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グランドスラム・バクー最終日5階級(90kg級、100kg級、100kg超級、78kg級、78kg超級)ひとこと展望

(2016年5月8日)

※ eJudoメルマガ版5月8日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム・バクー最終日5階級(90kg級、100kg級、100kg超級、78kg級、78kg超級)ひとこと展望
■90kg級・デニソフ降臨、優勝争いのライバルは西山大希
(エントリー47名)

2015年アスタナ世界選手権銀メダリスト、現在ワールドランキング6位のキリル・デニソフ(ロシア)が久々のツアー参戦。今季はワールドツアー(グランプリ以上)には1度も姿を見せておらず、3月のロシアチーム南米遠征に合わせてコンチネンタルオープン2大会に出場したのみ。4月の欧州選手権も連覇の権利を捨てて敢えて見送っており、今大会はこの沈黙の「答え」を見出すべく、その出来に注目したい。

前述の通りデニソフのワールドランキングは6位で1520ポイント、五輪のAシード圏内である4位のノエル・ファンテンド(オランダ)は2048ポイントでその差は528ポイント。常の選手であれば厳しいところであるが、デニソフの実力と、高配点大会目白押しの5月のスケジュールを考えれば十分現実的な数字。まずはここで500ポイント(優勝)の上積みなるかどうかを、以後の参戦スケジュール決定の分岐点と設定しているのではないだろうか。

そして今大会に強豪たちの影は薄い。コンディショニングを考慮に入れず、地力と到達点の高さだけで考えるのであれば、デニソフの敵は第2シード配置の西山大希(新日鐵住金)以外にはいないのではないだろうか。2人の直接対決に期待したい。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):キリル・デニソフ(ロシア)
Bシード選手:コットン・ブラウン(アメリカ)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):アレクサンダー・ココル(セルビア)
Bシード選手:アブデラハマネ・ベナマディ(アルジェリア)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):西山大希
Bシード選手:ヨアキム・ドゥファービ(スウェーデン)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):マーカス・ナイマン(スウェーデン)
Bシード選手:シリル・グロウスクラウス(スイス)


■100kg級・大会屈指のハイレベル階級、フレイとピータースが同時出場でドイツ五輪代表の座競う
(エントリー47名)

ドイツ代表の座を激しく争うカールリヒャード・フレイとディミトリ・ピータースの2人が同時出場。それぞれ第1、第2シードに配されたこのライバル2人の出来がひとつ大きな注目ポイント。

フレイは2015年アスタナ世界選手権の銀メダリスト、2014年チェリャビンスク世界選手権でも銅メダルを獲得している24歳。一方32歳のピータースはロンドン五輪の銅メダリストであり、2013年リオ世界選手権と2015年アスタナ世界選手権も同じく銅メダルを獲得しているベテランだ。

今年のグランドスラム・パリではフレイが3位(ピータースは初戦敗退)、続くグランプリ・デュッセルドルフではピータースが優勝(フレイは欠場)、4月の欧州選手権ではピータースが初戦敗退(フレイは欠場)でともにここまで五輪代表獲得に至る決定打はなし。今大会がまさしく運命を分ける大一番となる。

そしてこのバクー大会、100kg級は非常に人材が集まった。

フレイはまず3回戦で実力者チンギス・マメドフ(キルギスタン)と戦い、続いて準々決勝では今年大暴れの業師ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)との対戦がある。フォンセカはグランドスラム・パリでピータースを初戦敗退に追い込んだ張本人であり、この対決は両者の力比べの指標とされること間違いなし。ここを勝ち抜いても待ち受けるのは担ぎ技一発の威力抜群、現在復活基調にあるホセ・アルメンテロス(キューバ)か、勝つためにはなんでもやる雑食系のパワー派アドラン・ビスルタノフ(ロシア)。そもそも無事にピータース戦まで勝ち上がれるのかどうか、非常に厳しい、そしてファンにとっては面白い組み合わせ。

一方のピータースは準々決勝でベカ・グヴィニアシビリ(ジョージア)かエルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)、あるいは大穴イワン・レマレンコ(UAE)かヤハド・マージョウブ(イラン)とどれが来ても面倒な選手との対戦が待ち受ける。ここを勝ち抜くと、準決勝では間合い自在でピータースの懐の深さを逆に自身の武器として変換しかねないウルフ・アロン(東海大3年)、あるいは巴投の弾幕に一発技を織り交ぜて巧みに試合を拾いに来る巧者マーティン・パチェック(スウェーデン)といずれも難敵がとの対戦が濃厚。

と書き連ねた通り、この階級は今大会屈指の面白いメンバーが揃った。フレイとピータースを軸にどのブロックも好カードが目白押し、本日のIJF中継はこの階級中心の視聴をぜひお勧めしたい。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):カールリヒャード・フレイ(ドイツ)
Bシード選手:ジョルジ・フォンセカ(イタリア)
有力選手:チンギス・マメドフ(キルギスタン)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):ホセ・アルメンテロス(キューバ)
Bシード選手:アドラン・ビスルタノフ(ロシア)
有力選手:ルシアーノ・コヘア(ブラジル)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ディミトリ・ピータース(ドイツ)
Bシード選手:エルハン・ママドル(アゼルバイジャン)
有力選手:ヴェカ・グビニアシビリ(ジョージア)、イワン・レマレンコ(UAE)、ヤハド・マージョウブ(イラン)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):マーティン・パチェック(スウェーデン)
Bシード選手:ウルフアロン


■100kg超級・稀に見る高密度大会、ブラジルとジョージアの「世代間抗争」に注目
(エントリー30名)

絶対王者テディ・リネール(フランス)、そしてその「次」の座を確定している日本勢というスーパートップ2枠が出場していないが、これを除けばまさしくオールスター戦に近い陣容。ちょっと昨今記憶にないほど人材が揃った。

欧州選手権の失意を取り戻さんと気合を入れなおす第1シードのバルナ・ボール(ハンガリー)と第2シードのロイ・メイヤー(オランダ)、今年上半期の躍進をそのまま五輪に繋げたいオール・サッソン(イスラエル)、欧州選手権を欠場して今大会で高得点を狙いに来た若手の旗手イアキフ・カーモ(ウクライナ)、復権に掛けるイスラム・エルシャハビ(エジプト)にファイセル・ヤバラー(チュニジア)、さらにアブドロ・タングリエフ(ウズベキスタン)と3枚揃ったベテラン勢、そして五輪代表内定を受けてモチベーションアップ中のバトトルガ・テムーレン(モンゴル)と、オリンピックを控えてそれぞれの選手が抱えたテーマはどれも非常に面白い。が、わけても注目したいのは複数派遣を敢行したブラジルとジョージアの「世代間抗争」。

ラファエル・シウバ(ブラジル)とアダム・オクルアシビリ(ジョージア)のベテラン2人はともにロンドン-リオ期の前半戦の最重量級を支えたトップ選手、「リネールの次」のグループのリーダー格であったが昨年から明らかに失速。ブラジルは全くタイプの違う試合巧者ダビド・モウラがツアーの上位常連として台頭し、ジョージアはレヴァニ・マティアシビリ(ジョージア)が大躍進中。特に短躯重量で左右に担ぎがあり、かつ動けるという特徴を以て欧州選手権でリネール相手に大善戦を演じたばかりのマティアシビリはもはやシーンの主役、ほぼ五輪代表は確実というところまでその地位を上げている。

階級の功労者である2人のベテランにとって5月の3大会はまさしく最後のチャンス。特にわずかながらまだ可能性を残すと思われるシウバがどのような試合を見せてくれるのかは非常に興味深い。「本格派スタイルの戦術派」とも呼ぶべきそのインサイドワークが発揮されるまでに、地力と体力が戻っているのかどうか。注目である。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):バルナ・ボール(ハンガリー)
Bシード選手:ダビド・モウラ(ブラジル)
有力選手:イスラム・エルシャハビ(エジプト)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):イアキフ・カモー(ウクライナ)
Bシード選手:ラファエラ・シウバ(ブラジル)
有力選手:アダム・オクルアシビリ(ジョージア)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ロイ・メイヤー(オランダ)
Bシード選手:オール・サッソン(イスラエル)
注目選手:バトトルガ・テムーレン(モンゴル)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ファイセル・ヤバラー(チュニジア)
Bシード選手:レヴァニ・マティアシビリ(ジョージア)
有力選手:アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)、アブドゥロ・タングリエフ(モンゴル)

■78kg級・注目はいよいよ終章近いオランダとイギリスの代表争い、金メダリスト梅木真美は復権掛けて表彰台目指す
(エントリー20名)

アスタナ世界選手権で驚きの金メダル獲得、しかしその後低調なパフォーマンスが続く梅木真美(環太平洋大4年)の復活なるかどうかがひとつ大きなトピック。

五輪で金メダルを狙うレベルの強者とそれ以外の選手の区分けがハッキリしているこの階級であるが、ケイラ・ハリソン(アメリカ)やオドレイ・チュメオ(フランス)、マイラ・アギアール(ブラジル)といった超強豪は今大会参加せず。梅木としてなんとか表彰台までは確保しておきたい大会だ。

ただしこの視点はやや自国贔屓に寄ったもの。これを排せば、オランダとイギリスの代表争いがもっとも大きなトピックになるのではないか。

日の出の勢いにある23歳フッシェ・ステインハウスと、2009年ロッテルダム世界選手権制覇をはじめ世界選手権で「金・銀・銅」すべてを獲得しているマルヒンデ・フェルケルクが同時出場でつば競り合うオランダ代表争いは特に見もの、その行方はそのまま五輪のメダル争いを左右する。一方どちらもこの1年の存在感アップがすさまじいナタリー・ポウエルとジェンマ・ギボンスのイギリスの実力者2人の戦いからも目が離せない。スーパースターの参戦はないが、かなりの見どころがある階級だ。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):フッシェ・ステインハウス(オランダ)
Bシード選手:ヴィクトリア・タークス(ウクライナ)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):ナタリー・ポウエル(イギリス)
Bシード選手:梅木真美
注目選手:ヤレニス・カスティーヨ(キューバ)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)
Bシード選手:ダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):マリヒンデ・フェルケルク(オランダ)
Bシード選手:ジェンマ・ギボンス(イギリス)


■78kg超級・ユーソンとオルティスの激突なるか、人材揃った階級で山部佳苗は「追試」に挑む
(エントリー21名)

非常に人材が揃った。アスタナ世界選手権の覇者ユー・ソン(中国)、ロンドン五輪から3大会連続で世界王者に輝いたイダリス・オルティス(キューバ)と並べられたAシード選手2人だけで既に「お腹いっぱい」と呼べる豪華さであるが、さらにアンドル・エミリー(フランス)、今年もアフリカ選手権で金メダルを獲得(無差別と合わせて通算17個目)したばかりのニヘル・シェイキロウホウ(チュニジア)、加えてツアー上位常連となりつつあるベルキスザヤ・カヤとカイラ・サイヤトと揃ったトルコ勢2人が参戦。これにとどめとばかりに日本代表を決めたばかりの山部佳苗が飛び込むという、実に密度の高いトーナメントとなった。

2位に1000点以上の差をつけてワールドランキング1位を快走するユーはいまだツアーからの撤退を許されず、となればマー・スースーとの代表争いがいまだ決着していないものと思われる。モチベーションが心配だがここはまさかの代表落ちなど引き起こさぬよう、しっかり勝っておきたいところ。

オルティスは、4月30日のパンナム選手権でキッチリ優勝を果たしたばかり。しかしただでさえ出来不出来の激しいこの選手がキューバから数日でアゼルバイジャンに移動、そして挑むこのハイレベルトーナメントでどのくらいのパフォーマンスが出来るのかは全く読めない。日本の山部は順当であれば2試合目でオルティスとマッチアップするが、勝敗いずれにしてもその評価はオルティスの出来をしっかり見極め、これと連動して行うべきであろう。

山部は国内大会における1か月限定の「ラストスパート」で五輪代表の座を手にしたが、選考会として指定されていた国際大会2つ(グランドスラム東京、グランドスラムパリ)では掛け値なしの惨敗を演じている。よって今回はいわば「追試」。国際大会で結果を出さぬまま代表に選出されたという世評を覆すためにも、ここは優勝、最悪でも表彰台までは勝ち取りたいところ。「東京とパリでは畳に上がること自体が怖かった。今はもう怖くない」という山部の言葉の実現に期待したい。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ユー・ソン(中国)
Bシード選手:ベルキスゼラ・カヤ(トルコ)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):エミリー・アンドル(フランス)
Bシード選手:ヤスミン・クルブス(ドイツ)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):イダリス・オルティス(キューバ)
Bシード選手:山部佳苗

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ニヘル・シェイキロウホウ(チュニジア)
Bシード選手:カイラ・サイヤト(トルコ)


文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

※ eJudoメルマガ版5月8日掲載記事より転載・編集しています。

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