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平成28年全日本柔道選手権全試合詳細①1回戦

(2016年5月1日)

※ eJudoメルマガ版5月1日掲載記事より転載・編集しています。
平成28年全日本柔道選手権全試合詳細①1回戦
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西村久毅が飯田健伍から出足払「有効」

西村久毅(敦賀高校教)○優勢[有効・出足払]△飯田健伍(京葉ガス)

西村が右、飯田が左組みのケンカ四つ。地力に勝る飯田が良い形を作ろうとじっくり構え、対する西村は釣り手を上から入れて左一本背負投を連発する。2分過ぎに飯田が上から圧力を掛けると西村は脇を差して対峙、飯田の左大内刈から左小内刈の連絡技を右大腰で切り返す強気も見せる。3分4秒、飯田が西村を場外に追いやると西村に「指導1」。その後再び西村が先手を取って右背負投、左一本背負投を見せる。地力とスコア上のアドバンテージは飯田だが、技数はここに至って明らかに西村が上回る。

両者が「手四つ」で膠着した残り54秒、双方に「指導」。飯田が小内刈で西村を崩す場面を経た残り26秒、飯田が奥襟を叩いて圧力を掛けると、西村は脇を差して出足払一閃。腹の良く出た一撃は近接戦闘ゆえ力がしっかり伝わり、一瞬で宙に浮いた飯田は右半身で畳に落下。これは「有効」、終盤のこのポイントを以って西村が優勢勝ちを決めた。

飯田は序盤、西村の左一本背負投をあまりに簡単に許しすぎた。このことが西村に自信を与えてしまった感あり、終盤のポイント失陥につながったという一番であった。今秋まで大学生で稽古量十分の若い飯田に対し、決して稽古環境に恵まれているとは思えない地方の教員の西村が「先に攻める」という実直な姿勢で流れを掴み、そして一瞬の駆け引きで具体的なポイントを挙げる。スコア差は僅少だが、29歳となったベテラン西村の完勝であった。

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長尾翔太が肩車、半ば潰されたが背中側に回って押し込み得点をアピール

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長尾が一本背負投「有効」

長尾翔太(兵庫県警)○優勢[有効・一本背負投]△村上拓(愛知県警)

双方右組みの相四つ。審判の「始め」の声とともに長尾、腰を切る独特の動きを見せ会場を沸かす。村上も気合十分、いきなり釣り手をクロスで背中に入れると右大内刈、これを長尾が引き手で脇を差してガッチリ抱きかかえると村上ためらわずに右内股に連絡、長尾一瞬両足が畳から浮くがバランスは崩さず、村上が伏せて「待て」。開始早々、両者が見せ場を作った形。

1分過ぎ、長尾が片襟から巴十字、片襟背負投と組み際の技で撹乱する。奮起した村上は両襟で捕まえて大内刈を仕掛けるが、長尾腰を引いて空振りさせて右肩車に潜り込む。村上が跨いで潰すと引き手で持った襟を離さず股をくぐって背後に回り「ヨイショーッ」と発しながら押し込み直し、村上の体は一回転。もちろんこれは寝姿勢の攻防でポイントは無しだが、長尾のアグレッシブな戦いっぷりに会場大いに沸く。

長尾は組み際の背負投で攻め続け、3分7秒には村上に対し消極的との判断による「指導1」。ここまで常に先手で仕掛けている長尾だが、担ぎ技の入り自体は浅くポイントの気配は感じられない。しかし3分50秒、長尾が引き手で襟を持つと、村上は持たせておいても大丈夫と踏んだか一方的に襟を与えたまま前に出る。長尾はここぞとばかりに一本背負投、技そのものはここまで見せたものと一緒だが村上が無防備に受けたことで様相一変、深く懐に潜ることに成功し、決定的な「有効」獲得。残り時間は2分0秒。

村上必死に追うも長尾は既に逃げ切り態勢、村上の反撃を「指導2」までに押さえて優勢勝ちを収める。互いに持ち味を出し合った好試合であった

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制野孝二郎が内野寛和の巴投を捌き、抑え込みを狙う

制野孝二郎(センコー)○縦四方固(5:49)△内野寛和(京都府警)

互いに右組みの相四つ。序盤は互いに足技を細かく出しながら形を作ることに時間を消費、1分11秒、双方に消極的との咎による「指導1」。以降も組み手のやり取りを経ての内股の打ち合い、さらに再び組み手のやり取りにステージを戻しての膠着状態が続く。しかし制野が相四つ横変形から大外刈、さらに肩車とふたつ自分の技を続けて展開を終えると、主審はこの攻勢を認めて4分18秒、内野にのみ「指導2」を宣告。リードを得た制野は両襟で内野の動きを止めて、右小内刈に左出足払と細かく足を飛ばしながら時間を消費。焦れた内野が巴投を仕掛けると、ここぞとばかりに潰して被さり、足を抜いて縦四方固で抑え込み、一本勝ちまで辿り着く。
2つ目の「指導」宣告を機に一気に試合が動いた形。制野の粘り勝ち、一方内野が根負けしたという体の試合となった。

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小林督之が一戸勇人から大外刈「一本」

小林督之(旭化成)○大外刈(4:21)△一戸勇人(北海道警)

左相四つ。体格で劣る一戸は素早い動きで両袖の絞り合いへ持ち込み、小林の手を封じたまま押し込んで場外へと小林を追いやる。続く展開、一戸再び両袖の絞り合いに持ち込むと左小内刈、小林大きく崩れて伏せる。しっかり持ちたい小林は絞り合いを嫌ってひとまず釣り手一本の片手内股を仕掛けるが、一戸はその戻りに合わせて左一本背負投に潜って攻めの姿勢を崩さない。直後の1分12秒、小林に消極的との判断による「指導1」。ここまでは一戸が攻勢。

中盤、小林は先に引き手で襟を得ると、釣り手を奥襟に入れながらの左大外刈で一戸を仰け反らせることに成功。この攻撃が利くと見た小林は以後も同じ形の攻めを連発、一気に流れは小林に傾く。3分34秒にはこの左大外刈で一戸の肩を畳に付けると主審は「有効」を宣告。この「有効」は取り消されたが、続く展開で小林は再び組み際に左大外刈、今度は相手を根こそぎ刈り取って鮮やかな「一本」。試合時間は4分21秒。

一戸は紛うことなき健闘であったが、地力の差がある相手に1つの手立てで6分間の長丁場を凌ぎ切るのは至難の業であった。一方の小林はしぶとい相手に対し、試合の中で自らの力を発揮し得る「出口」を発見、本格派らしい試合であった。

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田中大貴が上原将吾から左足車「一本」

田中大貴(新日鉄住金)○足車(1:19)△上原将吾(川口道場)

田中が左、上原が右組みのケンカ四つ。田中が釣り手を上から入れ、上原の肘を潰して圧力を掛ける。双方引き手が取れず膠着となった47秒に両者に対して「指導1」が宣告される。

1分19秒、試合は早くも決着。再び釣り手を上から入れて相手の肘を潰した田中、この形のまま引き手を得るとすかさず得意の左足車一閃。剛体となった上原の体は低い位置で一回転、勢い余った田中の体が上原の体に被さる文句なしの「一本」。

組み手の途中段階で釣り手の肘を畳んで相手の半身を殺し、ほぼ技の作りを完成させていた田中にとって残るピースは引き手の牽引のみ。その引き手を得た瞬間飛び込んだ足車は入った時点で誰もが「一本」を想起する、まさしく見事な一撃であった。

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尾原琢仁が両襟を握って帯川雄大を攻める

尾原琢仁(筑波大4年)○優勢[僅差]△帯川雄大(北海道)

尾原が左、帯川が右組みのケンカ四つ。体格で劣る帯川は、しかし釣り手を上から入れる強気の組み手で先んじて攻め、序盤は健闘。しかし中盤以降に手立てを変えた尾原が両襟で圧を掛けて内股で攻め始めると様相が明らかに変わり、帯川には2分16秒と3分27秒にそれぞれ消極的との判断による「指導」、さらに肩車で潰れた5分48秒には偽装攻撃による「指導」と累計3つの反則ポイントが積み重なる。
この3つの「指導」をテコに尾原の優勢勝ちが決定。決定的な場面はなかったが、時間が経過するにつれて徐々に地力の差が出たという体の一番だった。

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北野裕一が関根太三から隅返「技有」

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残り時間僅か、関根が乾坤一擲の裏投に打って出る

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北野は巧みに体を捌き、関根の上に覆い被さり「一本」

北野裕一(パーク24)○浮落(5:51)△関根太三(鹿屋体育大4年)

北野が左、関根が右組みのケンカ四つ。背中を持っての隅返が得意な北野に対して、関根が開始早々脇を差しての体落に打って出るという少々意外なスタートとなる。続く展開も関根が脇を差して接近、帯を掴んでさらに密着を強めると北野は弾かれるように得意の隅返。差した腕をロックされる形となった関根には体を残す材料がなく、これは「技有」。経過時間は52秒。
その後も関根がしつこく接近戦を挑み、応じた北野が隅返で山場を作ると、3分25秒に関根に消極的「指導1」。関根の接近志向は北野の柔道に対しては明らかに噛み合わず、一方的な試合となる予感が漂う。

しかし、北野はリードを奪った中盤以降、釣り手で前襟を一旦突いては、結局は関根の脇差しに対して釣り手を背中に回して応じてしまうというどっちつかずの対応。これを繰り返すうちに段々と関根の脇を差しての小外掛が効き始め、気を抜けばどちらが一本負けしてもおかしくない、狭い橋の上での殴り合いとでもいうべき「勝負」のステージまで試合が煮詰まる。もはや「技有」のアドバンテージなど関係なし。そして関根が「指導2」まで奪った残り9秒、北野が背中に釣り手を回しての小内刈を仕掛けると、応じた関根はその体を抱き上げて乾坤一擲の裏投一発、最後の勝負に出る。しかし北野は冷静、引き手を離さず相手の腹上に乗ったまま一度大内刈で足を掛けてバランスを取ると、関根の重心移動に合わせてその上に被さる見事な体捌き、最終的には相手の背中を畳に付けての着地を為す。主審は北野の「一本」を宣告。

北野が最後まで自分の得意分野から下りずに始末を付け、意地を見せた試合となった。自身が脇を差せば過たず相手の体を固定し、逆に脇を差されて持ち上げられれば相手の腹上で重心を転がし決して相手に捕まらない。引込返ファイターとして活躍してきた北野の身体能力の高さは勿論のこと、「この道」で生きてきた年月の長さが匂い立つ一番であった。

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百瀬優が猪又秀和から大外刈「技有」

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百瀬が猪又の右腕を腕緘に捉え、極めたまま抑え込みを狙う

百瀬優(旭化成)○腕緘(2:39)△猪又秀和(東京学館新潟高教)

互いに右組みの相四つ。百瀬は得意の圧殺ではなく引き手を脇に入れて間合いを保ち、横襟を握った釣り手の手首を振り立て続ける「きれいな」柔道を志向する。しかし釣り手を絞られてしまい肝心の技が出ず、焦れた百瀬は自ら釣り手を切ってやりなおし、今度はこの右釣り手を上に晒して片手で対峙するという少々行き先の見えない戦いぶり。

双方技が出ず、主審は1分39秒両者に「指導1を宣告」。百瀬ここでようやく開き直って一旦両襟を確保。相手に絞らせた釣り手をそのまま相手の右襟に差し込み、片襟の右大外刈で「技有」を奪う。百瀬は動きを止めずに寝技に移行、必死に伏せる猪又の右腕を腕緘で極めたまま横四方固に抑え込む。抑え込みの形を保ったまま相手の肩を上げて極めを強めると猪又堪らず「参った」。
試合時間は2分39秒、百瀬迷いの見える出だしであったが「指導」をきっかけに自分の柔道を取り戻し、一本勝ちで初戦突破を決めた。

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影野裕和が田中亮から大外刈「技有」

影野裕和(愛媛県警)○優勢[技有・大外刈]△田中亮(広島拘置所)

影野が右、田中が左組みのケンカ四つ。影野が内股で攻めると、応じた田中が右の一本背負投で座り込むという展開が続く。双方技が止まった1分31秒両者に「指導1」、田中が右一本背負投に座り込んで手を離してしまった2分12秒には田中の側にのみ「指導2」が与えられる。相手の技に揺るがぬ影野が大枠優位、しかしポイントの気配は薄いという様相。
3分24秒、影野が両襟で右内股、戻るなり上下に煽ると圧を感じた田中が思わず座り込む。機と見た影野は瞬間動きを早めてこの体を引き起こし、右大外刈の形で乗り込んで決定的な「技有」獲得。
ようやく具体的なポイントを得た影野は残りの時間を安全運転。この段になって田中は前に出る柔道を展開し「指導2」まで奪うも遅きに失した感あり。
田中が残り20秒で仕掛けた一本背負投を影野が潰して横四方固。これは2秒で「解けた」となったが残り時間はほとんどなし。このまま影野の優勢勝ちが決まった。大枠の優位に胡坐をかかず、勝負どころを見極めてしっかり投げに出た影野の冷静さが光る一番であった。

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垣田恭平が吉永慎也から背負投「一本」

垣田恭平(旭化成)○背負投(2:17)△吉永慎也(国士舘大教)

大会きっての巧者同士の対決は垣田が左、吉永が右組みのケンカ四つ、垣田は釣り手を下から、引き手で袖と理想的な形で両手を持つと、釣り手の肩をずらす動きで吉永の釣り手を切って場外へ追いやる。吉永掌を合わせて押しとどめようとするが垣田の前進止まらず、1分22秒吉永に場外の咎による「指導」。続く展開も垣田は同じ形で組み手を完成させると巴投、どうやら完全にペースを握る。
続くシークエンスではやくも試合は決着。垣田は下から釣り手、引き手で袖を一方的に得る完璧な形を作り出すと、一瞬釣り手側に相手を吸い込み、左背負投に潜り込む。入りは低く、決めは膝を伸ばして高く。背中で相手を畳に押し付ける「決め」まで完璧に揃った一撃に主審迷わず「一本」を宣告。

試合時間は2分17秒。組み手を制し続けて、豪快な投げ一発。垣田のまさしく完勝であった。


(取材・文:古田英毅/原輝地)

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