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【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第13回

(2016年9月5日)

※ eJudoメルマガ版9月5日掲載記事より転載・編集しています。
【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第13回
精神の健全な発達を遂げようするには、これに相当の営養を与えねばならぬのであるが、その営養を精神に与えるものは読書である。
出典:『青年修養訓』 明治43年(1910)12月 (『嘉納治五郎大系』7巻117頁)
 
残暑が厳しい日が続いていますが、9月に入り、これから少しずつ秋らしくなってきます。

秋と言えば「食欲」や「芸術」、「スポーツ」と並んで「読書」が思い浮かびますが、皆さんは最近どのような本を読まれたでしょうか?
今回の「ひとこと」は嘉納師範が書かれた本の1冊『青年修養訓』からの紹介です。

筑波大学の前身である東京高等師範学校の校長を長年務める等、教育家であった嘉納師範は柔道に関する著書『柔道教本』の他にも『倫理学』『中学修身書』『師範修身書』『実業修身書』『女子修身書』等、教育に関する本を著しています。
『青年修養訓』も師範の30年に亘る経験(明治43年時点)に裏打ちされた教育に関する著作になります。「生まれ甲斐ある人となれ」「成功の要道」「身体の強健」「記憶と思考」「普通学と専門学」「油断」「大事と小事」「修養と貧富」等バラエティーに富んだ50項目からなる本書は、筆者の手元にあるオリジナル本を見ると全編430頁にもわたる大部の著作です。今回はその中の「精読と多読」という項目からの引用です。

「精読」と「多読」。多くの本を読むことと、1冊の本を深く読み込むこと、この2つの読み方を比較しているわけですが、大前提は冒頭の引用文にありますとおり、精神を発達させるための営養(=栄養)が読書である、ということになります。もちろん、読書だけが精神の発達を促すわけではないことは師範も心得ていますが、そこを踏まえた上で読書を奨励しています。

今回は(も?)随分、柔道と関係ない話をしていると思われるかも知れませんが、そんなことはありません。心身の力を最も有効に使用する「精力善用」と読書について、師範はその著述活動で幾度となく言及していますし、「精力善用と読書」という、そのままのタイトルの論考もあるくらいです。
 
師範は加えて、次のような言葉も遺しています。
「世の中の柔道家は多く読書子でない。文字に親しむということに不得意である」。
本連載を始める際、師範と他の武道家と異なる点として、「言説」による普及活動を挙げました。その具体的な活動の1つが「国士」「有効の活動」「柔道」など雑誌刊行です。残念なことに、出版活動は師範の期待する程の成果が得られなかったようですが、その理由の1つとしての発言になります。
活字による普及を試みているにもかかわらず、最も読んでほしい人たち、即ち柔道家があまり読もうとしない。師範にとって苦々しい思いから出た言葉だったことでしょう・・・。

私の周りには、本を沢山読まれている修行者も多くいらっしゃいますので、柔道家が本を読まないと一概には言えません。また、多忙のため、ついつい読書から離れられている方、本を読まないといけないと思いながらも、なかなか実行出来ずにいる方も多くいらっしゃると思います。

今回の「ひとこと」を機会に、秋の夜長、稽古で疲れた身体を休めつつ、精神に栄養を与えてみませんか。

※読みやすさを考慮して引用は『嘉納治五郎大系』から行っています。

著者:元 敏季(ハジメ・トシキ)
1975年生まれ。柔道は中学校から始め、大学までは競技を中心に行うが、卒業論文を機に柔道の文化的側面に関心を持ち、大学院へ進学。凡そ10年、大学院・研究機関に所属するも、研究とは異なる分野の仕事に就き現在に至る。ライフワークとして嘉納治五郎に関する史料を蒐集・研究し、その成果を柔道振興のため発信しようとしている。

※ eJudoメルマガ版9月5日掲載記事より転載・編集しています。

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