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【リオ五輪柔道競技完全ガイド】大野とアンの準決勝が最大の山場、アンは準々決勝で"刺客"ホンカクヒョンとマッチアップの可能性あり・リオデジャネイロ五輪柔道競技73kg級直前展望

(2016年8月7日)

※ eJudoメルマガ版8月7日掲載記事より転載・編集しています。
【リオ五輪柔道競技完全ガイド】大野とアンの準決勝が最大の山場、アンは準々決勝で"刺客"ホンカクヒョンとマッチアップの可能性あり・リオデジャネイロ五輪柔道競技73kg級直前展望
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73kg級組み合わせ

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優勝候補筆頭は大野将平
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→リオ五輪柔道競技73kg級組み合わせ(ippon.orgサイト)
→リオ五輪柔道競技第3日組み合わせ(PDF)

有力選手の特徴や得意技、および大枠の戦力構図は、階級概況・有力選手データを参照頂くとして。
ドローの結果は右図。なんと言っても最大の山場は準決勝で実現濃厚な大野将平対アン・チャンリンの二強対決である。

プールAの第1シード選手アン、逆側の山にはこの4年間でただ1大会だけ素晴らしいパフォーマンスを見せた2014年チェリャビンスク世界選手権2位のホン・カクヒョン(北朝鮮)が配された。ツアーの流れを敷衍すればシード選手であるデニース・ヤルツェフ(ロシア)の勝ち上がりが濃厚だが、2014年ただ1大会の凄まじい出来を最高到達点と規定すればホンが有利。そしてホンが勝ち上がった場合韓国対北朝鮮の朝鮮半島対決となり、これは純実力は別としてアンにとっては嫌なカードのはず。ある意味最強の刺客だ。

日本勢がなかなか勝てず、ロンドン大会同様順行運転の殻を破れない今大会。あと一歩を踏み出す「異常さ」が必要な状況にあって、大野は強さで、松本はファイトスタイルでその「異常さ」の項を満たす。期待を込めて本日は各プールの勝ち上がりから、決勝ラウンド全試合のカードとその勝敗を展望しておきたい。

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最大のライバルはアン・チャンリン
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【プールA】
第1シード:アン・チャンリン(韓国)
有力選手:ディルク・ファンティシェル(ベルギー)
第8シード:デニース・ヤルツェフ(ロシア)
有力選手:ホン・カクヒョン(北朝鮮)、アレックスウィリアム・ポンボシウバ(ブラジル)

勝ち上がりの第1候補は大野将平に次ぐ優勝候補であるアン・チャンリン(韓国)。しかし、それを阻むようにこのブロックにはデニース・イアルツェフ(ロシア)。ホン・カクヒョン(北朝鮮)ら番狂わせの可能性を匂わせる強豪が多数配された。アンが座る上側の山はほぼ無風。2013年リオデジャネイロ世界選手権3位のベテラン、ディルク・ファンティシェル(ベルギー)が配されてはいるが、元々が戦術派であるうえに最近は目立った成績を残せておらず、アンを脅かすほどの存在ではない。ここはアンが順当にベスト8進出を果たすと見て間違いないだろう。

一方、下側の山は60kg級の優勝で勢いに乗るロシアのデニース・ヤルツェフ、チェリャビンスク世界選手権2位で階級最大の不確定要素ホン・カクヒョン、初日から素晴らしいパフォーマンスを見せている地元ブラジルからアレックスウィリアム・ポンボシウバ(ブラジル)が詰め込まれた死のブロック。この激戦を抜けても更に番人としてアン・チャンリンが待ち受けるというまさに死のブロックと呼ぶにふさわしい。全員がベストパフォーマンスを発揮した場合、下側の山の勝ち上がりの最有力候補はホン。初めに2回戦でヤルツェフとホンが対戦し、その勝者がポンボシウバを迎え撃つことになるが、イアルツェフとホンは共に右組み。出来不出来の差が激しいホンの調子に依る部分が大きいが、相四つでホンの体の強さを正面から受けることになるヤルツェフは相当厳しい戦いを強いられることになるだろう。しかし、ロシアチームの好調さに加え、ヤルツェフの切れ味鋭い足技と、寝技での大きなアドバンテージ(ヤルツェフは寝技も非常に得意としている)を考慮すると、どちらが勝利してもおかしくない。前半戦最大の山場となるだろう。実力通りに行けばこの試合の勝者がポンボ シウバにも勝利してアンへの挑戦権を得るはずである。しかし、開催国でもあるブラジルチームは地元の大歓声を背に非常なハイパフォーマンスを見せており、決して一筋縄ではいかない。まさしく予断許さぬ死の山。

下側の山をホンが勝ち上がった場合、韓国と北朝鮮という特殊な磁場での試合になり、ホンはおそらく一段上のパフォーマンスを発揮することが予想される。組み手はアンが左、ホンが右のケンカ四つ。釣り手のみを持った状態では「韓国背負い」を狙いやすくかつホンのパワーを逸らすことが出来る分アンに有利、両手を持てばパワー圧殺が可能な分ホンに流れが傾く。いずれにしても、苦戦することはあってもどの姿勢からでも背負投に入ることが出来、それを餌にした小内刈も巧みなアンの背負投師としての完成度の高さを鑑みればホンの勝ち上がりは間違いない。

また、躍進著しいヤルツェフがホンに勝利した場合、以後の予想は全てヤルツェフに替えて読んでいただきたい。

【プールB】

第4シード:ラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)
第5シード:大野将平
有力選手:ヴィクター・スクボトフ(UAE)

優勝候一番手である大野将平(日本)のブロック。対抗馬はロンドンオリンピック66kg級金メダリストのラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)とモルドバからUAEへの移籍組であるヴィクター・スクボトフ(UAE)の2人。大野は3回戦でスクボトフと対戦し、準々決勝でシャフダトゥアシビリとベスト4入りを争うことになる。大野が敗れることがあるとすれば大野自身の問題以外考えられないが、あえて注意すべき点を挙げてみよう。スクボトフで警戒すべきは切れ味鋭い足技。巧みな試合運びに嵌らないことも重要だが、一刈りで試合を終わらせられてしまう足技の一発は常に頭においておくべきだろう。シャフダトゥアシビリで警戒すべきは懐の深さ。密着を嫌がり後ろに下がると伝家の宝刀、腰を抱いての右大内刈が飛んでくる。とはいえ、よほどの事故がない限り(それが起こるのが五輪ではあるが)大野の勝ち上がりは間違ない。

【プールC】
第2シード:ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)
第7シード:ミラリ・シャリポフ(ウクライナ)
有力選手:ミクロス・ウングバリ(ハンガリー)、ミラリ・シャリポフ(ウクライナ)

ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)のブロック。オルジョフのいる上側の山は完全な無風。下側の山には近頃躍進著しいミラリ・シャリポフ(ウズベキスタン)、ロッテルダム世界選手権銀メダリストのデックス・エルモント(オランダ)、ロンドンオリンピック66kg級銀メダリストのミコロス・ウングバリ(ハンガリー)のベテラン3人が詰め込まれた。エルモントは近頃目に見えてに衰えてきており勝ち上がり予想からは一応除外。シャリポフとウングバリは今年5月のグランドスラム・バクーで対戦し、シャリポフが袈裟固「技有」で勝利している履歴がある。しかし内容としてはは高機動で密着志向のシャリポフと長身を活かし背中を持ちたいウングバリによる一進一退の好勝負であった。勝負自体は五分とみるが、経験の豊富さと引き出しの多さの分でウングバリの勝利を予想。そしてオルジョフの目線で準々決勝を考えた場合、どちらかと言うと組み合ってくれるウングバリが勝ち上がってきた方が戦いやすいはず。逆に、組み際の技と密着しての技が得意なシャリポフが勝ち上がって来た場合試合が荒れる可能性がある。とはいえ、勝敗をひっくり返すに至るかというと微妙。オルジョフの勝ち上がりは動かないだろう。

【プールD】
第3シード:セージ・ムキ(イスラエル)
第6シード:ガンバータル・オドバヤル(モンゴル)

これといった勝ち上がり候補のいない大混戦のブロック。セージ・ムキ(イスラエル)とガンバータル・オドバヤル(モンゴル)が頭一つ抜けているが、ロク・ドラクシック(スロベニア)、イゴール・ヴァンドケ(ドイツ)、ニコラス・デルポポロ(アメリカ)あたりにも五輪という特殊な磁場を考えれば十分勝ち抜けの可能性がある。とはいえ、順当に試合が進めば準々決勝を争うのはムキとガンバータルの2人。ムキは両袖を絞った状態からの左右の袖釣込腰が生命線。ガンバータルの体の強さを考慮すると一発投げての決着は難しいがムキは試合運びの上手い階級きっての戦術派でもあり、むしろこちらの面で一枚上手という印象。一方、ガンバータルがムキと対話をせずにひたすら一方的な試合展開を志向すればガンバータルの方が有利なはず。地力の高さを勝ってガンバータルの勝利を押したい。

【準決勝】 大野将平対アン・チャンリン
これぞオリンピックという好カード。今までの対戦では全て大野がアンを退けているが、アンの成長速度と五輪という得意な磁場を漢変えれば決して楽観は出来ない。組み手は大野が右、アンが左のケンカ四つ。引き手を持った状態では大野、逆に片手の状態ではアンに試合展開が流れ込むはず。過去の対戦では片手の状態でも大野が釣り手で巧みに(肘を入れてアンの釣り手を上から潰し、アンの脇をついて距離を取り)アンの背負投を防いでいた。ともに威力のある技を持った強豪同士、投技による決着に期待したい。勝ち上がりはこれまでの戦績と地力の差で大野と予想。

【準決勝】ルスタン・オルジョフ対ガンバータル・オドバヤル
両者ともに左組み。選手としての完成度ではオルジョフが数段上。ガンバータルは密着しつつの「指導」獲得戦法を取ることが予想され、いかに早い段階でオルジョフがポイントを奪ってこのシナリオを崩せるかがポイント。今大会は「指導」が非常に遅く、これで勝ち上がり者がズレてしまう現象も増えている。つまりはオルジョフがリードを得た時点でほぼ終戦と思われる。

【敗者復活戦】ホン・カクヒョン対ラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)
ホンが本来の力を発揮すればそもそも試合にならない可能性もあるが前述の通り,、そもそもその「本来の力」が発揮されたのは過去3年で1大会のみ。その上この人は北朝鮮選手としてはかなり淡白で読めないところもある。ポイントはシャフダトゥアシビリが自身の懐の深さを活かして試合展開を自分の側に持って来る、好調時の戦い方が出来るかどうか。後半まで競った試合展開となればシャフダトゥアシビリ有利と見る。

【敗者復活戦】ミクロス・ウングバリ対セージ・ムキ
ムキ勝利と予想。長身のウングバリはまさにムキの袖釣込腰の格好の標的。両袖を絞る展開ではムキ有利、逆に背中を持った状態ではウングバリ有利。

【3位決定戦】アン・チャンリン対セージ・ムキ
地力の差から考えてアンの勝利は固い。豪快な背負投での勝利に期待したい。

【3位決定戦】ホン・カクヒョン対ガンバータル・オドバヤル
体の強さが売りの選手同士の対決。「指導」差でホンが勝利と予想。

【決勝】
怖いのはアンとの勝負で大野が消耗すること。お互いに万全の状態ならば大野の勝利は固い。唯一怖いのは消耗した大野がオルジョフに「指導」を先行されて逃げられることと、もつれ合った状態から被さられてポイントを失うこと。

文責:古田英毅
協力:林さとる

※ eJudoメルマガ版8月7日掲載記事より転載・編集しています。

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