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欧州柔道選手権2016・女子7階級概況

(2016年5月17日)

※ eJudoメルマガ版5月17日掲載記事より転載・編集しています。
欧州柔道選手権2016・女子7階級概況
■ 48kg級、本命対決はファンスニックに軍配、チェルノビスキ捻じ伏せて逆転勝利飾る
(エントリー23名)
【入賞者】
1.VAN SNICK, Charline (BEL)
2.CSERNOVICZKI, Eva (HUN)
3.LOKMANHEKIM, Dilara (TUR)
3.UNGUREANU, Monica (ROU)
5.MOSCATT, Valentina (ITA)
5.PUPP, Reka (HUN)
7.KILIC, Nazlican (TUR)
7.KONDRATYEVA, Nataliya (RUS)

【決勝】

シャーリーン・ファンスニック(ベルギー)○優勢[技有・小外掛]△エヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)

2強と目された第1シードのエヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)と第3シードのシャーリーン・ファンスニック(ベルギー)が順当に決勝に勝ち上がった。

チェルノビスキは2回戦でベルギーの2番手アンソフィー・ジュラに「指導2」の優勢と映えない立ち上がりだったが、準々決勝でヴァレンチナ・モスカット(イタリア)に一本勝ちして波に乗ると、準決勝は難敵ディアラ・ロクマンヘキム(トルコ)に腕挫十字固で一本勝ち。圧を掛けて崩し、後ろ手に残った腕を迷いなく極めてとこの選手らしいパワーを存分に見せつけて、決勝進出を決めた。

一方のファンスニックは初戦はモルドバ選手に隅返「有効」からの横四方固「一本」で快勝、準々決勝は前戦でマリナ・チェルニアク(ウクライナ)を下す殊勲を上げたナズリジャン・キリッチ(トルコ)の膝を着かせておいてから作用足をねじ込み回す右内股で「技有」獲得、このポイントで勝利してベスト4入り。第2シードに配されたモニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)との準決勝は巴投と内股で2つの「有効」を奪って快勝、しっかり決勝まで辿り着く。

決勝は右相四つ。チェルノビスキの圧が良く掛かり、ファンスニックには消極的との咎による「指導1」、さらに首抜き行為による「指導2」と2つの反則ポイントが累積。しかし終盤に差し掛かるとチェルノビスクが下がり始め、この悪癖に乗じたファンスニックが3分16秒に深々と右大外刈。そのまま首を抱いて左小外掛に移行し「技有」を奪って逆転、間を置かずに袈裟固に抑え込み、チェルノビスキがなんとかこれを「有効」に留めて逃れた段階で残り時間は僅か30秒。そのままファンスニックが逃げ切って優勝を決めた。

巴投に隅返、膝を着いた相手に脚を突っ込む投げというよりは「テイクダウン」というべき技術の右内股に、ケンカ四つの相手の左内股にタイミングを合わせた鏡合わせの右内股と、ファンスニックの戦い方は完全な戦術派。しかし決勝では大外刈の大技を繰り出すとパワー自慢のチェルノビスキを無理やり固定して「技有」奪取、かつてのスタイルであった本格派奥襟スタイルと溢れるパワーはやはり健在だ。繰り出す手立てにどれも癖が少なく日本勢には組みし易い選手のはずであるが、近藤亜美はかつてこの選手の「押しつぶしと寝技」に嵌って敗戦した来歴もある。特に躊躇なく仕掛けてくる捨身技の一撃には警戒怠りなく、しっかり対策をしてもらいたい。

■ 52kg級・ケルメンディ優勝、決勝はネトを豪快「一本」で破る
(エントリー28名)
【入賞者】
1.KELMENDI, Majlinda (KOS)
2.GNETO, Priscilla (FRA)
3.CHITU, Andreea (ROU)
3.RYZHOVA, Yulia (RUS)
5.EURANIE, Annabelle (FRA)
5.TSCHOPP, Evelyne (SUI)
7.SCHWARTZ, Roni (ISR)
7.SUNDBERG, Jaana (FIN)

【決勝】

マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)○(3:21)△プリシラ・ネト(フランス)

マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)が2014年に続く2度目の欧州制覇を達成。決勝までにこなした試合は3戦、うち一本勝ちは1試合のみで準々決勝のロニ・シュワルツ(イスラエル)戦は「指導3」の優勢、準決勝のアナベール・ウラニー(フランス)戦は「指導2」優勢と決して圧倒的な出来ではなかったが、プリシラ・ネト(フランス)を畳に迎えた決勝では有終の美。「指導2」を奪った末の3分21秒、相手の技の戻りに合わせて作用足を振るうなり体を捨てて高速回転、鮮やかな左払腰「一本」で見事優勝を決めた。

負傷以前の圧倒的なパフォーマンスにはいまだ戻り切らぬ印象だが、やはり一瞬の到達点の高さは階級随一。ケルメンディがその強さと怖さを再び証明してみせた形のトーナメントだった。

第1シードのアンドレア・キトゥ(ルーマニア)は準決勝でネトに一本負け。しかし次戦では今年好調のエヴェリン・チョップ(イスラエル)を「一本」で下してしっかり表彰台は確保した。

■ 57kg級・パヴィア復活優勝で猛追ルスヴォを突き放す、カプリオリウは初戦敗退
(エントリー27名)
【入賞者】
1.PAVIA, Automne (FRA)
2.ILIEVA, Ivelina (BUL)
3.GJAKOVA, Nora (KOS)
3.NELSON LEVY, Timna (ISR)
5.RECEVEAUX, Helene (FRA)
5.SMYTHE DAVIS, Nekoda (GBR)
7.ROPER, Miryam (GER)
7.WAECHTER, Viola (GER)

【決勝】

オトーヌ・パヴィア(フランス)○優勢[有効・内股]△イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)

フランス代表を激しく争うオトーヌ・パヴィアとエレン・ルスヴォが第2シードと第3シードにそれぞれ配され、準決勝で激突。この試合は残り43秒でパヴィアが一本勝ちを果たして決勝進出を決める。
逆側の山では第1シードのコリナ・カプリオリウ(ルーマニア)と第4シードのヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)がともに初戦敗退。カプリオリウから「技有」「一本」と連取したイヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)が勢いをそのままに、準決勝でノラ・ジャコヴァ(コソボ)を「技有」優勢で破って決勝に進出した。

パヴィアとイリエワの決勝は、パヴィアが開始35秒に右内股「有効」を獲得、以後はイリエワに2つ、パヴィアに1つの「指導」が宣告されたのみでポイントの積み上げはなく、そのままパヴィアの優勝が決まった。パヴィアは大会2連覇、3度目の欧州チャンピオンシップ獲得。

昨年、今年とワールドツアーの優勝がないパヴィアにとってこの勝利は大きい。五輪代表争いではルスヴォが猛追、3週間前のグランプリ・サムスンの決勝の直接対決ではルスヴォの猛進を止められず内股「一本」で敗れたばかりで、今大会の様相次第では五輪代表権が危うくなる事態だった。パヴィアの優勝をよそにルスヴォは3位決定戦を落とし最終成績は5位、どうやらフランス代表争いは行方がはっきりして来た模様だ。

カプリオリウとカラカスのみならず、プールBではBシード評価を受けたサブリナ・フィルツモザー(オーストリア)も初戦敗退し強豪たちは総崩れ。一貫して混戦下にあるこの階級らしい結果とも、出来不出来が激しい策士カプリオリウの五輪に向けた戦略とも読み解ける、評価の難しいトーナメントであった。

■ 63kg級・トルステニャクが順当に優勝、調子上がらぬゲルビは5位
(エントリー28名)
【入賞者】
1.TRSTENJAK, Tina (SLO)
2.UNTERWURZACHER, Kathrin (AUT)
3.VALKOVA, Ekaterina (RUS)
3.VAN EMDEN, Anicka (NED)
5.GERBI, Yarden (ISR)
5.GWEND, Edwige (ITA)
7.FRANSSEN, Juul (NED)
7.PUCHE, Isabel (ESP)

【決勝】

ティナ・トルステニャク(スロベニア)○横四方固(2:57)△カトリン・ウンターブルツァハー(オーストリア)

アスタナ世界選手権の覇者、第1シードのティナ・トルステニャク(スロベニア)が順当に優勝。エドウィッジ・グウェン(イタリア)を「技有」優勢で下した準決勝までの3戦で一本勝ちは1つだけと決して爆発的な出来ではなかったが、第2シードに入ったカトリン・ウンターブルツァハー(オーストリア)との決勝では終始圧倒。左一本背負投「有効」を得て優位を確定させた中盤には、再び仕掛けた左一本背負投から生まれた寝技の展開で相手を立たせず上体を固め、絡まれた足を引き抜き、足首で膝の内側を抑えて縦四方固、さらに相手の動きに応じて横四方固に連絡、と粛々手順を進めて一本勝ち。相変わらず決して攻めの引き出しが多いわけではないが、パワーをベースにした息もつかせぬ連続攻撃と我儘なタイミングの技出しで相手と一切会話せず、常に自分のペースで戦い抜くトルステニャクらしい試合ぶりだった。

3位にはブロンズマッチでヤーデン・ゲルビを「指導2」対「指導1」の優勢で下したアニカ・ファンエムデン(オランダ)と、同じくエドウッジ・グウェンを「有効」優勢で下したエカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)が入賞。ゲルビと準々決勝での対戦が予想されたもと同僚のアリス・シュレシンジャー(イギリス)は2回戦でイザベル・プチェ(スペイン)に「有効」優勢で敗れた。

有力選手でこれぞというパフォーマンスを見せたのはトルステニャクのみ。少々強豪たちのモチベーションにばらつきの見られた印象の大会だった。

■ 70kg級・34歳エマヌが5度目の優勝飾る
(エントリー23名)
【入賞者】
1.EMANE, Gevrise (FRA)
2.STAM, Esther (GEO)
3.GERCSAK, Szabina (HUN)
3.POSVITE, Fanny Estelle (FRA)
5.CONWAY, Sally (GBR)
5.POLLING, Kim (NED)
7.BERNABEU, Maria (ESP)
7.GRAF, Bernadette (AUT)

【決勝】

ジブリス・エマヌ(フランス)○合技[隅落・横四方固](2:33)△エスター・スタム(ジョージア
)

決勝はベテラン対決。34歳となった王者ジブリス・エマヌ(フランス)と29歳のエスター・スタム(ジョージア)がマッチアップすることとなった。

第4シードからスタートしたエマヌは準々決勝でサリー・コンウェイ(イギリス)を「有効」優勢で破ると、準決勝では第1シードのキム・ポリング(オランダ)に「技有」優勢で勝利と強豪2人に快勝して迎える決勝の畳。

一方のスタムはこの日の台風の目。初戦を一本勝ちでスタートすると2回戦は第2シード選手ラウラ・ファルカスコッホ(ドイツ)にも「一本」で勝利。準々決勝は昨年の世界ジュニア選手権王者で今大会のダークホースと目されていたサビナ・ゲルチャク(ハンガリー)を「指導1」の優勢で凌ぎ、準決勝はフランスの2番手ファニー・エステルポスヴィトに「指導1」をリードされるも思い切った浮技「有効」で逆転、見事決勝進出決定。

決勝は序盤拮抗。しかし中盤からエマヌが突如ペースを上げ、片襟の右背負投で2度打点
高く煽ると、本命の三の矢を低く座り込んで仕掛けてスタムは完全に一回転。「一本」級の投げであったこの背負投は「待て」の後でノーポイントとなったがこれ以降明らかに主導権はエマヌに移り、直後勝負を焦ったスタムの中途半端な左背負投をエマヌが抱き着いて返し「技有」獲得。そのまま横四方固に抑え込み合技「一本」で勝負は決した。

エマヌの欧州選手権制覇はこれが5度目。63kg級で2度(2011年、2012年)、70kg級では3度(2006年、2007年、2016年)の優勝を飾ったこととなる。エマヌの怪物ぶりがひとつ上塗りされた形の大会となった。

スタムは2014年に強豪ひしめくオランダから五輪出場を目指して国籍変更、首を負傷したとの情報だったが、この日は素晴らしいパフォーマンスで2位入賞。これで大陸枠による五輪出場が可能なところまでワールドランキングを上げることに成功した。

3位決定戦ではゲルチャクがポリングから左腰車「有効」、左釣込腰「一本」(0:54)と連取して快勝。抱き着いて裏を狙うポリングとの投げ合いに退かず、あくまで投げ切ったその姿勢は見事の一言、次代の主役を感じさせる素晴らしい活躍であった。

3位決定戦もう1試合はポスヴィトがコンウェイを右小外刈「技有」で撃破。エマヌの独走を許さず表彰台に踏みとどまった。

■ 78kg級・チュメオ圧勝、躍進ステインハウスを寄せ付けず
(エントリー18名)

【入賞者】
1.TCHEUMEO, Audrey (FRA)
2.STEENHUIS, Guusje (NED)
3.MALZAHN, Luise (GER)
3.POWELL, Natalie (GBR)
5.GIBBONS, Gemma (GBR)
5.VELENSEK, Anamari (SLO)
7.JOO, Abigel (HUN)
7.VERKERK, Marhinde (NED)

【決勝】

オドレイ・チュメオ(フランス)○反則[指導4](3:32)△フッシェ・ステインハウス(オランダ)

もと世界王者オドレイ・チュメオ(フランス)が圧勝。2回戦でブリジタ・マティッツ(クロアチア)、準々決勝でジェンマ・ギボンス(イギリス)をともに「一本」で下し、準決勝は前戦でマルヒンデ・フェルケルク(オランダ)を「指導1」で破って意気上がるルイーズ・マルツァーン(ドイツ)を「指導2」対「指導3」の優勢で凌ぐ。

決勝の相手はこちらもこの日素晴らしい出来を披露している第2シード選手フッシェ・ステインハウス(オランダ)。しかしチュメオは自信満々、ステインハウスの奥を叩き、あるいは釣り手を肩越しに入れてと、凌ぐ側に有利なはずのケンカ四つの関係を無力化するほどの前進、掌握行動を継続。小外刈に内股、追い込みの大内刈に引き出しの大内刈と細かく技を入れながらフィニッシュのタイミングを狙うチュメオの前にステインハウスは打開策を見い出せず、あっと言う間に「指導」が累積。最終的には3分32秒に4つ目の反則が宣告され、累積警告はチュメオが「1」、ステインハウスが「4」、ここでチュメオ3度目の欧州選手権制覇が決まった。

イギリスの五輪代表候補が直接対決を為した3位決定戦第1試合はナタリー・ポウエルがジェンマ・ギボンスを「一本」で下して表彰台獲得。第2試合はマルツァンがアナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)を「技有」優勢で下した。ステインハウスと激しく五輪代表を争うマルヒンデ・フェルケルクは前述の通り準々決勝で敗退、敗者復活戦でもギボンスに「技有」優勢で敗れて7位に沈んだ。

■ 78kg超級・28歳サイヤトが初優勝、準々決勝でもと後輩のアンドルを破る
(エントリー18名)
【入賞者】
1.SAYIT, Kayra (TUR)
2.IAROMKA, Svitlana (UKR)
3.KAYA, Belkis Zehra (TUR)
3.KUELBS, Jasmin (GER)
5.PAKENYTE, Santa (LTU)
5.WEISS, Carolin (GER)
7.ANDEOL, Emilie (FRA)
7.CHIBISOVA, Ksenia (RUS)

【決勝】

カイラ・サイヤト(トルコ)○合技(1:16)△スヴィタラナ・イアロムカ(ウクライナ)

準々決勝で第1シードのエミリー・アンドル(フランス)を「指導2」優勢で破る殊勲を上げたカイラ・サイヤト(トルコ)がその勢いを背に快進撃。準決勝のサンタ・パケニテ(ラトビア)戦、決勝の第2シード選手スヴィトラナ・イアロムカ(ウクライナ)戦いずれも「一本」で勝利し、驚きの欧州選手権初制覇を為し遂げた。

フランスからの移籍選手であるサイヤト(2014年まではフランス籍、「マティー・サイヤト」)は28歳。トルコの同階級には今大会も3位に入賞した大ベテランのベルキスゼラ・カヤが君臨するが、この日の勝利でワールドランキングは入れ替わり順位上の1番手はサイヤト。本人が「オリンピックで金メダルを勝ち取るために、今日はどうしても優勝したかった」と語った通り、これで五輪代表の座が一気に現実的なものとなってきた。

3位は同国同士の3位決定戦でカロリン・ヴァイスを破ったヤスミン・クルブス(ドイツ)と前述のカヤ。優勝候補筆頭のアンドルは敗者復活戦でもヴァイスに一本負けを喫する失態を演じて7位に留まった。第4シードのイリナ・キンザルスカ(ウクライナ)は初戦でパケニテに一本負けを喫して入賞に手が届かなかった。


文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

※ eJudoメルマガ版5月17日掲載記事より転載・編集しています。

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