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グランドスラム・バクー第1日5階級(60kg級、66kg級、48kg級、52kg級、57kg級)レポート

(2016年5月16日)

※ eJudoメルマガ版5月16日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム・バクー第1日5階級(60kg級、66kg級、48kg級、52kg級、57kg級)レポート
■ 60kg級・ガンバットが世界王者の意地を見せ優勝、シニアデビューの永山は堂々の2位
(エントリー41名)

【入賞者】
1.GANBAT, Boldbaatar (MGL)
2.NAGAYAMA, Ryuju (JPN)
3.MCKENZIE, Ashley (GBR)
3.UROZBOEV, Diyorbek (UZB)
5.DASHDAVAA, Amartuvshin (MGL)
5.LUTFILLAEV, Sharafuddin (UZB)
7.MUSHKIYEV, Ilgar (AZE)
7.TAKABATAKE, Eric (BRA)

ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)とダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)のモンゴルの2枚看板、先週の欧州選手権を制して勢いにのる地元のオルカン・サファロフ(アゼルバイジャン)をはじめとして、イルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)、シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)ら強豪が集った。その他にも直近の大会で好成績を収めているベキル・オズル(トルコ)、2014年世界ジュニア王者のフランシスコ・ガリーゴス(スペイン)と役者の揃ったトーナメント。

決勝に進出したのは昨年の世界ジュニア選手権の覇者永山竜樹(日本)と2014年チェリャビンスク世界選手権金メダリストのガンバット・ボルドバータル。永山は初戦となった2回戦で第1シードのオルカン・サファロフとマッチアップする厳しい組み合わせであったが、このサファロフ戦を相手の左小外刈を右大内刈で刈り返しての「技有」で切り抜けると、次戦のフランシスコ・ガリーゴス戦は相手の隅返で「有効」を失いながらも残り27秒の出足払「技有」で逆転勝ちを果たす。準々決勝はイルガー・ムシュキエフを切れ味鋭い出足払「一本」(1:25)で退け、準決勝ではダシュダヴァー・アマーツブシンを裏投で2度投げつけ「有効」、「一本」(4:38)と連取して決勝進出。サファロフ、ムシュキエフ、ダシュヴァーら階級を代表する強豪にもと世界ジュニア選手権王者のガリーゴスと、難敵ばかりの厳しい組み合わせを突破して見事決勝進出。

一方のガンバットは2回戦から登場、こちらは永山とは対照的に戦い易い相手とばかりの連戦。まずダミエン・ジアデ(レバノン)を「指導3」の優勢勝ちで下すと、3回戦はロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)から左小内巻込で「技有」を奪って勝利。準決勝はアシュレイ・マッケンジー(イギリス)を横落「技有」と浮落「技有」による合技「一本」(3:07)、準決勝ではシャラフディン・ルトフィラエフを右小内刈「有効」で下して決勝進出決定。

決勝戦は永山、ガンバット共に右組みの右相四つ。ガンバットが両袖を絞り膠着を作り出すと永山はその形に付き合ってしまい両者に「指導2」までが累積。ここでガンバットは両袖の肩車を2度繰り出し展開に差をつけにかかり、狙い通り永山のみに3つ目の「指導」が宣告される。ポイントに差がつくとみるやガンバットは再度両袖を絞って膠着を演出、両者に「指導」が与えられ、この時点で累積警告はガンバットが「3」、永山は「4」。結果永山の「指導4」による反則負けでガンバットの優勝が決まった。

モンゴルの60kg級の五輪代表は国内予選の結果、国際大会の実績から4番手と目されていたツェンドチル・ツォグトバータルに決定したとの情報。屈辱を胸に大会に臨んでいるはずの先輩ガンバットにとって、昨年の世界ジュニアでツォグトバータルを破り優勝している永山は決して負けられない相手。永山の勢いをガンバットが地力の高さと試合運びの上手さ、そしてなにより世界王者としての意地ではじき返した決勝戦であった。

永山は決勝戦こそガンバットに敗れたものの、前述の通りサファロフにムシュキエフ、ダシュダヴァーと階級の主役級の選手を破っての2位は十分すぎるほどの結果。リオデジャネイロ以降に向けて素晴らしいスタートを切る形となった。


【準々決勝】

永山竜樹(日本)◯出足払(1:25)△イルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)
ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)◯優勢[技有・出足払]△ディヨーベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)
ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)◯合技[横落・浮落](3:08)△アシュレイ・マッケンジー(イギリス)
シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)優勢[指導2]△エリック・タカバタケ(ブラジル)

【準決勝】

永山竜樹(日本)◯裏投(4:38)△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)優勢[有効・小内刈]シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)

【3位決定戦】

ディヨーベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)◯反則[指導4](3:16)△シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)
アシュレイ・マッケンジー(イギリス)◯GS優勢[指導3](GS0:30)ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)

【決勝】

永山竜樹△反則[指導4](3:07)○ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)

【日本代表選手勝ち上がり】

永山竜樹(東海大2年)
成績:2位

[2回戦]
永山竜樹○優勢[技有・浮落]△オルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)

[3回戦]
永山竜樹○優勢[技有・出足払]△フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)

[準々決勝]
永山竜樹○出足払(1:25)△イルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)

[準決勝]
永山竜樹○裏投(4:38)△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)

[決勝]
永山竜樹△反則[指導4](3:07)○ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)

■ 66kg級・プルヤエフが格の違いを見せつけ順当に優勝
(エントリー38名)
【入賞者】
1.PULYAEV, Mikhail (RUS)
2.MUKANOV, Azamat (KAZ)
3.KARIMOV, Tarlan (AZE)
3.URIARTE, Sugoi (ESP)
5.BASILE, Fabio (ITA)
5.VAN GANSBEKE, Kenneth (BEL)
7.FLICKER, Tal (ISR)
7.VERDE, Elio (ITA)

※日本代表選手の派遣なし

第1シードのミカエル・プルヤエフ以外に階級を代表するような強豪の出場はなく、グランドスラムの名を冠するには物足りないトーナメント。このことは第2シードが、地力の高さではなく大会に出場し続けることでワールドランキング上位を維持している、コリン・オーツ(イギリス)という点に端的だ。

上側の山からはプルヤエフが順当に決勝進出。2回戦から登場するとまずヤスパー・レフェフィレ(ベルギー)を大外刈「一本」(3:30)で下して順調なスタートを切る。3回戦はイスカンダレ・タリシンスキ(アゼルバイジャン)を危なげなく「指導2」の優勢で破り、準決勝ではエリオ・ヴェルデ(イタリア)を左背負投で2度投げつけ「有効」、「技有」と奪った上での「指導4」反則(3:07)と完勝。準決勝も試合巧者のスゴイ・ウリアルテ(スペイン)を左背負投「有効」で下し、ほとんど危ない場面がないまま決勝進出決定。

下側の山を勝ち上がって来たのは2013年世界選手権銀メダリストで、同大会の決勝で海老沼匡に体を捨てての脇固めを仕掛けたアザマット・ムカノフ(カザフスタン)。この世界選手権以降目立った活躍のなかったムカノフだが、この日は腕挫十字固で「一本」を連発する素晴らしい出来を披露。初戦となった2回戦で第3シードの難敵ヴァスハ・マルグヴェラシビリ(ジョージア)を巴投からの腕挫十字固「一本」(0:18)に仕留めると、続く3回戦でもスライマン・ハマド(サウジアラビア)に支釣込足「有効」からの腕挫十字固「一本」(1:24)で勝利。準々決勝のファビオ・バジーレ(イタリア)戦に巴投「技有」で勝利すると、準決勝ではケネットウ・ヴァン ガンスベケ(ベルギー)に対してもまたもや腕挫十字固で「一本」(1:18)を奪い勝利。準決勝までの4戦のうち3戦を腕挫十字固による「一本」という、非常に極端ながら、しかし志向のはっきりした柔道で決勝進出。

決勝戦はプルヤエフが左組み、ムカノフが右組みのケンカ四つ。
この勝負は意外なほどあっさり決着。ムカノフが場外への回避行動を兼ねて右内股に入ろうと腰を切った瞬間、ほとんど内股透のような形でプルヤエフが左内股を放つとムカノフは綺麗に一回転し文句なしの「一本」。ムカノフが得意の寝技で勝負を挑む暇なし、試合時間は僅か29秒だった。

優勝したプルヤエフは初戦から一貫して良い姿勢を保ったまま、左の「立ち背負い」を連発。投げに行くことで試合の展開を作る好組み立てで、全戦にわたって攻勢を維持したまま表彰台の頂点に立った。

当初参戦予定であった海老沼匡は五輪への調整を優先して出場を回避、日本代表選手の派遣はなかった。

【準々決勝】

ミカイル・プルヤエフ(ロシア)◯反則[指導4](3:05)△エリオ・ヴェルデ(イタリア)
スゴイ・ウリアルテ(スペイン)◯優勢[指導2]△ターラン・カリモフ(アゼルバイジャン)
ケネットウ・ファン ガンスベケ(ベルギー)◯GS優勢[指導3]△(GS0:47)タル・フリッカー(イスラエル)
アザマット・ムカノフ(カザフスタン)◯優勢[技有・巴投]△ファビオ・バジーレ(イタリア)

【準決勝】

ミカイル・プルヤエフ(ロシア)◯優勢[有効・背負投]△スゴイ・ウリアルテ(スペイン)
アザマット・ムカノフ(カザフスタン)◯腕挫十字固(1:18)△ケネットウ・ファン ガンスベケ(ベルギー)

【3位決定戦】

ターラン・カリモフ(アゼルバイジャン)◯浮落(GS1:01)△ケネットウ・ファン ガンスベケ(ベルギー)
スゴイ・ウリアルテ(スペイン)優勢[有効・隅返]△ファビオ・バジーレ(イタリア)

【決勝】

ミカイル・プルヤエフ(ロシア)◯内股(0:29)△アザマット・ムカノフ(カザフスタン)

■ 48kg級・ノーシードからフィゲロアが優勝、順当進行のトーナメントを揺らす
(エントリー19名)

【入賞者】
1.FIGUEROA, Julia (ESP)
2.CSERNOVICZKI, Eva (HUN)
3.GALBADRAKH, Otgontsetseg (KAZ)
3.PAYET, Laetitia (FRA)
5.LIMA, Taciana (GBS)
5.LOKMANHEKIM, Dilara (TUR)
7.MESTRE ALVAREZ, Dayaris (CUB)
7.RISHONY, Shira (ISR)

※日本代表選手の派遣なし

第1シードは国籍変更以来好調を維持しているガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(モンゴル)、第2シードに配されたのは欧州選手権で準優勝したばかりのエヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)。
実績、実力ともに十分のこの2人がトーナメントの主役と目されていたが、その一方のガルバドラフが準決勝で陥落。ガルバドラフを破る殊勲を挙げたジュリア・フィゲロア(スペイン)がそのまま優勝を飾った。

フィゲロアは2回戦から登場するとマリア・グエデス(ベネズエラ)を抱分「技有」と小内巻込に近い形で押し込んでの左背負投「有効」で下し、準々決勝は第4シードのタシアナ・リマに肩固「一本」で勝利。準決勝では前述の通りガルバドラフ・オトゴンツェツェグから試合終了間際の左小外刈で「一本」を奪い決勝進出を果たす。

一方のチェルノビスキは2回戦から登場、まずノア・ミンスカ(イスラエル)に「指導1」対「指導3」で優勢勝ち。準々決勝ではダリヤス・メストレ アルバレス(キューバ)を相手の「足取り」によるダイレクト反則負けで下し、準決勝のレティシア・ペイエ(フランス)戦は「指導2」対「指導3」の優勢で勝利。欧州選手権の疲れが残るのか投技によるポイントの獲得は1つもなかったが、地力の強さを活かしてしっかり決勝進出を決めた。

注目の決勝戦はチェルノビスキが畳に姿を見せず。不戦勝ちという意外な形でフィゲロアの優勝が決まった。

優勝したフィゲロアは500ポイントを獲得したことでワールドランクを五輪当落線上の13位から一気に6位まで引き上げることに成功、これで五輪出場をほぼ確実とした。

敗れたガルバドラフは3位決定戦でデイアラ・ロクマンヘキム(トルコ)を「指導2」の優勢で下して200ポイントを獲得。この時点でサラ・メネゼス(ブラジル)を抜いてワールドランクを3位としたが、この階級は3位のガルバドラフから5位のチェルノビスキまでが僅か34ポイント差、13位のジョン・ボキョン(韓国)まで396ポイントの小差の中に実に11人がひしめく大接戦。五輪のシード権争いは途中で抜けることができない厳しい競り合いが続く。

【準々決勝】

ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(モンゴル)◯優勢[指導2]△シラ・リショニー(イスラエル)
ジュリア・フィゲロア(スペイン)◯横四方固(2:29)△タシアナ・リマ(ギニアビサウ)
エヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)◯反則(1:41)△ダリヤス・メストレ アルバレス(キューバ)
※足取りによるダイレクト反則負け
レティシィア・ペイエ(フランス)◯優勢[有効・外巻込]△ディアラ・ロクマンヘキム(トルコ)

【準決勝】

ジュリア・フィゲロア(スペイン)◯小外刈(3:56)△ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(モンゴル)
エヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)◯優勢[指導3]△レティシィア・ペイエ(フランス)

【3位決定戦】

レティシィア・ペイエ(フランス)◯腕挫十字固(3:18)△タシアナ・リマ(ギニアビサウ)
ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(モンゴル)◯優勢[指導2]△ディアラ・ロクマンヘキム(トルコ)

【決勝】

ジュリア・フィゲロア(スペイン)◯不戦△エヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)

■ 52kg級・決勝は五輪「当落線上」選手の同士の争い、ギリ・コーエンがしぶとく戦い優勝決める
(エントリー23名)

【入賞者】
1.COHEN, Gili (ISR)
2.GIUFFRIDA, Odette (ITA)
3.MA, Yingnan (CHN)
3.MUNKHBAATAR, Bundmaa (MGL)
5.GOMEZ, Laura (ESP)
5.MIRANDA, Erika (BRA)
7.EURANIE, Annabelle (FRA)
7.TSCHOPP, Evelyne (SUI)

※日本代表選手の派遣なし

ギリ・コーエン(イスラエル)とオデット・ジュッフリダ(イタリア)が接戦をしぶとく戦い抜いて決勝に進出した。コーエンは初戦となった2回戦のダリヤ・スクリプニク(ベラルーシ)戦を右小内巻込「技有」による優勢で勝ち抜くと、準々決勝はプリシラ・ネトとの五輪代表争いの渦中にあるアナベール・ウラニー(フランス)を「指導1」による小差の優勢で破る。準決勝はマー・インナン(中国)を「指導1」対「指導2」という際どい勝負をものにして優勢勝ち、決勝進出を決めた。

一方のジュッフリダは2回戦から登場するとキム・ミリ(韓国)を「指導4」の反則(3:45)で退け、準々決勝では、前戦でマレーン・クラエー(ドイツ)を右払腰と横四方固による合技「一本」で破ったエヴェリン・チョップ(スイス)を右袖釣込腰で2度投げつけいずれも「有効」を獲得して勝利。最大の山場となった準決勝では世界選手権で中村美里と激戦を演じた階級屈指の強者、第1シードのエリカ・ミランダ(ブラジル)と対戦。「指導2」ビハインドを背負ったまま最終盤を迎える苦しい試合も、激しく攻め立てて終了間際の10秒間に「指導」2つを立て続けに奪い勝負をゴールデンスコアの延長戦へと持ち込むことに成功する。1度出来上がった試合の流れは容易には変わらず、延長戦29秒に勝負を焦ったミランダにクロスグリップによる「指導」が与えられて試合は決着。ジュッフリダは土壇場で、それも投げ一髪による逆転ではなく「指導」を立て続けに奪うといういかにもこの選手らしい粘り強さで、番狂わせに成功。見事決勝戦へと歩を進めた。

決勝戦はジュッフリダが左、コーエンが右組みのケンカ四つ。
この決勝戦はここまでの二人の戦いぶりを象徴するかのような試合内容。良く言えば一進一退の好勝負、悪く言えばお互い決め手にかける泥仕合となる。双方一切のポイントがないまま延長3分6秒までもつれ込んだ消耗戦はジェッフリダがコーエンを場外に押し込んだところで、「押し出し」による「指導」が宣告されて決着。結果、「指導1」の優勢でコーヘンがキャリア2度目のワールドツアー優勝を決めた。

ワールドランク12位のジェッフリダと14位のコーエンという五輪出場の当落線上にある二人の執念と必死さが際立った試合だった。

【準々決勝】

エリカ・ミランダ(ブラジル)◯優勢[指導1]△ローラ・ゴメス(スペイン)
オデット・ジュッフリダ(イタリア)◯優勢[有効・袖釣込腰]△エヴェリン・チョップ(スイス)
ギリ・コーエン(イスラエル)◯優勢[指導1]△アナベール・ウラニー(フランス)
マー・インナン(中国)◯優勢[指導2]△ムンクバータル・ブンドマー(モンゴル)

【準決勝】

オデット・ジュッフリダ(イタリア)◯GS優勢[指導3](GS0:29)△エリカ・ミランダ(ブラジル)
ギリ・コーエン(イスラエル)◯優勢[指導2]△マー・インナン(中国)

【3位決定戦】

ローラ・ゴメス(スペイン)◯背負投(3:44)△マー・インナン(中国)
ムンクバータル・ブンドマー(モンゴル)◯優勢[内股]△エリカ・ミランダ(ブラジル)

【決勝】

ギリ・コーエン(イスラエル)◯GS優勢[指導1](GS3:06)△オデット・ジュッフリダ(イタリア)

■ 57kg級・芳田司が圧勝、「リオ後」に向けて最高のスタート切る
(エントリー25名)

【入賞者】
1.YOSHIDA, Tsukasa (JPN)
2.SMYTHE DAVIS, Nekoda (GBR)
3.FILZMOSER, Sabrina (AUT)
3.LU, Tongjuan (CHN)
5.ROPER, Miryam (GER)
5.SILVA, Rafaela (BRA)
7.LIEN, Chen-Ling (TPE)
7.NELSON LEVY, Timna (ISR)

第1シードがリエン・チェンリン(台湾)、第2シードがヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)とここだけを見れば本来スーパーハイレベル大会であるべき「グランドスラム」の名を冠するには少々物足りない陣容。昨年グランドスラム2大会を制して階級の主役に成長しつつある芳田司が配されたプールDの重要度が極端に高い、強者の配置に偏りのあるトーナメントとなった。

芳田の唯一最大の敵は準々決勝で戦うことになるラファエラ・シウバ(ブラジル)。2013年のリオデジャネイロ世界選手権の覇者であるシウバは調子の波が激し過ぎるゆえワールドランクは12位と低いが、調子が良い時には鋭い足技と柔術ベースの関節技でまったく周囲を寄せ付けないまま優勝を攫う可能性もあるという階級最大の不確定要素。この2人の対戦が事実上の決勝と考えられる。

芳田は初戦となる2回戦でチェリャビンスク世界選手権3位のサンナ・フェルハーヘン(オランダ)を59秒の左内股「一本」で一蹴、続く準々決勝でシウバとの大一番に臨む。

組み手は左相四つ。強気の芳田はクロスグリップの左内股、これで相手の裏に進出するや間を置かずに左大外刈に繋いで刈り込む。たまらず相手が伏せると残った腕を離さず腕挫十字固、シウバはほとんど耐える間なく悲鳴を上げて「参った」を表明。試合時間は2分9秒、芳田は関節技の得意なシウバのお株を奪う完勝で準決勝へと歩を進めることとなった。

最大の山場を超えた芳田は準決勝でも33歳のベテラン、ミリアム・ローパー(ドイツ)を左内股「技有」からの横四方固「技有」による合技「一本」(1:45)で下す圧勝、3試合連続の一本勝ちで決勝進出を決める。

決勝の相手は昨年末から国際大会での躍進著しいネコダ・スミスデヴィス(イギリス)。スミスデヴィスは2回戦から登場するとアレタ・ポドラック(ポーランド)に「指導1」対「指導2」優勢で勝利、準々決勝はベテランのパワーファイターであるザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)を右小外掛「有効」で破り、準決勝ではノーシードから勝ち上がってきたルゥ・トーンジュエン(中国)に右払腰「一本」(0:09)で勝利と試合ごとに調子を上げての勝ち上がり。

決勝は芳田が左、スミスデヴィスが右組みのケンカ四つ。払腰を狙うスミスデヴィスは奥襟を持って半身になるが、芳田はこれを左小内刈で崩すと二の矢で相手の奥側の足を払って送足払「有効」を獲得、そのまま寝技に移行していわゆる「国士舘返し」から縦四方固に抑え込む。これは上半身の拘束が甘く「有効」止まりとなるが芳田は以降も危なげなく試合を進め、左小外刈で「技有」を追加して試合終了。全試合一本勝ちこそ逃したが、終始落ち着いた丁寧な試合運びと強烈な左内股一発の威力をテコにこの大会も圧勝、自身3度目のグランドスラム優勝を達成した。

今大会の芳田の出来はまさに圧巻。勝つだけで評価の上がるような強豪との対戦は準々決勝のシウバ戦のみだったが、そのシウバを腕挫十字固で一蹴するという「内容」の凄まじさで、周囲に与えたインパクトは十分過ぎるほど。小差の試合が多く優勝者が「競り勝つ続ける」ことが常態化している57kg級においては、ある意味単なる強豪との連戦よりも得るものが大きかったのではないだろうか。いかにも日本勢らしい強さ、「芳田は違う」という異種のインパクトを残した大会であり、結果と内容を共に得た芳田が、東京五輪へと向けた戦いの一歩目を最高の形で踏み出したと総括されるトーナメントであった。

【準々決勝】

ルゥ・トーンジュエン(中国)◯優勢[有効・崩上四方固]△リエン・チェンリン(台湾)
ネコダ・スミスデヴィス(イギリス)◯優勢[有効・小外掛]△ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)
ミリアム・ローパー(ドイツ)◯小外刈(1:42)△ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)
芳田司(日本)◯腕挫十字固(2:09)△ラファエラ・シウバ(ブラジル)

【準決勝】

ネコダ・スミスデヴィス(イギリス)◯払腰(0:09)△ルゥ・トーンジュエン(中国)
芳田司(日本)◯合技[内股・横四方固](1:45)△ミリアム・ローパー(ドイツ)

【3位決定戦】

ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)◯[隅落・大内刈](3:40)△ミリアム・ローパー(ドイツ)
ルゥ・トーンジュエン(中国)◯優勢[指導1]△ラファエラ・シウバ(ブラジル)

【決勝】

芳田司○優勢[技有・小外掛]△ネコダ・スミスデヴィス(イギリス)

【日本代表選手勝ち上がり】

芳田司(コマツ)
成績:優勝

[2回戦]
芳田司○内股(0:19)△サンナ・フェルハーヘン(オランダ)

[準々決勝]
芳田司○腕挫十字固(2:09)△ラファエラ・シウバ(ブラジル)

[準決勝]
芳田司○合技[内股]・横四方固(1:45)△ミリアム・ローパー(ドイツ)

[決勝]
芳田司○優勢[技有・小外掛]△ネコダ・スミスデヴィス(イギリス)



取材・文:古田英毅/小林さとる

※ eJudoメルマガ版5月16日掲載記事より転載・編集しています。

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