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第47回全国中学校柔道大会・男子個人戦8階級マッチレポート

(2016年8月26日)

※ eJudoメルマガ版8月26日掲載記事より転載・編集しています。
第47回全国中学校柔道大会・男子個人戦8階級マッチレポート
■ 50kg級・『結果にこだわった』大垣麟太郎が決勝で富原一冴を完封
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50kg級準々決勝、大垣麟太郎が関本賢太から一本背負投「一本」

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大垣麟太郎と富原一冴による50kg級決勝

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大垣が袖釣込腰で富原を抜け落とし「技有」獲得

【決勝】

大垣麟太郎(高屋中・広島)○優勢[技有]△富原一冴(京都学園中・京都)

中国ブロック王者の大垣麟太郎は2回戦で北嶋勇人(天理中・奈良)から袖釣込腰(1:24)、準々決勝では関本賢太(御滝中・千葉)から左一本背負投(1:52)と4戦して2つの「一本」を奪っての決勝進出。一方近畿ブロック王者の富原一冴は初戦で巴投「一本」をマークすると以後は優勢勝ちを3つ重ねてしぶとくトーナメントを登攀して決勝の畳まで勝ち残った。

決勝は大垣が左、富原が右組みのケンカ四つ。
序盤は互いに袖を得んとして落とし合い、切り合う軽量級らしいめまぐるしい展開。その組み手争いの間隙を縫って20秒、大垣が右袖釣込腰を決めて「技有」。

以後も落とし合いと切り合いが続き1分21秒双方に「指導1」。

この直後から大垣が一方的に組んで右袖釣込腰、右一本背負投と放って攻勢に出るがポイントには至らず。富原は大垣に徹底的に釣り手を阻止されてなかなか技が出ず、1分50秒富原にのみ2つ目の「指導」が宣告される。

奮起した富原は挽回を期して突進、しかし大垣が巧みに捌き続けてスコア動かず試合終了。まず先制、そして以後の釣り手の徹底管理という作戦が嵌った形で、「技有」優勢を以て大垣の勝利とキャリア初の全国制覇が決まった。

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50kg級優勝の大垣麟太郎

【入賞者】
優 勝:大垣麟太郎(高屋中・広島)
準優勝:富原一冴(京都学園中・京都)
第三位:近藤秀斗(戴星学園中・大分)、高桒虎乃介(岬中・大阪)
第五位:青井恵和(丸山中・兵庫)、濱田泰良(港南中・愛媛)、関本賢太(御滝中・千葉)、山城暁仁(修徳中・東京)

大垣麟太郎選手のコメント
「自分はスタミナがないので、1分以内に勝つという姿勢で試合に臨んでいます。決勝は内容よりも結果と勝利にこだわりました。柔道をはじめて12年目で初めての日本一、うれしいです。これからは、まず力をつけて、そのためにしっかりメシを食って(笑)、体を大きくして、高校の60kg級で通用するようになりたいです」

【準々決勝】

近藤秀斗○優勢[有効]△青井恵和
富原一冴○優勢[指導1]△濱田泰良
大垣麟太郎○一本背負投(1:52)△関本賢太
高桒虎乃介○優勢[有効]△山城暁仁

【準決勝】

富原一冴○優勢[有効]△近藤秀斗
大垣麟太郎○優勢[有効]△高桒虎乃介

【決勝】

大垣麟太郎○優勢[技有]△富原一冴

■ 55kg級・掴んだ流れ手放さず、田中龍馬が初の日本一達成
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55kg級決勝、田中龍馬が池﨑晴登から右背負投「有効」

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終盤、池﨑は田中の小内刈に絡み返してあわやポイントという場面を作る

【決勝】

田中龍馬(昭栄中・佐賀)○優勢[有効]△池﨑晴登(桜木中・熊本)

決勝で合いまみえることとなったのは九州ブロック王者の田中龍馬と、ここまで全試合を一本勝ちで勝ちあがって来た池﨑晴登の2名。

決勝は田中、池﨑ともに右組みの相四つ。池﨑がまず左袖釣込腰で先制攻撃、一方の田中はまず引き手で袖をしっかり確保、次いでフリーとなった釣り手を奥襟、片襟と持ちどころを変えながら攻める。田中が右一本背負投崩れの大内刈に右袖釣込腰と攻め込み、さらに右一本背負投の形で小内刈に飛び込んだ直後の56秒、池﨑に「指導1」が与えられる。

以後も田中はあくまで引き手の袖をまず得て、狙いを変えながら釣り手を走らせるという手堅い組み立てを継続。片襟の右大内刈に右背負投と攻め続け、1分18秒には片襟の右背負投で決定的な「有効」を得る。

池﨑はなかなか攻める形を作れず、田中の技の戻り際に右袖釣込腰を合わせるものの効かず。残り20秒、田中が右小内刈で足を絡ませると池﨑が弾き返してあわやポイントという場面が生まれるが、田中身を捩じってこらえノーポイント。

最後のチャンスを狙う池﨑が巴投に打って出たところで終了ブザーが鳴り響き、「有効」優勢を以て田中の優勝が決まった。あくまで引き手で先に袖を抑え続けた田中の手順へのこだわりが、最後まで試合の様相を支配したという一番だった。

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55kg級優勝の田中龍馬

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準々決勝、田中龍馬が右背負投で大越裕貴を大きく崩す

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準決勝、池﨑晴登が多田風太から小内巻込「一本」

【入賞者】

優 勝:田中龍馬(昭栄中・佐賀)
準優勝:池﨑晴登(桜木中・熊本)
第三位:多田風太(埼玉栄中・埼玉)、田中祥(長崎南山中・長崎)
第五位:倉橋恭平(松江四中・島根)、大越裕貴(行健中・福島)、城野琉来(望海中・兵庫)、望月心人(六角橋中・神奈川)

田中龍馬選手のコメント
「狙っていた優勝なので本当にうれしいです。得意技は袖釣込腰、決勝も担いで投げることを意識して試合を進めました。自己採点は・・・60点くらいです。今後は試合の中で少ないチャンスをしっかりモノに出来るよう努めていきたいです。将来の目標はオリンピックで金メダルを獲ることです」

【準々決勝】

多田風太○GS指導4(GS2:11)△倉橋恭平
池﨑晴登○反則(1:17)△城野琉来
田中龍馬○反則(2:51)△大越裕貴
田中祥○優勢[指導1]△望月心人

【準決勝】

池﨑晴登○小内巻込(0:52)△多田風太
田中龍馬○袖釣込腰(1:27)△田中祥

【決勝】

田中龍馬○優勢[有効]△池﨑晴登

■ 60kg級・近藤隼斗が全試合一本勝ち、みごと全国制覇決める
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近藤隼斗と旭征哉による60kg級決勝

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近藤が大腰から巻き込んで「有効」を先行

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近藤の大外返「一本」で試合は決着

【決勝】

近藤隼斗(有田中・佐賀)○大外返(2:56)△旭征哉(下根中・茨城)

近藤はここまで南大介(岩出第二中・佐賀)を裏投「一本」(0:38)、樽岡葉太(十日市中・広島)を内股(1:01)、加賀谷優龍(大曲中・秋田)内股(0:16)、そして勝負どころと目された準決勝では唯野己哲(東御東部中・長野)を内股(2:23)に仕留め、全試合一本勝ちという素晴らしい出来での決勝進出。一方の旭も初戦こそ「技有」優勢に留まったが以後は南龍太郎(西紫原中・鹿児島)を片手絞(0:47)、杉野光星(埼玉栄中・埼玉)を内股(2:24)、そして準決勝で工藤大和(車力中・青森)を大外刈(1:30)と3試合連続の一本勝ち。他を圧する強さで勝ちあがった2人が決勝で雌雄を決することとなった。

決勝は近藤、旭ともに左組みの相四つ。
近藤はいきなり左大腰の大技を見せ、ここから技を継続、倒れ込んで巻き込み20秒「有効」を獲得。以後は旭の長身を生かした内股に近藤の大内刈と技の応酬。撃ち合った末、小休止が訪れた形となった1分3秒双方に「指導1」が宣告される。

旭はケンケンの左大内刈に左大外刈、さらに左内股と猛攻を見せるが取り切れず。終盤になるとなかなか引き手が取れず双方の技が止まる。

残り時間僅かとなったところで逆転を狙う旭が組み際に左大外刈の大技。しかしあまりにも強引に過ぎ、近藤が大外返に捉え返して豪快な「一本」。

試合時間は2分56秒。近藤隼斗が見事全試合一本勝ちという素晴らしい内容で全国中学大会制覇を成し遂げることとなった。

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60kg級優勝の近藤隼斗

【入賞者】
優 勝:近藤隼斗(有田中・佐賀)
準優勝:旭征哉(下根中・茨城)
第三位:唯野己哲(東御東部中・長野)、工藤大和(車力中・青森)
第五位:白石諄(八王子五中・東京)、加賀谷優龍(大曲中・秋田)、藤井圭汰(望海中・兵庫)、杉野光星(埼玉栄中・埼玉)

近藤隼斗選手のコメント
「初めての日本一でうれしいです。準決勝の相手がとても強い選手で、そこがひとつの勝負だと思っていました。しっかり前に出て攻めることが出来たのが優勝に繋がったと思います。とても自信になりました。得意技は内股。将来は、まず高校でしっかり頑張るのが目標です。(-その先は?)オリンピックで・・・(周りに囃されて)金メダルを獲ります!」

【準々決勝】

唯野己哲○優勢[指導2]△白石諄
近藤隼斗○内股(0:16)△加賀谷優龍
工藤大和○GS有効(GS2:44)△藤井圭汰
旭征哉○内股(2:24)△杉野光星

【準決勝】

近藤隼斗○内股(2:23)△唯野己哲
旭征哉○大外刈(1:30)△工藤大和

【決勝】

近藤隼斗○大外返(2:56)△旭征哉

■ 66kg級・粘戦戦い切った吉岡正晃が決勝の試合巧者対決を制す
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3回戦、中村将大が山内翔太を内股「一本」で破る

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2回戦、田中裕大が「やぐら投げ」で菊池在真に一本勝ち

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注目の準々決勝は中村が田中を大腰「一本」で破る

カデ、高校からシニアまであらゆるカテゴリに非常に才能のある選手が集う66kg級。全国中学大会でも毎年人材は多士済々、非常に面白い試合が展開される注目階級だ。今回はトーナメント上側左の山で、ハイレベル階級らしい素晴らしい投げ合いが連続する展開となった。

主役を担ったのは前評判の高かった2年生中村将大(三雲中・三重)、山内翔太(宝塚中・兵庫)、そして関東ブロック王者の田中裕大(轟町中・千葉)。1回戦から登場した山内が袖釣込腰「一本」で勝利すると、中村はその山内を内股「一本」(1:10)に屠り、3回戦では北信越ブロック王者の古川要(緑ヶ丘中・長野)に2つの「有効」を奪われながらも投げ合いを挑み続け、逆転の大腰「一本」(1:23)に仕留めてベスト8入り。

田中は初戦で菊池在真(長崎日大中・長崎)を豪快な「やぐら投げ」からの移腰「一本」(2:39)に仕留め、3回戦では花澤錬太朗(浅井中・滋賀)から小内巻込と内股で2つの「有効」を奪った末に再度の内股で一本勝ち(1:37)。前半戦の花形と呼ぶべきこの中村と田中の2名が準々決勝で合いまみえることとなった。

この試合は田中、中村ともに明らかに「一本」しか狙っていない凄まじい投げの撃ち合い。結果、中村が田中を腰に載せることに成功して1分23秒豪快な大腰「一本」で勝利。田中は大の字になって悔しがったが、この豪快な一発は双方が投げを狙う姿勢あってこそ。これぞ中学生の全国大会にふさわしい、ケレン味のない爽やかな試合だった。

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準決勝、岡田悠之介が中村から肘抜きの右背負投で「有効」獲得

しかし勝った中村は決勝に進むこと叶わず。対照的にここまで全試合を優勢勝ちで勝ちあがって来た岡田悠之介(埼玉栄中・埼玉)が相手の腕を抱き込んで中村の投げを徹底封殺、片手、逆と変則の背負投で手数を積み重ねる。岡田はいかにも強豪校らしいしぶとく練れた柔道で攻めながら相手の長所を殺して「指導」2つをリード。さらに残り5秒には肘抜きの右背負投でしぶとく転がして「有効」も追加して完勝、決勝へと駒を進めることとなった。

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決勝は吉岡正晃と岡田悠之介による大外刈の応酬

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GS延長戦、吉岡が技をまとめて岡田を引き離す

【決勝】

吉岡正晃(鎮西中・熊本)○GS指導2(GS1:55)△岡田悠之介(埼玉栄中・埼玉)

決勝はここまで一本勝ち2つ(1つのダイレクト反則による勝利を含む)、「有効」優勢勝ち2つの吉岡正晃、前戦で中村に競り勝った岡田悠之介ともに右組みの相四つ。

双方横変形に構えては組み手の有利を求めて体勢をリセット、1分11秒両者に「指導1」が宣告される。

岡田は片襟を掴んでノーステップの右大外刈。これを吉岡が大外返、あるいは後ろ回り捌きに巻き込んで切り返して潰れるという攻防が幾度も続く。絞り合いと大外刈の返しあいが続き、残り16秒に吉岡が放った大外落に岡田が大きく崩れると、以後は双方GS延長戦を意識して一旦矛を収める。そのまま動きなく終了ブザーが鳴り響き、勝敗の行方はGS延長戦へと委ねられる。

延長戦は岡田が釣り手で奥襟を叩き、双方相四つ横変形で構えての技の撃ち合い。岡田の大外刈は吉岡が払巻込に捉え返し、吉岡の右背負投は岡田が捌いてとなかなか展開に差がつかない。

しかし1分半を越えたところで吉岡が大外返で岡田を大きく崩し、続く攻防の右袖釣込腰で岡田を背中にほとんど載せ掛ける。この技がブレイクしたところで主審は副審を呼んで合議、岡田に「指導」を宣告して熱戦に幕。吉岡が「指導」ひとつの差で勝利を収め、全国中学校柔道大会初優勝を決めることとなった。

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66kg級優勝の吉岡正晃

【入賞者】

優 勝:吉岡正晃(鎮西中・熊本)
準優勝:岡田悠之介(埼玉栄中・埼玉)
第三位:中村将大(三雲中・三重)、溝依郁人(香長中・高知)
第五位:田中裕大(轟町中・千葉)、布野大介(開星中・島根)、前原剛(國學院栃木中・栃木)、北條嘉人(前橋大胡中・群馬)

吉岡正晃選手のコメント
「はじめての日本一。うれしく思います。柔道を始めたのは3歳の時、やっていて一番うれしいのはやはり投げて勝った時です。得意技は大内刈と袖釣込腰。立ち技が好きですがこれからは寝技をしっかりやって、立ち技と寝技の連携を身に着けたいです。(-好きな選手は?)永瀬貴規選手です。先、先と攻める姿勢が好きです。(-将来の夢は?)消防士になることです」
【準々決勝】

中村将大○大腰(1:23)△田中裕大
岡田悠之介○GS有効(GS0:26)△布野大介
吉岡正晃○後袈裟固(2:25)△前原剛
溝依郁人○優勢[有効]△北條嘉人

【準決勝】

岡田悠之介○優勢[有効]△中村将大
吉岡正晃○GS指導2△溝依郁人

【決勝】

吉岡正晃○GS指導2(GS1:55)△岡田悠之介

■ 73kg級・『咄嗟に出た』勝負技でポイント挙げた吉野天成が優勝、素晴らしい柔道披露の菅原幸大は決勝で涙
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73kg級準決勝、菅原幸大が岡田尚樹から内股「一本」

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決勝も菅原が吉野天成を大外刈で攻めて試合を引っ張る

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勝負を分けた落ち際、主審は吉野の裏投「有効」を採る

【決勝】

吉野天成(大原中・千葉)○優勢[有効・裏投]△菅原幸大(角田中・宮城)

東北ブロック王者の長身選手・菅原幸大が会場を唸らせる素晴らしい柔道で決勝に進出。2回戦は本郷雄也(三滝・三重)を内股(0:48)、3回戦は草間康生(高尾台・石川)を袈裟固「一本」(1:08)、準々決勝は土田海也(福井工大福井中・福井)を「有効」2つを奪った末の合技「一本」(2:14)、準決勝は岡田尚樹(田島中・埼玉)に「技有」リードから「有効」を失ったもののあくまで矛を収めず内股「一本」(1:09)と全試合一本勝ちで決勝進出。

逆側の山からは吉野天成がノーシード位置からしぶとく歩みを進め、5試合全てで攻撃ポイントによる得点をマークして決勝への勝ち上がりを決めた。

決勝は菅原がまず右大外刈で大きく吉野を崩す場面からスタート。しかし釣り手で奥襟を握り続けたまま技を仕掛けず時間を消費してしまい、20秒この咎で「指導1」失陥。思わぬリードを得た吉野は右背負投、左袖釣込腰と攻めて優位を確定しに掛かるが、菅原が右大外刈で攻め返し1分44秒吉野にも「指導1」が与えられる。

菅原はしつこく、やや強引に右大外刈を仕掛け続けて様相は菅原優位だが主審は反則裁定を行わずに試合を注視。残り29秒で菅原が強引に右大外刈、吉野が裏投を狙って抱えると菅原あくまで矛を収めず右大内刈の形で被さって投げを打つ。両者吹っ飛ぶ形のこの攻防は菅原が優位、あるいはノーポイントのいずれかと思われたが主審は吉野の裏投を採り「有効」を宣告。

菅原は突進、吉野は下がりながらいなし続けてこのポイントを守り、タイムアップ。菅原は膝に手を置いて悔しがる。

菅原はその線の細さにも関わらず技一発の鋭さで大会MVP級の活躍、中学時代の飯田健太郎を彷彿とさせる伸びやかな柔道で関係者を魅了したが、結果としてはあと一歩及ばず。この試合は吉野が「有効」優勢で勝利して優勝決定、初の全国タイトルを獲得することとなった。序盤の「指導1」を橋頭保に相手の焦りを誘い、展開を最後まで手放さなかった吉野の粘りに凱歌が上がった形であった。

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73kg級優勝の吉野天成

【入賞者】

優 勝:吉野天成(大原中・千葉)
準優勝:菅原幸大(角田中・宮城)
第三位:岡田尚樹(田島中・埼玉)、宮本和志(九州学院中・熊本)
第五位:土田海也(福井工大福井中・福井)、小畑大樹(多良中・佐賀)、金澤聡瑠(瑞江第三中・東京)、島本真司郎(常盤中・山口)

吉野天成選手のコメント
「得意技は大外刈と大内刈。『有効』を取った技(裏投)はほとんどやったことがなく無我夢中、無意識で掛けました。うれしかったです。優勝は狙っていなかったですし、3位くらいに入ればいいと思っていたので今日は出来過ぎです(笑)。将来は日本の柔道界で活躍するようになりたいです。(-日本だけ?)じゃあ、世界で(笑)。」

【準々決勝】

菅原幸大○合技(2:14)△土田海也
岡田尚樹○優勢[有効]△小畑大樹
吉野天成○優勢[技有]△金澤聡瑠
宮本和志○体落(2:18)△島本真司郎

【準決勝】

菅原幸大○内股(1:09)△岡田尚樹
吉野天成○GS有効(GS0:44)△宮本和志

【決勝】

吉野天成○優勢[有効・裏投]△菅原幸大

■ 81kg級・井上太陽がパワフルな戦いぶりで激戦階級制す
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81kg級決勝、井上太陽が大槻大志を抱え上げて移腰

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見事決まって「有効」

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井上は以後も釣り手で相手の帯を掴んで強気の攻めを連発

【決勝】

井上太陽(津島中・愛媛)○優勢[有効]△大槻大志(鎮西中・熊本)

決勝は井上、大槻ともに右組みの相四つ。井上は釣り手を上から入れていきなり右釣腰の大技、これは取りきれなかったが、感触を得たかさらに釣り手をクロスに入れる強気の組み手で意気軒高。この攻防は大槻が抱き返して相手の体を場外まで送り出し「待て」、経過時間は34秒。

対抗せんと大槻は取り味のある右大外刈を放つが、井上は自身の巻き込みに吸収して投げ返し、これも双方取りきれず。経過時間は57秒。

続くシークエンスでは井上が引き手で襟、釣り手で奥を握って相手を寄せ、角度をつけると体を進めて裏投の大技。大槻は大きく崩れ、直後の1分12秒大槻にのみ「指導1」が宣告される。

これに奮起した大槻は右釣込腰で勝負に出る。しかし井上腹を出して抱え上げると体を入れ替え、移腰の大技で左に投げ返す。死に体となった大槻回避出来ず転がり「有効」、経過時間は1分29秒。

この息詰まるパワーファイトに自信を得たか、直後井上は釣り手で上から帯を掴み、相手の頭を下げさせると振り回して膝をつかせ横三角。これは取りきれなかったが、以後も奥襟を掴んでの右釣込腰を放ってその強気はさらに加速。

大槻これを見て一計を案じ、井上の釣り手の襲来に合わせて左一本背負投。これで首尾よく大槻を崩すと果敢に寝技を挑むがこれで時間を消費してしまい「、待て」が宣告された時には残り時間僅か16秒。大槻逆転を狙って突進するが井上ははたき込んでいなし、タイムアップのブザーを聞く。一貫してパワフルな柔道を貫いた井上が、見事28年度全国中学大会王者の座を射止めることとなった。

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81kg級優勝の井上太陽

【入賞者】

優 勝:井上太陽(津島中・愛媛)
準優勝:大槻大志(鎮西中・熊本)
第三位:大竹龍之助(大成中・愛知)、柴田利樹(津沢中・富山)
第五位:竹嶌真慧(京都学園中・京都)、船越雄斗(北島中・徳島)、小林翔太(安田学園中・東京)、田邉夢叶(郡山第六中・福島)

井上太陽選手のコメント
「優勝は狙っていました。部活動の他にもクラブでも一生懸命稽古をやってきて、練習量に自信があったのできっと勝てると思っていました。大野将平選手のような、しっかり持って豪快に投げる柔道が理想です。将来は国際的な選手になって活躍したいです」

【準々決勝】

大竹龍之助○大外返(0:16)△竹嶌真慧
大槻大志○優勢[技有]△船越雄斗
井上太陽○優勢[有効]△小林翔
柴田利樹○優勢[有効]△田邉夢叶

【準決勝】

大槻大志○優勢[有効]△大槻大志
井上太陽○反則(2:43)△柴田利樹

【決勝】

井上太陽○優勢[有効]△大槻大志

■ 90kg級・強者対決の決勝も完勝、森健心が一本勝ち連発で頂点極める
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90kg級準決勝、森健心は「有効」を得ると絞めを効かせながら三浦啓瑚を抑え込む

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準々決勝、寺島悠太が武内祐乙から内股「一本」

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森と寺島による90kg級決勝

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森が内股透で「技有」を獲得

【決勝】

森健心(松原中・福岡)○合技(1:56)△寺島悠太(北辰中・石川)

ともに素晴らしい柔道で会場を魅了した強者2人が過たず勝ちあがり、決勝8試合の中でも屈指の好カードが実現。

九州ブロック王者の森は2回戦で貞廣龍翔(高川学園中・山口)を電光石火の払釣込足「一本」(0:43)に仕留めて大会をスタート。3回戦は西岡拓音(田上中・滋賀)をこれも鮮やかな払釣込足「一本」(0:54)、準々決勝は鈴木直登(四倉中・福島)から「有効」「技有」と連取した末に背負投「一本」(1:29)で勝利。準決勝は三浦啓瑚(大成中・愛知)を上四方固「一本」(1:48)に仕留めて全試合一本勝ちで決勝進出決定。

一方の寺島も前評判に違わぬ勝ちあがり。初戦はもと小学生王者の秦七伎(市川第七中・千葉)に「指導2」の優勢による勝利だったが、以後は橋口佳尚(吉野中・鹿児島)から大外刈「一本」(0:18)、武内祐乙(箕島中・和歌山)から内股「一本」(1:03)で勝利し、準決勝では3回戦で鈴木郷生(国士舘・東京)に「指導2」で勝利している平山才稀(五所川原一中・青森)と対戦。懐深く受けの柔らかい平山に寺島の相手を無理やり固定するような力強い技が通用するかが見ものであったが、大内刈を押し込んで鮮やかに「一本」(1:28)で突破。3戦連続の一本勝ちで堂々決勝の畳へと乗り込んで来た。

決勝は森が左、寺島が右組みのケンカ四つ。序盤は森が左体落、寺島が右大内刈で攻め合うが互いに引き手不十分で決め切れず。寺島が右釣り手を振って内股、大外刈と狙うが森はしっかり耐えて揺るがない。1分13秒に寺島が放った右体落も森が場外へと体を運んで「待て」。

寺島が右大外刈、右内股と放ち、さらに再度の右内股のアクションを起こしたところで森が素早く体を捌いて内股透。寺島転がってこれは「技有」。森はそのままガッチリ崩上四方固に抑え込み、1分56秒主審は合技の「一本」を宣告。森がみごと全試合一本勝ちで全国中学校柔道大会制覇を決めた。好選手続出の今大会にあってもまさしく出色、素晴らしい資質を見せての優勝だった。

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90kg級優勝の森健心

【入賞者】

優 勝:森健心(松原中・福岡)
準優勝:寺島悠太(北辰中・石川)
第三位:平山才稀(五所川原一中・青森)、三浦啓瑚(大成中・愛知)
第五位:佐藤良平(磐梨中・岡山)、武内祐乙(箕島中・和歌山)、鈴木直登(四倉中・福島)、岩永洸輔(九州学院中・熊本)

森健心選手のコメント
「得意技は足技です。決勝も2、3度行ってみたのですがちょっと決まりませんでした。しっかり組んで投げる柔道が理想と考えています。大野将平選手が憧れ、将来は大野選手みたいにしっかり組んで『一本』を取る柔道がしたいです。」

【準々決勝】

平山才稀○優勢[指導3]△佐藤良平
寺島悠太○内股(1:03)△武内祐乙
森健心○背負投(1:29)△鈴木直登
三浦啓瑚○払腰(0:18)△岩永洸輔

【準決勝】

寺島悠太○大内刈(1:28)△平山才稀
森健心○上四方固(1:48)△三浦啓瑚

【決勝】

森健心○合技(1:56)△寺島悠太

■ 90kg超級・斉藤立が福永夏生との『全試合一本』対決制して初優勝
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90kg超級2回戦、斉藤立が大橋洸俊から僅か17秒の内股「一本」

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90kg超級準決勝、斉藤立が山野井爽から大外刈「一本」

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90kg超級準決勝、福永夏生が道下新大から払腰「一本」

【決勝】

斉藤立(上宮中・大阪)○GS指導3(GS2:16)△福永夏生(大蔵中・福岡)

優勝候補と目された2名がともに全試合一本勝ちで決勝に進出。

斉藤立は他を全く寄せ付けず。その勝ちあがりは2回戦で大橋洸俊(七尾東部中・石川)を開始17秒の内股「一本」、3回戦では中村朝陽(八戸湊中・青森)を内股と崩袈裟固の合技「一本」(0:40)、準々決勝は大型選手の井上直弥(姫路灘中・兵庫)を払腰「一本」(1:01)、準決勝では山野井爽(埼玉栄中・埼玉)から「有効」を奪った末に大外刈でこれも「一本」(2:06)とまさしく圧倒的。

一方の福永夏生は2回戦で岡本泰崇(上板中・徳島)を合技「一本」(1:13)、3回戦で澤田智大(朝日中・富山)を払巻込「一本」(2:13)、準々決勝は八木力斗(京都学園中・京都)を袈裟固「一本」(1:00)に仕留め、準決勝は道下新大(国士舘中・東京)との大消耗戦の末、GS延長戦58秒の組み際に見事な払腰を決めて「一本」。こちらも投げにこだわった素晴らしい勝ち上がりを見せての決勝進出。

決勝は斉藤が左、福永が右組みのケンカ四つ。この試合は左右の内股の応酬となり、双方が片手で一息入れた形となった59秒両者に片手の咎による「指導1」。さらに双方の内股の撃ち合いが一旦止んだ1分31秒にも両者に「指導2」が与えられる。

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決勝、斉藤は内股の撃ち合いから抜け出して左大外刈で勝負に出る

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GS延長戦、福永が得意の払腰も組み手の有利を得た斉藤は揺るがず

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斉藤がケンケンの大内刈で福永を追い、直後「指導」が宣せられて試合は決着

とはいえ消極ゲームでは全くなく、斉藤は内股のほか1分半過ぎには思い切った左大外刈、2分過ぎには左体落と勝負技を次々繰り出し、福永も得意とする組み際に首を抱えながら放つ右払腰で度々これはという場面を作り、勝負はいささかの予断も許さず。

残り数秒、福永が手立てを変えて抱き着きの大内刈を企図するが斉藤が間合いに入れず突き放たところでタイムアップ。試合はGS延長戦へと縺れ込むこととなる。

延長戦も双方の撃ち合い。しかし徐々に斉藤が積極的に引き手を持ち、福永が得意の払腰を組み手の不利の打開として利用するという構図が見え始める。福永が二段の小外刈を放ち、これを斉藤がケンケンの左内股に吸収、しかし福永が振り返すというGS1分22秒の攻防の後はこの構図がさらに加速。直後斉藤が左体落で福永を大きく崩すと、以後は斉藤が一方的に引き手で袖を持つ絵が常態化する。

GS1分55秒、完璧に引き手の袖を確保した斉藤がケンケンの大内刈を試みると福永場外に逃れて「待て」。さらに斉藤一方的に袖を確保して左体落、福永は引き手を切って難を逃れる。

斉藤再び袖を確保すると福永腕を振って切ろうとするが斉藤は押し込んであくまでこれをさせず、次いで支釣込足。さらに振られた福永の戻りに左内股を合わせると主審は「待て」を宣告して合議を持つ。直後のGS2分16秒福永に「指導」が宣告されて熱戦に幕、斉藤の全国中学大会初優勝が決まった。会場の拍手がしばし鳴りやまぬ大熱戦だった。

思わず両手を突き上げた斉藤は主審に注意されると身を縮めて手を合わせて謝罪、まだまだ幼いところを見せたが、繰り広げた柔道も生のままの良質なもの。団体戦から通して全試合一度も巻き込みという安易な選択を為さずにしっかり持った投げを志向し、この決勝では福永の猛攻に気持ちが一度も引くことがなかった。まだ巨体を支える足腰が出来ておらず、筋肉よりは柔軟性で運動を支えている印象であり将来の可能性に言及することは早すぎると思われるが、過度に大人びた柔道を志向して自ら伸びしろを縮めるような柔道を繰り広げる選手が多い中学カテゴリにあって、少なくとも「これから伸びる」可能性のある、伸びやかな柔道を繰り広げているということは間違いない。大型選手にありがちな気の弱さを峻拒しあくまで攻め続けた決勝は精神的にも高く評価されるべき。成長楽しみな大器である。

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90kg超級優勝の斉藤立

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準々決勝、斉藤立が井上直弥から払腰「一本」

【入賞者】
優 勝:斉藤立(上宮中・大阪)
準優勝:福永夏生(大蔵中・福岡)
第三位:山野井爽(埼玉栄中・埼玉)、道下新大(国士舘中・東京)
第五位:井上直弥(姫路灘中・兵庫)、下橋颯斗(鷹岡中・静岡)、宮本聖矢(安佐中・広島)、八木力斗(京都学園中・京都)

斉藤立選手のコメント
「しっかり持って、胸を張って戦おうと思って試合に臨みました。それがきちんと出来たと感じています。得意技は大外刈、内股、体落、大内刈・・・(-いっぱいありますね?)はい(笑)。普段は全然緊張しないタイプなんですが、決勝では初めて緊張しました。狙っていたタイトルなのでとてもうれしいです。全中優勝だけを目指して取り組んできました。将来の夢は、オリンピックの金メダルです」

【準々決勝】

斉藤立○払腰(1:01)△井上直弥
山野井爽○送襟絞(0:51)△下橋颯斗
道下新大○優勢[有効]△宮本聖矢
福永夏生○袈裟固(1:00)△八木力斗

【準決勝】

斉藤立○大外刈(2:09)△山野井爽
福永夏生○GS払腰(GS0:58)△道下新大

【決勝】

斉藤立○GS指導3(GS2:16)△福永夏生


取材・文:古田英毅

※ eJudoメルマガ版8月26日掲載記事より転載・編集しています。

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