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第31回皇后盃全日本女子柔道選手権全試合詳細④準々決勝~決勝

(2016年5月4日)

※ eJudoメルマガ版5月4日掲載記事より転載・編集しています。
第31回皇后盃全日本女子柔道選手権全試合詳細④準々決勝~決勝
■ 準々決勝
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緒方亜香里が抱きついての小外掛に打って出る

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梅津志悠が緒方の小外掛を大内刈で押し返し「有効」

梅津志悠(三井住友海上)○崩袈裟固(2:19)△緒方亜香里(了徳寺学園職)

梅津が右、緒方が左組みのケンカ四つ。開始早々、緒方が両襟で梅津を捕まえ左浮落で伏せさせ寝技で攻める。さらにその後も緒方が先に組んでプレッシャーを掛け、左内股で攻撃継続。梅津も脇を差しての右内股を打ち返すが勢いは緒方が上回り、1分13秒、主審が緒方の攻勢を採って梅津に「指導1」。続く展開も緒方が先んじて左内股を繰り出す。この技も不十分な形で掛け潰れたが、ここまでの展開は技出しの早い緒方の側が僅かながら優位。

しかし続く攻防で様相一変。緒方が釣り手を背中に入れたケンカ四つクロスの状態で待ち構えると、梅津は釣り手で脇を差し、引き手を確保しながら腰を入れて右内股を狙う。緒方はこれを迎え撃ち、引き手を脇に入れると梅津を抱き抱えての左小外掛に打って出る。しかし梅津は左足を一歩引いて踏みとどまると、脇を差した緒方の右を深く抱え込んで右大内刈を打ち返す。緒方が勝負に出たところにカウンターで入ったぶん、梅津の引き手の拘束は深く、緒方堪らず半身で畳に落下し「有効」。梅津はそのまま崩袈裟固に移行して抑え切って一本勝ち。梅津がこの大会一貫して見せている際の強さをこの試合でも発揮、強敵緒方を下す快挙でベスト4進出を決めた。

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山部佳苗が藤原恵美の釣込腰をドッシリと受ける

山部佳苗(ミキハウス)○優勢[判定3-0]△藤原恵美(筑波大4年)

双方右組みの相四つ。一貫して山部が先に引き手で袖、釣り手で奥襟を確保する良い形を作り、前に出て圧力を掛ける。藤原は両襟で突っ張って距離を取り右払腰で対抗、手数で展開の拮抗を保つが山部を崩すには至らない。1分30秒、山部が組み合ったまま前進圧力を掛けて藤原を場外に追いやると藤原に場外「指導1」。その後も藤原は右払腰、右一本背負投と繰り出すもいずれも不発、突破口を見出せないまま試合は進む。試合が膠着した4分39秒に両者に「指導」が与えられるが、その後も山場がないまま試合終了。判定の結果3-0で山部の勝利が決まった。
この試合は山部の地力勝ち、組み合って力の差が出る形を6分間維持、この大枠の主導権の確保を3審が揃って評価した形となった。ただし投げによるポイントが生まれる予感もまた乏しく、双方試合を「壊せなかった」もどかしい一番でもあった。リスクを恐れてハッキリと投げに出れなかった山部、そして、投げを食らわないだけの力関係の接近を感じながら、さらに大枠の展開上の不利と相手が優勝候補であることの審判心理への影響という前提条件を呑み込みながらそれでもこの状況を受け入れてしまった藤原と、双方ともに不完全燃焼感が残る試合。

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田知本愛が井坂希望に払腰で一本勝ち

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田知本は「一本」を決めた後も寝技まで素早く移行する集中力を見せる

田知本愛(ALSOK)○払腰(1:37)△井坂希望(千葉県警)

田知本が左、井坂が右組みのケンカ四つ。田知本が両襟で圧力を掛けると井坂は右内股でプレッシャーからいったん逃れる。しかし田知本は続く展開も早々に両襟を抑え、支釣込足から左浮落と連絡して井坂を潰す。様相は明らかに田知本優位。
試合は早々に決着。再開後、田知本が両襟で相手の頭を下げると、井坂は体勢を整えようと釣り手を巻き返す。この動きに田知本は素早く反応、釣り手をさらに一段巻き返して奥襟を掴みながら左払腰一閃。井坂の体跳ね上がりこれは文句なしの「一本」。全ての選手に警戒される立場の田知本が、相手の一瞬の挙動を察知する集中力の高さを見せた試合であった。

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能智亜衣美が巧みな柔道を披露、市橋寿々華を呼び込んでの左内股で攻める

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市橋が前進圧力を掛ける

市橋寿々華(大阪府警)○優勢[判定3-0]△能智亜衣美(筑波大3年)

市橋が右、能智が左組みのケンカ四つ。序盤、体格で劣る能智が臆せずに釣り手を上から入れて、市橋の両襟の圧力をずらし、左小外掛、左小内刈と上手く攻めると1分57秒市橋に消極的「指導1」。持ち、離し、掛けてと巧さを見せ続けた能智が主導権を確保。しかし、市橋は構わず両襟でプレッシャーを掛け、相手が腕を突っ張り距離を取ろうとする動きに合わせて右小外掛、右払腰、さらに右小外掛と繰り出して伏せさせることに成功。これで流れが変わったかに思われたが、市橋の攻撃を受けた能智は続く展開で早くも対応。能智は再び一旦突っ張って市橋の右小外掛を誘うと、軸足である右足を一歩引きながら左内股に呼び込む。能智が放ったこの一撃は完璧なタイミングであったが、相当の勢いを持って突っ込んできた市橋の体重を受け止めきれず、引き手が離れてポイントを得るには至らず。

この一撃に肝を冷やした市橋は下手に技を出すと逆に能智にチャンスを与えてしまうと踏み、両足を畳から離さぬ前進圧殺へと作戦を変更した模様。体重差は2倍、こうなると能智はなす術が無く、3分46秒に場外の「指導1」、さらに4分58秒「取り組まない」咎による「指導2」と立て続けに失って形勢逆転。市橋は試合終了まで前進圧力を緩めず、旗3本を貰って優勢勝ち。能智の巧みな柔道はまさに出色の出来、しかしその巧みさが市橋の圧殺傾向に拍車をかけ、最終的には体格差で押し切られる形となった。

■ 準決勝
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山部佳苗が梅津志悠を得意の足車で畳に沈め「一本」

山部佳苗(ミキハウス)○足車(0:45)△梅津志悠(三井住友海上)

右相四つ。体格に大きく勝る山部が両襟を握って前進、梅津はすかさず支釣込足を放って対抗するが山部の前進は止まらず、仕掛けた梅津が逆に吹っ飛んで伏せ「待て」。
梅津はしかし怖じず。支釣込足を入れながら釣り手を確保すると、襟を得た釣り手を振り立てながら右大外刈、右内股巻込と大技を連発する強気の柔道を展開。ここまでは梅津が明らかな健闘。
しかし続く展開で早くも試合は決着。山部が引き手で袖、釣り手で前襟を得ると、梅津は一旦釣り手を離して山部の釣り手を落としに掛かる。山部その瞬間を逃さず右足車一閃、梅津の体は瞬く間に一回転して背中から畳に沈み「一本」。

梅津はここまでの勝ち上がりの所以である強気の柔道を貫き、この試合もまことに堂々たる戦いぶり。しかし相四つという体格差が反映しやすい関係で、しかも体格に劣る相手が真っ向勝負に来るという構図は山部の側からみれば組みし易し。出口としての「一本」決着は論理的な結末だった。

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田知本愛が払腰で市橋寿々華を攻める

田知本愛(ALSOK)○優勢[判定3-0]△市橋寿々華(大阪府警)

田知本が左、市橋が右組みのケンカ四つ。両者ともに両襟で持ち合い、止め合い、そして
細かく足を出し合うという均衡状態に早い段階で陥り、57秒両者に「指導1」。試合が1分半を過ぎたあたりから、徐々に田知本の両襟の圧力が利き始め、市橋の頭を下げて左内股、左体落と先んじて攻め込む。市橋は息が上がって消耗が激しい模様だが、展開だけは譲らないとばかりに要所で右払腰を打ち返し、田知本に傾きかけた試合の流れを食い止める。市橋の反撃の前に田知本は山場を作り損ねて4分32秒「取り組まない」との咎で両者に2つ目の「指導」。以後互いの攻撃は散発、最後は互いに釣り手を突いて距離を取りあう形のまま試合終了。注目の旗判定は3-0で田知本の勝利。田知本は明確な山場こそ作れなかったものの終始先に仕掛けており、終わってみれば田知本に旗を上げるしかない、という一番であった。

■ 決勝
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山部佳苗は田知本愛の払腰に対してあくまで崩れず

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田知本が左足を負傷、なかなか立ち上がれない

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山部が膝を着いた田知本を容赦せず押し込み「技有」

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優勝を決めた山部が笑顔を見せる

山部佳苗(ミキハウス)○合技[隅落・横四方固](6:02)△田知本愛(ALSOK)

山部が右、田知本が左組みのケンカ四つ。試合が始まるなり両者衝突するように組み合うと先制攻撃は山部。右大内刈、次いで右内股と繰り出して気合十分。

田知本がこの攻撃を受け止めると、山部が釣り手を上から、田知本が下から持ってガッチリ組み合う状態が完成。以降は均衡状態となり、53秒両者に「指導1」が宣告される。続く展開も山部が右大内刈を出しながら組み付いて試合を引っ張り、田知本は釣り手を下から入れて山部の突進を止め、結果再び両者がガッチリ組み合う形となる。山部が右大内刈、右足車と仕掛けに行くが、田知本が腹を突き出して受けると引き手が切れて潰れてしまい「待て」。ここで山部の攻勢が評価され、1分43秒田知本に2つ目の「指導」が与えられる。以降は山部の前進に対して田知本が左支釣込足から左体落、左払腰と攻めるが、山部は全く崩れることなく全て受け切る。技数で上回るのは田知本、しかし山部も強力なプレッシャーで弾き返し続けて試合展開は決して譲らず、試合は終盤戦へと差し掛かる。

残り1分40秒、田知本が強烈な左支釣込足を放つと、山部は一旦内股モーションを入れて場外に流れ展開をリセット。この攻防で田知本はやや自信を得たか、釣り手を上から入れて圧力を掛け、得意の左払腰を繰り出す。田知本が少しづつペースを掴み始めた印象。

おそらく両者が勝負どころと踏んだ次の展開でアクシデントが起こる。ここで受けに回ってはならぬとばかりに山部が再び強気に釣り手を上から入れ、負けじと下から突き返した田知本が左出足払。さらに山部がこれを右払腰で打ち返したところで「待て」。様相いまだ拮抗といったところだが、しかし田知本がうずくまったままなかなか立ち上がれない。どうやら左足を負傷した模様で開始線に戻るのもままならない状態。

残り時間は50秒。試合が再開されると田知本は足を引きずりながらも必死に前へ出て山部の前進を止めるが、やはり踏ん張りが利かず、残り20秒で自らその場に膝を着いて座り込んでしまう。目の前に大きなチャンスが転がり込んできた形の山部は容赦せずに被さり、押し込んで真裏に倒し「技有」奪取、そのまま横四方固に抑え込む。足が利かない田知本が抗うことが出来ないまま着々時計の針は進み、6分2秒合技「一本」が宣告されて試合終了。田知本は立ち上がることが出来ないまま担架で運ばれ、1人畳に残った山部が勝ち名乗りを受ける。負傷した相手を前にあくまで勝負に徹した山部が2年ぶり3度目の優勝を決めた。


(取材・文:古田英毅/原輝地)

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