PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

地力の高さ生かして富沢佳奈が逆転勝利、本命対決の決勝を制す・全国高等学校柔道選手権女子52kg級レポート

(2016年3月30日)

※ eJudoメルマガ版3月30日掲載記事より転載・編集しています。
地力の高さ生かして富沢佳奈が逆転勝利、本命対決の決勝を制す
全国高等学校柔道選手権女子52kg級レポート
eJudo Photo
第1シードから順当に決勝まで勝ち上がった富沢佳奈

決勝カードは富沢佳奈(埼玉・埼玉栄高)対武田亮子(愛知・大成高)。ともに優勝候補と目された本命同士の対決となった。

富沢佳奈は昨年の世界カデ王者。もちろん今大会は第1シード配置だが組み合わせの巡りは決して楽ではなく、今大会の対戦相手は全て難敵。その勝ち上がりは2回戦の平田樹(岡山・創志学園高)戦が不戦勝、3回戦では菅谷友紀(東京・淑徳高)に「有効」優勢、準々決勝では三浦百香(神奈川・三浦学苑高)に「技有」優勢、そして準決勝で瀧川萌(滋賀・比叡山高)に「指導1」優勢というもの。徹底マークを受けながら着実にポイントを挙げたところはさすがというべきだが、少々動きが固い印象が残る勝ち上がり。

eJudo Photo
世界カデ57kg級王者の武田亮子は第2シード、こちらも順当に決勝進出

一方、第2シードの武田亮子は小学生時代からこの学年のトップランナーとして走り続けてきた強者。昨年の全日本カデ57kg級では2位、代表に抜擢された世界カデでは見事優勝を飾っている。今大会の勝ち上がりは2回戦で古瀬舞(長崎・明誠高)に「指導2」優勢、3回戦で杉田和奏(京都・立命館高)に背負投「一本」(0:41)、準々決勝で児玉風香(愛媛・新田高)に「有効」優勢、そして準決勝は島谷真央(広島・皆実高)に袈裟固「一本」(1:44)という素晴らしいもの。先輩の52kg級王者黒木七都美が卒業し、階級を戻して臨む今大会へのモチベーションの高さがうかがわれる。

eJudo Photo
開始早々、武田が袖釣込腰で富沢を大きく崩す

eJudo Photo
富沢が大内刈から小内刈へ連絡、上体の拘束緩めず「有効」を奪う

決勝は富沢が右、武田が左組みのケンカ四つ。開始早々、武田が、富沢が両手で前襟を得ようと出した引き手を確保しながら右袖釣込腰。富沢はこの組み際の一発に反応できず乗り掛かるも入りが浅かったためポイントには至らず。武田はすかさず後ろに付いて寝技に移行、富沢これは耐えて「待て」。経過時間は14秒。

45秒、武田は先に釣り手を得ると打点の高い右一本背負投、次いで高さを変え今度は低く潜り込む右一本背負投と連続攻撃。さらに左背負投を2連発して立て続けに攻めまくった直後の1分10秒、富沢に「指導1」が宣告される。武田は攻撃の手を緩めず、1分18秒には左背負投で大きく富沢を崩しあわやポイントという場面も作り出す。ここまでは完全に武田の試合。

ビハインドを負った富沢は得意の一旦相手を止めてから刈り込む右小外刈で打開を期すが、武田も相手の股中に作用足を落とす左体落、さらに肘抜きの左背負投で対抗し試合は拮抗。しかし1分50秒からのシークエンスでは富沢のパワフルな両襟組み手に武田の頭が下がる一方的な形が現出。主審は「指導」の宣告を見送ったが、時間が経過し体の強い富沢の圧力が徐々に相手の体に染み始めた印象。

主導権を握りつつある富沢、今度は釣り手を上から得て武田の釣り手を潰す。潮目の変化を感じた武田は不安を振り払うかのように左背負投。しかし形勢不利を感じながらのこの技は入りが浅く、富沢巧みにかわすとその立ち際に右大内刈、さらに応じた相手の体重が踵に移ったところにすかさず二の矢の右小内刈を打ち込む。一瞬体が固まった武田激しく畳に落ちてこれは「有効」。経過時間は2分12秒、残り時間は48秒。

富沢間を置かずに寝技に移行して時間を消費し、残り時間38秒まで時計の針を進める。その後も右小外掛で潰して寝勝負を選択、武田に攻め返す暇を与えぬまま試合を進めて動的膠着のまま終了ブザーを聞くに至る。結果富沢が「有効」優勢で逆転勝利、見事初優勝を決めた。

決勝で決めた大内刈から小内刈のコンビネーションは「狙ったわけではない」とのこと。足技から入れ、とのアドバイスを意識していたのみということだが、ここに富沢の勝因は端的。勝負勘の良さや技術の高さは勿論だが、ベースとなる地力が一段他の選手の上を行くものであったということと解釈したい。決まった技の技術特性よりは、その状況を作るに至った地力の高さのほうに注目すべきだろう。モチベーション高く元気一杯の実力者武田を僅か3分の時間内でジワジワ追い詰め、そして一発投げるに至った「力」は優勝者にふさわしいものであった。

富沢は翌日の団体戦で本来のポジションの先鋒ではなく、2階級上(63kg級)の枠である中堅で出場することになる。この驚くべき作戦が密かに進行する中での体重コントロールの難しさと精神的な圧は相当のものであったのではないかと予想するが、それでもこの厳しい組み合わせ、そして決勝におけるビハインドの逆境を勝ち抜いた富沢の逞しさがひときわ際立ったトーナメントであった。

eJudo Photo
優勝の富沢佳奈

【入賞者】

優 勝:富沢佳奈(埼玉・埼玉栄高)
準優勝:武田亮子(愛知・大成高)
第三位:瀧川萌(滋賀・比叡山高)、島谷真央(広島・皆実高)
敢闘賞:三浦百香(神奈川・三浦学苑高)、中川原知波(栃木・國學院大栃木高)、児玉風香(愛媛・新田高)、白石稚葉(熊本・熊本西高)

富沢佳奈選手のコメント
「いつもはあまり緊張しないタイプなんですが、今日はなぜか凄く緊張しました。全ての試合で相手にペースを握られてしまいました。後半自分の柔道が出来たのは良かったですが、まだまだだなと思います。途中で先生に『プレッシャーを感じるよりも挑戦する気持ちでやってこい』と声を掛けて貰って、これが立ち直るきっかけになったかなと思います。決勝は先に『指導』を取られて焦りましたが自分のスタイルの足技から攻めることを意識しました。今後も足技をしっかり磨いていきたいと思います。柔道は大好きで休みの日にも道場に行って練習しています。(2020年東京五輪については?)目の前のことをしっかりやっていきたいです。」

【準々決勝】

富沢佳奈○優勢[技有]△三浦百香
瀧川萌○上四方固(2:04)△中川原知波
武田亮子○優勢[有効]△児玉風香
島谷真央○優勢[有効]△白石稚葉

【準決勝】

富沢佳奈○優勢[指導1]△瀧川萌
武田亮子○袈裟固(1:44)△島谷真央

【決勝】

富沢佳奈○優勢[有効]△武田亮子


取材・文:古田英毅、原輝地

※ eJudoメルマガ版3月30日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.