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平成28年度全日本ジュニア柔道体重別選手権・女子マッチレポート①(44kg級、48kg級、52kg級、57kg級)

(2016年9月26日)

※ eJudoメルマガ版9月25日掲載記事より転載・編集しています。
平成28年度全日本ジュニア柔道体重別選手権・女子マッチレポート①(44kg級、48kg級、52kg級、57kg級)
■ 44kg級・久保井仁菜が悲願の初優勝、得意の寝技冴え全試合一本勝ち
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44kg級準決勝、久保井仁菜が藤﨑暖乃から横四方固「一本」

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準決勝、伊與久桜良が喜多紀香から内股「有効」

(エントリー19名)

【決勝まで】

決勝に進んだのは久保井仁菜(京都文教高1年)と伊與久桜良(夙川学院中3年)の2人。

昨年の全国中学大会2位、今年の全日本カデでも2位に入賞している久保井は第1シード。この日は2回戦で中村玲菜(東京女子体育大3年)を一本背負投と縦四方固の合技「一本」(2:58)、準々決勝は柏葉響(白鵬女子高2年)を縦四方固「一本」(1:07)、準決勝は藤﨑暖乃(環太平洋大1年)を横四方固「一本(1:27)で下して決勝進出決定。悲願の全国大会初優勝を目指して迎える決勝の畳だ。

一方の伊與久は今年の全国中学大会を圧勝で制したばかりのホープ。初戦で第2シード扱いの上倉舞知(野沢温泉中2年)を肩固「一本」(1:19)で下すと、準々決勝は杉野愛海(修徳高2年)を「指導1」の優勢で下し、準決勝は喜多紀香(奈良育英高2年)から内股と払巻込で2つの「有効」を奪って決勝まで勝ち残った。

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伊與久(左)と久保井による決勝戦

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久保井は左右に担ぎ技を連絡して一方的に攻める

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久保井が肩固「一本」

【決勝】

久保井仁菜(京都文教高1年)○肩固(2:38)△伊與久桜良(夙川学院中3年)

決勝は久保井が右、伊與久が左組みのケンカ四つ。
試合が始まるなり伊與久が釣り手で背中を叩いて得意の釣込腰を試みるが、久保井振り潰して動ぜず。

ここから久保井の連続攻撃がスタート。初弾の低い右背負投は伊與久が歩き捌いて送足払に変換するが、久保井は相手を振り出しての右袖釣込腰、右一本背負投、右袖釣込腰と攻め続けて圧倒的攻勢、1分4秒は伊與久に「指導1」が宣告される。伊與久は自分の形で組めず、本来の組み手とは逆の右組みを強いられる場面も現出。苦しい場面が続く。

続く展開、久保井の左一本背負投を潰した伊與久は首を抱えて袈裟固に抑え込むが、久保井は首を抜いて下から食いつきあくまで攻勢を譲らず。奮起した伊與久は強気に左で奥襟を掴むが、久保井は判断早く右の体落に潰れ、さらに片手の右背負投に潰れてと相手とのやりとりを拒否しさらに一方的に攻め続ける。

2分を越えたところで久保井が右一本背負投。潜り込み、巻き込んで相手を崩すと相手に被さり、伊與久の上体をガッチリ決めて肩固。伊與久は動けず2分38秒「一本」が宣告されて試合は終了となった。

久保井は全試合を一本勝ち、全て寝技で勝負を決めるという圧勝で全国大会初優勝。体力差を見せつけた決勝は、一方的に攻め続けて得意の寝技で決めるという隙の無い試合だった。

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44kg級優勝の久保井仁菜

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44kg級入賞者。左から伊與久、久保井、喜多、藤﨑。

【入賞者】
優 勝:久保井仁菜(京都文教高1年)
準優勝:伊與久桜良(夙川学院中3年)
第三位:藤﨑暖乃(環太平洋大1年)、喜多紀香(奈良育英高2年)

久保井仁菜選手のコメント
「全中、カデと2位ばかりで全国大会の優勝は初めて。うれしいです。最後を得意の寝技で決められたことも、全試合寝技で取れたことも良かった。立ち技は背負投と一本背負投が得意技ですが、なかなか決め切れない。担いで、崩して、寝技で決めるのが今の戦い方です。目標は谷亮子選手のように小よく大を制す柔道です」

【準々決勝】

久保井仁菜(京都文教高1年)○縦四方固(1:07)△柏葉響(白鵬女子高2年)
藤﨑暖乃(環太平洋大1年)○優勢[有効・体落]△藤阪恭子(藤村女子高2年)
伊與久桜良(夙川学院中3年)○優勢[指導1]△中山さつき(東海大札幌高2年)
喜多紀香(奈良育英高2年)○優勢[技有・大腰]△稲毛ゆか(埼玉大2年)

【敗者復活戦】

藤阪恭子○横四方固(0:42)△柏葉響
稲毛ゆか○合技[袖釣込腰・内股](3:38)△中山さつき

【準決勝】

久保井仁菜○横四方固(1:27)△藤﨑暖乃
伊與久桜良○優勢[有効・内股]△喜多紀香

【3位決定戦】

喜多紀香○崩上四方固(1:47)△藤阪恭子
藤﨑暖乃○GS指導1(GS2:19)△稲毛ゆか

【決勝】

久保井仁菜○肩固(2:38)△伊與久桜良

■ 48kg級・坂上綾が順当に優勝、V候補筆頭のプレッシャー跳ね返す
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古賀若菜と梅北眞衣の3回戦

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48kg級準々決勝、坂上綾が伴由梨奈から大腰「有効」

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準決勝、金城有里が梅北眞衣から小外刈「一本」

(エントリー19名)

【決勝まで】

全国中学大会で2階級制覇、今年は48kg級でも2位に入賞している注目選手・古賀若菜(田主丸中3年)が準々決勝で高校カテゴリの覇者である梅北眞衣(夙川学院高3年)と対戦。「指導1」と内股透「技有」を先取して周囲を驚かせたが、ここは梅北が意地を見せ腕緘「一本」で逆転。敗者復活戦に回った古賀は田中芽生(龍谷大2年)に「指導1」で屈し、最終成績は7位だった。

44kg級のカデ・ジュニアカテゴリで活躍を続けて来た田﨑ほのか(沖学園高3年)は初戦で有野涼(龍谷大1年)に「指導2」対「指導1」で敗れた。

決勝に進んだのは坂上綾(三井住友海上)と金城有里(帝京大1年)の2名。

インターハイ連覇者にして今年8月の全日本実業個人選手権では早くも2位に入賞している坂上は優勝候補の筆頭。今大会は徹底マークを受けたが、2回戦では山口かなえ(東北高3年)から「指導2」を奪った末に相手の「足取り」による反則でまず勝利(2:14)。準々決勝は伴由梨奈(埼玉栄高3年)から大腰と背負投で2つの「有効」を奪って勝ち抜け、準決勝は小倉葵(環太平洋大1年)を「指導」ひとつの優勢で抑えて順当に決勝進出決定。

一方東京ジュニア3位の金城は大きな山場を2つ乗り越えての決勝進出。まず2回戦で昨年度の世界ジュニア選手権44kg級2位の五十嵐莉子(横須賀学院高2年)から背負投で「技有」「有効」と連取して圧勝。準々決勝は田中芽生(龍谷大2年)を背負投「技有」で退け、迎えた準決勝では今季の高校選手権の覇者・梅北眞衣と対戦。20秒に「指導1」奪取、43秒には背負投で「有効」を奪って快調だったが2分29秒に梅北の勝負技である大腰に捕まって「技有」失陥。直後2つ目の「指導」も失うなど大ピンチに陥ったが、残り52秒に逆転の小外刈を決め「一本」。劇的勝利で全日本ジュニア選手権ファイナリストの座を勝ち得た。

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決勝、金城が担ぎ技で先制攻撃

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坂上は釣腰、釣込腰で攻める

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坂上が右釣込腰から谷落に身を切り返し「一本」

【決勝】

坂上綾(三井住友海上)○谷落(3:00)△金城有里(帝京大1年)

試合が始まるなり金城は左袖釣込腰に潰れ、坂上は素早く絞めを狙うが取り切れず「待て」。右組みの坂上が左引き手で右襟を掴むと金城はすかさずその腕を流して左袖釣込腰、坂上は右腰車に切り返して相手を伏せさせる。続く展開も坂上が引き手で襟を掴むと金城は額から畳に突っ込む勢いですかさず低い左袖釣込腰に潰れ、相手と組み合っての攻防を峻拒。相手とのやりとりを最小限に、あくまで先手の手数攻撃でこの強敵に挑む構えを見せる。

坂上は引き手で襟、釣り手で背中を掴んで前進。金城左大腰で不利の打開を試みるが坂上が回転の中途で潰し、直後金城に場外の咎で「指導1」。経過時間は1分3秒。

坂上背中を叩いての右釣込腰、さらに「腰絞め」と攻めるが金城踏ん張って脱出「待て」。坂上は好調時の強引さにやや欠ける印象で表情も冴えず。しかし金城の側も坂上の圧に耐えかねたが、非常に苦しそうな表情。

坂上が両襟から右釣込腰、釣腰、背負投と攻め、金城は後手を踏みながらも左大腰、左背負投、送足払と技を打ち返して拮抗を演出。坂上の技が止まった2分半からの時間帯も金城は座り込みの左袖釣込腰の矛を収めず、2分46秒には坂上にも「指導1」が与えられる。

奮起した坂上は右の釣込腰で金城を体ごと腰に載せて持ち上げる。金城が応じて裏への返しを試みると坂上は身を切り返して浴びせ、金城の体は背中から激しく畳に落ちる。金城が際のやりとりに応じた最初の攻防で試合が決まった形、坂上の谷落「一本」で試合は終了となった。試合時間は3分0秒。

坂上は高校時代の脇を差し、あるいはクロスで背中を掴んでという短絡的な一発柔道からの脱皮を試みているように見受けられ、特に準決勝までは丁寧に前襟を掴んでの柔道を試みていた印象。決勝はこの枷を取り払って戦ったように見えたが、最後まで調子上がり切らず一貫して苦しんだ印象の大会であった。しかし、それでも勝ち切ってしまう地力の高さはさすが。坂上の苦悩と、将来性の高さが二つながら透けて見えた大会であったと評したい。

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48kg級優勝の坂上綾

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48kg級入賞者。左から金城、坂上、梅北、小倉。

【入賞者】
優 勝:坂上綾(三井住友海上)
準優勝:金城有里(帝京大1年)
第三位:小倉葵(環太平洋大1年)、梅北眞衣(夙川学院高3年)

坂上綾選手のコメント
「優勝して当たり前、と周囲から言われていたので良かったです。もっと出来たのではという気持ちはありますが、最低限の結果は出せたかなとお思います。(-三井住友海上を選んだのは?)大学に行く選択肢もありましたが、稽古に行って意識の高さに衝撃を受けました。目指しているところがまったく違うなと。入ってからの自分の成長は、その通り意識が変わったことだと思います。自分も先輩たちのように五輪に出たいです」

【準々決勝】

金城有里(帝京大1年)○優勢[技有・背負投]△田中芽生(龍谷大2年)
梅北眞衣(夙川学院高3年)○腕緘(2:06)△古賀若菜(田主丸中3年)
小倉葵(環太平洋大1年)○優勢[指導2]△有野涼(龍谷大1年)
坂上綾(三井住友海上)○優勢[技有・払腰]△伴由梨奈(埼玉栄高3年)

【敗者復活戦】

有野涼○優勢[有効・背負投]△伴由梨奈
田中芽生○優勢[指導1]△古賀若菜

【準決勝】

坂上綾○優勢[指導1]△小倉葵
金城有里○小外刈(3:08)△梅北眞衣

【3位決定戦】

梅北眞衣○優勢[技有・大外刈]△有野涼
小倉葵○優勢[指導2]△田中芽生

【決勝】

坂上綾○谷落(3:00)△金城有里

■ 52kg級・立川莉奈が優勝、富沢佳奈と武田亮子を連破
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52kg級2回戦、富沢佳奈が吉田晴香を払腰「一本」

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52kg級2回戦、立川莉奈が岡本光理を攻める

(エントリー20名)

【決勝まで】

準決勝2試合が大きな山場となった。

第1試合では優勝候補筆頭と目された富沢佳奈(埼玉栄高2年)と久々大舞台で存在感を見せる立川莉奈(福岡大2年)が対戦。富沢はここまで吉田晴香(喜多方桐桜高3年)を払腰「一本」(1:46)、菅谷友紀(淑徳高3年)を小外刈「技有」による優勢と順調な勝ち上がり。一方の立川は岡本光理(淑徳大2年)を「指導1」の優勢で抜き、準々決勝では強敵山本玲奈(環太平洋大2年)から「指導1」を奪った末に大外刈と袈裟固の合技「一本」(2:20)で快勝、ベスト4に残った。

この試合は立川が徹底前進で泥臭く富沢の技を封殺。50秒と2分31秒に場外の「指導」を得、残り25秒には変則組み手で「指導」1つを失ったがそのまま戦い切り、「指導2」の優勢勝ち。「押し出し」すれすれであったが、反則を怖がらずに持ち味である徹底前進行動を完遂、みごと決勝への勝ち上がりを決めた。

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2回戦、阿部詩が古瀬舞を僅か14秒の袖釣込腰「一本」で投げ捨てる

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準決勝、武田亮子が阿部詩を大内返「一本」に仕留める

下側の山では阿部詩(夙川学院高1年)と武田亮子(大成高3年)の強者2人が過たず勝ちあがって激突。阿部は2回戦で畳に姿を見せるなりしぶとさが売りの古瀬舞(長崎明誠高3年)を右袖釣込腰で高空から投げ捨て僅か14秒の「一本」、会場の度肝を抜くと、準々決勝はケンカ四つの三浦百香(三浦学苑高2年)に粘られたものの袖釣込腰「技有」を得て危なげなく勝利しベスト4入り。一方の武田もこの日は一段気合の入った戦いぶりで、2回戦は藤井志穂(創志学園高1年)から袖釣込腰「「有効」を奪って崩袈裟固で一本勝ち(2:05)、準々決勝は強敵福添みのり(帝京大1年)から袈裟固「技有」、一本背負投「技有」と連取して合技の一本勝ち(2:08)。阿部の待ち受ける準決勝の畳へと勝ち進んだ。

迎えた準決勝第2試合、阿部と武田による注目の一番は43秒に武田が「指導」を得てリード、これを追い掛けるべく阿部が猛攻を掛ける。しかし武田は担ぎ技を連発して阿部に山場を作らせず、1分54秒には武田に偽装攻撃の「指導」が宣告されるものの、なかなか自分の形で投げを放てない阿部の焦りは止まらず。2分53秒に不十分な形のまま右大内刈を仕掛けると、武田待ち構えて思い切り返して大内返「一本」。残り時間は十分だったが、なぜか焦り続けていた阿部の自滅の感あり。阿部の判断ミスを誘った、武田の気合い勝ちという一番だった。

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立川と武田による決勝戦

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武田が右裾を掴んでの右背負投、立川をぶら下げたまま回転を続ける

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立川が大外刈で攻める

【決勝】

立川莉奈(福岡大2年)○優勢[指導2]△武田亮子(大成高3年)

決勝は立川が右、武田が左組みのケンカ四つ。立川は両襟を掴んで右大外刈という覚悟の決まった強気の選択、右袖釣込腰で対抗した武田は30秒過ぎに勝負技の低い左背負投一発、足を運んで走り掛けるが立川は首に圧力を掛けて潰し無理やり封殺。パワーと体力の立川、技術の武田という印象の立ち上がり。

立川は釣り手で背中を掴んで右大外刈、この技に武田が転がり伏せた直後の1分20秒に武田に「指導」が宣告される。

奮起した武田は立川の背中を叩く強気の組み手に左背負投、左大内刈、右一本背負投で対抗するが立川はいずれもかわし、あるいは潰して崩れず。2分過ぎには立川が放った右大外刈に武田が潰れ、武田に偽装攻撃の咎による「指導2」が与えられる。

もはや投げるしかないと腹をくくり直したか、ここから武田は一段レベルの上がった猛反撃。右裾を両手で捕まえて右背負投、立川はぶらさがって体重を逃がして回避するが、武田はぶらさげたまま360度回って投げを試み続け、結果双方崩れて「待て」。武田はさらに再度右裾を掴んでの背負投で立川を伏せさせ、続く攻防では左袖釣込腰を押し込む。立川は膝をつかされたまま武田を右内股でいなすが受けに回った印象は覆せず、直後の3分8秒ついに立川に「指導1」。

残り時間は52秒。両者いずれにも勝利のチャンスあり、勝敗の針が激しく揺れ動く間合い。立川両襟を掴むと武田は外して左大内刈で前進。立川もここで退いては全てを失うとばかりに必死の形相で前へ。残り27秒に武田が素晴らしいタイミングで左背負投を放つが、立川腹ばいに伏せて危機を回避。

武田右大外刈で激しく前に出るが立川は両袖を得ての大内刈で激しく応戦。武田は立川に捕まれた袖を振り切ってなんとか効く技を放ちたいところだが、心得た立川は必死に袖を掴み続け、振り切らんと崩れた武田を立たせず。そのままタイムアップとなり「指導2」対「指導1」の優勢で立川の勝利が決定した。

立川はかつて全国小学生学年別大会で優勝。以後は全国中学校大会57kg級2位、世界カデ選手権57kg級3位と常に世代の最前線を走りながらタイトル奪取はなく、高校カテゴリ以降はかつてほどの存在感を見せられなくなっていたが、この大舞台で見事復活。

悲願の全日本タイトル獲得に、試合後表彰式に臨んだ立川は泣きっぱなし。感激を抑え切れない様子だった。

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52kg級優勝の立川莉奈

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52kg級入賞者。左から武田、立川、阿部、富沢。

【入賞者】
優 勝:立川莉奈(福岡大2年)
準優勝:武田亮子(大成高3年)
第三位:阿部詩(夙川学院高1年)、富沢佳奈(埼玉栄高2年)

立川莉奈選手のコメント
「全国大会の優勝は小学5年生以来。中・高と2位や3位ばかりだったので本当にうれしいです。今日はポイントの取れる柔道は出来なかったですが、最年長だから絶対に勝ってやろうという意地もありました。弟(73kg級優勝の立川新)といつも比べられていますし、負けられないとも思っていました(笑)」

【準々決勝】

富沢佳奈(埼玉栄高2年)○優勢[技有・小外刈]△菅谷友紀(淑徳高3年)
立川莉奈(福岡大2年)○合技[大外刈・袈裟固]△山本玲奈(環太平洋大2年)
阿部詩(夙川学院高1年)○優勢[技有・袖釣込腰]△三浦百香(三浦学苑高2年)
武田亮子(大成高3年)○合技[袈裟固・一本背負投](2:08)△福添みのり(帝京大1年)

【敗者復活戦】

山本玲奈○優勢[有効・大外刈]△菅谷友紀
福添みのり○横四方固(2:48)△三浦百香

【準決勝】

立川莉奈○優勢[指導2]△富沢佳奈
武田亮子○大内返(2:53)△阿部詩

【3位決定戦】

阿部詩○優勢[有効・一本背負投]△山本玲奈
富沢佳奈○優勢[指導1]△福添みのり

【決勝】

立川莉奈○優勢[指導2]△武田亮子

■ 57kg級・舟久保遥香が2連覇、手堅い柔道で勝負揺らさず
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57kg級3回戦、納庄秋甫が舟久保遥香を左大外刈で崩し一時は「有効」が宣せられる。今大会舟久保が唯一見せた隙だが、以後は警戒レベルを上げて「指導3」で完勝。

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準決勝、舟久保は若藤唯に攻めのきっかけを与えず完封

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2回戦、北出みくが谷川美歩の腕を極めながら横四方固「一本」

(エントリー19名)

【決勝まで】

上側の山からは連覇を狙う舟久保遥香(富士学苑高3年)が順当に決勝進出。2回戦で松下沙都(金沢学院大2年)を横四方固「一本」(1:59)で下すと、準々決勝では前戦で豪快な一本背負投「一本」で場内を沸かせた納庄秋甫(姫路獨協大2年)を「指導3」優勢で完封。準決勝も若藤唯(桐蔭学園高2年)にまったくきっかけを与えないままあっという間に3つの「指導」を奪って圧勝。なぜ4つ目の「指導」が与えられないのか不思議なほどの一方的な試合ぶりで、危なげなく決勝進出を決めた。

下側の山では2回戦で無印の北出みく(札幌北斗高3年)が、第2シード扱いのもと高校カテゴリ王者谷川美歩(山梨学院大1年)を撃破。2分0秒に隅返「有効」、そのまま寝勝負に持ち込んで横四方固に抑え込んで堂々の一本勝ちを果たした。

出村花恋(東大阪大敬愛高3年)も出色の活躍。1回戦で柴田理帆(筑波大2年)を試合時間計7分54秒の激戦の末GS延長戦「指導1」で下すと、2回戦では小学生時代から高校カテゴリまで常に階級のトップを走って来た西尾直子(帝京科学大2年)と対戦。開始1分で出村が払腰「有効」、西尾が体落「有効」と取り合った末、1分15秒の払腰「有効」で勝ち越し。このポイントを守り切ってベスト8まで勝ち進んだ。

この山からの決勝進出は北出。谷川を撃破した後の準々決勝では高野綺海(東京学芸大1年)から大腰「有効」、横四方固「一本」と連取して快勝(2:47)。準決勝は前戦で出村と「有効」を取り合った末に「指導3」の優勢で勝利した小川寧々(環太平洋大2年)と対戦、払腰返「有効」から袈裟固に抑え込んで一本勝ち、見事全試合一本勝ちでファイナリストの座を勝ち得ることとなった。

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舟久保と北出の決勝

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舟久保は北出を組み手で翻弄、時間が経つごとにその優位は加速

【決勝】

舟久保遥香(富士学苑高3年)○優勢[指導2]△北出みく(札幌北斗高3年)

決勝は舟久保、北出ともに右組みの相四つ。北出は引き手で襟を掴むが舟久保身をずらして体勢を立て直すと、片襟、両袖と自在に形を変えながら押し込み続ける。北出が全く自分の形で持てないままに、舟久保は右小内刈、右小外刈と技を積み、奥襟を叩いて一方的に攻め続ける。1分6秒に、北出に消極的との咎で「指導1」。

全く攻撃の形が作れない北出一計を案じ、舟久保が奥襟を叩くところに合わせて釣り手を差して左大腰の構え。しかし舟久保は引きずるように返すと再び圧を掛けて、試合構成に一切綻びを見せず。以後も組み手と足技で北出を翻弄し、2分46秒北出に「指導2」。

ここで舟久保サイドからは、「一回大外(刈を仕掛けろ)!」と声が飛ぶ。後のなくなった相手が過程を飛ばして一段上の力を出してくるこの時間帯を前に、組み手と足技による順行運転だけではリスクがあると喝破した、まことに的確な指示。

北出遮二無二食いつくが舟久保一瞬で引き手を得て自分の形を作り上げる。北出動きを止めずに良いタイミングで左足を振り上げ巴投に飛びこみあわやと思わせるが、舟久保捌いてポイントには至らず。

このあたりで舟久保に疲労が見え始めるが、ベンチの「引き手にこだわれ!」との指示に息を吹き返したように再びしっかり手順を踏む。釣り手を殺された北出がこの解放に手数を使う間に時間は過ぎ去り、北出の抱きつき攻撃に舟久保が意図的に潰れたところで残り時間は僅か2秒。北出飛びかかるもそのままブザーが鳴り響き、この試合は「指導2」の優勢で舟久保の勝利に終わった。舟久保、みごと2連覇達成。

徹底マークを受けた舟久保、今大会の一本勝ちは初戦の1つのみ、得意の寝技での勝利もこの初戦1試合だけだったが安定感は抜群。4試合で奪った「指導」の数は10、かつ自身の「指導」失陥はゼロ。一発のある納庄と北出にまったく柔道をさせなかった準々決勝と決勝はまさしく大人の試合ぶり。パワーや勢いに頼るだけでない、組み手の引き出しの多さと確かさは高校生のレベルを遥かに超えていた。

2位入賞の北出は大健闘。これまでの最高成績は全国高校選手権と全国中学校大会のベスト16で、インターハイでは舟久保に一本負けを喫したばかり。よって事前評ではまったくの無印であったが、粗削りなまま攻めまくる強気のファイトスタイル、伸び盛りの選手独特のオーラは魅力的であった。

舟久保の手堅さ、北出の荒々しさ、若藤の地力の高さと若い世代が持ち味を発揮した結果表彰台の上位は高校生が占め、大学生から食い込んだのは猛稽古をもって鳴る環太平洋大所属の小川寧々1人のみ。高校生までの育成の丁寧さと、その環境のもとで育成されたトップ選手の大学進学以降の伸び悩みという、女子柔道競技の問題点が端的に表れたかのような結果であった。

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57kg級を連破した舟久保遥香

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57kg級入賞者。左から北出、舟久保、小川、若藤。

【入賞者】
優 勝:舟久保遥香(富士学苑高3年)
準優勝:北出みく(札幌北斗高3年)
第三位:若藤唯(桐蔭学園高2年)、小川寧々(環太平洋大2年)

舟久保遥香選手のコメント
「講道館杯で勝つことを今年の目標にしているので、ここはしっかり勝たなければいけないと思っていました。寝技はかなり研究されていることを感じますが、足技が打てるようになって来たのが収穫です。ただ例えば、小内刈は出るがそこから大内刈に繋げられない。これが課題です。(―ひとまわり大きくなったのでは?)最近は寝技と、トレーニングにかなり重点を置いています。その分パワーがつきました。上に上がっていくには立って崩す技をしっかりやらなければいけない、寝技を生かすためにはなによりそこが重要だと思います。(―オリンピックを見て、いかがですか?)田知本遥選手の試合に掛ける思いには学ぶものがありました。オリンピックに出るにはこうならないといけない、気持ちで勝負出来なければいけないのだとあらためて思いました」

【準々決勝】

舟久保遥香(富士学苑高3年)○優勢[指導3]△納庄秋甫(姫路獨協大2年)
若藤唯(桐蔭学園高2年)○優勢[技有・小外掛]△大幸瞳子(長崎明誠高2年)
北出みく(札幌北斗高3年)○横四方固(2:47)△高野綺海(東京学芸大1年)
小川寧々(環太平洋大2年)○優勢[指導3]△出村花恋(東大阪大敬愛高3年)


【敗者復活戦】

大幸瞳子○肩固(1:06)△納庄秋甫
出村花恋○小内刈(1:05)△高野綺海

【準決勝】

北出みく○袈裟固(2:10)△小川寧々
舟久保遥香○優勢[指導3]△若藤唯

【3位決定戦】

小川寧々○優勢[技有・小外刈]△大幸瞳子
若藤唯○優勢[指導1]△出村花恋

【決勝】

舟久保遥香○優勢[指導2]△北出みく

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