PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

大牟田大健闘もベスト4で力尽きる、決勝進出は日体荏原と国士舘の本命2校・平成28年度金鷲旗高校柔道大会マッチレポート②準々決勝~準決勝

(2016年7月28日)

※ eJudoメルマガ版7月28日掲載記事より転載・編集しています。
大牟田大健闘もベスト4で力尽きる、決勝進出は日体荏原と国士舘の本命2校
平成28年度金鷲旗高校柔道大会マッチレポート②準々決勝~準決勝
■ 準々決勝
eJudo Photo
準々決勝、大成高の先鋒渡邊神威が日体荏原高・大吉賢から内股「有効」、一時はリードを得る

eJudo Photo
日体荏原高の次鋒長井晃志が大成高の中堅・森部篤知から袖釣込腰「一本」

eJudo Photo
日体荏原高の中堅・塚本綾が大成高の副将・清水祐希から内股「技有」

eJudo Photo
ハンガルが東部直希を抑え込みに掛かる

日体荏原高(東京)○不戦1人△大成高(愛知)
(先)大吉賢×引分×渡辺神威(先)
(次)長井晃志○優勢[指導2]△田中大地(次)
(次)長井晃志○袖釣込腰△森部篤知(中)
(次)長井晃志△大外刈○清水祐希(副)
(中)塚本綾○優勢[技有・内股]△清水祐希(副)
(中)塚本綾△払腰○東部直希(大)
(副)ハンガルオドバートル○優勢[有効・裏投]△東部直希(大)
(大)藤原崇太郎

日体荏原はここまで抜き役を務めた百々雄弥に替えて次鋒に長井晃志を投入。6戦目にして最終決戦兵力が揃った。

先鋒対決は大成・渡邊神威が早々に内股「有効」をリード。まず大成の先制かと思われたが残り数秒で大吉賢が底力を発揮、袖釣込腰「有効」を得てタイムアップギリギリで追いつき引き分け。リードを得て相手を焦らせながら試合を進めたい大成としては、一時は最高のシナリオを手に仕掛けた分メンタルに響く、少々勿体ない展開。日体荏原にとってはシナリオを敵方に引き寄せられることを防ぐ、非常に大きな一撃。

第2試合は今大会初出場の長井が田中大地を「指導2」の優勢で退け、さらに中堅森部篤知を得意の袖釣込腰「一本」に仕留める。長井の戦闘力を考えればこれで以後の試合の方向は確定したかに思われたが、大成は「働きものの本格派」清水祐希が実直に攻めを続けた末に長井を得意技の大外刈に捉え豪快な「一本」。これでスコアは1人差となり、試合は乱戦気配。続く第5試合は日体荏原・塚本綾が畳に残った清水を巴投「有効」、内股「技有」、体落「有効」と圧倒するが清水は図太く畳に居残り続けて相手の体力の消耗を図る。これが効いたか第6試合では大成の大将・東部直希が塚本を払腰「一本」に捉えて、1人差ビハインドで副将のハンガルオドバートルを畳に迎えるところまで体勢を立て直す。

ここまで取り味を見せつけてチームのベスト8入りの牽引役となっている東部であるが、どうやら対戦相性はハンガルの側にあり。ハンガルは東部から裏投「有効」、浮落「有効」と連取して終盤は順行運転。この試合はハンガルの優勢勝ちで終了し、日体荏原が不戦1人のスコアを以て準決勝進出を決めた。

あくまで主導権を渡さなかった大吉、田中と森部を抜き去った長井と日体荏原の前衛の活躍が光った一番だった。大成は渡邊、森部と才能ある選手が牽引役を務められなかったが、泥臭く攻め続ける清水の執念と東部の取り味が光った大会であった。

eJudo Photo
大牟田高の次鋒樽見優作が木更津総合高・長澤大雅から「有効」獲得、そのまま袈裟固に抑え込む

eJudo Photo
西田将樹と山下魁輝による注目の大将対決

大牟田高(福岡)○大将同士△木更津総合高(千葉)
(先)田中優大○優勢[指導2]△坂東虎之助(先)
(先)田中優大△肩固○長澤大雅(次)
(次)樽見優作○袈裟固△長澤大雅(次)
(次)樽見優作△小外刈○兼原潤(中)
(中)友清光×引分×兼原潤(中)
(副)久保大喜○優勢[有効・一本背負投]△大淵泰志郎(副)
(副)久保大喜△合技[大内刈・払腰]○山下魁輝(大)
(大)西田将樹○合技[大腰・横四方固]△山下魁輝(大)

取って取られて、ともに強気が持ち味の両軍による凄まじい殴り合いは大牟田の勝利に終着。友清光と兼原潤のポイントゲッター同士が引き分けた中堅対決までは全く試合の行方が見えなかったが、次戦の副将久保大喜の勝利により、相手方の大将に少なくとも2試合を強いるアドバンテージが大牟田の側に生まれる。

九州ジュニア100kg超級王者西田将樹と高校選手権無差別2位の山下魁輝による大将対決は満場注目の大一番。西田が大腰「技有」から横四方固に抑え込むと山下動けず、最後は敗戦を悟ったかのように天井を見上げて終了ブザー。西田の合技「一本」により、大牟田は歓喜のベスト4進出決定。久々地元チームがやってのけた大仕事に会場は大歓声に包まれた。

eJudo Photo
天理高の中堅笠原大雅が国士舘高の次鋒稲垣由生から小内刈「技有」

eJudo Photo
飯田健太郎が田中慎太郎に右内股、引き手が切れて崩れたがバランスを取って投げ切り「有効」

国士舘高(東京)○大将同士△天理高(奈良)
(先)岩渕晃大○優勢[有効・小外刈]△仲尾航介(先)
(先)岩渕晃大△横四方固○矢野真我(次)
(次)稲垣由生○優勢[有効・裏投]△矢野真我(次)
(次)稲垣由生△優勢[技有・小内刈]○笠原大雅(中)
(中)河田闘志×引分×笠原大雅(中)
(副)磯村亮太×引分×中野寛太(副)
(大)飯田健太郎○内股△田中慎太郎(大)

国士舘はオーダーを入れ替えず、これで6戦連続の同型布陣。先鋒岩渕晃大、次鋒稲垣由生の疲労が心配されるところだが、一段戦闘力に劣るはずのこの前衛2枚は準々決勝の段階に至ってもそれぞれ1勝1敗と奮闘。岩渕は仲尾航介を小外刈「有効」で抜き、矢野真我には裏投の失敗に被られて力尽き横四方固で一本負け。続く稲垣は畳に残った矢野から果敢な裏投「有効」でポイントを挙げ、ベンチの「(返されるリスクを負わないよう)足を揚げるなよ!」とのアドバイスを必死に守って優勢勝ち。稲垣は天理の抜き役3枚の一の矢を担う笠原大雅の鋭い小内刈「技有」で畳から降ろされたが相手の体力を削り続けて奮戦を見せた。

続く河田闘志と笠原の中堅対決は引き分けに終わりスコアはタイのまま。磯村亮太と中野寛太の副将同士の対決も引き分けとなり、勝敗は大将同士の対決へと委ねられる。

国士舘の飯田健太郎はこれが今大会初登場。飯田は開始早々に田中慎太郎から内股「有効」、さらに落ち着いて試合を進めて内股「一本」で快勝。いずれ劣らぬ接戦はエース1枚の戦闘力の差で決着、国士舘がベスト4へと駒を進めることとなった。

eJudo Photo
崇徳高の副将・空辰乃輔が埼玉栄高・岩田歩から内股透「技有」

eJudo Photo
蓜島剛が空辰乃輔を攻める

埼玉栄高(埼玉)○大将同士△崇徳高(広島)
(先)焼谷風太○優勢[指導2]△神垣和也(先)
(先)焼谷風太△大内刈○森近唯(次)
(次)長濱快飛○送襟絞△森近唯(次)
(次)長濱快飛×引分×福永矩宣(中)
(中)今入晃也△反則○空辰乃輔(副)
※「頭突っ込み」による反則負け
(副)岩田歩夢△優勢[技有・内股透]○空辰乃輔(副)
(大)蓜島剛○優勢[指導2]△空辰乃輔(副)
(大)蓜島剛○優勢[指導2]△長岡季空(大)

脆さもあるが何より爆発力のある埼玉栄、強さに加えて巧さも兼ね備えた崇徳とややキャラクターは異なるが、ともに攻撃的なチーム2枚によるハイレベルマッチ。埼玉栄が高校選手権無差別王者の蓜島剛を大将に置く以上、崇徳としてはここに出来れば2枚以上を当てることが勝利の前提条件。

しかし埼玉栄の先鋒焼谷、崇徳の次鋒森近が1人ずつを抜き合い、さらに埼玉栄の次鋒長濱快飛が1人を抜いた第4試合までの盤面進行は埼玉栄の1人差リード。が第5試合で意外な展開、今入晃也が崇徳の抜き役・空辰乃輔との一番で「頭突っ込み」を犯してダイレクト反則負け。さらに畳に残った空が岩田歩夢を内股透「技有」で抜き、崇徳は空、そして長岡季空のエース格2枚を残して蓜島を畳に迎えるというこれ以上ない布陣で最終盤に突入することに成功。

しかし、空と長岡の強豪2枚を相手にせねばならないこの厳しい状況にも蓜島の心は折れず。空を「指導2」対「指導1」の優勢、長岡からも「指導2」対「指導1」の優勢という僅少差ながら計8分間を図太く戦い切り勝利決定。埼玉栄が全国高校選手権に続くベスト4進出を決めた。

結果決まった準決勝カードは、

日体荏原高 - 大牟田高
国士舘高 - 埼玉栄高

となった。

■ 準決勝
eJudo Photo
大牟田高の先鋒田中優大が大吉賢から右背負投「有効」を先行

eJudo Photo
日体荏原高の次鋒長井晃志が大牟田高の先鋒田中優大から一本背負投「一本」

日体荏原高○不戦一人△大牟田高
(先)大吉賢△大腰(3:59)○田中優大(先)
(次)長井晃志○一本背負投(0:57)△田中優大(先)
(次)長井晃志○背負投(1:39)△樽見優作(次)
(次)長井晃志○優勢[技有・裏投]△友清光(中)
(次)長井晃志△崩袈裟固(0:42)○久保大喜(副)
(中)塚本綾×引分×久保大喜(副)
(副)ハンガルオドバートル○袈裟固(3:20)△西田将樹
(大)藤原崇太郎

日体荏原有利と観測される試合だったが、大牟田は4年ぶりの4強入りを決めた勢いをそのままに、先鋒田中優大が畳上で大暴れ。大吉賢を相手に双方「指導1」を分け合った1分過ぎから加速、左袖釣込腰を連発してペースを掴むと右背負投で大吉の股を潜り抜けて投げ切り2分11秒見事「有効」を奪取。奮起した大吉の猛攻に「指導3」まで失ったが、あと1つの「指導」を求める大吉が隅返から立ち上がって突進した来たところを捕まえて右大腰。逃げ切るのではなくあくまで投げるという姿勢の染みた一発は文句なしの「一本」、残り1秒に決まったこの一撃で大牟田が先制に成功。

eJudo Photo
長井は樽見優作も背負投「一本」に仕留める

eJudo Photo
長井が友清光を「やぐら投げ」で持ち上げる

eJudo Photo
久保大喜が長井晃志を抑え込んで一本勝ち、4人目にして長井を止めることに成功

しかし日体荏原は準々決勝の下がり際を不首尾で終えた長井晃志が奮起、畳に残った田中を打点の高い右一本背負投に捕まえて鮮やかな「一本」、さらに次鋒樽見優作からもまず「指導2」を得ると、奥襟を掴んで右小内刈、さらに右の片襟背負投に繋いで「一本」獲得。2試合連続の「一本」奪取にも長井の意欲は衰えず、ポイントゲッターの中堅友清光を相手に1分過ぎに「やぐら投げ」の大技に打って出る。体ごと揚げられた友清なんとかバランスを取って足から着地するが、長井そのまま追い込んで走らせ、相手がたたらを踏んだところに食いついて裏投一発。さしもの友清もこの執念には耐えられず吹っ飛びこれは「技有」となる。長井は以後も袖を押し込んでの大外刈に出足払と攻め続けるが、ここは友清がなんとか耐えてタイムアップ。長井は「技有」優勢で勝利を得てついに3人抜きを達成。

しかし長井もさすがに疲労、このままで負けるわけにはいかない大牟田は副将久保大喜が長井を寝技に引きずり込むと得意の手順に嵌め、逆手で首をロックする変則の崩袈裟固。順行運転でリアクションする中で対応が半歩遅れた長井、慌てた時には既に抑え込みが完成してしまったという体で動けず「一本」。大牟田がスコアを1つ押し戻し、日体荏原のリードは1人差にまで縮まる。

日体荏原は続く中堅塚本綾が手堅く試合を構成、序盤戦に久保が完成しかけた「襟袈裟固」により寝技への警戒感も一段強めて、以後は要所で取り味のある技を放ちながら動的膠着に持ち込んで引き分け。

日体荏原は副将ハンガルオドバートルが前戦に引き続き登場、一方の大牟田は大黒柱の大将西田将樹が畳に上がる。

eJudo Photo
西田将樹がハンガルオドバートルを支釣込足で転がし「有効」

eJudo Photo
ハンガルの浮技が決まり「有効」

eJudo Photo
ハンガルが西田をガッチリ抑え込んで日体荏原の勝利が決定

ハンガルは身長183センチ体重100キロ、西田は181センチ130キロ。ハンガルは右で脇を差す得意の形を作りかけるが、体格のある西田との正面勝負を警戒したがその手が浅い。西田はハンガルの右を抱え込むと、密着しようと前に出て来た相手の体を呼び込んで支釣込足、時計回りに思い切り捩じるとハンガルの巨体もんどり打って転がり「有効」。

しかしこれで勝負に出るしかなくなったハンガルは攻撃性を増し、組み手争いのさなかに相手の右を外から抱える形で左で帯を掴むことに成功。機と見るや脇を差した右を相手に抱かせたまま反時計回りの浮技に体を捨てる。勢いのついた西田の巨体は一瞬制動を失いこれは「有効」、主審がポイントを宣告した時にはハンガル既に崩袈裟固の形を完成して西田は万事休す。そのまま「一本」が宣告されてハンガルの勝利が確定、日体荏原の決勝進出が決まった。

久々全国の畳に姿を現したハンガルは体が太くなり、持ち前の体幹の強さが一段増した印象。日体荏原は大将の藤原崇太郎を座らせたまま決勝まで勝ち上がることとなった。

敗れたりとはいえ4年ぶりのベスト4を達成した大牟田は大健闘。大将西田が春から明らかに一段も二段もスケールアップ、しかもこの大物1人に頼ることなく友清、田中とどこからでも刃が飛び出すという迫力の試合ぶり。攻防の最後まで自分の技を仕掛け続ける、そして単に仕掛けるのみならず具体的に「一本」を狙い続けるという攻撃姿勢が選手全員に染み渡っていた。準決勝における田中の「一本」奪取は2回戦から一貫して見せていたこの試合姿勢の端的な現れであった。

金鷲旗は九州勢が戦い易い組み合わせになることも多々ある大会であるが、今代大牟田チームの勝ちぶりは実力と内容の伴ったもの。観客席に一礼した際巻き起こった大拍手を浴びるにふさわしい、素晴らしい戦いぶりであったと評したい。

eJudo Photo
山田祐太が長濱快飛を横四方固「一本」に仕留める

eJudo Photo
山田は岩田歩夢を谷落「一本」に仕留め、3人抜き。

国士舘高○不戦一人△埼玉栄高
(先)岩渕晃大×引分×焼谷風太(先)
(次)山田祐太○横四方固(1:59)△長濱快飛(次)
(次)山田祐太○不戦△
(次)山田祐太○谷落(1:17)△岩田歩夢(副)
(次)山田祐太△払腰(1:17)○蓜島剛(大)
(中)河田闘志△優勢[指導2]○蓜島剛(大)
(副)磯村亮太○優勢[指導2]△蓜島剛(大)
(大)飯田健太郎

国士舘は今大会初めてオーダーを動かし、稲垣由生に替えて次鋒に山田祐太を投入。
埼玉栄は前戦で「頭突っ込み」のダイレクト反則負けを喫した今入晃也が高体連規定のため(※IJFルールではダイレクト反則負けのうち「頭突っ込み=protection」のみは次戦以降も試合に出場できる)以後の試合に出場出来ず、ここからは4人での試合を余儀なくされることとなった。

国士舘は投入されたばかりの3年生山田が大活躍。先鋒戦の引き分けを受けて畳に上がるや長濱快飛を横四方固「一本」に仕留める大仕事。さらに不戦勝を経て対峙した副将岩田歩夢をも谷落「一本」に斬って落とす。高校選手権を前にレギュラー争いから脱落した形の山田であったが、この檜舞台で意地の奮戦。国士舘のリードは実に3人差に広がり、埼玉栄は早くも本丸の蓜島剛が登場することとなる。

eJudo Photo
蓜島は意欲的、河田闘志を「指導2」で破って2人抜き達成

eJudo Photo
磯村亮太が蓜島剛を攻める

山田を抜いても河田闘志、磯村亮太、そして飯田健太郎が残るという蓜島にとっては絶望的な状況であったが、この日の蓜島は意欲十分。まず山田を鮮やかな払腰「一本」に仕留めると、続く河田も「指導」2つを得て畳から退ける。

しかし中学時代から戦い続けて来た磯村亮太と、既に2人を抜いた状態で戦うことはさすがに厳しい。蓜島が力尽きる体でこの試合は磯村の「指導2」優勢に収着。不戦1人のスコアを以て国士舘の決勝進出が決まった。

国士舘は河田がまたもや一種もどかしい試合を演じた反面、山田の奮戦という好材料を得てチーム総体としては上昇機運。想像の上を行くような爆発的な仕事ではないが、蓜島に対し重量2枚が「壁」の機能を果たし得たという点も評価ポイントと考えてよいかと思われる。交代選手がすぐさま活躍するという非常に良い卦を得て、国士舘は宿敵日体荏原が待ち受ける決勝の畳へと向かう。

※ eJudoメルマガ版7月28日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.