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志々目徹が絶好調の大島優磨下して初優勝、高藤直寿は準決勝で一本負け・平成28年全日本選抜柔道選手権60kg級レポート

(2016年4月25日)

※ eJudoメルマガ版4月25日掲載記事より転載・編集しています。
志々目徹が絶好調の大島優磨下して初優勝、高藤直寿は準決勝で一本負け
平成28年全日本選抜柔道選手権60kg級レポート
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準決勝、寝勝負を挑んだ大島優磨が髙藤直寿の腕を伸ばして抱えてめくり返す

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大島は粛々手順を進め、横四方固で一本勝ち

リオデジャネイロ五輪代表をほぼ確定させている高藤直寿(パーク24)が決勝に辿り着けずに脱落。昨年苦杯を喫した青木大(日体大4年)と組まれた1回戦は50秒にマークした横落「有効」、そしてテクニカルな「シバロック」で抑え込む横四方固「一本」(2:03)で勝ち抜けたが、準決勝の大島優磨(国士舘大4年)戦では相手の猛攻に根負け、中盤の寝勝負で対応が後手に回ってしまう。体勢が悪いまま動きを止めて耐えた髙藤は大島に腕を伸ばされたままめくり返され縦四方固、さらに横四方固に降りてと着々安定感を増す手順を受け入れてしまい、3分17秒横四方固「一本」で敗戦確定。

高藤は「自分(の調子)は悪くなかったが、気持ちが入り過ぎていたかもしれない」と敗戦の弁。及第点グランドスラム東京に優勝して代表権をほぼ手中にしたものの、グランプリ・デュッセルドルフは直前の怪我を理由に欠場。代表権獲得自体への影響はともかく、出場が命じられた第3次予選を踏まないまま「上がり」を得た立場としては今大会は優勝が絶対のミッションであったはず。寝技に新境地を見出した1回戦は上積みありであったが、準決勝はその寝技で大島に応じたゆえとの敗戦ともとれ、ここ一番の試合としては負け方も悪し。本人にとっても周囲にとっても後味の悪い敗戦だった。

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1回戦、山本浩史を引込返で攻める大島

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1回戦、志々目徹がGS延長戦の末に田中崇晃から大外刈「有効」獲得

決勝に進出したのは大島と、髙藤を追う立場の代表第二候補・志々目徹(了徳寺学園職)。

大島のこの日の出来は良し。1回戦は山本浩史(名城大職)から「指導」2つを奪った末に小内巻込「有効」で転がし、そのまま横四方固で一本勝ち。準決勝の髙藤直寿戦は前述の通り精神的にも肉体的にも過酷な攻め合いのステージから決して降りず、中盤に持ち込んだ寝勝負を取り切って一本勝ち。貪欲な攻め、連続攻撃に耐える心肺機能と稽古の錬磨が匂い立つ、これまでの大島とは一段違った仕上がりを見せての決勝進出。

一方今大会の優勝に逆転での代表選出の僅かな望みを掛ける志々目は1回戦で田中崇晃(筑波大4年)をGS延長戦の末大外刈「有効」(GS1:16)で下し、準決勝は永山竜樹を45秒に挙げた消極的試合姿勢による「指導」1つの差で退け決勝進出決定。優勝必須のプレッシャーを跳ねのけ、しぶとく結果を残して決勝の畳に臨む。

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決勝も積極的に寝勝負を挑む大島

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志々目の左内股、双方頭を畳に着くが決まらず

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志々目は片手、あるいは両手を離しての左内股アクションを連発

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残り数秒、志々目が片手の大内刈を繰り出してクロージングを図

決勝は大島、志々目ともに左組みの相四つ。激しい組み手の一手目争いから志々目が左大外刈で先制攻撃。以後も引き手で袖を織り込んでの左小内刈、左内股巻込で攻める。

30秒を過ぎたあたりから大島が逆襲開始、左「小内払い」に出足払、さらに勝負技の左背負投で押し込むと、志々目は巻き込み動作に混ぜ込んで回避。大島はすぐに潰して引込返に連絡、これまでの2試合と同様次の一手の選択の早さで徐々に志々目を凌ぎ始める。

続くシークエンスでも大島片襟を引き寄せて引き手を得、前進。志々目は場外に詰められてしまう。早い判断で一旦回り込み、形勢の不利をリセットするため自ら膝を屈して潰れるが大島は間を置かずに引込返で寝勝負を挑み、試合の流れは僅かながら大島。

しかしここで一旦志々目が形勢を立て直す。大島の左一本背負投をきっかけに組み手を得ると、いったん内股動作で相手の手を引きはがし、さらに続けて本命の左内股。大島は一瞬頭で着地して体を支え、ついて自ら回転して足から着地「待て」。

続く攻防、大島が引き手で相手の袖を腹側に織り込む一方的に優位な状況を作ると、嫌った志々目は内股を偽装してこれを切り離す。

明らかに投げる意志のない防御行動であり、志々目に偽装攻撃の「指導」が宣告されて然るべきアクションだが、主審は続いて起こった寝勝負の攻防を見届けてから、志々目の攻勢を採って大島に「指導1」を宣告する。前段の志々目の効果的な技一発が頭に残り過ぎたか、少々不可解な判定。

以後も大島の積極前進に対し、志々目は悪癖である攻撃偽装の回避行動を連発。直後右袖釣込腰で大島が前に出ると内股アクションで切り離しリセット、3分17秒には大島に片襟を掴まれると大外刈を仕掛けて自ら潰れ、3分20秒には再び両手を離す内股で組まれることを拒否し、大島の突進を持て余した3分16秒には場外に向かって両手を着く側転紛いの内股アクションで回避を図る。直後も再び大島の前進に抗しかね両手を離す内股で場外に身を躍らせ、この傾向は止むどころかむしろ加速。

いずれもIJFツアーであれば間違いなく偽装攻撃の「指導」を食う失策であるが主審はただ1つの反則も取らず全てスルー。大島は前進、あるいは背を抱いてと積極策を次々繰り出すがジャッジがこの状況では相手を詰めること叶わず、残り9秒に釣り手を肩越しクロスに入れると志々目は大内刈に潰れてまたしても「待て」。残り4秒からの突進は志々目がもろとも場外に出てそのまま試合終了。

内容は大島に分があったがスコアは志々目という形で試合は決着。結果志々目が「指導1」の優勢で勝利し選抜体重別初優勝を飾ることとなった。

五輪代表には、順当に髙藤が選出された。グランプリ・デュッセルドルフと本大会を制した第二候補志々目の選出を真っ向推す声がほとんどなかったことに、今大会の評価は明らかであると見る。

「選考評」でも書いたが、決勝で見せた「全てを内股アクションで解決してしまう」のは志々目積年の悪癖である。攻めるも内股、守るも内股、組み手のリセットも内股、掛け逃げも内股。攻めの遅さとこの「消極的内股」とでもいうべき悪癖の結果状況をどんどん悪くしてしまうのは志々目積年の課題であるが、それは本人も所属も重々承知。五輪代表獲得を睨んだこの2年間は丁寧な組み手に足技、さらに内股を晒しておいての大外刈と試合構成に重点を置き、安定して成績を残しことにひときわ腐心して来た。

しかし最後の最後の土壇場、絶対に勝たねばならないこの試合でこの悪癖が噴出、「骨まで染みている」ことを晒してしまった形。この決勝の内容、そして一本勝ちゼロという勝ち上がりは、「グランドスラム・パリと選抜体重別の2大会で連続優勝」という一見満点の成績を以てしても補完することが出来なかった。強化が求めた「内容が伴った上での2大会連続優勝」という高いハードルを越えることが出来なかったと見る。

というわけで本命高藤、優勝した志々目ともに目指したところまでは到達できなかったという大会。階級全体としては、素晴らしい貪欲さで最後まで戦い抜いた大島、そして永山という若手2人の活躍が見られたことが収穫であった。

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初優勝の志々目徹

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1回戦、髙藤直寿が青木大を左大腰で持ち上げ

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高藤は所謂「シバロック」で青木を抑え込む

【成績上位者】

優 勝:志々目徹(了徳寺学園職)
準優勝:大島優磨(国士舘大4年)
第三位:髙藤直寿(パーク24)、永山竜樹(東海大2年)

志々目徹選手のコメント
「優勝はうれしいが、内容が悪かった。去年とは雰囲気も違ってやりづらさがあった。その中で勝ったのは良かったと思います」

【1回戦】

髙藤直寿(パーク24)○横四方固(2:03)△青木大(日体大4年)
大島優磨(国士舘大4年)○横四方固(4:08)△山本浩史(名城大職)
志々目徹(了徳寺学園職○GS有効・大外刈(GS1:16)△田中崇晃(筑波大4年)
永山竜樹(東海大2年)○優勢[指導1]△木戸慎二(パーク24)

【準決勝】

大島優磨○横四方固(3:17)△髙藤直寿
志々目徹○優勢[指導1]△永山竜樹

【決勝】

志々目徹○優勢[指導1]△大島優磨

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