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第65回インターハイ柔道競技・男子個人戦マッチレポート②(81kg級、90kg級、100kg級、100kg超級)

(2016年8月18日)

※ eJudoメルマガ版8月18日掲載記事より転載・編集しています。
第65回インターハイ柔道競技・男子個人戦マッチレポート②(81kg級、90kg級、100kg級、100kg超級)
■ 81kg級・笠原大雅が準決勝で怪物藤原崇太郎を撃破、決勝も試合勘の良さを披露し初優勝
【準決勝まで】

ベスト4まででとりわけ注目度の高かった試合は、今代、100kg級の飯田健太郎(国士舘高3年)と並ぶベストプレイヤーと目される藤原崇太郎(日体荏原高3年と元全国中学大会66kg級王者木崎光輝(松本第一高3年)が激突した準々決勝。国士舘高との幾度に渡る対戦で名勝負を残してきた藤原崇太郎と、大学生のような風体で他の選手とは一線を画す雰囲気を醸し出し、圧倒的な勝ち上がりで藤原との対決の舞台まで勝ち上がった木崎、畳に上がる両者には何か胸に秘めるところがあるのは表情から明らか。

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81kg級準決勝、笠原大雅が藤原崇太郎の払腰を返して2つ目の「有効」を奪う

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1回戦、奥田將人が国東高・和泉川武蔵の内股を隅落で返して「技有」を奪う

この一戦は、序盤に木崎が内股で二度藤原を浮かし先に「指導1」でリード。しかし、藤原がここで奮起、肩車「有効」を奪いそのまま寝勝負に移行。藤原が木崎を国士館返しでめくりに行くが木崎も意地で耐えながら藤原に覆い被さり不十分ながら木崎が縦四方固で抑え込む。場内に完成と悲鳴が交錯、しかし万事休したかに思われた藤原は持ち前の火事場の馬鹿力を発揮し懸命に逃げると、どころか逆に体を入れ替え後袈裟固で抑え込み一本勝ち。まさしく意地と意地のぶつかり合いであったが、これまで高校、ジュニアとありとあらゆるタイトルを獲って来た藤原のプライドが上回った形。非常に見応えのある試合であった。

結果ベスト4に勝ち残ったのは藤原のほか、笠原大雅(天理高3年)、奥田將人(京都学園高2年)、そして焼谷風太(埼玉栄高3年)といういずれも実績、実力ともに十分の錚々たるメンバー。

3月の全国高等学校選手権の決勝カードの再現となった藤原と笠原の準決勝は、笠原が序盤に組み手で優位を確保すると、続く展開で藤原が組み際を狙って思い切りの良い大内刈。しかし笠原がこれを空振りさせると勢い余った藤原横転し痛恨の「有効」失陥。笠原はその後藤原の猛攻をしっかり捌いて試合を進め、残り1分12秒には藤原の払腰を返して「有効」を追加。藤原必死の追撃を「指導3」までに抑えて最後まで戦い切り、みごと決勝進出決定。団体戦で決勝まで戦い抜いた藤原に疲労があったことは否めないが、それ以上にここまで対戦を重ねに重ねて来た笠原の側に一種の「藤原慣れ」があったという印象。怖じずにしっかり展開を見つめた、落ち着いた試合ぶりだった。

もう一方の準決勝は今季の全日本カデ王者である2年生の奥田が埼玉栄高の中量級ポイントゲッター・焼谷から内股で「一本」を奪い、決勝へと駒を進めた。

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決勝戦、笠原が奥田の大外刈を隅落で返す

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「指導1」のビハインドを負う奥田が終了間際、起死回生の「飛び付き十字」を狙う

【決勝】

笠原大雅○優勢[指導2]△奥田將人

笠原、奥田ともに左組みの相四つ。両者引き手で前襟を突いてから釣り手を奥襟に入れるという相似の手順で組み合うと、双方中心点をずらした相四つ横変形の形が現出。序盤は両者がともに様子見に出て動き少なく、1分が経過したところで双方に消極的「指導1」が与えられる。

ここから試合は動き始め、奥田が笠原に形を作らせる前に先んじて左大外刈で攻め込むと、笠原は間合いをとりながら奥田の裏に回りこんで隅落で返しを狙う。地力が高くインサイドワークが巧みな笠原に対して、奥田が先んじて仕掛け積極的に「際」を作るというこの時間帯の攻防に試合の様相は端的。以降も奥田が先んじて間合いを詰めて勝負技を仕掛け、笠原はそれを潰しながら試合の趨勢を見極め、頃合良く左内股を仕掛けて攻勢を演出するという展開が続く。

残り1分40秒を過ぎると、奥田は、自身の仕掛けた大外刈が笠原の隅落によってことごとくポイント失陥寸前のピンチに変換されてしまうことで、やや手詰まり状態となる。笠原は奥田に迷いが生じたこの機を逃さず左内股を連発し山場を作る。そして残り41秒、笠原が引き手で奥田の釣り手を抑え裏に回って押し込むと、「待て」。気付けば1分近く技が出ていない奥田に決定的な2つ目の「指導」が与えられる。

直後奥田が組み際に「跳び十字」で打って出るが笠原は持ち上げて回避。残り22秒にはスクランブルを掛けた奥田が両襟を確保、左大内刈で刈り足を差し込み左内股に繋ぐが、しかしこれも笠原が股中で潰して処理。この時点で残り時間は僅かに10秒、笠原は距離を取って残りの時間を消費し、無事に試合終了のブザーを聞く。

結果、「指導1」の優勢を以って笠原の勝利が決定。
高校カテゴリ3年間に渡って同世代のスーパースター・藤原崇太郎を倒すことに注力し、遂にそのミッションを達成せしめた試合力の高さをこの決勝でも存分に発揮、笠原大雅が悲願の高校日本一の座に輝いた。

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81kg級優勝の笠原大雅

【入賞者】

優勝:笠原大雅(天理高3年)
準優勝:奥田將人(京都学園高2年)
第三位:藤原崇太郎(日体荏原高3年)、焼谷風太(埼玉栄高3年)
第五位:木崎光輝(松本第一高3年)、田中大地(大成高3年)、溝口琢海(水戸啓明高3年)、遠藤公太(若松商業高3年)

笠原大雅選手のコメント

「団体日本一を一番の目標にしていたが3位に終わってしまい、本当に悔しかった。個人こそは絶対日本一になると気持ちを切り替えて戦いました。(藤原選手との対戦となった)準決勝では、いかに先に良い組み手を作れるかを考えて作戦を練ってきました。その作戦が当たって勝つことが出来たと思います。全国タイトルよりも藤原選手に勝つことの方が大事でした。時々雑誌で藤原選手の写真を見返して、悔しい気持ちを忘れないようにしていました(笑)。今後は国際大会で活躍できるように頑張りたい。あと、大学でも藤原選手と対戦すると思いますが、負けないようにしたいです。」

【準々決勝】

藤原崇太郎(日体荏原高3年)○後袈裟固(2:41)△木崎光輝(松本第一高3年)
笠原大雅(天理高3年)○縦四方固(4:11)△田中大地(大成高3年)
奥田將人(京都学園高2年)○優勢[有効]△溝口琢海(水戸啓明高3年)
焼谷風太(埼玉栄高3年)○優勢[指導1]△遠藤公太(若松商業高3年)

【準決勝】

笠原大雅○優勢[有効・出足払]△藤原崇太郎
奥田將人○内股(1:48)△焼谷風太

【決勝】

笠原大雅○優勢[指導2]△奥田將人

■ 90kg級・長井晃志が戴冠、劇的な逆転一本勝ちで決勝を制す
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90kg級3回戦、村尾三四郎が左大外刈から右小外掛に繋いで阿部拓馬から「技有」を奪う

【準決勝まで】

昨年の全国中学校大会王者村尾三四郎(桐蔭学園高1年)は3回戦でこの日絶好調の阿部拓馬(新庄高3年)から左大外刈から右小外掛の連絡技で「技有」を奪って優勢勝ちを収めるが、準々決勝では東海大仰星高のエース深山将剛(東海大仰星高3年)に力の差を見せ付けられ「指導2」失陥で敗退。技の切れ味が高校カテゴリでも通用することを証明したが、深山戦で見せた試合後半のスタミナ切れと体の線の細さの克服が今後の課題。

この深山を打倒したのが森部篤知(大成高3年)。続く準決勝で、深山から払巻込で「有効」を先取するとその必死の追撃を「指導3」までに抑えて優勢勝ち、見事決勝進出を決めた。

反対側の山は日体荏原高のレギュラー・長井晃志(日体荏原高3年)が順当に準決勝まで勝ち上がる。迎えた準決勝では、3回戦で今年度の全日本カデ体重別選手権2位の仲尾航介(天理高3年)を破って勝ち上がった昨年度大会の準優勝者・森近唯(崇徳高3年)から試合終了間際の一本背負投で「有効」を奪って優勢勝ち。しぶとく決勝まで駒を進めて来た。

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決勝戦、森部篤知の小外掛は豪快に決まったと思われたが「技有」止まり

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長井晃志は釣り手一本で右背負投を仕掛ける

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長井の大外刈に森部が吹き飛ぶ

【決勝】

長井晃志○大外刈(2:52)△森部篤知

長井が右、森部が左組みのケンカ四つ。長井は前襟を先に掴んで得意の右背負投に必要な空間を確保しようと試みるが、心得た森部は釣り手を上から入れて距離を潰し、左内股で攻める。

40秒、森部が早くも一計を案じ、長井が前襟を確保しようと伸ばした釣り手を両手でキャッチ、次いで釣り手を背中に回してケンカ四つクロスの形で距離を潰すと引き手を長井の首に回しながら左小外掛、長井を抱え込んだまま相当な勢いを持って畳に倒れ込む。主審は迷わず「一本」を宣告するが、長井は辛うじて背中を捩り半身で着地しており、副審二人は「技有」をアピール、判定はすぐに訂正され長井は命拾い。首の皮一枚で畳内に残った形となる。

残り3分を残してもはや攻めるしかない長井は、釣り手を得ると迷わず釣り手をたたんで距離を詰め片手の右背負投で森部を背中に乗せる。森部は何とか耐えるが、気持ちが切り替わっていないのは明らか。心は既に守りに入ろうとしているが組み手は依然背中を抱える攻撃志向のスタイルのままという、意思と行動がアンバランスな状態で長井の攻めを受けてしまう。

1分40秒、長井が両襟で間合いを詰め、右一本背負投に飛び込む。森部は長井の背中を抱えて左小外掛で返しを狙うが、長井はバランスを崩しながらも巻き込んで「技有」奪取。これで森部のスコア上の優位が消え去ると試合の流れは完全に長井の手中に収まる。

勢いに乗った長井は再三片手の右背負投で攻め森部の意識を背負投に固定すると、2分52秒には、釣り手をたたむ背負投の予備動作から意表を突く右大外刈。横方向に崩されて膝を刈り留められた森部にはもはやこれを残せるリソースはなく、横っ飛びに回転し畳に埋まる。これは文句なしの「一本」、長井が劇的な逆転勝利で優勝を決めた。

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90kg級優勝の長井晃志

【入賞者】

優勝:長井晃志(日体荏原高3年)
準優勝:森部篤知(大成高3年)
第三位:深山将剛(東海大仰星高3年)、森近唯(崇徳高3年)
第五位:吉野弘人(延岡学園高2年)、村尾三四郎(桐蔭学園高1年)、横内晋介(日川高3年)、高橋佑人(北海高3年)

長井晃志選手のコメント

「昨年は途中で負けてしまったので、今年は優勝出来て嬉しいです。連日の試合で疲れもありましたが、団体戦の決勝で自分が負けてしまったので、その悔しさを晴らそうと頑張りました。試合では決勝では先に「技有」を奪われて大変でしたが、取り返そうとしていると相手が弱気になっているのが分かったので最後まで守らずに攻め抜きました。藤原崇太郎(日体荏原高3年)が準決勝で負けてしまったので藤原の分も頑張る気持ちでした。将来は大学日本一になり、日本代表として活躍したいです。」

【準々決勝】

森部篤知(大成高3年)○合技(0:38)△吉野弘人(延岡学園高2年)
深山将剛(東海大仰星高3年)○優勢[指導2]△村尾三四郎(桐蔭学園高1年)
長井晃志(日体荏原高3年)○優勢[指導1]△横内晋介(日川高3年)
森近唯(崇徳高3年)○優勢[有効]△高橋佑人(北海高3年)

【準決勝】

森部篤知○優勢[有効]△深山将剛
長井晃志○優勢[有効]△森近唯

【決勝】

長井晃志○大外刈(2:52)△森部篤知

■ 100kg級・団体個人通じて12戦オール一本勝ち、飯田健太郎が格の違い見せる
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100kg級準決勝、空辰之輔が山下魁輝に「やぐら投げ」

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準々決勝、飯田健太郎が華麗な内股で京都学園高の井口大毅を宙に舞わす

【準決勝まで】

ベスト4に進んだのは空辰之輔(崇徳高3年)、山下魁輝(木更津総合高3年)、関根聖隆(桐蔭学園高2年)、飯田健太郎(国士舘高3年)。実力者4人が順当に勝ち上がった形。飯田健太郎は初戦から、内股(0:20)、内股(2:50)、内股(1:04)と圧巻の奪「一本」ショーを披露しての勝ち上がり。

空と山下の準決勝は、互いの意地と柔道スタイルがかち合って密着からの壮絶な打ち合い。最後は空が残り52秒いわゆる「櫓投げ」の形で山下を抱え上げておいての内股で「技有」を奪って優勢勝ち。見事、決勝進出を決める。

もう一方の準決勝では大本命飯田が関根を僅か22秒、片羽絞「一本」で屠り、見事オール一本勝ちでインターハイ個人団体「2冠」、そして個人戦の2連覇に王手をかける。

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決勝戦、空は引き手を飯田の脇に差して接近戦を挑む

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飯田の電光石火の内股が炸裂

【決勝】

飯田健太郎○内股(1:45)△空辰之輔

両者ともに右組みの相四つ、しかし、一度軽く手を合わせると、空はいきなり左構えに変化、引き手から体ごと突っ込み左手を飯田の脇に差して背中を抱きに行く。飯田は両襟を突っ張り距離を取りつつ右小内刈、これは空が膝を畳に着いて「待て」。空は捨て身で距離を詰め、得意の密着で無理矢理「際」を作ることに可能性を見出そうと試みる。

しかし次の展開で飯田はあっさりと釣り手で奥襟、引き手で袖を得ると、空に密着させることを許さず左小外刈、右小内刈、左小外刈と流れるような連絡技で空を転がし「有効」奪取。そのまま寝技に移行すると、腕挫腹固を晒しながら横四方固を狙う。空は必死に逃げて「待て」。この時点で経過時間は1分18秒、もはや空は密着することすら叶わず早くも手詰まり状態。

1分30秒、飯田は再び二つ持つと上半身を蛇腹のように動かし、空との間合いを自在に操る。明らかに何かを狙い澄ましている雰囲気に会場の視線が否応なく飯田の一挙一動に集中。飯田は右足を外側から空の方に寄せる、一瞬右小外刈で崩しに掛かるか、と想起されたその瞬間、飯田が左足を継いで身を翻す。右内股、と認識した時点で空の体は高く宙に浮き上がり畳に沈んでいた。まるで日本刀の試し斬りを見ているかのような右内股一閃、これは鮮やかな「一本」。匕首を握りしめて懐に突っ込んで来た刺客を、剣豪が一歩間合いを変えるなりに斬り伏せたという体。

試合時間は僅か1分45秒。これがインターハイの決勝戦だということがにわかに信じ難い圧倒的な試合展開、そして芸術的な内股による決着であった。飯田は団体戦を含めた全12試合をオール一本勝ちという凄まじい内容で大会をフィニッシュ。見事個人戦2連覇と、今年度団体個人「二冠」達成を決めた。

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100kg級優勝の飯田健太郎

【入賞者】

優勝:飯田健太郎(国士舘高3年)
準優勝:空辰之輔(崇徳高3年)
第三位:山下魁輝(木更津総合高3年)、関根聖隆(桐蔭学園高2年)
第五位:臼井哲平(羽黒高2年)、中原翔大(倉吉北高3年)、山口陸人(四日市中央工高3年)、井口大毅(京都学園高3年)

飯田健太郎選手のコメント

「3月の全国高等学校選手権で負けてから団体でも個人でも全国で優勝できるように意識が高まった。本当は(団体戦で)3冠を獲りたかったですが仕方ないです。今日の個人戦6試合、悪いところは正直なかったです。朝から緊張もしませんでしたし、疲れは溜まっていましたが厳しい稽古としっかり食事を摂る生活を積んできたのでスタミナの心配もありませんでした。逆に力が抜けていい動きが出来たと思います。(得意技の内股に誰か手本とした選手はいますか?)いや、特にはいません、自分の内股です。(これからの目標は?)ここで満足せずに一歩一歩着実に力をつけて講道館杯、グランドスラム東京と狙います。(2020年の東京五輪は?)あっという間に来ると思ってます。意識しつつ、コツコツ練習して最終的にはもちろん目指します。」

【準々決勝】

空辰之輔(崇徳高3年)○優勢[指導2]△臼井哲平(羽黒高2年)
山下魁輝(木更津総合高3年)○合技(1:42)△中原翔大(倉吉北高3年)
関根聖隆(桐蔭学園高2年)○背負投(1:29)△山口陸人(四日市中央工高3年)
飯田健太郎(国士舘高3年)○内股(1:04)△井口大毅(京都学園高3年)

【準決勝】

空辰之輔○優勢[技有]△山下魁輝
飯田健太郎○片羽絞(0:22)△関根聖隆

【決勝】

飯田健太郎○内股(1:45)△空辰之輔

■ 100kg超級・磯村亮太が意地の戦い、無差別王者蓜島剛を下し初優勝決める
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100kg超級準決勝、蓜島剛の小内刈に星野太駆は出足払を合わせる

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磯村亮太の準決勝、長岡季空を内股で攻める

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準々決勝、星野と松村颯祐の注目対決は、星野が「指導2」優勢勝ちで接戦を制す

【準決勝まで】

好選手が集うトーナメントを勝ち上がり準決勝に残ったのは、星野太駆(作陽高3年)、蓜島剛(埼玉栄高3年)、磯村亮太(国士舘高3年)、長岡季空(崇徳高2年)の4人、各々が準決勝までに一つ山場を超えた形でのベスト4入り。

星野は準々決勝で、3回戦で今季の関東ジュニア覇者の草間優登(東京学館浦安高3年)から「技有」を奪って勝利した開催地島根県の強者・松村颯祐(開星高2年)との対戦を「指導2」優勢勝ちで制しての準決勝進出。

優勝候補筆頭の蓜島は準々決勝で九州ジュニア王者の西村将樹(大牟田高3年)を横四方固(4:20)で下して勝ち上がりを決めて来た。

磯村の準々決勝の相手は3回戦で開星高の二枚看板を担う河野壮登(開星高3年)を下した川井康平(静岡学園高3年)という強敵だったが、この試合に横四方固(1:46)で勝利し、オール一本勝ちという素晴らしい出来でのベスト4進出。

長岡は田中慎太郎(天理高3年)、辻湧斗(東海大相模高3年)との対戦をそれぞれ「有効」、GS延長「有効」優勢で粘り強く切り抜けて、しっかりベスト4まで勝ち上がって来た。

蓜島と星野の準決勝は、両者「指導3」同士のタイスコアでGS突入という消耗戦。GS延長1分9秒に星野が場外に出ると、場外の咎で4つ目の「指導」が宣告されて決着。星野の反則負けと蓜島の勝ち上がりが決まった。今大会、試合終盤に集中力が切れる傾向にあった蓜島はこの試合もGSに入ってから明らかに消耗した様子を覗かせていたが、ここが勝負どころと必死で畳に居残った。大本命のプレッシャーをはねのけて、無事決勝進出決定。

もう一方の準決勝では磯村と長岡が対戦、磯村が残り1分からラッシュを掛けて最後は内股「一本」(3:30)。見事オール一本勝ちで決勝まで勝ち上がり、優勝候補筆頭・蓜島への挑戦権を得た。

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決勝戦、GS延長戦、磯村が大内刈で蓜島を攻める

【決勝】

磯村亮太○GS優勢[指導2](GS0:40)△蓜島剛

磯村、蓜島ともに右組みの相四つ。
双方が引き手で前襟を突き合い、次いで釣り手で奥襟を確保。蓜島は引き手を袖に持ち替え磯村の釣り手を落とし、形を作る。これに対して磯村は釣り手の肘を上げて右払巻込を仕掛け展開を切ることを志向。組み合った状態からの一発の威力十分の蓜島に対して、磯村が先んじて技を仕掛けることで蓜島に形を作る時間を与えないという構図。

膠着状態が続き両者の技が止まった1分42秒、双方に「指導1」が与えられる。試合が中盤に差し掛かると、磯村は時間を経る毎に蓜島と組み合うことに対する恐怖心が薄れて来た模様。積極的に奥襟を叩くと蓜島は引き手で釣り手を落としに掛かるが、磯村は簡単には釣り手を離さず握ったまま抗し、蓜島が放つ右大内刈も腹を突き出して空振りさせ、さらに自身の右大内刈で応戦する。両者譲らぬまま試合が進み、ポイントの気配のないままあっという間に本戦4分間が終了。勝負はGS延長戦へともつれ込む。

迎えたGS延長戦、磯村は先に奥襟を確保すると意地でも離さぬ断固たる姿勢。対する蓜島も、形が出来上がればいつでも投げを狙うという意志を全く曲げない。しかし蓜島は如何せん磯村の釣り手が邪魔となって勝負技を仕掛けることが出来ず、具体的な攻撃は停滞。そして迎えたGS40秒、磯村が右大内刈を仕掛けながら釣り手を蓜島の頭に被せると、蓜島は思わず首抜きのミスを犯す。自身の首抜きに気付いた蓜島は一度は自ら頭を入れ直すが、再び磯村が釣り手を被せると、またもや反射的に首を抜いてしまう。主審はさすがにこれを見逃すわけにはいかず「待て」を掛け副審を呼ぶ。合議した末に下された判断は、蓜島の首抜き行為に対する決定的な2つ目の「指導」。磯村が延長戦の末「指導2」対「指導1」の優勢で勝利、先の見えない接戦を制し優勝を決めた。

磯村は常勝軍団・国士舘高の主将。3冠を成し遂げた前代からレギュラー3人が残った最強チームのまとめ役というプレッシャーを常に背負ってきた。団体戦では同学年のスター・飯田健太郎の活躍、後輩が見せる勇姿を眼前に突き付けられながら、かつシーズン序盤の12月に肘を脱臼し、それでも副将という厳しい位置に座って打倒国士舘を掲げる強豪校のエース格と戦い続ける日々。今大会のまとめであったはずの団体戦の決勝でも一本負けを喫するなど、求められた仕事を全う出来なかった事も少なくなく、抱えてきた苦悩は測り知れない。この決勝でも純粋な柔道の実力は蓜島が上をいっていたように思われた。しかし磯村が乗り越えた苦悩の数々が少しづつ勝利に必要なものとして積み上がり、最後の最後で蓜島を追い抜いたと総括すべきだろう。GS延長戦の大消耗戦の末に勝利を手にした磯村が発した小さな雄叫びは、この尋常ならざる苦悩ゆえに、非常な説得力を持っていた。

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【入賞者】

優 勝:磯村亮太(国士舘高3年)
準優勝:蓜島剛(埼玉栄高3年)
第三位:星野太駆(作陽高3年)、長岡季空(崇徳高2年)
第五位:松村颯祐(開星高2年)、西田将樹(大牟田高3年)、川井康平(静岡学園高3年)、田中慎太郎(天理高3年)

磯村亮太選手のコメント

「自分は上がり症で練習でやってきたことが試合で上手くできず、チームに迷惑を掛けてきました。団体戦の決勝では(後輩の)清水が関節を極められても参ったしなかったことでチームが燃えました。でも自分が負けて(大将の)飯田に頼る結果になってしまった。個人戦は頑張ろうと思っていたので、勝てて嬉しいです。チームをまとめることは本当に難しかったですが、(昨年12月の黒潮旗武道大会で)肘を怪我したことで人間的に大きくなることが出来たと思います。尊敬している人は山田伊織(国士舘大1年)先輩。いつも打ち込みの受けをしてきて勉強させてもらいました。将来は全日本選手権で勝って、世界で活躍出来る選手になりたいと思います。」

【準々決勝】

星野太駆(作陽高3年)○優勢[指導2]△松村颯祐(開星高2年)
蓜島剛(埼玉栄高3年)○横四方固(4:20)△西田将樹(大牟田高3年)
磯村亮太(国士舘高3年)○横四方固(1:46)△川井康平(静岡学園高3年)
長岡季空(崇徳高2年)○GS優勢[有効](GS0:26)△田中慎太郎(天理高3年)

【準決勝】

蓜島剛○反則[指導4](GS1:09)△星野太駆
磯村亮太○内股(3:30)△長岡季空

【決勝】

磯村亮太○GS優勢[指導2](GS0:40)△蓜島剛


取材・文:原輝地

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