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国士舘らシード各校が順当に勝ち上がり、埼玉栄は大駒蓜島剛で四日市中央工を振り切る・第38回全国高等学校柔道選手権男子団体戦レポート②2回戦

(2016年3月25日)

※ eJudoメルマガ版3月25日掲載記事より転載・編集しています。
国士舘らシード各校が順当に勝ち上がり、埼玉栄は大駒蓜島剛で四日市中央工を振り切る
第38回全国高等学校柔道選手権男子団体戦レポート②2回戦
■ 二回戦
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先鋒戦、国士舘高の先鋒清水雅義が神港学園神港高・小林礼弥を封殺

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神港学園神港高の中堅岩野光貴が国士舘高・本間壘から支釣込足「技有」

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投げられた本間はしかしそのままの勢いで逆に横四方固、結果一本勝ちを果たす

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本間が堀竜大を支釣込足「一本」に仕留める

【Aブロック】

国士舘高(東京)○三人残し△神港学園神港高(兵庫)
(先)清水雅義×引分×小林礼弥(先)
(次)磯村亮太×引分×佐藤貴成(次)
(中)本間壘○横四方固(2:01)△岩野光貴(中)
(中)本間壘○支釣込足(0:19)△堀竜大(副)
(中)本間壘○合技(0:36)△山下誠人(大)
(副)河田闘志
(大)飯田健太郎

第1シード校国士舘に挑むに当たり、神港学園神港は先鋒に近畿ブロック81kg級王者の小林礼弥、さらに次鋒に兵庫県無差別代表の佐藤貴成と前衛にダブルエースを並べて突っ込む強気の策に打って出る。最強の呼び声高い国士舘にひと泡吹かせてやろう、あるいは、勝つためには片々たる星取り勘定ではなく先に得点して場を荒らし国士舘サイドのパニックを誘うしかないと考えての特攻布陣と解釈出来る。ほどほどにスコアをまとめて負けを受け入れるのではなく勝利の可能性を求めてあくまで勝負に出た、非常に好感持てるオーダー。自軍が既に1試合をこなして緊張がほぐれ、対する国士舘が2年連続「三冠」という巨大なプレッシャーを背に受けて全国大会に臨むこれが初戦であることまでを計算に入れればなかなか面白い戦略。保有カードを目いっぱいに生かす、実は非常に論理的な布陣ともいえるだろう。

迎え撃つ国士舘は先鋒に6番手の1年生・清水雅義を起用し、続いてあるいは神港学園の前重心特攻の可能性を読んだか次鋒に磯村亮太を前出し。以降を本間壘、後衛の「堀」として河田闘志、そして本丸の大将飯田健太郎という布陣で大事な大会初戦に臨む。

注目の先鋒戦は清水が軽量の小林にガッチリ圧を掛けてチャンスのある形自体を徹底減殺。動的膠着が続いたままこの試合は引き分けに終わり、磯村と佐藤による大型選手同士の第2戦も双方見せ場のないまま引き分けに終わる。

以後は撃つべき矢を使い果たした神港学園に対して国士舘が容赦なく襲い掛かる、と思われたが迎えた第3戦で大事件が起こる。全国大会初出場の本間壘に対し、神港学園神港の中堅岩野光貴が思い切り支釣込足。互いにガップリ四つ、先に仕掛けた方が勝利を収める近接戦闘の形であったこともあり剛体となった本間は両足畳から離れる勢いで宙を舞いこれは岩野の「技有」。会場騒然となるが、相手の体を越える勢いで本間の体に乗り込んだ岩野は勢いが付きすぎ、本間はその勢いを利用して動きを止めずに鉄砲返しで体勢をひっくり返す。投げは岩野、しかし動きが止まった時には既に本間は岩野を横四方固に抑え込んでいる。岩野動けずこれは「一本」、国士舘が3戦目にして先制点を得る。

明らかに動きが固かった本間はこれで落ち着きを取り戻し、続く試合では神港学園神港の堀竜大を僅か19秒の支釣込足「一本」、大将山下誠人も36秒の合技「一本」に仕留めてフィニッシュ。結果、国士舘が三人残しの大差で勝利を得るに至った。

表面的に試合を総括すれば神港学園神港の「玉砕」。国士舘としては決戦兵力外の駒である清水で小林を殺し、さらに佐藤にも仕事をさせずに完封、大将首がいなくなって焼け野原となった戦場で本間が相手の首を狩り続けてと形上は一見完璧な試合であった。ただし、磯村は佐藤に対してリスクを負う攻めを見せず引き分け志向の安全運転、本間は「一本」が宣告されてもおかしくない投げ一発を食らってとどうにもバタバタ、煮え切らない内容の初戦であったことは否めない。前代攻撃意欲の欠如が指摘されていた大物磯村が徹底的に勝ちに行かずに意外な自己評価の低さを見せたこと、新人戦以降ほとんど隙を見せずほぼ完璧な試合を繰り広げていた本間(若潮杯で疲労困憊となって引き分けた一番と、東京都予選で藤原崇太郎に「指導」を立て続けに食った試合が数少ない隙であった)がとうとう一発投げられてしまったことを考えれば、岩渕公一監督が例年重視する「序盤で波に乗る」ことを満たした試合とは評価し難い。磯村が佐藤をとにもかくにも弾き返し以後をしっかり抜き去るというところまでをこなして初めて、以後に上積みのある試合だったのではないだろうか。スコア上は満点、しかし国士舘が「欲しい」内容ではないという一番であり、ミッションは次戦に持ち越しという印象。大本命国士舘はいまだ、走り出せず。

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本荘高・板本広大が河野壮登に左背負投で攻め込む

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大場悠斗は金塚啓五に先手攻撃を許し、対応効かぬまま引き分け

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佐藤光が松村颯祐を背負投で攻める。佐藤は終盤「有効」を獲得。

開星高(島根)○代表戦△本荘高(秋田)
(先)山口和馬○優勢[技有]△高橋駿(先)
(先)山口和馬×引分×木村綜一郎(次)
(次)河野壮登×引分×板本広大(中)
(中)金塚啓五×引分×大場悠斗(副)
(副)松村颯祐△優勢[有効]○佐藤光(大)
(大)野口穂高×引分×佐藤光(大)
(代)河野壮登○優勢[僅差]△板本広大(代)

地方の有力校同士による注目対決。非常に揉めた一番。

河野、松村の重量級エース2枚を誇る開星に対し、本荘は前衛に抜き役を派遣せず板本広大、大場悠斗、佐藤光とポイントゲッターを後ろにまとめるという少々意外な策に打って出る。一方の開星は次鋒に河野壮登、副将に松村颯祐と大型二枚で相手の通り道の中途にブロックを二つ築き、ここで差をつけてあとは試合をまとめてしまおうという布陣。

出来得れば複数枚を河野と松村に当てたい本荘、一方最悪でもタイで後ろに繋ぎたい開星という構図の第1試合は開星・山口和馬が「韓国背負い」を連発して攻勢。片手組み手で「指導2」まで失ったが終盤この技で高橋駿を捕まえて「技有」獲得、みごと優勢勝ちを果たす。山口は第2試合をしっかり引き分けて開星は1人差リードのまま次鋒河野壮登が登場、ここまでは完璧なまでに開星のシナリオ。しかし河野は本荘のエース、66kg級個人ベスト8の板本の強気の組み手と体の強さに手を焼き、左背負投の連続攻撃を許してこの試合は大枠優位も結果としては引き分け。

分水嶺になると見込まれた第4試合は開星・金塚啓五が東北ブロック無差別王者の大場悠斗と対峙。力関係は大場優位の試合と見受けられたが、金塚は大場の散発的な攻撃傾向を突いて度々先んじて攻め込み、引き分けを獲得する。

結果開星は1人差リードで副将松村を畳に送り出すことに成功。中途で河野が潰されたとはいえ大駒の松村がクローザー役を担うという大枠理想に近い形であったが、しかし対峙した本荘の大将、東北ブロック90kg級王者の佐藤光は肘抜きの左背負投を連発、掛け潰れを交えながらも「指導1」を得てむしろ攻勢。どころか終盤この技を返そうと食いついて来た松村をめくり回して「有効」を獲得、殊勲の1勝を挙げることに成功する。

大駒・松村が引き分ければそこで勝利が決まるはずだった開星だが、一転して相手方のポイントゲッターの佐藤をまとめ役であった大将野口穂高で迎え撃たねばならない苦しい状況に陥る。佐藤は相四つの野口に対し左の片襟背負投を連発、野口はこれに取り口が合わず長身を生かしたクロス組み手で対応するが、変則組み手の咎で「指導1」を失ってしまう。

直後、体格を生かさんと寄って来た野口に対し佐藤が裏投。野口吹っ飛びポイントかと思われたが、畳に落とされた野口は勢いを生かしてバウンドするなり佐藤の上に被り、主審はこの早い動作に目がくらんだかポイントを与えずスルー。

窮地を脱した野口は以後一転して優位に立つ。急速に体力を失った佐藤に対して野口は相手の背負投にどうやら目が慣れた様子で以後危ない場面は皆無。「こうしてさえおけば良い」とばかりに長身を生かしたクロス組み手に突破口を見出すと以後の展開はむしろ野口優位。最後は場外の「指導」まで得て得点の可能性すら漂わせつつ引き分けを獲得。無事代表戦に襷をつなぐことに成功する。

代表戦は第3試合と同カード、河野壮登と板本広大がマッチアップ。対戦回数と対峙する時間が増せば増すほど体のあるものが優位になるという法則通りにこの試合は一貫して河野が有利。河野は内股に膝車、体落と序盤から板本を崩し続け、板本は良い技を時折打ち返すも大枠の不利は否めず。結果「指導1」の差を以て河野の勝利が決定、開星が3回戦進出の栄を得ることとなった。

開星は河野、松村が大枠止められてしまった苦しい試合であったが、本荘の度重なるミスに助けられたという印象。本荘サイド、リード必須の戦力関係にありながら決戦兵力を後衛に纏めた策は意外なものであったが、それでも考え方は種々ありこれを後衛の戦力に対する信頼の高さと考えることも可能ではある。しかしこの作戦を組むのであれば絶対に失点してはいけない序盤、それも大事な第一試合で棒立ちのまま「韓国背負い」を受け続けてタイミングを計らせた末に失点した高橋、組む時間が長ければ長いほど優位な力関係になりながら展開が切れる都度間合いをとって二度三度ジャンプする癖を機械的に繰り返し、しかも取れる可能性の薄い形で散発的に自ら寝勝負を繰り返して3分しかない試合時間を大量消費した大場、相手の目が慣れていない確変の時間帯に決めきれずに飛び道具を消費するだけ消費して相手を慣れさせた佐藤と、戦術的な精度の低さが作戦遂行を阻んだ。この試合をどう戦うべきかという意思の浸透と、それを実現する手立てに明らかに欠けた。戦略に戦術とこれだけミスを重ねても代表戦まで持ち込んだ地力自体はむしろ高く評価するべきではないかと思われるが、地力があるチームがスポット的に勃興しても結果としては勝ち切れない、いったいに勝負の遅い東北地区全体の傾向を良くも悪くも凝集したような一番だった。

東北ブロックのチームは期待された本荘、田村高(福島)を筆頭に今大会全チームが初戦敗退。これではいざ好チームが沸き起こってもシード権を得ることすら難しい。地方柔道の多様性は高校柔道の推進力そのものであり、ゆえに全ての地域のチームに等しく戦術性の練磨を求めるのは浅はかなことではあるが、少なくとも戦術上のハンデを乗り越え得る圧倒的な地力や切れ味のある技など、競技力のハシゴを上る手立てをシビアな目線で獲得する必要があるとは言えよう。ブロック全体としての奮起を期待したい。

地力の高さを結果に通電させる回路の不足は、開星の両エースも事情は同じ。つまりは両チームともに地力を生かせず本領を発揮できぬまま代表戦までもつれこんだという、もどかしい試合であった。

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崇徳高の福永矩宣が高松商高・田中信太郎から払腰「一本」

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兼藤仁士が香川凌から大内刈「有効」

崇徳高(広島)○四人残し△高松商高(香川)
(先)福永矩宣○払腰(2:27)△植村颯仁(先)
(先)福永矩宣○支釣込足(0:08)△中橋克彦(次)
(先)福永矩宣○払腰(0:14)△田中信太郎(中)
(先)福永矩宣×引分×谷本俊介(副)
(次)兼藤仁士○優勢[有効]△香川凌(大)
(中)神垣和也
(副)森近唯
(大)空辰乃輔

シード校崇徳が好発進。先鋒福永矩宣が3人抜き、それもうち2人は「秒殺」という素晴らしい出来で副将までを賄って畳から降りる大活躍。最終戦は6番手選手である次鋒・兼藤仁士が大内刈「有効」を奪って勝利し、残った結果は4人残しという快勝。

前日の個人戦で無差別3位に入賞した長岡季空の快進撃とこの試合の福永の出来を見る限り崇徳の仕上がりは良し。中国ブロック王者崇徳、これ以上ないと言える滑り出しで3回戦進出決定。

京都学園高(京都)と長崎日大高(長崎)の試合は双方3勝ずつを挙げる大乱戦の末代表戦へ。井口大毅が山口貴也を「技有」優勢で下して京都学園が勝利を収めている。

[Aブロック二回戦結果]

国士舘高(東京)○三人残し△神港学園神港高(兵庫)
開星高(島根)○代表戦△本荘高(秋田)
崇徳高(広島)○四人残し△高松商高(香川)
京都学園高(京都)○代表戦△長崎日大高(長崎)

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先鋒対決、埼玉栄高の焼谷風太が四日市中央工・柳川昂平から内股「技有」

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四日市中央工・堤大志が埼玉栄・今入晃也から小外掛「一本」

【Bブロック】

埼玉栄高(埼玉)○二人残し△四日市中央工高(三重)
(先)焼谷風太○優勢[技有]△柳川昂平(先)
(先)焼谷風太○内股(2:32)△原田和洋(次)
(先)焼谷風太△裏投(1:30)○山口陸人(中)
(次)長濱快飛○優勢[僅差]△山口陸人(中)
(次)長濱快飛○優勢[僅差]△弓矢晃奨(副)
(次)長濱快飛△大内刈(0:17)○堤大志(大)
(中)今入晃也△小外掛(1:22)○堤大志(大)
(副)蓜島剛○大外刈(1:00)△堤大志(大)
(大)岩田歩夢

攻撃力が売りのシード校埼玉栄に四日市中央工が堂々撃ち合いを演じ、注目対決は稀に見る大熱戦。

埼玉栄は大駒蓜島剛を副将に置いて5番手戦力の大将・岩田歩夢を余らせることを企図した前掛かりの布陣。一方の四日市中央工は先鋒に柳川昂平、中堅に山口陸人、大将に堤大志とポイントゲッターを飛び石で配置し、勝負カードの堤までに相手の戦力を出来得る限り減殺することを企図。

攻撃カード同士がマッチアップした先鋒戦は焼谷風太が柳川を内股「技有」で下し、焼谷は次戦も勝利して二人抜き達成。あるいは埼玉栄のワンサイドゲームではとすら思われる一方的展開であったが、四日市中央は中盤の要として配置した山口陸人が滞空時間の短い強烈な裏投「一本」で焼谷を畳から弾き出し激しく抵抗。しかし山口は続いて畳に上がったインターハイ90kg級2位の次鋒長濱快飛には「指導」累積差で惜敗、畳に残った長濱はそのまま続く副将弓矢晃奨も抜いて早くも四日市中央工の本丸である大将・堤を引っ張り出すことに成功する。

次鋒対大将。再びワンサイドゲームの気配漂う展開であったが、この試合のみどころはここから。堤は長濱を僅か17秒の大内刈「一本」に仕留めると、続いて畳に上がったインターハイ100kg級3位のポイントゲッター今入晃也も1分22秒小外掛「一本」で抜き去る大活躍。埼玉栄はリードを1人差まで縮められたところでエース蓜島剛が畳に上がることとなり、試合の行方はまったくわからなくなった。

しかしこのエース対決は前日の無差別個人の覇者・蓜島が豪快な大外刈「一本」で快勝。結果二人残しで埼玉栄が3回戦進出を決めることとなった。

引き分けゼロの5勝3敗。埼玉栄は「取られるが取る」乱戦を蓜島で収拾するといういかにもこのチームらしい滑り出しであった。常のタイプの強豪校であれば今後に不安を残す立ち上がりと評するべきであろうが、このチームとしてはある意味順行運転の範囲内に収まる第一戦であったのではないだろうか。招待試合シリーズから3か月、例えば突如チームとしての手堅さを獲得するというような一大変化が起こったわけではないが、ムラ気の攻撃カード4枚も揃ってモチベーションは高い様子、相変わらず守りに回ると脆いものの少なくとも最大の武器である攻撃力の発揮は見込める模様。今代の埼玉栄がタイプ、実力とも前代の戦いぶりの延長線上にあることが確認された一番。

そしてこの試合の最大のトピックとして特筆されるべきは四日市中央工・堤の充実ぶりだろう。1回戦の一本勝ちに続き、この試合では長濱、今入の大物2枚をいずれも「一本」で抜き去る大活躍。個人無差別では1階級上の後藤龍真(鎮西高)にGS延長戦「指導2」で敗れて初戦で姿を消したが、インターハイでは自身のキャリアの最高成績である全日本カデ2位を超える活躍も期待出来るのではないだろうか。夏に再び姿を見ることが楽しみな選手である。

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桐蔭学園高の副将関根聖隆が東海大仰星高・坂元豪一から左大外刈「一本」

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海江田充輝と石郷岡秀征による大将対決

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大牟田高の次鋒田中優大が小杉高の次鋒の野原悠司から袖釣込腰「一本」

東海大仰星高(大阪)○一人残し△桐蔭学園高(神奈川)
(先)吉村太一○優勢[有効]△湯本祥真(先)
(先)吉村太一△内股(1:45)○佐藤城(次)
(次)岡虎○優勢[僅差]△佐藤城(次)
(次)岡虎×引分×酒井清将(中)
(中)坂元豪一△大外刈(0:29)○関根聖隆(副)
(副)深山将剛×引分×関根聖隆(副)
(大)海江田充輝○優勢[有効]△石郷岡秀征(大)

若潮杯3位の東海大仰星に、神奈川県予選で今季のシード格と目された東海大相模を打倒した好チーム・桐蔭学園がマッチアップするというこれも注目の一番。

1年生同士の先鋒対決は東海大仰星・吉村太一が湯本祥真に「有効」優勢で勝利。これが盤面に良く効き以後1勝1敗1引き分けも一貫して盤面は東海大仰星に優位。迎えた第5試合で桐蔭学園の副将関根聖隆が東海大仰星の中堅坂元豪一に豪快な左大外刈「一本」で勝利し、ここでスコアはタイに戻る。

自軍の大将が66kg級の軽量選手である石郷岡秀征であることを考えれば関根にはもう一段の活躍が期待されるところであったが、ここで東海大仰星が送り込むのは本格派の好選手、深山将剛。エース格同士がぶつかる形になったこの試合は引き分けに終わり、勝敗の行方は大将同士の対決にゆだねられることとなる。

最終戦は東海大仰星・海江田充輝が身長186センチ体重125キロ、一方の石郷岡は169センチ66キロという「格差対決」。全日本カデ王者の石郷岡は神奈川県予選で重量級の辻湧斗を完封した実績もありかなりの可能性を感じさせたが、この試合は体も柔道も大きい海江田の大枠優位をなかなか崩せず苦しい展開。中盤、組み際に海江田が押し込んで来たところをしゃがんで回避しようとしたが、海江田は機を逃さずそのまま浴びせてこれが「有効」。石郷岡はこのビハインドを取り返せず、結果「有効」優勢で海江田の勝利、そして東海大仰星の3回戦進出が決まった。前日の個人戦で優勝候補に挙がりながら3回戦敗退の失意を味わった石郷岡にベスト時の元気があればとの「たられば」を考えたくなってまう試合ではあったが、盤面と試合の局面それぞれを観察する限りでは東海大仰星の総合力が桐蔭学園を一段上回ったと総括すべき試合であった。

ほか、シード校大牟田高(福岡)は次鋒田中優大の1人抜き(1分け)、中堅久保大喜の2人抜きを以て小杉高(富山)を3人残しの大差で打倒。九州ブロック王者の鎮西は大将の後藤龍真をはじめとする3人が畳に上がらぬまま、僅差の優勢勝ち3つをテコに岡豊高(高知)をこれも3人残しの大差で退けている。

[Bブロック二回戦結果]

埼玉栄高(埼玉)○二人残し△四日市中央工高(三重)
鎮西高(熊本)○三人残し△岡豊高(小内)
大牟田高(福岡)○三人残し△小杉高(富山)
東海大仰星高(大阪)○一人残し△桐蔭学園高(神奈川)

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日体荏原高の先鋒百々雄弥が静岡学園高・伊藤暖から内股「一本」

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百々は4試合目となる渡邉良祐戦も左大内刈で「技有」獲得

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静岡学園高・川井康平が百々の裏投を潰し「有効」、そのまま袈裟固に抑え込む

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ハンガルオドバートルが川井から支釣込足「一本」を奪って試合を締める

【Cブロック】

日体荏原高(東京)○四人残し△静岡学園高(静岡)
(先)百々雄弥○合技(1:29)△岡本龍司(先)
(先)百々雄弥○優勢[技有]△池田光洋(次)
(先)百々雄弥○内股(0:35)△伊藤暖(中)
(先)百々雄弥○優勢[技有]△渡邉良祐(副)
(先)百々雄弥△袈裟固(2:18)○川井康平(大)
(次)ハンガルオドバートル○支釣込足(0:48)△川井康平(大)
(中)長井晃志
(副)大吉賢
(大)藤原崇太郎

四つ角シード校日体荏原は今冬の招待試合シリーズと都予選に不出場、「ようやく間に合った」(小久保純史監督)百々雄弥を先鋒に突っ込んで第一戦の陣容を組織。なかなか試合に出られなかった百々のモチベーションは当然ながら非常に高く、まず先鋒戦を合技「一本」で勝ち抜くと、続いて次鋒池田光洋を内股「技有」で退け、第3試合は中堅伊藤暖を引きずり出すような内股「一本」、第4試合は副将渡邉良祐から抱きつきの大内刈「有効」、さらに両袖の大外刈に打点の高い背負投とエンジンを切らさず技を打ち続け、大内刈「技有」を追加してフィニッシュ。フルタイム戦2試合を交えながらついに4人抜きを果たし、静岡学園のエース川井康平を引きずり出すことに成功する。

5人抜きの屈辱を味わうわけにはいかぬとばかりに川井は体格を生かして意地の前進。さすがに疲れの見え始めた百々を追い詰めると、起死回生を狙って百々が放った裏投に落ち着いて被り返し「有効」を獲得。そのまま袈裟固に抑え込んで一本勝ちを果たし静岡学園はようやく一矢を報いる。

日体荏原が続いて畳に送り出すのは未完の大物ハンガルオドバートル。ハンガルは右相四つでガップリ組み合い互いに力が伝わる形を作り出すと、思い切った支釣込足に打って出る。ほとんど左への腰技というべき、首を抱えてねじり回すハンガル得意の一撃は見事決まって「一本」。結果、日体荏原が4人残しの大差を以て3回戦進出を決めることとなった。

小久保監督が戦前に上積み要素として挙げた新戦力百々と不確定要素ハンガルが過たず大活躍、日体荏原はまさしく文句なしの立ち上がり。第一戦の先鋒に百々を起用し、久々試合出場叶ったこの選手の「個」のモチベーションの高さを利用してチーム全体に勢いをつけた采配も見事であった。百々は最後に1敗を喫したが、ムラ気が弱点のハンガルが全国有数の大駒である超級選手の川井に一本勝ちを果たしたという結果から後づけて考えれば、単に引き分けて試合を終わらせるよりはチームにとってはむしろ吉のシナリオであったとすらいえる。難敵神港学園神港に煮え切らぬ試合を演じて無理やりスコアで蓋をした国士舘、四日市中央工に殴り返されて計3敗を喫した埼玉栄のライバル2校を引き合いに出すまでもなく、素晴らしい内容の初戦であった。

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天理高・矢野真我がつくば秀英高・村岡功貴を攻める

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笠原大雅が阿部友哉から大内刈「一本」

天理高(奈良)○三人残し△つくば秀英高(茨城)
(先)矢野真我○合技(2:23)△野上廉太郎(先)
(先)矢野真我×引分×村岡功貴(次)
(次)仲尾航介×引分×黒田拳伍(中)
(中)笠原大雅○優勢[技有]△岡田英志(副)
(中)笠原大雅○大内刈(2:01)△阿部友哉(大)
(副)冨安一真
(大)田中慎太郎

つくば秀英の抵抗のほどが注目された一番であったが、この試合はシード校天理が完勝。先鋒戦における矢野真我の一本勝ちをきっかけに中堅笠原大雅までの3人で試合を終わらせる圧勝であった。つくば秀英は先鋒から大将までの全員が畳に踏みとどまれずに1試合ずつで退場することとなり、持ち前の巧さを発揮することかなわず。天理の強さばかりが目立つ試合となった。

北海高(北海道)は延岡学園高(宮崎)に二人残しで勝利。2人抜き(1敗)を果たした先鋒葛西純坪、1人を抜いた(1引き分け)次鋒幾島雄一朗をはじめ全員が骨の太い柔道を披露し、最後はエースの副将高橋佑人が敵方の大将・羽田野竜輝を「有効」優勢で抜いて勝利決定。

津幡高(石川)は4勝3敗1引き分けの熱戦の末、自軍の大将を畳に上げぬまま1人残しで鳥栖工高(佐賀)を下している。

[Cブロック二回戦結果]

日体荏原高(東京)○四人残し△静岡学園高(静岡)
津幡高(石川)○一人残し△鳥栖工高(佐賀)
天理高(奈良)○三人残し△つくば秀英高(茨城)
北海高(北海道)○二人残し△延岡学園高(宮崎)

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大成高の次鋒田中大地が近大附高の副将当广将伍から出足払「技有」、そのまま横四方固に抑え込む

【Dブロック】

大成高(愛知)○三人残し△近畿大附高(大阪)
(先)岩倉優輝○大内刈(0:36)△西田昂平(先)
(先)岩倉優輝○内股(0:42)△畠中良大(次)
(先)岩倉優輝×引分×亀谷嗣温(中)
(次)田中大地○合技(1:26)△当广将伍(副)
(次)田中大地×引分×小田忠馬
(中)清水祐希
(副)東部直希
(大)森部篤知

シード校大成が順調な滑り出し。エースの個人戦73kg級王者渡辺神威をベンチに温存、森部篤知を大将に取り置いたまま岩倉優輝と田中大地の前衛2枚で3勝2分け、3人を残して手堅く3回戦進出を決めた。

木更津総合高(千葉)○二人残し△国東高(大分)
(先)長澤大雅○袈裟固(1:39)△近藤魁斗(先)
(先)長澤大雅×引分×佐藤誠(次)
(次)黒部健太○優勢[技有]△和泉川武蔵(中)
(次)黒部健太×引分×高橋泰之郎(副)
(中)兼原潤×引分×中島大貴(大)
(副)大淵泰志郎
(大)山下魁輝

個人戦におけるエース山下の快進撃を背にした木更津総合の勢いは止まらず。決戦兵力の兼原潤、大淵泰志郎、そして大駒山下魁輝を後衛に据える余裕のある布陣を敷き、かつ先鋒長澤大雅と次鋒の黒部健太で2勝2分け、相手方に4人を消費させて極めて順調に盤面を進行。最後は中堅兼原が出動して引き分け、スコア2人残しを以て順当に3回戦進出決定。

v足立学園高(東京)○三人残し△比叡山高(滋賀)
(先)上江一平×引分×西岡大起(先)
(次)雨森俊成○合技(1:41)△今村亮太(次)
(次)雨森俊成○横四方固(1:46)△毛利友弥(中)
(次)雨森俊成×引分×田中大我(副)
(中)山本瑛介○小外掛(1:36)△北川仁基(大)
(副)佐々木卓摩
(大)白石隼人

シード校足立学園も順調に初戦突破。次鋒雨森俊成が1人で3人を削って手堅く場を整えると、最終戦は中堅山本瑛介が小外掛「一本」で締めて勝利決定。大過なく3回戦へと駒を進めている。

作陽高(岡山)○二人残し△福井工大福井高(福井)
(先)揚原崧聖×引分×利根琢也(先)
(次)安田夢飛○小外刈(0:17)△森恒輝(次)
(次)安田夢飛○小外掛(1:06)△毛利友弥(中)
(次)安田夢飛○優勢[有効]△大西希明(副)
(次)安田夢飛△隅落(1:12)○ガンバタル ブンツァガツェーレン(大)
(中)村田大征×引分×ガンバタル ブンツァガツェーレン(大)
(副)久野壱虎
(大)星野太駆

作陽は先鋒戦で揚原崧聖が全日本カデ73kg級2位の利根琢也を引き分けで止めると、続いて畳に上がった次鋒安田夢飛が爆発。一気に3人を抜いてほぼ試合を決定づける。

安田は福井工大福井の大将に座るガンバタルブンツァガツェーレンに隅落「一本」で敗れたが、1回戦で活躍した中堅村田大征が次戦でしっかりこの選手と引き分けてフィニッシュ。結果作陽が2人残しの大差で勝利を決め、シード校足立学園が待ち受ける3回戦への勝ち上がりを決めた。

[Dブロック二回戦結果]

大成高(愛知)○三人残し△近畿大附高(大阪)
木更津総合高(千葉)○二人残し△国東高(大分)
足立学園高(東京)○三人残し△比叡山高(滋賀)
作陽高(岡山)○二人残し△福井工大福井高(福井)


文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

※ eJudoメルマガ版3月25日掲載記事より転載・編集しています。

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