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【リオ五輪柔道競技完全ガイド】どの山にも強豪配されシード選手は息抜けず、序盤の重心は“三強”のうちチリキシビリに傾く・リオデジャネイロ五輪柔道競技81kg級直前展望

(2016年8月8日)

※ eJudoメルマガ版8月8日掲載記事より転載・編集しています。
【リオ五輪柔道競技完全ガイド】どの山にも強豪配されシード選手は息抜けず、序盤の重心は“三強”のうちチリキシビリに傾く・リオデジャネイロ五輪柔道競技81kg級直前展望
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81kg級ドロー結果

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昨年の世界王者永瀬規貴

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アヴタンティル・チリキシビリ(ジョージア)

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2013年王者のピエトリは膝の復調具合がカギ

→リオ五輪柔道競技81kg級組み合わせ(ippon.orgサイト)
→リオ五輪柔道競技第3日組み合わせ(PDF)

有力選手数多し、それぞれの特徴や得意技、期待値は階級概況・有力選手であらためて確認して頂くとして。

ドロー結果は右図。ノーシード選手最大の焦点であったロイック・ピエトリ(フランス)はプールD、アントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)が引き受けることとなった。ピエトリと「三強」を為す永瀬、チリキシビリのうち厳しい山となったのは明らかにチリキシビリ。

【プールA】
第1シード:アブタンディル・チリキシビリ(ジョージア)
有力選手:イワン フェリペ・シウバ モラレス(キューバ)、ロマン・モストポウロス(ギリシャ)
第8シード:ヨアキム・ボットー(ベルギー)

2014年チェリャビンスク世界選手権王者、アブダンディル・チリキシビリ(ジョージア)のブロック。第1シードであるにも関わらず、初戦からイワン フェリペ・シウバ モラレス(キューバ)と対戦する厳しい組み合わせ。それどころか、3回戦でロマン・モストポウロス(ギリシャ)、準々決勝ではヨアキム・ボットー(ベルギー)とブロックを抜けるまでの全試合をワールドツアー表彰台レベルの強豪と連戦しなければならない非常に厄介な組み合わせとなった。

勝ち上がりの最有力候補は何と言ってもチリキシビリ。状況に合わせて組み手の左右を変えることが出来、左右どちらからでも得意の腰技や裏投を掛けることが出来るのは大きなアドバンテージ。対抗馬の中で最も実力があるのは準々決勝での対戦が濃厚なボットー(下側の山には無名選手しか配されておらず完全な無風状態)だが、最も怖いのは初戦で対戦するシウバモラレス。シニア大会に参戦するやいきなりグランドスラム・バクーで3位に入賞、続いて出場したグランプリ・アルマティではなんと優勝を攫った今最も勢いのある若手選手の1人だ。密着して左大外刈や左大内刈を狙うスタイルもまさに番狂わせ向き。キューバの高い調整力と初戦であること、そして失うものは何もない若さを考慮すると大番狂わせの可能性も十分にありえる。チリキシビリはシウバ モラレスのガツガツとした柔道に付き合わず、落ち着いた試合運びをすることが重要。右小外刈に左大内刈のカウンターを合わせられる形には注意が必要だ。

ここを勝ち上がるとおそらくモウストポウロスとの対戦になる。この選手は大きな上昇装置は持っておらず、実力差がそのままに出る形でチリキシビリが勝ち上がると予想する。

準々決勝で待ち受けるのは無風の下側の山を勝ち進んでくるであろうボットー。
この選手は冬季の大規模トーナメントであるグランプリ・デュッセルドルフにめっぽう強く現在2連覇中。過去には同大会の決勝戦でチリキシビリを破ったこともあるが、複数のアプローチ法を持つ小内刈を最大の武器とする戦術派であり、チリキシビリがボットーにペ試合のペースを合わせてしまい自滅する以外に敗れる可能性は殆ど無い。よって、初戦さえ通過すればチリキシビリの勝ち上がりは盤石と見る。

【プールB】
第4シード:イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)
湯力選手:フランク・デヴィト(オランダ)、イ・センス(韓国)
第5シード:トラヴィス・スティーブンス(アメリカ)

81kg級若手の旗手であるイヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)のブロック。チリキシビリ同様に初戦でフランク・デヴィト(オランダ)、続く3回戦でイ・センス(韓国)、準々決勝ではトラヴィス・スティーブンス(アメリカ)とワールドツアー表彰台レベルの強豪と連戦しなければならない厳しい配置。

勝ち上がり最有力候補はイヴァノフ。しかし、上記4人の誰が勝ち上がってもおかしくない大混戦である。イヴァノフが初戦を争うデヴィトは昨年の世界ジュニアチャンピオンで、オランダ選手らしい長身からくり出される右小外掛が最大の武器。今年のグランドスラム・バクーにおいて永瀬を後数秒まで追い詰めた選手といえば思い出す方も多いだろう。担ぎ技ファイターであるイヴァノフと密着小外掛ファイターであるデヴィトの若手の旗手の座を掛けた熱戦に期待したい。掛け潰れに甘い今大会の審判傾向を考慮しても、担ぎ技タイプのイヴァノフが有利であると見る。デヴィトに勝利すると続いて対戦するのは韓国のイ・センス。この選手は過酷な国内予選でワン・キチュン(韓国)を退けて五輪出場を果たした強者。柔道スタイルは典型的な韓国式の背負投ファイターで、背負投を掛け続けることで試合のペース自体を自分の側に引き寄せる。担ぎ技タイプ同士の対決となるが、イヴァノフには腰技や左右に落とせる隅返もあり未だ発展途上にあるイヴァノフの成長速度と引き出しの多さからイヴァノフの勝利と予想する。無風の下側の山を勝ち上がってくるのは恐らくアメリカのスティーブンス。強豪が出場を相次いで回避した今年のワールドマスターズ・グアダラハラを制して勢いにのるベテランの柔術家だ。順当に試合が進めば実力に勝るイヴァノフ有利だが、試合巧者で寝技が巧みなスティーブンスが、元気良く動きまわることが信条のイヴァノフを単調な試合に引き込めばスティーブンスにも勝ちの目がある。偽装攻撃による「指導」が少ない本大会の傾向は手数で優位に立ち寝技で仕留めるスタイルのスティーブンスに有利だ。しかし、実力ではイヴァノフが数枚上手、チリキシビリ以上に厳しい組み合わせではあるが、ここはイヴァノフの勝ち上がりを押したい。

【プールC】
第2シード:永瀬貴規
有力選手:ラズロ・チョクナイ(ハンガリー)
第7シード:ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)
有力選手:スヴェン・マレシュ(ドイツ)、セルジュ・トマ(UAE)

2015年アスタナ世界選手権の王者である永瀬貴規のブロック。初戦で一時期国際大会を荒らしまわったラズロ・チョクナイ(ハンガリー)と対戦するが、近頃はほとんど表彰台に上がることもなく、永瀬が通常のパフォーマンスを発揮すればまず負けることはない。3回戦の相手はいずれも無名選手であり、初戦を勝ち抜けば永瀬の準々決勝進出はほぼ間違いない。

一方下側の山はシード選手である地元のヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)の他に、しぶとさが売りの戦術派であるスヴェン・マレシュ(ドイツ)と、モルドバからのUAE移籍組の1人であり多彩な技を持つセルジュ・トマ(UAE)が配された。純実力的には投げ切ることを志向する正統派担ぎ技ファイターであるペナウベルが頭一つ抜けているが、残るマレシュとトマは階級切っての戦術派。誰が勝ち上がってきても厄介な相手だが、ここは地元の声援を受けたペナウベルの勝ち上がりを予想する。永瀬対ペナウベルの試合は、両者共に引き手と釣り手を二本持っての柔道を志向するもの同士。大歓声を受けたペナウベルの担ぎ技による連続攻撃で「指導」を先行されるのは怖いが、階級概況・有力選手で書かせて頂いた通りペナウベルはあくまで投げを志向する選手であるためこのシナリオの可能性は少ない。いずれ、実力で他を大きく引き離す永瀬の勝ち抜けと考えるのが打倒だろう。

【プールD】
第3シード:アントワーヌ・ヴァロア フォルティエ(カナダ)
有力選手:ロイク・ピエトリ(フランス)、エリアス・ナシフ(レバノン)
第6シード:カサン・カルモルザエフ(ロシア)
有力選手:オトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)、モハメド・アブデラル(エジプト)

シード選手はアントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)とカサン・カルモルザエフ(ロシア)の2人だが、このブロックには永瀬、チリキシビリとともに階級「三強」を形成するもと世界王者ロイク・ピエトリ(フランス)、しぶとさが売りの曲者ナシフ・エリアス(レバノン)、地力の高さは階級随一のオトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)、パワーだけなら階級ナンバーワンとの呼び名高いモハメド・アブデラル(エジプト)と表彰台圏内の強豪がこれでもかと詰め込まれた。上側の山の勝ちあがり候補は怪我から回復しているのであればピエトリ、ピエトリが万全でなければヴァロアフォルティエ。この2人は初戦で直接雌雄を決する組み合わせとなっており、歩留まりが良くいつも最低限の仕事はこなすヴァロアフォルティエは、ピエトリの状態を測る格好の物差しとなるだろう。ここでは仮にピエトリの勝ち上がりと仮定する。

下側の山は、欧州選手権を制して勢いに乗るカルモルザエフと、手数の多さでアブデラルに競り勝つであろうオトゴンバータルがベスト8進出をかけて対戦する事になると予想する。その場合、投げへの明確な道筋を持っているカルモルザエフがやや有利と見る。

ピエトリとカルモルザエフの対戦。負傷から復帰中のピエトリが万全と仮定して考えれば、偽装攻撃に寛容な今大会の傾向がピエトリの担ぎ技連続攻撃をキモとする柔道と噛み合いピエトリの勝利。一方、万全でなければカルモルザエフの切れ味鋭い左内股がピエトリを捉えるはずである。ここでは期待も込めてピエトリの勝ち上がりを予想したい。

【準決勝-決勝】
チリキシビリ - イヴァノフ
永瀬 - ピエトリ(カルモルザエフ)

の対戦を予想する。地力ナンバーワンはやはり永瀬、王道柔道で五輪を獲るのは「他を圧する地力」が何より必要だと前日の大野が示してくれた中、どのような試合を見せてくれるか。両試合とも対戦相手は試合巧者であり「シナリオにつきあわず」「自分の我儘で相手の意図を塗りつぶす」ような試合が出来るかどうかが永瀬勝ちあがりのカギ。チリキシビリはここまでジョージア勢が好調とは言えず、体幹の強さで他の上を行くことが前提の柔道がそもそもどこまで展開できるか、ここまでの勝ち上がりが勝負を分ける。ピエトリはまずしっかり背負投のキモである膝の復調具合と、なにより生命線の連続攻撃のエンジンである心肺機能がどこまで回復しているか、である。

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