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【リオ五輪柔道競技完全ガイド】海老沼の最大注力は初戦、引いてしまったチバナの”面倒くささ”を考える・リオデジャネイロ五輪柔道競技66kg級直前展望

(2016年8月6日)

※ eJudoメルマガ版8月6日掲載記事より転載・編集しています。
【リオ五輪柔道競技完全ガイド】海老沼の最大注力は初戦、引いてしまったチバナの”面倒くささ”を考える・リオデジャネイロ五輪柔道競技66kg級直前展望
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66kg級組み合わせ。面倒なチャールズ・チバナを海老沼が引き受けることとなった

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日本勢最初の金メダル獲得に期待がかかる海老沼

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場内の異様な盛り上がりはチバナを利するはず

→リオ五輪柔道競技66kg級組み合わせ(ippon.orgサイト)
→リオ五輪柔道競技第2日組み合わせ(PDF)

有力選手の特性は「階級概況・有力選手データ」で確認頂くとして。

ドローの結果、ノーシード選手最大の焦点であったチャールス・チバナ(ブラジル)は海老沼が引いた。それも初戦だ。控えめに言って、初戦がチバナと聞いて、少なくとも「面倒」と思わない関係者はいないだろう。厄介である。

チバナはもともと地力十分、世界大会での実績はないが選手紹介で書かせて頂いた通り2014年世界選手権直前には選手間で優勝候補の筆頭と囁かれていた実力者。背負投と裏投一発の豪快さは出色で、競技者のファンも多い。

この組み合わせが面倒である理由として、まずチバナ側の事情を挙げる。ケンカ四つを厭わず、組み際に引き手を得ながらの背負投が得意技であること。技を受けて立ってくれる傾向のある海老沼に対して一発の重さ強さが武器であること、パンナム選手権を制して上り調子にあり、かつ以後試合に出ずに調整して皆勤時に見せていた疲弊が払拭されている可能性があること、地元大会であること、かつ初戦で海老沼と負ければ全てが終わる状況で、玉砕覚悟で腹を括るしかないこと。

そして、大会初日に見せたブラジル勢2人の異常な仕上がりの良さと、地鳴りのような観客席の応援に思いを馳せないわけにはいかない。衰えを隠せなかったはずのフェリペ・キタダイがその大声援に己の体内のリソースを最後の一滴まで出し尽くすようかのような、異様な空気に己の内臓まで引きずり出されるかのようなスーパーファイトを見せたことを考えれば、もともと技の威力は世界屈指であるチバナとの試合が面倒でないわけがない。

次に海老沼の側の事情。グランドスラムパリを圧勝し気を良くして五輪に臨むはずが選抜体重別で余計な負けを強いられ、今回はあの悪い形の敗退からの初試合となること。コンディション命で減量に苦労して来た海老沼が、どうやら初日の様相からして全員が二段も三段もフィジカルコンディションを上げてくる集団の中に放り込まれること、初日で髙藤が金メダル獲りに失敗し、凄まじいプレッシャーが掛かるはずであること、相手の技をストップするよりは、かわした上で自分が投げにいく「攻めなければやられる」スタイルであるがゆえ、相手との相対的なコンディションが「投げる」ところまで仕上がっていないと一発屋相手には常に先にアクシデントを起こされる可能性があること。

チバナが凋落したのは、彼が組み際の担ぎ技、あるいは逆に背を抱いた密着一発に頼り過ぎるゆえ。目立ち過ぎたチバナは研究され、「先にしっかり組めば良い」と強豪たちの見解は一致、先にしっかり組まれて作るべき「際」を封じられ、技を出させて貰えなくなってしまったのだ。今回も海老沼は地力を信じて先に、出来れば一方的に組み、とっとと投げてしまうに如くはなし。どのみち、チバナに負けるようでは金メダルはおぼつかない。プールBにはかつて「投げても投げても決められない」面倒な試合を強いられたゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)がおり、相手の絶対値の高さはともかく、シナリオ
的に面倒くさいのは間違いなく予選ラウンド。

ただし、ここを勝ち抜けば以後の相手の対戦相性からも海老沼が頂点に立つ確率が一気に跳ね上がるはずだ。決勝での対戦確率がもっとも高いのはダバドルジ・ツムルクフレグ(モンゴル)であると見るが、勝手知ったる相手であり、普通に試合が進めば海老沼の勝利は堅い。その力関係を重々承知のはずのダバドルジが、彼に欠けているモンゴル人らしい面白さを発揮するような開き直りを見せた場合が少々怖い。片手からの横落や密着しての隅落に注意しつつ、海老沼らしい丁寧な組み立てからの豪快な投技による金メダル奪取完遂を期待したい。気を付けるべきは、初日に見せた「全員がスーパーパフォーマンスを発揮する」磁場の高まり。

3位決定戦はアン・バウル(韓国)対ゴラン・ポラック(イスラエル)、ザンタライア対ミハエル・プルヤエフ(ロシア)を予想する。

アン対ポラックは直近2試合の様相と結果(アンの2連勝)からアンの勝利を推したい。ケンカ四つからの「韓国背負い」でアンが銅メダルを得ると予想。

ザンタライア対プルヤエフは上から被さるザンタライアと担ぎ技のプルヤエフという構図で、これは噛み合わせからしてプルヤエフに分があるはず。両手をしっかり持って投げを打つプルヤエフの特性もザンタライアの曲芸柔道には相性が良い。ザンタライアの長所を消して、プルヤエフの勝利と読みたい。

というわけで全てが順当に進んだ場合の予想は1位海老沼、2位ダバドルジ、3位がプルヤエフとアン・バウルと考える。しかし初日の異様な空間を見てしまった今、早々楽観的な観測を為すわけにはいかない。ただし海老沼がチバナに食われる事故があった場合はその時点でとんでもない戦国トーナメントに化ける。そうなった場合は1位アン、2位ダバドルジ、3位プルヤエフ、ザンタライアと読む。密着志向かつ引き出しが多く、長身で密着するための手順も多彩なザンタライアならば、長身で優位確保志向のポラックには分があるはず。

【プールA】

第1シード:アン・バウル(韓国)
第8シード:リショド・ソビロフ(ウズベキスタン)

【プールB】

第4シード:ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)
第5シード:海老沼匡
有力選手:チャールズ・チバナ(ブラジル)

【プールC】

第2シード:ダバドルジ・ツムルクフレグ(モンゴル)
第7シード:ニジャット・シカリサダ(アゼルバイジャン)
有力選手:スゴイ・ウリアルテ(スペイン)

【プールD】

第3シード:ミカイル・プルヤエフ(ロシア)
第6シード:ゴラン・ポラック
有力選手:ヴァスハ・マルグヴェラシビリ(ジョージア)


文責:古田英毅

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