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【リオ五輪柔道競技完全ガイド・日本代表選手紹介】練度を増して「パワーの時代」に対抗、独自の世界築き上げて悲願達成狙う・52kg級 中村美里

(2016年7月23日)

※ eJudoメルマガ版7月23日掲載記事より転載・編集しています。
【リオ五輪柔道競技完全ガイド・日本代表選手紹介】52kg級代表 中村美里
練度を増して「パワーの時代」に対抗、独自の世界築き上げて悲願達成狙う
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3度目の五輪に挑む中村美里

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中村の武器は組み手と足技の連動

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北京五輪の銅メダル、そしてロンドン五輪の初戦敗退の屈辱を胸に、中村美里がオリンピックの舞台に帰って来た。直近の世界選手権であるアスタナ大会を制した現役世界チャンピオン、そして直前の最高峰大会である今年度ワールドマスターズの覇者として、堂々の帰還である。

中村の生命線は巧みな組み手と鋭い足技。西田優香とともに世界を席捲し続けた北京-ロンドン期と同様、組み手で相手を制して「指導」を積み上げ、足技で崩し、寝技で獲り切るという中村の基本戦略は変わらない。

ただし、練度が桁外れに増した。周知のとおり中村はロンドン五輪直後に膝を手術、以降は療養とリハビリのため長く戦線を離れていた。この間IJFは競技ルールを劇的に変更、組み合って投げずば勝利できないという厳しいポリシーを敷き、結果として全世界的に技巧派は衰退。52kg級にあってはマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)を中心としたパワーファイター全盛期が訪れ、フィジカルがあって一発大技がある選手のみが上位戦線にズラリと並ぶというほんの数年前までとは全くトレンド異なる新時代が到来。中村や浅見八瑠奈ら日本女子軽量級が得意とした「状況を作り続ける」戦い方は北京-ロンドン期のルールに有効であった過去のトレンドになりつつあり、率直に言って中村にかつてほどの爆発的な成績を望むことは厳しいのではないかと思われた。

しかし、調整期を経てエンジン全開した中村は、2015年のアスタナ選手権で凄まじい出来を披露。組み手と足技は常に連動し続け、相手が組もうとする状態が既に中村の間合い。組んでもディティール全てに染み込んだ両手と足技の連動は止むことなく、相手はアクションを起こす度、あるいはリアクションをとる都度中村の柔道に呑み込まれていった。「組み手と足技」という一種華奢な特徴が、極まりさえすればこれほどの高い「世界」を作ってしまうのかと驚嘆させられたものだ。

加えて、中村は北京-ロンドン期に繰り返し「習得しなければならない」と語り、試行錯誤していた前方への投技をついに、それも一線で「使える」レベルで獲得している。5月のワールドマスターズ大会で昨年大苦戦したエリカ・ミランダ(ブラジル)を担ぎ技で投げ、事後に残した「自然に技が出た」とのコメントは数年越しで取り組んで来たこの技術が自家薬籠中の物となっていることを如実に示すものだった。

というわけで中村の技術的完成度の高さはキャリアの中で間違いなく最高、他の誰にもまねできない(質の高さがなければそもそも成り立たない性質であるゆえ)オンリーワンのスタイルを築き上げつつある。控え目に見ても、完成度の高さは女子日本代表中ナンバーワンだろう。

ただしこの階級にはまだ未対戦の絶対王者・ケルメンディの存在があって金メダル獲得の難易度は非常に大秋。中村の技術か、ケルメンディのパワーか。これまでにない新しい「柔道」を作り上げるほどの高みにある、中村の健闘と悲願の金メダル達成に期待しよう。


文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

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※ eJudoメルマガ版7月23日掲載記事より転載・編集しています。

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