【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第4回「柔道勝負法では勝負と申すことを狭い意味に用いまして人を殺そうと思えば殺すことが出来、傷めようと思えば傷めることが出来、捕らえようと思えば捕らえることが出来、また向うより自分にそのようなことを仕掛けて参ったときこちらではよくこれを防ぐことの出来る術の練習を申します。」

嘉納治五郎師範のひとこと
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嘉納治五郎師範_MASTER JIGORO KANO

【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第4回「柔道勝負法では勝負と申すことを狭い意味に用いまして人を殺そうと思えば殺すことが出来、傷めようと思えば傷めることが出来、捕らえようと思えば捕らえることが出来、また向うより自分にそのようなことを仕掛けて参ったときこちらではよくこれを防ぐことの出来る術の練習を申します。」

出典:「柔道一班ならびにその教育上の価値」 同講演録小冊子 明治22年(1889)5月
(『嘉納治五郎大系』2巻,113頁)

今回の「嘉納治五郎師範のひとこと」は前回と同じ資料から柔道の目的の一つである「勝負」について取り上げました。

一読されて、皆さんはどのような感想を持たれたでしょうか?

「殺す」や「傷める」と言った物騒な言葉が出てきて驚いたかもしれません。また、柔道の歴史を学んだことがある人は「柔術の危険な技をのぞいて安全なスポーツとして確立したのが『柔道』ではないか」と思うかもしれません。危険な技の排除はある面では事実です。事実ではありますが、嘉納師範の考える講道館柔道には、それとは異なる面もありました。

例えば「ひとこと」に続いて、勝負法の具体的な説明として投・当・固の技が紹介されていますが、固技の中に「頸挫技(クビヒシギワザ)」というものあります。現在の柔道では試合はもちろん、技としても残っていない首関節技ですが、過去のルールを見てみると試合でも用いられていた可能性があります。

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