麻優○優勢[有効・隅落]△東加珠
泉真生○上四方固(2:23)△

【決勝】

梅津志悠○膝車(2:32)△山内真子

■ 78kg超級・宿敵児玉ひかるに大舞台で初勝利、素根輝ついにジュニアカテゴリも制覇
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2回戦、素根輝が小椋香澄から出足払「技有」

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78kg超級2回戦、児玉ひかるが外山紗奈から内股「一本」

(エントリー19名)

【決勝まで】

大学2年、あるいは3年までが対象となる本大会だが、戦前二強と目されたのは高校生2人。素根輝(南筑高1年)と児玉ひかる(敬愛高3年)のスター候補が過たず決勝まで勝ち上がった。

昨年まで全国中学大会2連覇、世界カデ王者でもある素根は2回戦で小椋香澄(旭川大高3年)から出足払と横四方固の合技「一本」(0:51)、準々決勝は三木暁代(武庫川女子大1年)に払腰と体落の合技「一本」(1:05)といずれも早い時間で勝負を決めて圧勝。準決勝は第1シード扱いの井上舞子(淑徳大2年)を「指導2」対「指導1」の優勢で下して決勝進出決定。

今季高校選手権無差別とインターハイ個人戦78kg超級を制し高校カテゴリで無敵を誇る児玉は2回戦で外山紗奈(東海大静岡翔洋高3年)からいずれも内股で「技有」「有効」「一本」と立て続けに奪って快勝(1:07)。準々決勝は坂口今日香(帝京大1年)を大内刈「一本」(0:20)で秒殺、準決勝も井上あかり(環太平洋大2年)を内股「一本」(1:31)に仕留め、全試合一本勝ちの圧倒的な内容で決勝まで勝ち上がった。

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素根と児玉による78kg超級決勝

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素根が右袖釣込腰、直後児玉に2つ目の「指導」が宣告される

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児玉必死に追いかけるが素根はなんとか捌き、最後までリードを守る

【決勝】

素根輝(南筑高1年)○優勢[指導1]△児玉ひかる(敬愛高3年)

決勝は素根、児玉ともに左組みの相四つ。
序盤は組み手争い。児玉が引き手で襟を掴んで奥襟を狙い、いったんリセットした素根は横変形にずれて引き手で前襟を掴んで押し込み、嫌った児玉が身を反転させてこれを切り離す。以降も組み手の探り合いが続き、1分13秒双方に「指導」。

直後、素根は掴みかかりながら左小内巻込。これは浅かったが児玉がたたらを踏むところまで崩れ、感触を得た素根は同じ形から再度小内巻込。一撃目よりも深く体を入れたが今度は児玉察知してすかさず潰す。

しかしこの2発で勢いを得た素根は、続く展開で引き手を得るとタイミング良く右へ袖釣込腰。児玉が崩れて伏せ、ここで主審は素根の攻勢を評価して児玉に「指導2」を宣告する。経過時間は1分54秒、残り時間は2分6秒。

奮起した児玉は直後引き手で襟を掴むと強烈な右内股。素根は体重を逃がしてかわし、双方が潰れる。以後児玉は素根の粘り強い組み手の前になかなか山場が作れず、2分半過ぎから見せた小内刈と二段の小外刈、さらに大内刈と繋いだ連続攻撃が凌がれると一気にペースダウン。両襟を持って足技で牽制するのみで時間を消費してしまい、残り48秒にはたまりかねたベンチから「(このままでは)終わるよ?」と叱咤が飛ぶ。

素根は機を見て左払巻込で反抗。残り20秒に差し掛かるあたりで児玉が大内刈を突っ込んでおいての左内股を見せるが、素根は相手を突き離して凌ぎ切る。

このまま時間が過ぎ去り、ポイントの積み上げなくタイムアップ。素根が「指導1」対「指導2」の優勢で勝利し、高校1年生にして全日本ジュニア制覇という偉業を達成することとなった。

素根は昨年、今年と九州ジュニアで児玉に敗れており、今夏は県予選でも児玉に敗れて全国大会の畳を踏むことすら叶わず。今大会も展望明るいとは言えなかったが、この大舞台でついに難敵を打倒。畳にかじりつくように相手を抜きまくった7月の金鷲旗大会を思い出させる執念の柔道だった。

とかく気持ちが優しい選手ばかりが揃う女子最重量級にあって、単に「強いから勝ててしまう」という域に留まらない、自らの壁を越えようとあがく素根の姿は非常に頼もしいものがある。上背もなく、率直に言って国際大会で戦うには体格的に厳しいものがあるが、この選手なら世界に通じる方法論を見出してくれるのではないか。そんな可能性を感じさせる、執念の戴冠劇であった。

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78kg超級優勝の素根輝

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78kg超級入賞者。左から児玉、素根、井上あかり、井上舞子。

【入賞者】
優 勝:素根輝(南筑高1年)
準優勝:児玉ひかる(敬愛高3年)
第三位:井上舞子(淑徳大2年)、井上あかり(環太平洋大2年)

【準々決勝】

井上舞子(淑徳大2年)○優勢[有効・小内刈]△磯崎佳歩(広島大2年)
素根輝(南筑高1年)○合技[払腰・体落](1:05)△三木暁代(武庫川女子大1年)
児玉ひかる(敬愛高3年)○大内刈(0:20)△坂口今日香(帝京大1年)
井上あかり(環太平洋大2年)○優勢[指導1]△高橋瑠璃(帝京高1年)

【敗者復活戦】

磯崎佳歩○横四方固(3:22)△三木暁代
高橋瑠璃○優勢[技有・小外刈]△坂口今日香

【準決勝】

素根輝○優勢[指導2]△素根輝
児玉ひかる○内股(1:31)△井上あかり

【3位決定戦】

井上あかり○優勢[指導1]△磯崎佳歩
井上舞子○優勢[指導1]△高橋瑠璃

【決勝】

素根輝○優勢[指導1]△児玉ひかる



取材・文:古田英毅

※ eJudoメルマガ版9月30日掲載記事より転載・編集しています。

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