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グランドスラム・バクー第1日5階級(60kg級、66kg級、48kg級、52kg級、57kg級)ひとこと展望

(2016年5月5日)

※ eJudoメルマガ版5月5日掲載記事より転載・編集しています。
第1日5階級(60kg級、66kg級、48kg級、52kg級、57kg級)ひとこと展望
グランドスラム・バクー
大陸選手権シーズンである4月のブレイクを経て、今週末からIJFワールドツアーがいよいよ再開。注目の「5月の3大会」がついに幕を開けることとなる。

このグランドスラム・バクー(6日~8日)、翌週のグランプリ・アルマティ(13日~15日)、そして上半期最大のイベントであるワールドマスターズ・グアダラハラ(27日~29日)と続く今年の5月シリーズには非常な注目が集まっている。例年なら強豪選手が出場を回避する傾向すらあるこの時期の3大会が常以上の注目を集めるのはいわずもがな、5月30日の五輪出場権(直接枠=男子ランキング22位以上、女子14位以上)決定締切日が目前に迫っているからだ。

ゆえにこの3大会にはメダルクラスの超強豪たちによる力関係の探り合い、そして五輪のシード権を睨んだ中堅選手のランキングポイント獲得を巡る駆け引きというメジャーな観点のほか、激しく国内の五輪代表を争う選手たちの「最終予選」、そして五輪出場の当落ボーダーラインに位置する選手たちの生き残りを掛けた最後の戦い、と重要なフォーカスポイントが複数存在する。これらの視点を頭に入れつつ、各階級の様相を簡単に展望してみたい。

■ 60kg級・サファロフ中心に今大会も出場選手は粒ぞろい、注目は五輪代表選出崖っぷちのリマール
(エントリー41名)

有力国であるモンゴルの継続参戦もあり、比較的どの大会も粒が揃う60kg級。今大会も欧州選手権で2位に入賞したばかりのオルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)を筆頭にガンバット・ボルドバータル(モンゴル)、ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)、ベキル・オズル(トルコ)、イルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)らなかなかのメンバーが揃った。

モンゴル勢2人による五輪代表争いも佳境にあるが、ひとつ注目しておきたいのはシード落ちしているヴィンセント・リマール(フランス)の出来。同国は昨年世界ジュニアで3位入賞した新鋭ワリーデ・キアが大躍進中、2月のグランドスラム・パリで3位入賞を果たしたばかりか先週は欧州選手権で優勝する快挙を演じ、一気にオリンピック出場可能なところまでランキングを上げたという非常に面白い情勢下にある。キアは明らかに好不調に波のある選手であり同大会でも失点が多かったが、「投げられても投げ返す」強気の柔道でのサファロフ越えはインパクト十分。一方同時出場したリマールは予選ラウンド敗退に終わっており、昨年獲得したばかりの「一番手」からいきかり崖っぷちに追い込まれた苦しい状況。限界が見えているミルス、もともと戦術派で壁に当たっている感あり、すっかり序列に吸収されてしまったリマールと比較して「一発仕事をする可能性がある」キアが緊急起用される可能性は十分、リマールはこの大会で少なくとも表彰台に上がることが出来なければ五輪の夢が砕かれかねない状況だ。底力の発揮なるかに注目したい。

日本からは永山竜樹(東海大2年)が参加。初戦(2回戦)でサファロフという厳しい組み合わせから成り上がりを狙う。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):オルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)
Bシード選手:イルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)
有力選手:ベキル・オズル(トルコ)、フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):ダシュダバー・アマーツブシン(モンゴル)
Bシード選手:ディヨロベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)
有力選手:ツァイ・ミンエン(台湾)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)
Bシード選手:フェリペ・キタダイ(ブラジル)
有力選手:ヴィンセント・リマール(フランス)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)
Bシード選手:エリック・タカバタケ(ブラジル)

■ 66kg級・プルヤエフ満を持して参戦、捲土重来期すポラックと二週連続優勝狙うマグベラシビリが優勝争いのライバル
(エントリー38名)

世界選手権2大会連続銀メダリストのミハエル・プルヤエフ(ロシア)がエントリー、第1シードに配された。今季の出場大会は2月のグランプリ・デュセルドルフ(3位)のみ、先週の欧州選手権を敢えて回避して臨む今大会はどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。現在のランキングはAシードギリギリの4位、ポイントを積み上げるべく本気のパフォーマンスを見せる可能性も相当に高いかと思われる。

ライバルは欧州選手権で驚きの優勝を成し遂げたヴァスハ・マグベラシビリ(ジョージア)、そして同大会ではまさかの早期敗退を喫したゴラン・ポラック(イスラエル)。一気にランキング11位にまで順位を上げてオリンピックのシード圏入りが見えてきたマグベラシビリ、同じく12位でこれ以上の後退は下げたいポラック、ともにここは譲れないタイミングで迎える大会だ。

第2シードのコリン・オーツ(イギリス)は、驚きの決勝進出を果たした欧州選手権に続いてまたしても非常に戦い易い配置、周囲にこれという敵が配されていない。現在ランキング7位と実力に比して明らかに高過ぎる位置まで上り詰めており、こうなればポイントを稼ぐだけ稼いで五輪でも上位争いに顔を出したいところ。ただしこの地力に欠ける選手が連戦、かつ「的」にされるとなるとそもそも入賞ラインまできちんと勝ち上がれるかどうかも微妙だ。

コンデションニングを脇に置いて実力だけで考えれば優勝候補の第一は間違いなくプルヤエフ、そしてアップセットの可能性を孕むのはポラックのみと考える。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ミハエル・プルヤエフ(ロシア)
Bシード選手:マー・ドゥアンビン(中国)
有力選手:エリオ・ヴェルデ(イタリア)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):ゴラン・ポラック(イスラエル)
Bシード選手:スゴイ・ウリアルテ(スペイン)


【プールC】
Aシード選手(第2シード):コリン・オーツ(イギリス)
Bシード選手:ネイサン・カッツ(オーストラリア)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ヴァスハ・マグベラシビリ(ジョージア)
Bシード選手:セルジュ・オレイニック(ポルトガル)
有力選手:アザマト・ムカノフ(カザフスタン)

■ 48kg級・好調ガルバトラフが継続参戦、チェルノビスキ倒して500ポイントの上積み狙う
(エントリー19名)

モンゴルから移籍、今季はグランドスラム・パリ、グランプリ・サムスン、そしてアジア選手権と既に3つのタイトルを得て絶好調のガルバトラフ・オトコンツェツェグ(カザフスタン)が最注目選手。先週の欧州選手権で惜しくも2位に終わったエヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)がほとんど唯一のライバルと言えるが、ガルバトラフはこの選手に過去1戦1勝(2015年11月グランプリ済州決勝)。リスクを冒し過ぎない順行運転であっても十分優勝に手が届く大会と評して良いだろう。現在この選手はAシード圏内のランキング4位、ただし5位のモニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)と僅か89点差、逆に4位のサラ・メネゼス(ブラジル)にはあと72点まで迫っている。ワールドマスターズという高配点大会を控えてはいるが、ポイント上はまさに運命の分かれ道にある立場にあり、ここは本気のパフォーマンスが見られる可能性大。

第1シードに配されたガルバトラフの山に強敵はおらず。第2シードのチェルノビスキの側には準々決勝でナタリア・コンドラチェバ(ロシア)にダヤリス・メストレアルバレス(キューバ)という不確定要素を持つ2人のいずれか、そして準決勝では欧州選手権3位入賞でひところの低調から抜け出しつつあるディアラ・ロクマンヘキム(トルコ)との対戦が控える。ファンが注目して見守るべきはプールC、Dということになるだろう。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ガルバトラフ・オトコンツェツェグ(モンゴル)
Bシード選手:シラ・リショニー(イスラエル)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):タシアナ・リマ(ギニアビサウ)
Bシード選手:ジュリア・フィギロア(スペイン)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):エヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)
Bシード選手:ダヤリス・メストレアルバレス(キューバ)
有力選手:ナタリア・コンドラチェバ(ロシア)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ディアラ・ロクマンヘキム(トルコ)
Bシード選手:マリナ・チェルニアク(ウクライナ)

■ 52kg級・2週連続優勝狙うミランダの出来が最大の焦点
(エントリー23名)

前週(4月29日)に行われたパンナム選手権で優勝、ランキング2位のマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)まであと184ポイントまで迫った第1シード選手ミランダ・エリカ(ブラジル)の出来が最大の焦点。キューバから長駆アゼルバイジャンまで移動しての連戦ではさすがにフルパフォーマンスの発揮は厳しいのではないかと思われるが、強豪選手の密度は決して高くない。ミランダらしいパフォーマンスが見られる可能性は大、五輪に向けて「最低でもこれだけやる」という歩留まりまでが観察できる大会になるのではないか。

シード選手はアナベール・ウラニー(フランス)、マレーン・クラエー(ドイツ)ら比較的出来が読みやすい選手が揃った。凄まじいパフォーマンスを為す時期があったマー・インナン(中国)の五輪での再爆発なるかどうか、視点としてはこのあたりの見極めが興味深い。担ぎ技が連続で出るかどうか、つまりはスタミナと力がこの人の生命線。コンディショニングの良し悪しと柔道的な志向の変化の有無が、五輪に向けた観察ポイントと見る。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):エリカ・ミランダ(ブラジル)
Bシード選手:アディヤサンプ・ツォルモン(モンゴル)
有力選手:イルゼ・ヘイレン(ベルギー)、ローラ・ゴメス(スペイン)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):マレーン・クラエー(ドイツ)
Bシード選手:オデット・ジュッフリダ(イタリア)
有力選手:エブェリン・チョップ(スイス)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):アナベール・ウラニー(フランス)
Bシード選手:ギリ・コーヘン(イスラエル)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):マー・インナン(中国)
Bシード選手:ヨアナ・ラモス(ポルトガル)

■ 57kg級・大一番、シウバと芳田の準々決勝に注目集まる
(エントリー25名)

中堅の有力選手の数が多く年間通じて常に一定のレベルと密度が保たれる階級であるが、今回はトーナメントに明らかな尖りあり。リオ世界選手権王者のラファエラ・シウバ(ブラジル)と昨年グランドスラム2大会を制して世界の強豪の仲間入りを果たした芳田司(コマツ)が激突するプールDの準々決勝が、唯一最大の山場と規定される。

シウバは周知の通り好不調の波がまことに激しい選手、素晴らしい柔道で優勝を掻っ攫うかと思えばセルフコントロールが利かず自滅して早々に畳を去ることも多々。ただし例えばこのところライバル松本薫との戦いでは勝敗いずれの結果を為す場合も凄まじい集中力を見せており、五輪に向けて一戦集中のメンタリティが練れつつある印象。2月のグランドスラム・パリでは前回対戦で勝利しているオトーヌ・パヴィア(フランス)に弾き返されて快進撃が止まったばかりの芳田にとっては「リオ後」の世界の主役たりうるか、ひとつその器が試される試合になるだろう。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):連珍羚(台湾)
Bシード選手:ヴィオラ・ベヒター(ドイツ)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):ネコダ・スミスデヴィス(イギリス)
Bシード選手:サブリナ・フィルツモザー(オーストリア)
有力選手:

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)
Bシード選手:ミリアム・ローパー(ドイツ)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ラファエラ・シウバ(ブラジル)
Bシード選手:芳田司


文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

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