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リネールが五輪連覇、強さの絶対性薄れるも勝負に徹して決勝は原沢久喜を完封・リオデジャネイロ五輪柔道競技100kg超級

(2016年8月12日)

※ eJudoメルマガ版8月12日掲載記事より転載・編集しています。
リネールが五輪連覇、強さの絶対性薄れるも勝負に徹して決勝は原沢久喜を完封・リオデジャネイロ五輪柔道競技100kg超級
カリオカ・アリーナ(ブラジル・リオデジャネイロ)で行われているリオデジャネイロ五輪柔道競技は12日、最終日の男女最重量級が行われ、男子100kg超級はテディ・リネール(フランス)が優勝しロンドン五輪に続く大会2連覇を達成した。

リネールは2回戦でモハメドアミン・タヤブ(アルジェリア)に小外掛と崩袈裟固の合技で一本勝ち(1:07)、準々決勝は地元の大声援を受けたラファエル・シウバ(ブラジル)を浮技「技有」、準決勝はオール・サッソン(イスラエル)に大苦戦したがGS延長戦突入寸前の残り1秒に隅返で「技有」を奪い辛勝。決勝は戦前最大のライバルと評されていた原沢久喜(日本)を「指導2」対「指導1」で下して勝利を決めた。

3位にはサッソンとシウバが入賞した。第3シードのイアキフ・カモー(ウクライナ)はこの日本領を発揮した業師ルリー・クラコベツキ(キルギスタン)に支釣込足「技有」、横四方固「有効」、抱分「一本」と立て続けに失って2回戦敗退。ワールドマスターズを制した第6シードのダニエル・ナテア(ルーマニア)は持ち前の猪突猛進を控えた丁寧な柔道で勢いを失い、2回戦でアブドゥロ・タングリエフ(ウズベキスタン)に背負投で「技有」「一本」と立て続けに奪われて敗退。第7シードのバルナ・ボール(ハンガリー)は一貫して動きが悪く、2回戦でアレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)に「指導1」で敗れた。

入賞者と準々決勝のスコア、決勝ラウンド全試合と日本代表全試合の結果および寸評は下記。

■ 100kg超級
(エントリー31名)

【入賞者】
1.RINER, Teddy (FRA)
2.HARASAWA, Hisayoshi (JPN)
3.SILVA, Rafael (BRA)
3.SASSON, Or (ISR)
5.TANGRIEV, Abdullo (UZB)
5.GARCIA MENDOZA, Alex (CUB)
7.MEYER, Roy (NED)
7.KRAKOVETSKII, Iurii (KGZ)

【メダリスト】

優勝:テディ・リネール(フランス)
準優勝:原沢久喜(日本)
第3位:ラファエル・シウバ(ブラジル)、オ-ル・サッソン(イスラエル)

【準々決勝】

テディ・リネール(フランス)○優勢[技有・浮技]△ラファエル・シウバ(ブラジル)
オ-ル・サッソン(イスラエル)○優勢[技有・背負投]△ロイ・メイヤー(オランダ)
原沢久喜(日本)○反則[指導4](3:28)△アレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)
アブドロ・タングリエフ(ウズベキスタン)○背負投(1:55)△ユーリ・クラコベツキー(キルギスタン)

【敗者復活戦】

ラファエル・シウバ(ブラジル)○優勢[指導2]△ロイ・メイヤー(オランダ)
右相四つ。体格で大きく優るシウバが両襟で膠着を演出、要所で右内股を仕掛けることでメイヤーから「指導」を奪う。以降も膠着状態が続き、両者に「指導」が宣告。残り時間が1分を切ったところでメイヤーがスクランブルを仕掛けるも時既に遅し、「指導1」対「指導2」の優勢でシウバが3位決定戦進出を決めた。

アレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)○大内刈(3:25)ユーリ・クラコベツキー(キルギスタン)
ガルシアメンドーサが左、クラコベツキが右組みのケンカ四つ。序盤はお互いに腹の探り合い。ガルシアメンドーサが左払巻込で潰れる展開が続き、1分9秒クラコベツキのみに「指導」が宣告される。リードを許したクラコベツキは続く展開で得意に一旦腰を切り返しておいての右内股。ガルシアメンドーサが一瞬宙に浮くも、引き手が離れてしまいノーポイント。この一撃のインパクトは大きく、以降警戒したガルシアメンドーサがクラコベツキの脇を突いて距離を取る膠着状態が続く。最後は後がなくなったクラコベツキが組み際に仕掛けた右小外掛を、ガルシアメンドーサが左大内刈で切り返して「一本」。クラコベツキの技の切れ味にガルシアメンドーサの勝負強さと、共に持ち味を発揮した好試合。

【準決勝】

テディ・リネール(フランス)○優勢[技有・隅返]△オ-ル・サッソン(イスラエル)
リネールが右、サッソンが両組み。リネールはいつも通りまずは組み手で優位を作りにかかるが、サッソンは左右の組み手を駆使してこれを凌ぐ。袖さえ得れば得意の担ぎ技が放てるサッソンは手先を常に絡ませ、絡まんだ方から袖を絞るという好構成で担ぎの苦手なリネールに精神的な圧を掛ける。しかし試合時間1分26秒が経過したところでサッソンのみに組み合わない咎による「指導」宣告。リードを許したサッソンだが、続く展開で両袖からの乾坤一擲の左袖釣込腰。リネールの股中深くまで潜り込んだ一撃にリネールの体が一瞬浮くも両手が切れてしまい不発。リネールは前受け身の形でサッソンをまたいだまま倒れ、会場大いに沸く。以降リネールは事故を警戒してか、一転して逃げに転じる。サッソンの組み手を嫌ったリネールが場外に逃れるも何故か「指導」は宣告されず。さらに、続く展開でも同様の形でリネールが場外に自ら出てしまい「待て」。リネールは相手の手が目に入ったというジェスチャーでお茶を濁すが、流石に誤魔化しきれず自ら場外に逃れた咎で「指導」が宣告される。土壇場で勝負を振り出しに戻すことに成功したサッソンはここまでの勢いのままに攻撃傾向を継続する。両者ポイントの上積みが無いまま試合が進行するが、試合終了間際に一方的な組み手を作り出したリネール、逡巡ののちにサッソンの帯を掴んで浮技に打って出る。警戒感ゆえか相手の正面に倒れ込んでしまったが、相手の体がついてくるとみるや隅返の形に蹴り上げて再コントロール、終了のブザーと同時にサッソンが背中から畳に落ちて「技有」。大苦戦もリネールが決勝進出を決めた。

原沢久喜(日本)○反則[指導4](4:28)△アブドロ・タングリエフ(ウズベキスタン)
原沢が右、タングリエフが左組みのケンカ四つ。序盤は釣り手を持っての引き手の探りあい。原沢が右内股フェイントから右小外掛に切り返してタングリエフを畳に這わせるもノーポイント。続く展開でタングリエフに組み合わない咎で「指導」が宣告。原沢がリードを得るも、場外際の攻防で故意に場外に出たとして原沢に「指導」が宣告。すぐさま追いつかれる。しかし、この辺りからタングリエフがガス欠を起こし始め、タングリエフに組み合わない咎で2つ目の「指導」が追加される。奥襟と引き手を持てるようになった原沢は、右内股から右大内刈に繋いで決定的な「有効」を獲得。以降、完全にエネルギーの切れたタングリエフを原沢が奥襟を持って圧倒する展開が続き、タングリエフに立て続けに「指導」2つが宣告され「指導4」の反則で決着。タングリエフの消耗を見込んで後半勝負と見立てた原沢の慎重な戦略通りに手堅くシナリオが進行した試合。原沢、盤石の試合運びで決勝進出。

【3位決定戦】

ラファエル・シウバ(ブラジル)○優勢[有効・払巻込]△アブドロ・タングリエフ(ウズベキスタン)
シウバが右、タングリエフが左組みのケンカ四つ。序盤は組み手での圧殺を狙うシウバと、終盤の技一発に勝負を賭けたいタングリエフの思惑が噛み合い、ほとんど動きのないまま1分15秒両者に「指導」宣告。さらにシウバが足を出しながら前に出た1分58秒にはタングリエフに2つ目の「指導」が与えられる。リードを得たシウバは膠着志向を加速、両襟を持って返されない程度に足を出しながら前に出続ける。残り時間40秒過ぎ、タングリエフが右大外刈で勝負を掛けると、シウバは右払巻込で迎え打って決定的な「有効」を獲得。「指導」でアドバンテージを奪い、後がなくなった相手の技を返すという全盛期のシウバの柔道が集大成の試合で見事演じられた形。シウバ、地元開催のオリンピックで見事2大会連続の銅メダル獲得に成功。

オ-ル・サッソン(イスラエル)○優勢[指導2]△アレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)
サッソンが両組み、ガルシアメンドーサが左組み。サッソンは右組みに構えてケンカ四つの形で試合を構成。開始早々早くも左袖釣込腰でガルシアメンドーサを大きく崩す。お互いに引き手を探り合う展開が続き、サッソンが左一本背負投を仕掛けた直後の1分8秒、ガルシアメンドーサに「指導」が宣告される。以降もケンカ四つの形での膠着が続き、3分58秒には両者に消極的の咎による「指導」。ガルシアメンドーサはペースを上げて追いつきにかかるが、サッソンはまったく付き合わず試合終了。「指導1」対「指導2」の優勢で試合終了、サッソンが銅メダルを獲得した。

【決勝】

テディ・リネール(フランス)○優勢[指導2]△原沢久喜(日本)

右相四つ。試合が始まるなりリネールが猛然と原沢の奥襟を狙い、堪らず伏せて回避した原沢に首抜きの「指導」が与えられる。この間わずか8秒。ここから組み手の戦いが続き、十分な引き手を得たリネールが原沢をクロスグリップの形で潰した直後の1分3秒に原沢に極端な防御姿勢による「指導」が宣告される。試合時間を4分残して「指導2」をリードされる厳しい展開。しかし一方的な展開で「指導2」を得たリネールが、何故かここから守りに入る。これ以降は組み合いたい原沢と、組み負けることではなく組み合うこと自体を嫌がるリネールという不思議な構図が現出。原沢はひたすら前に出ながら組み合おうとするが、リネールは一切それに応じず組み勝てる形でも組み合わずに後退を続ける。残り時間は33秒、ついに組み合わないとしてリネールに「指導」が宣告される。ここに来てリネールの組むこと自体を嫌う傾向は一層加速。原沢は組み合おうと前に出続けるが、リネールを場外際に押し込んだところで「待て」。原沢に帯を掴んだとして不可解な「指導」が宣告される。すぐにこの「指導」は取り消しとなったが、リネールが原沢を隅返で引き込んだところで残り時間はわずか8秒。そのままリネールが逃げ切り2大会連続の金メダルを獲得した。

【日本代表選手勝ち上がり】

日本代表選手:原沢久喜
成績:準優勝

[1回戦]

原沢久喜○優勢[指導2]△アダム・オクルアシヴィリ(ジョージア)
原沢が右、オクルアシビリが左組みのケンカ四つ。原沢は片手の内股、支釣込足で崩し続ける手堅い試合構成。オクルアシビリが組み手を嫌い、59秒「取り組まない」咎で「指導1」を与えられる。原沢は以降も組み手争いで優位に立ち続け、右小内刈、右大内刈で攻めると4分29秒オクルアシビリに2つ目の「指導」。原沢がこのリードを守り優勢勝ち。

[2回戦]

原沢久喜○大内刈(3:29)△ウサンジ・コカウリ(アゼルバイジャン)
両者右組みの相四つ。序盤、コカウリが背中を取りながらの右大外刈で積極的に攻めると、原沢に消極的「指導1」が与えられる。決して二本持たせないコカウリの組み手パズルになかなか形が作れない原沢だが、3分29秒に少々手立てを変更。釣り手から得ると、ここで良しとばかりに引き手で袖の内側を抑えながら右大内刈、素早く追って投げ切り一本勝ち。しっかり準々決勝へと駒を進める。

[準々決勝]

原沢久喜○反則[指導4](3:28)△アレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)
原沢が右、ガルシアメンドーサが左組みのケンカ四つ。組み合って力の差を試合展開にきっちり反映させたい原沢と、組み合いたくないガルシアメンドーサという構図。原沢の引き手を嫌って組み合わないガルシアメンドーサにまず1分24秒最初の「指導」が宣告される。更に同様の形でガルシアメンドーサに1分48秒2つ目の「指導」が与えられ、引き手を得た原沢が右内股を仕掛けた直後の2分48秒には3つ目の「指導」。続く展開で原沢が引き手を得るとガルシアメンドーサは真っすぐ下がり、ガルシアメンドーサに4つ目の「指導」。波乱なく破綻なく、良くも悪くもみどころないまま試合決着。

※以降は上記試合記録と重複のため割愛します


文:古田英毅/林さとる

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