PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

第65回インターハイ柔道競技・男子個人戦マッチレポート①(60kg級、66kg級、73kg級)

(2016年8月6日)

※ eJudoメルマガ版8月6日掲載記事より転載・編集しています。
第65回インターハイ柔道競技・男子個人戦マッチレポート①(60kg級、66kg級、73kg級)
■ 60kg級・荒れたトーナメントを武岡毅が制す、決勝は強気の組み立てで「一本」呼び込む
eJudo Photo
60kg級決勝、徳本千大の体落に武岡毅が小外掛を合わせる

【準決勝まで】

3月の全国高等学校選手権覇者の市川龍之介(千葉・習志野高2年)は3回戦で福田大悟(滋賀・比叡山高2年)に小内巻込「一本」(1:28)で敗退、同2位の古賀玄暉(愛知・大成高3年)も初戦で加藤竜也(宮崎・延岡学園高3年)にGS延長戦の末、大外刈で「有効」を奪われ早々に敗退と優勝候補と目された二人が早々に姿を消す波乱の展開。荒れたトーナメントを武岡毅(東京・足立学園高2年)と徳本千大(和歌山・初芝橋本高3年)の二人が着実に勝ち上がり決勝進出を決める。

【決勝】

武岡毅(東京・足立学園高2年)○燕返(1:15)△徳本千大(和歌山・初芝橋本高3年)

武岡が右組み、徳本が左組みのケンカ四つ。序盤は激しい主導権争いで始まる。徳本が釣り手を脇に差して武岡を捕まえると武岡も拘束を許さず、今度は自ら釣り手を背中に回しながら右小外掛を仕掛ける。徳本はとっさに武岡の両襟を掴んでバランスを取り、そのまま引き手を奥襟まで回して両襟で武岡の首をロック、牽制の左体落を入れる。しかし、武岡はこの浅い体落に対しても右小外掛を合わせて拘束されることを拒否、あくまで攻めの姿勢を貫く。予想以上の反撃に徳本大きくバランスを崩し、後方に体を捻りなんとか回避する。武岡は釣り手を離さず片手絞をさらしながら横四方固を狙うもこれは徳本が足を絡んで耐え「待て」。経過時間は20秒、試合は大枠徳本のペースで進むが武岡も退かず、展開に差はつかない。

eJudo Photo
徳本の「韓国背負い」、武岡は側転で回避する

eJudo Photo
武岡が徳本の小外刈をかわして燕返「一本」

このあとしばらくは落ち着いた展開が続くが、47秒、再び試合を動かしたのは徳本、釣り手を先に得ると片手の左大内刈から引き手を襟に添えて左の「韓国背負い」に繋ぐ。武岡は身を任せながら左手を畳に着いて側転し難を逃れる。経過時間1分、両者ポイントはないが、徳本が一つ展開でリードした形となる。

主導権を握りつつある徳本は武岡に反撃させまいと先手を取り釣り手で相手の釣り手の袖を押し込み絞り合いに持ち込む。しかし、武岡は徳本に釣り手を絞らせたまま引き手で奥襟を掴むと同時に右小外掛、徳本が警戒して腰を引いたところで引き手で奥襟を深く握り直し、瞬間的に左相四つで一方的に二つ持った状態を作り出す。焦った徳本は武岡の上体に全く圧力が掛からない状態のまま左小外刈に飛び込むが武岡は素早く反応し、「ハンドル投げ」の要領で捻りを利かせながら徳本の左刈足をかわして燕返。前のめりで飛び込んだ徳本の体は刈る対象を見失ったまま宙に浮き、武岡の捻りの力に抗う術無く空中で捲り返され背中から畳に転がり落ちる。主審ためらわず「一本」を宣告し、決着。試合時間は1分15秒、軽量級らしく短い試合時間の中で密度の濃い技の応酬を繰り広げた末、武岡が見事な一本勝ちで初の全国タイトル獲得を決定した。

eJudo Photo
60kg級優勝の武岡毅

【入賞者】

優 勝:武岡毅(東京・足立学園高2年)
準優勝:徳本千大(和歌山・初芝橋本高3年)
第三位:加藤輝(鹿児島・明桜館高3年)、田中廉平(島根・隠岐水産高3年)
第五位:小平玲雄(島根・開星高3年)、福田大悟(滋賀・比叡山高2年)、山尾晶大(京都・京都共栄高3年)、小西誠志郎(福岡・大牟田高3年)

武岡毅選手のコメント

「全国大会で優勝するのは初めてです。(顧問の)徳原勉先生に組み手など、一つ一つアドバイスをもらい優勝することが出来ました。好きなスポーツは柔道だけです。得意技は大外刈、将来は東京五輪に出場することが目標です。課題はもっと技数を増やすことと、積極的に攻める柔道をすることです。」

【準々決勝】

徳本千大(和歌山・初芝橋本高3年)○優勢[有効]△小平玲雄(島根・開星高3年)
加藤輝(鹿児島・明桜館高3年)○優勢[有効]△福田大悟(滋賀・比叡山高2年)
田中廉平(島根・隠岐水産高3年)○崩袈裟固(1:32)△山尾晶大(京都・京都共栄高3年)
武岡毅(東京・足立学園高2年)○優勢[有効]△小西誠志郎(福岡・大牟田高3年)

【準決勝】

徳本千大○優勢[有効]△加藤輝
武岡毅○優勢[技有]△田中廉平

【決勝】

武岡毅○燕返(1:15)△徳本千大

■ 66kg級・原田健士が初優勝、決勝では豪快な投技を披露
eJudo Photo
66kg級決勝、伊澤風我が原田健士を内股から小内刈の連絡技で攻める

【準決勝まで】

ベスト4に残ったのは、準々決勝で昨年度全中王者西願寺哲平(埼玉栄高1年)を腰車「一本」で破った澤田大輝(小杉高3年)、全国高等学校選手権2位の東亮輝(崇徳高3年)、昨年度全日本カデ選手権2位の今村達哉(鹿島学園高3年)と立て続けに撃破したダークホース伊澤風我(文星芸大附高3年)、優勝候補原田健士(日体荏原高3年)、昨年度全日本カデ選手権覇者の石郷岡秀征(桐蔭学園高3年)の4人。

澤田と伊澤の準決勝は、伊澤が崩上四方固「有効」でリードを奪いながら終始攻めまくっての優勢勝ち、コンディションの良さを感じさせる試合振りで決勝進出。

逆側の準決勝は原田と石郷岡が激突する好カード。石郷岡が序盤いきなり背負投でポイント寸前の場面を作るとその後も攻めまくり「指導1」を得て中盤までは石郷岡がリード。しかし原田が落ち着いて試合を進めると2分を過ぎたあたりで石郷岡が急激に消耗し始める。原田はここぞとばかりに勝負を掛け、釣込腰「有効」を奪ってそのまま横四方固で抑え込み一本勝ち。見事全国ベスト4の壁を破って決勝の舞台へ勝ち進んだ。

【決勝】

原田健士(東京・日体荏原高3年)○優勢[技有・足車]△伊澤風我(栃木・文星芸大附高3年)

原田が右、伊澤が左組みのケンカ四つ。序盤から伊澤が先んじて釣り手で奥襟を確保し左小外刈、片手の左内股から左小内刈と早いペースで技を繰り出すのに対し、原田は釣り手を背中に回し、余裕を持って伊澤の技を潰す。技数は完全に伊澤が上、原田は技らしい技が全く出ていないが意外なほどに冷静、焦る素振りを少しも見せずチャンスを伺う。

eJudo Photo
原田が伊澤を寝技で攻める

eJudo Photo
原田の豪快な投げで伊澤は縦に一回転

2分38秒、伊澤が組み際に片手の左背負投で原田の股に潜る。原田は担がれながらも伊澤の頭の方向に回り込んで回避すると、その掛け終わりを待ち構えて寝技に移行。三角で捲り、絡まれた足が抜ければ縦四方固完成のチャンス到来も伊澤必死に耐え、主審の「待て」が掛かる。双方にビッグチャンスが交互に訪れた格好だがポイントは入らず、試合は残り2分。

直後原田が釣り手を上から確保、伊澤の釣り手を潰して引き手を得る。組み手の分が悪い伊澤は腰を引き、防御姿勢。原田は引き手の脇を締めて伊澤を引き寄せると、右足を内に一歩強く踏み込むフェイントを入れる。伊澤これに反応し、腰を切りながら左足を上げ内股透を狙うが、原田が狙ったのは伊澤の重心が左足に乗る着地の瞬間。伊澤の左足が畳に着くと同時に右足、左足と一瞬で踏み込み、思い切り右足を振り上げる。「内股を掛けたつもり」で振り上げた原田の右足はまず伊澤の右膝に引っ掛かる。伊澤は透かそうと腰を切りながら体をあずけるも原田の振り切った右足の打点は伊澤の腰の高さまで上がり、伊澤の体は捻った下半身もろともぶわっと浮き上がり、腰を水平軸にして縦に一回転。もはや大車といって差し支えない豪快な投げが見事決まって原田が「技有」を奪う。経過時間は残り1分50秒。

大きなポイントを奪った原田は逃げ切り態勢、伊澤の追撃を捌き最後は自ら内股を放ったところでタイムアップ。原田、勝負どころを見誤らない集中力の高さと技の切れを如何なく発揮し見事日本一の座に輝いた。春はまだ線の細さが残る印象だったが高校選手権の3位入賞というきっかけと全国優勝チームでレギュラーを争い続けた自信を胸に、一段選手として太くなっての戴冠劇だった。

eJudo Photo
66kg級優勝の原田健士

【入賞者】

優 勝:原田健士(東京・日体荏原高3年)
準優勝:伊澤風我(栃木・文星芸大附高3年)
第三位:澤田大輝(富山・小杉高3年)、石郷岡秀征(神奈川・桐蔭学園高3年)
第五位:西願寺哲平(埼玉・埼玉栄高1年)、今村達也(大阪・鹿島学園高3年)、湯本峻真(福岡・福岡大大濠高3年)、島貫蓮(福島・田村高3年)

原田健士選手のコメント

「3月の全国高等学校選手権は3位で全国タイトルを取ったのは初めて、嬉しいです。両親とも柔道をやっています。(両親から柔道について何か言われる?)父はなにも言わないのですが、母親には結構『あの試合は何なの?』とか言われます(笑)。得意技は大内刈で今は内股を練習中です。決勝で決めた技も内股のつもりで掛けてました。直近の目標は講道館杯、シニアの大会でどこまでやれるのか、シニアでやっていくための課題が何かを見つけたいです。その先の目標は日本を代表する選手になることです。」

【準々決勝】

澤田大輝(富山・小杉高3年)○腰車(3:28)△西願寺哲平(埼玉・埼玉栄高1年)
伊澤風我(栃木・文星芸大附高3年)○三角絞(0:57)△今村達哉(大阪・鹿島学園高3年)
原田健士(東京・日体荏原高3年)○上四方固(3:28)△湯本峻真(福岡・福岡大大濠高3年)
石郷岡秀征(神奈川・桐蔭学園高3年)○優勢[指導1]△島貫蓮(福島・田村高3年)

【準決勝】

伊澤風我○優勢[有効・崩上四方固]△澤田大輝
原田健士○横四方固(3:05)△石郷岡秀征

【決勝】

原田健士○優勢[技有・足車]△伊澤風我

■ 73kg級・スタイル貫いた野上廉太郎が本命渡邊神威破って優勝
eJudo Photo
73kg級準決勝、野上廉太郎が古庄涼哉を腰車「一本」で下す

eJudo Photo
73kg級準決勝、渡邊神威が大吉賢を払腰「一本」で秒殺

eJudo Photo
73kg級決勝戦、野上廉太郎の小内刈に渡邊神威が対抗

【準決勝まで】

決勝に進出したのは野上廉太郎(茨城・つくば秀英高3年)と渡邊神威(愛知・大成高3年)の二人。

野上は3回戦までオール一本勝ちで勝ち上がると、準々決勝で前評判が高かった村上優哉(兵庫・神戸国際大附高2年)から「技有」を奪い優勢勝ちで破る。準決勝ではこの日好調の古庄涼哉(神奈川・東海大相模高3年)に腰車「一本」(1:30)で快勝し、決勝進出。

対する渡邊も圧倒的な強さで勝ち上がると、準決勝で団体戦準優勝の日体荏原高の主要メンバーである大吉賢(東京・日体荏原高3年)を僅か19秒、払腰「一本」で下し決勝に駒を進める。


【決勝】

野上廉太郎(茨城・つくば秀英高3年)○後袈裟固(3:02)△渡邊神威(愛知・大成高3年)

野上、渡邊ともに左組みの相四つ、野上は組み際、渡邊は組み合って相四つ横変形から、と得意な状況に違いはあるが両者ともに技の切れ味で勝負する業師タイプ同士の対戦。

渡邊が先んじて釣り手を確保すると、野上は両手で渡邊の釣り手を抑えて組み際に片袖の左大内刈、左体落と先制攻撃を与える。対する渡邊は野上の攻撃を受けつつ野上が密着した瞬間に引き手を確保しきっちり二つ持ってから右袖釣込腰で反撃。野上は渡邊に釣り手を絞り込まれると、相四つ横変形で固定される前に岡田弘隆式の脚を差し入れる左小内刈で先手を取り、容易に相手の土俵には踏み込まない。両者が互いに自分のペースを守って試合を進めた形が、1分14秒、技の出の早さで劣る渡邊に「指導1」が与えられる。

渡邊は直後方針変更。野上の組み際の左小内刈の起き上がり際に、なりふり構わず不十分な形から左内股を打ち返す。これは潰されて「待て」となったが野上が渡邊を撃ち合いの土俵に引きずり込んだ形となった試合は以後加熱。野上が左大外刈、左大内刈と連続攻撃を与えれば、渡邊も左払巻込で反撃、さらに野上の岡田弘隆式の小内刈に対しても渡邊譲らず拮抗する。

eJudo Photo
野上が渡邊を体落で投げ「有効」を奪う

白熱した撃ち合いを経ても両者にポイントは入らず残り時間は2分半、ここで再び試合の様相は変わる。両者が二つ持ち合っての相四つ横変形という渡邊得意の状況が現出、このチャンスを逃すわけにはいかない渡邊は先んじて右袖釣込腰を仕掛け、野上の腰を引かせる。

再び正対した渡邊は、野上の頭が下がった隙に釣り手を奥襟に入れ直し完璧な形を完成、自分の優位を確認するかのように一呼吸入れ、「作り」の作業へ移る。しかし、野上は渡邊のこの僅かな小休止を見逃さず、釣り手を離すと両手で渡邊の釣り手の肘を抱えて左の支釣込足。不意を突かれた渡邊は大きくつんのめると人間の身体の自然な反応そのままにバランスを取るため上体を起こす。野上は渡邊の上体の起き上がりに合わせて片袖の左体落で潜り込むと、相手の釣り手を脇に挟んで思い切り巻き込む。体重移動を完全にコントロールされた渡邊は野上の体に巻きつくように転がり、主審は決定的な「有効」を宣告。

野上はそのまま後袈裟固でがっちり抑え切り一本勝ち。試合時間は3分2秒、常に投げを志向する両者による息詰まる対決は自分のスタイルを貫徹した野上に軍配、つくば秀英高の軽量級エース野上廉太郎が見事インターハイ初優勝を成し遂げた。

eJudo Photo
73kg級優勝の野上廉太郎

【入賞者】

優 勝:野上廉太郎(茨城・つくば秀英高3年)
準優勝:渡邊神威(愛知・大成高3年)
第三位:大吉賢(東京・日体荏原高3年)、古庄涼哉(神奈川・東海大相模高3年)
第五位:橋本静綺(三重・名張高3年)、山本一真(大阪・大商大高3年)、村上優哉(兵庫・神戸国際大附高2年)、桑原宏典(和歌山・箕島高3年)

野上廉太郎選手のコメント

「準々決勝以外全て一本勝ち、自分の持ち味は投げて勝つことだと思っているのでその持ち味が出せてよかったです。(決勝で出した小内刈は岡田弘隆先生に教えてもらった?)はい、岡田先生はつくばユナイテッド時代からの師で、あの小内刈は中学生のときから使ってます。決勝戦の前にも岡田先生に声を掛けて貰いました。一番近い目標は、全日本ジュニアで優勝すること。東京五輪も目指します。」

【準々決勝】

大吉賢(東京・日体荏原高3年)○腕挫十字固(3:28)△橋本静綺(三重・名張高3年)
渡邊神威(愛知・大成高3年)○優勢[技有]△山本一真(大阪・大商大高3年)
野上廉太郎(茨城・つくば秀英高3年)○優勢[技有]△村上優哉(兵庫・神戸国際大附高2年)
古庄涼哉(神奈川・東海大相模高3年)○払腰(0:33)△桑原宏典(和歌山・箕島高3年)

【準決勝】

渡邊神威○払腰(0:19)△大吉賢
野上廉太郎○腰車(1:30)△古庄涼哉

【決勝】

野上廉太郎○後袈裟固(3:02)△渡邊神威




取材・文:原輝地

※ eJudoメルマガ版8月6日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.