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【リオ五輪柔道競技完全ガイド】現在は若手勃興期のとば口、それでも金メダル争いの軸は世界王者「三強」・リオデジャネイロ五輪柔道競技81kg級展望

(2016年8月4日)

※ eJudoメルマガ版8月4日掲載記事より転載・編集しています。
【リオ五輪柔道競技完全ガイド】現在は若手勃興期のとば口、それでも金メダル争いの軸は世界王者「三強」・リオデジャネイロ五輪柔道競技81kg級展望
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2014年グランドスラム東京準決勝、永瀬貴規がアヴタンディル・チリキシビリから小外刈「一本」
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左右に大技のあるチリシキビリ、会心の右内股「一本」
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優勝争いの軸は、ロンドン以後世界選手権の優勝を経験した3名。2013年リオ大会の覇者ロイック・ピエトリ(フランス)、2014年チェリャビンスク大会を制したアヴタンディル・チリキシビリ(ジョージア)、そして昨年のアスタナ世界選手権の王者・永瀬貴規だ。ピエトリは負傷のため今年上半期を棒に振ったが、復活軌道に乗ったとの情報もありひとまずこの見立てはそのまま残しておいて良いのではないかと思われる。

互いをライバルとして強く意識していることを明言しているこの「三強」は、担ぎ技のピエトリ、両組み大技ファイターのチリキシビリ、正統派の殻に柔道を包みながら実は体幹と「際」の強さというそもそもの地力自体で勝利を得てしまう怪物・永瀬と個性もクッキリ。このぶつかり合いがまずひとつ81kg級の大きなみどころだ。

そして「三強」のうち、おそらく駆け引き抜き、混ぜ物なしの「真正の強さ」でもっとも上にいるのは永瀬。おそらくライバル達もその点は強く意識しており(既に過去2年間のチリキシビリの永瀬戦における戦術立脚点は、前提条件として永瀬を格上と規定している)、彼らの作戦立案の一大方針は互いに自らのもっとも高い打点をぶつけあって覇を競うのではなく、試合の中にその真正の地力以外の「混ぜ物」をどうプロデュースしてくるかにあると考えられる。永瀬は逆に、組み手争いや奇襲技連発といった駆け引きに惑わされず、互いがまともに力を発揮する方法論をしっかり頭に叩き込んで戦いたいところ。

そしてこの81kg級。「三強」が強さを謳歌する裏で実は若手の大量勃興期のとば口にある。スヴェン・マレシュ(ドイツ)やアントワーヌ・ヴァロワフォルティエ(カナダ)といった「ロンドン-リオ期」を支えた中堅クラスに取って変わって、イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)とカサン・カルモルザエフ(ロシア)が括目すべき内容と結果を残し、昨年の世界ジュニアのメイン世代であるイワン フェリペ・シウバモラレス(キューバ)やフランク・デヴィト(オランダ)らが明らかに体内に爆発要素を孕む面白い柔道を展開し、ツアーで存在感を発揮している。その上昇カーブはまだ「時間」という横軸を得られず到達距離自体は高くはないが、かなりの高角度ではあることは間違いない。もし五輪の開催が半年後であったとすれば、少なくとも「三強」以下のこの階級の勢力図は、劇的に塗り替わっているのではないだろうか。

今のところは同じ若手でも2年先行した永瀬に圧倒的なアドバンテージがあり、ワールドマスターズで初対決したイヴァノフは永瀬とのファーストコンタクトに耐えられず秒殺一本負け。しかし、「長期的なキャリア上、伸びる年齢にある」「短期的な視点で見ても、今伸びている最中である」という五輪躍進の条件を2つながら満たす選手の弾数が揃いつつあることは脅威。

というわけで「三強」の優勝争いに加えて、大量勃興中の若い世代による三強への挑戦、そしてセルジュ・トマ(UAE)ら曲者揃う中堅世代の抵抗という3つの視点から、この階級の戦いは括られるべき。個性ある人材多き81kg級、どのブロックにも好試合の出現必至である。

■ 有力選手
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昨年初めて世界選手権を制した永瀬貴規
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永瀬貴規(日本)
NAGASE Takanori
22歳 1993/10/14
組み手:右 WR2位
所属:(長崎日大高→筑波大→)旭化成
得意技:大内刈、小外刈、内股

日本が長年苦戦を続けた81kg級についに現れた救世主。2015年には2度目の出場となる世界選手権で見事世界の頂点を極めた。
何よりのストロングポイントはその体幹と「際」の強さ。組み負けているように見えてもずらし、弾き返し、あるいは透かしてと一瞬で自身の投げに繋ぎ、そして勝利を収めるその様はあたかも背筋に鉄骨が入っているかのよう。力で永瀬を捻じ伏せようとする欧州選手がまさにその長所で永瀬に敵わない、その様は圧巻。
日本人離れした体の強さと、こちらはいかにも日本人らしい素晴らしい投げの切れ味の両方に注目。22歳の伸び盛りで五輪を迎えるというキャリア的なアドバンテージもあり、今大会は大野将平と並ぶ絶対的な優勝候補と考えられる。

【おもな戦績】
2014年 チェリャビンスク世界選手権 5位
2015年 アスタナ世界選手権 優勝

【最近の成績】
2015年12月 グランドスラム東京 3位
2016年4月 全日本選抜体重別選手権 優勝
2016年5月 グランドスラム・バクー 優勝

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アブタンディル・チリキシビリ(ジョージア)
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チリキシビリの豪快な裏投「一本」
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アブタンディル・チリキシビリ(ジョージア)
TCHRIKISHVILI Avtandili
22歳 1994/3/25
組み手:両組み WR1位
得意技:裏投、右内股、左内股、右腰車、左腰車、右大腰、左大腰

永瀬、ピエトリと共に階級「三強」の一角を担うスター選手。
相手や状況に合わせて左右の組み手と技を使い分ける両組みファイター。本人質問に加えて曰く「どちらも威力は同じくらい」。
驚異的なバランス感覚と腰の強さを持ち、アクロバティックな裏投や腰技で強引に投げ切ってしまう。特に作用脚を上げて高さを確保する裏投の迫力は一見の価値あり。

また左右組みを利して、必要に応じて「指導」で相手を引き離す展開を使い分けるなど戦術的な巧さもある。2014年チェリャビンスク世界選手権では永瀬貴規に左右を使い分けることで「指導」の取り合いに嵌めて力を出させないまま試合を終えた。永瀬との対戦成績は2勝4敗(団体戦含む)だが、大雑把に言って永瀬が勝つときは投げで勝負が決まり、チリキシビリが勝利するのは「指導」奪取のロースコアゲームという傾向がある。

参考動画:Tchrikishvili Avtandili Judo Highlights 2015

【おもな戦績】
2013年 リオ世界選手権 2位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 優勝
欧州選手権を3連覇(2013、2014、2015)

【最近の成績】
2015年8月 アスタナ世界選手権 5位
2015年12月 グランドスラム東京 優勝
2016年2月 グランドスラム・パリ 優勝
2016年4月 欧州選手権 2位

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ロイク・ピエトリ(フランス)
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ロイク・ピエトリ(フランス)
PIETRI Loic
25歳 1990/8/27
組み手:右 WR16位
得意技:右背負投、右背負投(韓国背負い)、左一本背負投、裏投、谷落

三強の一。2013年リオ世界選手権金メダリスト。
担ぎ技の選手であり、左右に担ぎを仕掛けること自体で展開を作っていく「働き者」タイプの選手である。タフな連続攻撃はそうとわかっていてもなかなか止められない。真裏への捨て身技も得意としており、先手攻撃で展開を塗り潰されることを嫌った相手が密着を採り、そのまま放られる場面も多々。

同僚アレクサンドル・イディーに背負投を仕掛けた際に膝を痛めて、この春から長期離脱。大会キャンセルを繰り返した末5月の国際大会に顔は見せたものの全く映えないパフォーマンス初戦敗退。でシード圏からも外れてしまい、この選手がどこに配されるかは81kg級のメダルの行方を左右する最重要要素となっている。負傷に関しては6月後半までは乱取りをせずにじっくりトレーニングで調整し、7月初旬にスペイン・カッセフデフェルスで行われた国際合宿では休みを入れながらも既に乱取りをこなしていたとの情報。五輪では力を出せる状態でやってくると考えておくべきだろう。

参考動画:Loic Pietri (FRA) Judo Compilation

【おもな戦績】
2013年 リオ世界選手権 優勝
2014年 チェリャビンスク世界選手権 3位
2015年 アスタナ世界選手権 2位

【最近の成績】
2015年8月 アスタナ世界選手権 2位
2015年12月 グランドスラム東京 初戦敗退
2016年5月 グランプリ・アルマティ 初戦敗退
2016年5月 ワールドマスターズ 初戦敗退

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カサン・カルモルザエフ(ロシア)
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カサン・カルモルザエフ(ロシア)
KHALMURZAEV Khasan
22歳 1993/10/9
組み手:左 WR6位
得意技:左小外刈、谷落、左大外刈

2016年ヨーロッパ王者。
ゆったりとした動きと一種やる気なさげな鈍い表情から突如鋭い左内股を放つ、面白い選手。釣り手の使い方が非常に上手く、巧みに肩を自由にして内股の間合いを作ってしまう。
5月の欧州選手権優勝時はイヴァルノ・イヴァノフ(ブルガリア)とチリキシビリを連続で破っており、この2016年上半期の好調を以て混戦状態だったロシアの代表争いに勝利。「勢い」という五輪成功者の条件を満たす選手の一人だ。

【おもな戦績】
2009年 世界カデ選手権 優勝
2015年 ユニバーシアード 優勝
2016年 欧州選手権 優勝

【最近の成績】
2015年12月 グランプリ済州 2位
2016年1月 グランプリ・ハバナ 優勝
2016年4月 欧州選手権 優勝

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イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)
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イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)
IVANOV Ivaylo
21歳 1994/7/20
組み手:右 WR4位
得意技:右背負投、右大外刈、隅返、右腰車、右内股

ジュニアカテゴリでも目立った活躍がない無名選手だったが、昨年10月のグランドスラム・アブダビで優勝を果たし国際舞台に衝撃デビュー。以後も立て続けに好成績を残して一気に序列を駆け上がった、カルモルザエフと同様この階級の「今伸びている」旬の選手の代表格である。
切れ味鋭い右背負投が最大の武器。まず仕掛け、相手との位置関係に応じて左右に落とし直す隅返もかなりの取り味がある。この選手の出世の源泉となったのはあくまで投げて勝負を決めに来る気風の良さであり、上位に定着した今もこの動力源を失っていない。一発勝負では非常に面白い存在。

【おもな戦績】
2016年 欧州選手権 3位

【最近の成績】
2015年10月 グランドスラム・アブダビ 優勝
2015年11月 グランプリ青島 3位
2016年2月 グランドスラム・パリ 2位
2016年2月 グランプリ・デュセルドルフ 3位
2016年3月 グランプリ・トビリシ 7位
2016年4月 欧州選手権 3位
2016年5月 グランドスラム・バクー 2位
2016年6月 ヨーロッパオープン・マドリッド 3位

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ランク・デヴィト(オランダ)
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フランク・デヴィト(オランダ)
DE WIT Frank
20歳 1996/2/13
組み手:右 WR30位
得意技:右小外掛、右大内刈、右小内刈、右内股、巴投

2015年ジュニア世界チャンピオン。
馴染みのないファンには意外なピックアップかと思われる。
長身を利して背中、あるいはクロスグリップで抱き込んでからの小外掛、小内刈が得意。
グランドスラム・バクーでは永瀬貴規を相手に終了間際までリードする惜しい戦いを演じ、グランプリ・アルマティではピエトリを小内刈「一本」で破っている注目株。まだツアーの優勝はなく、五輪枠内にギリギリで滑り込んだ選手であり、勿論ノーシードであるが表彰台の可能性は十分と見る。不確定要素の一。

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セルジュ・トマ(UAE)
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セルジュ・トマ(UAE)
TOMA Sergiu
29歳 1987/1/29
左組み WR10位
得意技:肩車、谷落、左大腰、隅返、巴投、左小内刈、左内股、左袖釣込腰、隅落

2011年パリ世界選手権3位。ロンドン五輪後、UAEに大量移籍したモルドバ選手たちの領袖。
非常に器用な選手で技が多彩、どの技も一定以上の水準にある。2013年~2014年にツアーで成績を残した(2013年だけで3度優勝)は場外際を上手く使った「場外際の魔術師」とでもいうべき戦術性も見せた。変則の肩車(一本背負投)も使用する。

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トラヴィス・スティーブンス(アメリカ)
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トラヴィス・スティーブンス(アメリカ)

STEVENS Travis
30歳 1986/2/28
右組み WR5位
得意技:右一本背負投、巴投、隅返、右背負投、寝技

今季のワールドマスターズ王者。
柔術家でもあるベテラン選手、自ら道場も経営しているとのこと。柔術家らしく寝技を得意としており巴投や隅返で引き込んでから寝技で仕留める場面は数多い。爆発的な成績は残せていないが巧みに出場大会を選び(その端的な例が、強豪軒並み出場見合わせた先日のワールドマスターズでの700ポイント獲得劇である)、勝てる試合にしっかり勝ってハイランクで五輪到達。
ロンドン五輪ではオーレ・ビショフ(ドイツ)との熱戦に敗れ畳に伏せて悔しがり、それを座礼と勘違いしたビショフが座礼で返したことでネットを沸かせたというエピソードあり。

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ントワーヌ・ヴァロワ フォルティエ(カナダ)
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アントワーヌ・ヴァロワ フォルティエ(カナダ)

VALOIS-FORTIER Antoine
26歳 1989/9/12
右組み WR3位
得意技:肩車、右内股、右小外刈、右体落

2014年チェリャビンスク世界選手権2位、2015年アスタナ世界選手権3位、ロンドン五輪3位。
階級の番人とでも呼ぶべき選手。平均点は高いがあくまで「歩留まりの良い」タイプ。なんでもできるがこれといって特徴の無い、現在の欧州系(この人はカナダだが)選手の典型とも言える。荒れたトーナメントでは「歩留まりの良さ」が本領を発揮するという側面もあるため注意が必要。戦術性は階級随一。具体的な技としては組み手争いから放つ肩車が危険。

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ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)
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ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)
PENALBER Victor
26歳 1990/5/22
左組み WR7位
得意技:左背負投、左体落、左大外刈

2015年アスタナ世界選手権銅メダリスト。
低く構えてひたすら左背負投を狙う。展開を作るためではなくあくまで「投げるため」に大技を仕掛けるという型の選手であり、ゆえに手数が少なくなる傾向あり。かつては攻撃バランスの極めて良い選手であったが、現在は仕掛ける技のほとんどが左背負投となって少々偏向している印象。

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ワン フェリペ・シウバ モラレス(キューバ)
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イワン フェリペ・シウバ モラレス(キューバ)
SILVA MORALES Ivan felipe
20歳 1996/2/8
左組み WR15位
得意技:左大外刈、左大内刈、右内股、小内巻込、谷落

2015年世界ジュニア選手権3位。
パワーファイター。奥襟を持っての左大外刈が得意だが、前技から切り返しての谷落や岡田弘隆式の「掛け倒す」左小内刈も備える。同世代のデヴィトに先んじてワールドツアー初制覇を達成(2016年5月GPアルマティ)、この勝利により五輪枠内に滑り込む。この人もノーシードながら表彰台の可能性十分アリと見る。不確定要素の一。

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ヨアキム・ボットー(ベルギー)
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ヨアキム・ボットー(ベルギー)
BOTTIEAU Joachim
27歳 1989/3/20
右組み WR8位
得意技:右小内刈、横落、肩車、右払巻込、右小外刈

2016年ワールドマスターズ2位。相手を前屈みにさせて、あるいは釣り手で背中を抱いてと複数のパターンを持つ右小内刈が最大の武器。釣り手だけを持った状態からは横落や肩車も多用する。スーパーハイレベル大会であるグランプリ・デュセルドルフにはなぜかめっぽう強く、2度果たしたツアー制覇はいずれもこの大会(2015年、2016年)。2015年大会決勝では審判に助けられた形ではあるが、チリキシビリを破る快挙を演じている。

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スヴェン・マレシュ(ドイツ)
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スヴェン・マレシュ(ドイツ)
MARESCH Sven
29歳 1987/1/19
右組み WR22位
得意技:左一本背負投、左袖釣込腰、左小内巻込、右小内刈、膝車

試合巧者の担ぎ技ファイター。右組みだが、仕掛ける技はほとんどが左技。
まれに背中を抱いて浮技風の裏投も使用する。長くツアー表彰台の「番人」的な位置を占める階級の主役の一であったが、2015年後期からの若手勃興に押されつつあり成績も存在感も降下傾向。

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イ・センス(韓国)
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イ・センス(韓国)
LEE Seungsu
25歳 1990/7/20
右組み WR29位
得意技:右背負投、左右「韓国背負い」、左右一本背負投、左右小内巻込、

右背負投と右「韓国背負い」がベース。担ぎ技を仕掛けること自体で試合を自分のペースに引きずり込む、非常に韓国選手らしい柔道を展開する。キム・ジェブン、ワン・キチュンという世界王者2人と争って(※ともに2016年に引退を表明)勝ち抜き、五輪代表の栄を得た強者。

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モハメド・アブデラル(エジプト)
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モハメド・アブデラル(エジプト)
ABDELAAL Mohamed
25歳 1990/7/23
左組み
左大内刈、左小外掛、左浮落
2016年アフリカチャンピオン。階級屈指のパワーファイター。
その力を生かすべく、基本の組み手は釣り手で背中を抱き、引き手で襟を掴む間合いの詰まった両襟。腰技や捨身技は殆ど使わず、体を大きく開くようにかける左大内刈と小外掛が主な武器。崩れた相手は左浮落の形で胸を合わせてパワーでねじ伏せる。
そのパワーを生かして2015年アスタナ世界選手権では永瀬貴規を苦しめた(永瀬が「指導1」で辛勝)。

ナシフ・エリアス(レバノン)
ELIAS Nacif
27歳 1988/9/29
左組み WR22位
得意技:肩車、横落、左小内巻込、裏投、支釣込足

もとブラジル籍、短躯のパワーファイターでしぶとさが売り。表彰台は狙えないが対戦すれば消耗必至。ペースを乱されて体力を奪われる選手多し、どの強豪も出来れば戦いたくない相手と考えているのではと推測される。不確定要素。

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マン・モウストポウロス(ギリシャ)
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ロマン・モウストポウロス(ギリシャ)
MOUSTOPOULOS Roman
23歳 1993/3/2
右組み
浮落、隅落、右内股、右腰車、裏投、右小外掛
ギリシャ勢が非常な存在感を示した世界ジュニア選手権「2013年組」の1人。この際は3位に入賞、以後なかなか目が出なかったがツアー皆勤を続けて2014年6月からここまで7回表彰台に上がり、1度優勝(2014年10月グランプリ・タシケント)も果たしている。今年のワールドマスターズでは3位に入賞し、ついに五輪でのシード権を得るに至った。

背中を抱き、あるいは脇を差して相手に密着し続けることで「際」を作り、体幹の強さとパワーを活かして最終的には浮落や隅落の形でポイントを狙う。というわけで成績を残す中で後の先の傾向を強めた選手であるが、右内股にもかなりの威力を秘める。
この選手を境目に表彰台圏内と圏外がはっきりと分かれている印象有り。どちらかというと本人は「圏外」に落っこちること多し。

■ シード予想
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シード予想は右図の通り。チリキシビリと永瀬が第1シードと第2シードに分かれ、それぞれに中堅選手グループから2人、伸び盛りの若手集団から1人が配された。チリシキビリの側には前者からボットーとスティーブンス、新興若手グループからイヴァノフ。そして永瀬の側にはペナウベルとヴァロアォルティエ、そして若手はカルモルゼフが配された。

こうしてみるとやはり怖いのは到達戦力が分かり切っている中堅選手ではなく、伸びしろのある若手選手。シード段階での「引き」は五分五分、欧州選手権を獲ったばかりのカルモルゼフを引いた永瀬が若干厳しめという印象であるが、ピエトリがドローの末どこに落ち着くかで様相は全く変わる。ここまで大量にピックアップして来た通り人材は多い階級で、大枠を語るにもディティール(ノーシード選手の配置)を観察せずば難しい。ドローを待ちたい。


文責:古田英毅
協力:林さとる

Text by Hideki Furuta

※ eJudoメルマガ版8月4日掲載記事より転載・編集しています。

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