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第31回皇后盃全日本女子柔道選手権全試合詳細③3回戦

(2016年5月1日)

※ eJudoメルマガ版5月1日掲載記事より転載・編集しています。
第31回皇后盃全日本女子柔道選手権全試合詳細③3回戦
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梅津志悠の谷落を佐俣優衣が腰を捻って耐える

梅津志悠(三井住友海上)○優勢[僅差]△佐俣優衣(帝京大3年)

梅津が右、佐俣が左組みのケンカ四つ。佐俣は脇を差して得意の接近戦を挑み、梅津が釣り手で背中を叩き強気に応じるという展開となる。互いに内股を打ち合い、先に仕掛けられれば裏を狙いと序盤はまさしく拮抗。しかし、1分半を過ぎたあたりから、梅津が右内股を先に仕掛ける場面が多くなる。佐俣は脇を差して腰を引き、明らかに後の先を狙う作戦だが、しかし梅津の右内股は足の跳ね上げが高く簡単には潰れない。最後まで掛け切る梅津の姿勢の前に佐俣の作戦は徐々に行き詰まりを見せる。佐俣が釣り手一本の左大腰に掛け潰れた3分4秒、偽装攻撃の咎で梅津に「指導1」。ここに至って地力の差が顕在化し始め、試合は完全に梅津ペースとなる。

その後も梅津は攻撃の手を緩めず右大外刈、谷落で山場を作り、4分14秒には佐俣に2つ目の「指導」。4分46秒に両者に「取り組まない」との判断で「指導」が与えられるが試合の趨勢に変化はなくそのままタイムアップ。最終的な反則ポイントの累積は梅津が「1」、佐俣が「3」。結果、梅津が僅差の優勢で勝利を収めることとなった。

梅津は後の先を狙われても全く意に介せず右内股を放ち続け、自信溢れる試合ぶりであった。一方の佐俣は脇を差して形上は強気に構えるものの、腰を引き、相手の内股を待っての内股透か裏を合わせる以外に自信を持って仕掛けられる技が無かったように思われる。腰を入れての内股、大腰と前技も見せたものの早々に掛け潰れる場面が多く、身上としているはずの脇を差してからの攻防の展開力の低さが浮き彫りとなった試合であった。

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緒方亜香里が粂田晴乃から大外刈「一本」

緒方亜香里(了徳寺学園職)○大外刈(1:45)△粂田晴乃(大成高3年)

双方左組みの相四つ。緒方は試合が始まるなり弾かれたように飛び出して先に引き手で襟を確保、さらに釣り手で奥襟を叩き、次いで引き手を袖に持ち替えてと最短距離の手順で組み手を完成させる。緒方は頭が下がった粂田を支釣込足で潰すと、両手で帯を握って得意の横三角を試みる。粂田の体が僅かに傾いて出来上がった狭い隙間から両脚を差し入れて頭をロック、この技術への習熟度の高さを見せるがここは粂田が前に体を突っ込んで回避、「待て」。経過時間は52秒。

完全に主導権を握った緒方、続く展開では早々に両襟で組み止め、再び引き手で袖を確保する。今度は粂田も釣り手を高い位置に入れて応じ、出来上がった形はガップリ四つ。しかし足技を出し合う中で緒方が徐々に粂田の釣り手を落として一方的に良い形を作ると、横変形の状態から引き出しの左大外刈。前に呼び込みながら重心の乗った粂田の左足めがけて刈り足をドンと差し込む迫力の一撃、緒方が一旦刈り足を着地させて踏ん張ると粂田の体は「く」の字に曲がって既に死に体。緒方は軸足の右膝を畳に着きながら一段深く刈り込んで投げ切り、これは文句なしの「一本」。試合時間1分45秒、緒方が一方的な試合運びで粂田を畳に沈めた。

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藤原恵美が佐藤美咲から一本背負投で「有効」を奪う

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藤原が外巻込から関節技を狙う

藤原恵美(筑波大4年)○優勢[有効・一本背負投]△佐藤美咲(立命館大4年)

双方右組みの相四つ。体格で勝る藤原が両襟で引き寄せ、対する佐藤が距離を取ろうとしつこく組み手を直すという構図が一貫して続く。しかし藤原襟を持った引き手だけは決して離さず、釣り手を得ると間髪入れずに右払腰を繰り出すという手立てでこの「切り離し」にしっかり対応。2分が経過したところで佐藤が奮起、引き手で前襟、釣り手で背中を叩く強気の組み手に打って出るが、しかし藤原は頭を下げず釣り手を巻き返して奥襟を叩き返す。重量級選手とガップリ組み合う形を強いられた格好となった佐藤は堪らず首を抜いてしまい、「指導1」失陥。経過時間は2分15秒。

続いて藤原は相手を両襟で寄せ、嫌った佐藤が釣り手を一旦切って叩き直したところに合わせて低く右一本背負投。タイミング良く潜り込んだこの技決まって「有効」、経過時間は2分55秒。ポイントを得た藤原は残りの時間を安全運転、残り30秒には、右外巻込で佐藤を大きく崩して関節技を狙う場面も見せ、危なげなくクロージング。「有効」による優勢で勝利を決めた。

佐藤は体格差のある相手に一か八かの場面を作り出すことによって2回戦を勝ち上がったが、この試合は藤原があくまでオーソドックスに試合を作り、主導権を一度も手放さないまま手堅く勝利を得た。

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山部佳苗が菅原歩巴を支釣込足で崩す

山部佳苗(ミキハウス)○優勢[判定3-0]△菅原歩巴(盛岡農業高校教)

山部が右、菅原が左組みのケンカ四つ。序盤から菅原が細かく左小外掛、左大内刈を繰り出しながら引き手を得、さらに左大外刈を繰り出してと先に仕掛けてペースを掴みにいく。しかし山部は要所で右内股、払腰を打ち返して展開としては差がつかず。引き手争いでやや
両者の動きが止まった1分19秒、菅原にのみ少々微妙な判断の「指導1」。続いて2分38秒には両者に「取り組まない」咎による「指導」が与えられる。この後も、先に仕掛けて技数でリードする菅原、圧力を掛けて内股、支釣込足で崩す場面を作る山部という構図は変わらずあっという間に6分間が終了、勝敗の行方は判定に委ねられる。結果、旗判定3-0を以て山部の優勢勝ちが決まった。

3本が揃った旗の所以は、山部の大枠の主導権確保と技の効果が菅原の技数を上回ったという評価と推察される。妥当な判定ではあったが、審判の見方によってはどちらに旗が上がっても全くおかしくない試合であり、逆転での五輪代表選出のためには全試合「一本」級の出来が要求されると目されていた山部としてはまったく映えない立ち上がり。煮え切らない初戦であった。

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井坂希望が強引な大腰、高橋ルイを攻める

井坂希望(千葉県警)○優勢[判定3-0]△高橋ルイ(オージー技研)

井坂が右、高橋が左組みのケンカ四つ。両襟で引き寄せ接近戦を狙う高橋に対し、井坂が右袖釣込腰、右内股と腰を入れて先手を打つという展開が続く。この序盤戦の攻防は、2分6秒に高橋に与えられた消極的試合姿勢による「指導1」を以て主審が総括。その後、高橋は両襟から左内股に左小外掛と前後の技を組み合わせて攻めるも、井坂の腰が強くポイントは得られず。一方の井坂は不十分な組み手に怖じず、腰を差し込んで右大腰、右内股と強引に攻める。両者よく攻め合うがポイントの上積みはないままタイムアップ。旗判定は井坂に3本が揃った。
井坂は高橋の攻めを自分の技に吸収する腰の強さで展開を譲らず。見事ベスト8に駒を進めることとなった。

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田知本愛が松延祐里を内股で攻める

田知本愛(ALSOK)○優勢[判定3-0]△松延祐里(JR東日本)

田知本が左、松延が右組みのケンカ四つ。体格で大きく勝る田知本は釣り手を上から入れると両襟で圧を掛け、支釣込足で松延を伏せさせる。続く展開は田知本が両襟で左払腰、松延は釣り手を背中に回してなんとか耐える。田知本さらに松延が釣り手を持ち替えるタイミングに合わせて再度の左払腰、松延これもなんとか耐えて「待て」を引き出すが、ここで主審は田知本の攻勢を認めて松延に「指導1」を宣告。経過時間は1分41秒。

田知本はこの後も両襟を持っての左払腰、内股で攻めるが、松延は反応良く引き手を離して畳に手を着き、回旋を拒否してポイントを許さない。松延は攻防を重ねるうちに力関係と相性を呑み込んだ様子で、3分を過ぎたあたりから徐々に反攻。田知本の圧力をずらして左内股に入る場面も多くなり、5分6秒には田知本から場外「指導1」を奪うことに成功する。この後田知本は右内股で惜しい場面を作るがポイントには至らず、スコアの積み上げないまま試合終了。判定は効果的な技の数で上回った田知本に3本の旗が揃って決着。

田知本は両襟での払腰、内股が目立ったがいずれの技も引き手で袖を持っていれば決まっていた可能性が高い。田知本の特徴である両襟柔道の負の面が濃く出てしまった形であるが、それでも、良く動く松延に対し、両襟で組み止めてとにかく先に技を出すという選択には、投げて仕留めることよりも確実に勝つことが大事という今大会に掛ける覚悟が透けて見えるようであった。ただし、連覇を狙う第一人者としては煮え切らない立ち上がり。

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能智亜衣美が体格差を物ともせず町純香を内股で攻める

能智亜衣美(筑波大3年)○優勢[判定3-0]△町純香(光仁会病院)

能智が左、町が右組みのケンカ四つ。
体格は町が上だが組み勝つのは小さい能智。序盤から釣り手を上から入れ、左小外刈、左内股と良く攻めて完全に主導権を掌握。技が出ない町に対して主審は1分33秒に「指導1」を宣告。その後も能智は足技を絡めて攻め続け、町も釣り手を背中に回して右内股を打ち返すものの散発、明らかに試合のペースは能智。互いにポイントがないまま試合は終了したが、旗判定3-0で能智の勝利が決定。全日本選抜体重別63kg級を制したばかり、上り調子の能智が完璧な試合運びで勝利を収め、ベスト8進出を決めた。

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市橋寿々華が「ハンドル投げ」で橋高朱里を捻り倒し浮落「有効」

市橋寿々華(大阪府警)○優勢[有効・浮落]△橋高朱里(金沢学院大3年)

市橋が右、橋高が左組みのケンカ四つ。体格で勝る市橋は両襟を握って前進、支釣込足、大内刈と細かく足を出しながら圧力を掛ける。橋高は釣り手を突いて前進しながらの引き手争い、あるいは引き手の袖を腹に抱き込んでの優位確保で対応。1分8秒、市橋が両襟で圧力を掛けながら橋高の手前の足へ支釣込足、蹴り崩された橋高が体を起こして立て直そうとするところに合わせて時計回りの「ハンドル投げ」を繰り出す。両足を踏ん張って両腕で捩じる、市橋得意のこの技が決まり浮落「有効」。市橋はその後も「ハンドル投げ」を連発し、2分26秒に「指導」1つを追加して安全運転のまま優勢勝ち。市橋が橋高に何もさせず、完勝した一番。


(取材・文:古田英毅/原輝地)

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