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【リオ五輪柔道競技完全ガイド】優勝圏内の強豪多数、”上がり目”捉えるのは誰か?・リオデジャネイロ五輪柔道競技100kg級展望

(2016年8月9日)

※ eJudoメルマガ版8月9日掲載記事より転載・編集しています。
【リオ五輪柔道競技完全ガイド】優勝圏内の強豪多数、”上がり目”捉えるのは誰か?・リオデジャネイロ五輪柔道競技100kg級展望
■ 階級概況
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100kg級戦力推測マップ。「手が届く」権利がある選手の数が多く、絶対的な強者は存在しない。

→「リオデジャネイロ五輪柔道競技完全ガイド」に戻る

魅力的な人材の多さ、濃さでは7階級中屈指。2014年チェリャビンスク世界選手権王者の「身長2メートルのオールラウンダー」ルーカス・クルパレク(チェコ)、逆にオールラウンダー全盛の現代柔道にあって「内股」という必殺技がそのまま代名詞となる2015年アスタナ世界選手権の覇者・羽賀龍之介。これぞアゼルバイジャン柔道という圧力と密着から「後の先」に圧倒的な力を秘めるエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)、いかにも白人ゲルマンのガキ大将タイプ、オーソドックスな腰技柔道に上から目線の試合構成を載せて己の力を増幅してくるカールリヒャード・フレイ(ドイツ)と代表的な優勝候補だけでもこれだけの名前が挙がる。

この100kg級参加者で、上記の優勝候補に2大会連続で世界選手権を制した選手はいない(※タギル・カイブラエフが参加するがこの人は「死んだふり」枠に入れるべきダークホースで正面切って名前を挙げることは公平さを欠く)。金メダルに手が掛かる資格のある選手がベスト8以上にずらりと並び、トーナメントを行うごとに勝者が変わるという認識で捉えておくべきではないだろうか。

他にもベテランの業師から新進気鋭の不確定要素タイプまで、あまりに多く面白い役者たちの特徴は以降で確認していただければと思うが、五輪特有の「大化け」を為しそうな選手としては、キューバ式背負投で2014年の世界選手権ただ1大会だけ凄まじい到達点を見せたホセ・アルメンテロス(キューバ)と、ロンドン五輪の覇者でここ2か月突貫工事の調整を試みているタギル・カイブラエフ、1年かからず100kg級にアジャスト、いままさに戦い方を掴んだばかりで1試合ごとにどんどん強くなっているベカ・グビシアシビリ(ジョージア)の名前を挙げておきたい。

■ 有力選手
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羽賀龍之介(日本)
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羽賀龍之介(日本)
HAGA Ryunosuke
25歳 1991/4/28
組み手:左 
WR7位
所属:(東海大相模高→東海大→)旭化成
得意技:内股

高校時代からその圧倒的な成績と勝ちぶりの良さで、将来の日本代表間違いなしと期待を集めた大物。
大学時代は怪我に苦しんだが2015年春のヨーロッパシリーズでブレイク、勢いをそのままに乗り込んだ8月のアスタナ世界選手権でついに世界一の座を射止めた。
100kg級は井上康生、鈴木桂治、穴井隆将らを輩出して来た日本のエース階級であり、復活の狼煙を上げたこの選手に掛かる期待は大きい。
武器はもはや代名詞となった左の内股。
誰もが「それしかない」と徹底警戒する中であくまで投げ切り、そして頂点に辿り着いたあの優勝劇の再現なるか。

【おもな戦績】
2015年 アスタナ世界選手権 優勝
【最近の成績】
2015年12月 グランドスラム東京 優勝

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ルーカス・クルパレク (チェコ)
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ルーカス・クルパレク (チェコ)
KRPALEK Lukas
25歳 1990/11/15
組み手:右 WR3位
得意技:左大腰、裏投、左大外刈、左大外車、左体落、左大内刈、左背負投、左移腰

2メートル近い身長がありながら、本格派の技に加えて隅返や巴投などの捨身技、そして手堅い寝技と出来ないことがない器用な選手。代名詞となるような技はないが必須とされる技はほぼ満たす、現代のヨーロッパ型選手の一典型と言える。尖った特徴のある選手が揃った100kg級だが、この選手は全方位性が売り。
懐の深さが最大の武器で、相手の背中を抱き込む形から右釣込腰や浮技、隅返を狙う。
寝技も得意としており、相手の下に潜り込んでからの肩固が得意、他にも攻めのパターン多彩。

参考動画
2015年グランドスラム・アブダビ チョグハン戦
クルパレク得意の捨身技から寝技への移行。4:15~。

【おもな戦績】
2011年 パリ世界選手権 3位
2012年 ロンドン五輪 7位
2013年 リオ世界選手権 3位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 優勝
【最近の成績】
2016年2月 グランドスラム・パリ 予選ラウンド敗退
2016年2月 ヨーロッパオープン・プラハ 1位
2016年4月 欧州選手権 初戦敗退
2016年5月 ワールドマスターズ 3位

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エルマー・ガシモフ (アゼルバイジャン)
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エルマー・ガシモフ (アゼルバイジャン)
GASIMOV Elmar
25歳 1990/11/2
組み手:右 WR1位
得意技:左小外掛、右小外掛、谷落、浮落、横落、肩車、右袖釣込腰、隅

典型的アゼルバイジャン柔道。パワーをベースにした「後の先」狙い。
背中や肩口を持って膠着を作り、小外掛や横落、肩車を仕掛ける。相手の懐に潜りこみながら仕掛ける独特の左小外掛が得意。組み負けた状況では横落、肩車を多用する。
後の先狙いゆえ、返されるリスクの少ない捨身技を仕掛けつつ、相手の攻撃を引き出して返し技を狙うという戦い方。
右袖釣込腰も得意としており、遠間で袖口を持たれた状態には要注意

参考動画
Elmar Gasimov Judo Highlights 2015
2015年グランドスラム東京 ウルフアロン戦
ガシモフの小外掛「一本」。切り返しの得意なウルフアロンもなすすべなし。

【おもな戦績】
ワールドマスターズ2連覇(2015~2016

【最近の成績】
2015年12月 グランドスラム東京 3位
2016年2月 グランドスラムパリ 5位
2016年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 7位
2016年4月 欧州選手権 5位
2016年6月 ワールドマスターズ 1位

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カール リヒャード・フレイ(ドイツ)
Photo from IJF

カール リヒャード・フレイ(ドイツ)
FREY Karl-richard
24歳 1991/7/11
組み手:右 WR5位
得意技:右内股、右払腰、右大外刈、左腰車、裏投

2013年後半から国際大会で頭角を現した「ヤンチャ坊主」。2015年アスタナ世界選手権銀メダリスト。ロンドン五輪3位の先輩ディミトリ・ピータースとの激しい五輪代表争いに競り勝ち五輪出場を決めた。攻めの手立てや角度が多彩なピータースに比べるとスタイルはオーソドックス。右内股が最大の武器だが、釣り手だけを持った状態から一気に腰を切って仕掛ける左腰車にも注意が必要。これがもっとも取り味がある技かと思われる。
組み際に得意、多少不十分な組み手からでも強引に右内股や右払腰を仕掛けてくる。

【おもな戦績】
2014年 チェリャビンスク世界選手権 3位
2015年 アスタナ世界選手権 2位

【最近の成績】
2016年1月 グランプリ・ハバナ 2位
2016年2月 グランドスラム・パリ 3位
2016年5月 グランドスラム・バクー 5位
2016年6月 フランプリ・ブタペスト 5位

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ベカ・グヴィニアシビリ(ジョージア)
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ベカ・グヴィニアシビリ(ジョージア)
GVINIASHVILI Beka
20歳 1995/10/26
右組み WR13位
得意技:右大腰、右腰車、右釣込腰、左大腰、裏投、右小外掛

2015年ワールドマスターズ90kg級チャンピオン。
先輩であるリパルテリアとの競合を避けるために昨秋から階級を100kg級に上げた。苦戦が続いていたが五輪出場権を求める過程で成長、ツアー2連勝で圏内に滑り込んだ今春ついに仕上がった感あり。五輪で頂点に届いてもまったくおかしくない。パワーはもちろんだが、非常に「腰が強い」選手。背中を抱いての右釣込腰や脇を差しての右大腰は脅威。組み負けた状態からは左大腰も繰り出す。本番で「化ける」爆発力を持った、張っておくべき選手の一。

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シリル・マレ(フランス)
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シリル・マレ(フランス)
MARET Cyrille
28歳 1987/8/11
右組み WR2位
得意技:肩車、右大外刈、左小外掛、右釣込腰、右釣腰、右払腰、右体落、巴投

グランドスラムパリ2連覇中、しかしなぜか世界選手権では成績を残せず。
クルパレク同様、ほとんどの技が使用できるが、代名詞となるような得意技はないというヨーロッパ型の一典型。釣り手側への肩車を得意としており、組み際には注意が必要。
右大外刈からの二の矢として左小外掛を備えている。
立技から寝技への移行が早く、際で腕挫十字固や片手絞を狙う場面多し。

ホセ・アルメンテロス(キューバ)
ARMENTEROS Jose
23歳 1992/12/13
左組み WR8位
得意技:右背負投、左払巻込、左袖釣込腰、右大内刈

長身の担ぎ技ファイター。ほぼ無名で臨んだ2014年チェリャビンスク世界選手権では最大の武器である右背負投で強豪を投げまくり決勝まで進み周囲を驚かせた。入りの鋭さと高低差の大きさは90kg級の先輩ゴンザレスを彷彿とさせる。膝を故障したとの情報で、以降本領発揮はなし。最近は長身を生かした左払巻込も使用する。組み際に背中を抱えながら放つ右大内刈にも要注意。コンディション整えばダークホース候補の一。

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マーティン・パチェック(スウェーデン)
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マーティン・パチェック(スウェーデン)
PACEK Martin
29歳 1987/4/28
右組み WR4位
得意技:巴投、右払巻込、右大外巻込、右内股巻込、右内股

階級屈指の長身を誇る巴投ファイター。所謂「横巴」など入り方は勿論、持ち上げた相手をどうコントロールするかの手立てが多彩。巴投の弾幕を張り、試合を作ることも、「取る」こともこの技で行う。
また、巴投に目が行きがちではあるが、実際には長身を利しての右払巻込による勝利も増えてきておりこちらも要注意。

ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)
FONSECA Jorge
23歳 1992/10/30
右組み WR26位
得意技:右背負投、裏投、右袖釣込腰、右一本背負投、出足払、右小外掛

ここ最近ツアーを荒らしまわっている業師。
業師タイプの例に漏れず、意外な受けの脆さがあり、強豪を下した直後にあっさり敗れることも多い。切れ味鋭い右背負投に右袖釣込腰(と、相手を高く持ち上げて叩きつける豪快な裏投が得意技。足技も切れるため注意が必要。2月のグランプリ・デュッセルドルフで見せた小内刈からの出足払「一本」はIJFのサイトでレコメンドされ大きな反響を呼んだ。カイブラエフらと並び五輪トーナメントの行方に大きな影響を与える不確定要素。

参考動画
E2016年グランプリ・デュッセルドルフ。小内刈から出足払に繋ぎ「一本」

タギル・カイブラエフ(ロシア)
KHAIBULAEV Tagir
31歳 1984/7/24
左組み WR22位
得意技:左背負投、右袖釣込腰、左袖釣込腰、右一本背負投、裏投、左大腰

ロンドン五輪金メダリスト。低く潜り込み一気に相手を担ぎあげる強烈な左背負投が最大の武器。左右の袖釣込腰、右一本背負投も威力十分。密着した状態からは裏投や左大腰を仕掛けることもある。試合出場のペースを落とし半ば引退と思われた時期もあったが、後輩アドラン・ビスルタノフの不甲斐なさも相まって滑り込みで代表決定。五輪ではシード外の選手であり階級最大の不確定要素。

参考動画
TAGIR KHAIBULAEV - JUDO COMPILATION - OlympicJudo

チョ・グハン(韓国)
CHO Guham
23歳 1992/7/30
右組み WR22位
得意技:左一本背負投、右背負投、右背負投(韓国背負い)、左小内巻込

韓国の粘戦担ぎ技ファイター。独特の波打つようなリズムで担技の弾幕を張り、相手が焦って出てきたところに本気の一発を放つ。試合巧者で主導権を握られると非常に厳しいため、対話をせずに一方的に攻めたほうが良い。可能ならば対戦したくない相手。

ヘンク・グロル(オランダ)
GROL Henk 25歳 1990/7/20
右組み WR12位
得意技:隅落、右払腰、右大外刈、右内股、右大内刈、右小外掛

世界選手権準優勝3回の「シルバーコレクター」。
技の切れる選手だったが、最近では懐の深さを活かした後の先の隅落が最大の武器。ベテランらしく組み手の技術に優れ、淡々と手順を踏んで有利な組み手を完成させる。組み手争いから技を仕掛けるのが巧く、組み手に気を取られると危険。

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カヨル・レイズ(カナダ)
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カヨル・レイズ(カナダ)
REYES Kyle
22歳 1993/10/10
左組み WR22位
得意技:左内股、左大内刈、左小外刈

2013年世界ジュニア王者。前橋育英高→日本大→JRA。
左内股が主な武器だが、切り返しての左大内刈も取り味十分。線の細さゆえかまだシニアツアーでの戴冠はなし。ただし日本選手にとっては国内大会の磁場で試合をすることになりかねず、非常に怖い。

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マキシム・ラコフ(カザフスタン)
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マキシム・ラコフ(カザフスタン)
RAKOV Maxim
30歳 1986/2/7
左組み WR22位
得意技:左背負投、右一本背負投、支釣込足、左小内刈、出足払

09年ロッテルダム世界選手権金メダリスト。
全盛期ほどではないが担技の威力は健在。足技の切れ味も鋭い。トーナメント終盤まで戦い抜くスタミナはもうないが、序盤戦で対戦すると怖い相手。

ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)
DARWISH Ramadan
28歳 1988/1/29
左組み WR9位
得意技:左内股、左大内刈、左小内刈

2016年アフリカ選手権王者。
攻撃のほとんどが左内股。相手も良くわかっているが、体幹の強さとパワーをテコに強引に投げ切ってしまう。
左内股を起点とした切り返しての左大内刈と左小内刈にも一定以上の警戒が必要

トマ・ニキフォロフ(ベルギー)
NIKIFOROV Toma
23歳 1993/1/25
右組み WR8位
得意技:右袖釣込腰、右払巻込、右外巻込、右内股、右大外刈、裏投、右一本背負投、右小外掛、右腰車

2015年世界選手権3位。巻き込んで良し、担いで良しの若手注目株。欧州の若手には珍しく核に「一本」を取れる代表的な技がある選手。潰れかけても最後まで仕掛ける巻込技には注意が必要。アスタナ世界選手権3位決定戦で指を負傷するも、手心を加えたマレに対して2度投げつけることで勝負の厳しさを教えた。

ラファエル・ブザカリニ(ブラジル)
BUZACARINI Rafael
24歳 1991/10/6
右組み WR24位
得意技:右腰車、右外巻込、右大外刈、右大内刈、右小外掛、裏投、右「韓国背負い」

しぶとさが売りの粘戦ファイター。
展開のリセットも兼ねて低く体を捨てて仕掛ける右腰車が得意技。
奇襲技の右「韓国背負い」は要警戒。


ナイダン・ツブシンバヤル(モンゴル)
NAIDAN Tuvshinbayar
32歳 1984/6/1
右組み WR14位
得意技:右一本背負投、右小内巻込、横落、肩車、横掛、右背負投

北京五輪金メダリスト。腕力と体幹の強さ、スタミナは健在で消耗戦になると危険。ルール変更とともに柔道スタイルを変化させてきており、現在は密着して圧を掛けつつ「指導」を狙う相撲柔道と右一本背負投と右小内巻込が主体の担ぎ技スタイルを使い分けている。横落や肩車もあり組み際には注意が必要。

■ シード順
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ランキングから導き出されるシード順は下記。

シード選手同士のマッチアップだけでいえば羽賀-クルパレクが同居したプールDが激戦区ということになるが、役者の多いこの階級の勝ちあがり分析はドロー後のデータをもとに「直前展望」で行いたい。



文責:古田英毅
協力:林さとる


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