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児玉ひかる擁す敬愛が優勝候補筆頭、試合力高い埼玉栄と選手層厚い大成が後を追う・全国高等学校柔道選手権大会女子団体戦展望

(2016年3月17日)

※ eJudoメルマガ版3月17日掲載記事より転載・編集しています。
児玉ひかる擁す敬愛が優勝候補筆頭、試合力高い埼玉栄と選手層厚い大成が後を追う
全国高等学校柔道選手権大会女子団体戦展望
■ 有力校
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敬愛は夏の金鷲旗以来の全国制覇を狙う

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今代最大の大駒と目される敬愛高・児玉ひかるの存在は優勝争いにおける戦術上最大の焦点

今年の女子は突出したチームがなく、全体的に小粒。3ポジション全てに絶対的な強者を置くチームはなく、「世代」を代表するような超高校級の大型選手同士が大将ポジションで雌雄を決するという構図も見られない。取材の過程で「ドングリの背比べ」という言葉が色々な関係者から聞かれたが、まずひとつ、この「差のない混戦」という構図に異論を挟むものはないだろう。

その中で優勝候補一番手に挙げられるのは敬愛高(福岡)。レギュレーション上のレギュラーは寺田宇多菜、小柳穂乃果、児玉ひかる。この3枚の経験値と「計算の立つ」安定感はもちろん、最大のアドバンテージは大駒児玉の保有に尽きる。1年時の夏から既に階級屈指の強者として活躍して来た児玉を止め得る選手を今大会に見つけることは困難。3人制は常に代表戦を頭に入れながら戦わねばならない過酷なレギュレーションであるが、その中にあってポイントゲッターが重量級枠におり、かつその階級の「一番強いカード」である強みは男子とは比べものにならない。全ての戦いが順行運転で進めば、多少のアクシデントがあろうとも頂点を極めるのは敬愛だろう。

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若潮杯を制した埼玉栄

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大成は前代でも活躍した粂田晴乃がチームを引っ張る

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桐蔭学園高は軽量ながら試合力の高い選手をそろえた好チーム

対抗し得るのはまず3連覇を狙う埼玉栄高(埼玉)。一昨年、昨年とも決して大本命ではなかったが、試合力の高さと本松好正監督の舵取りの上手さをテコに一気に戴冠、もはや伝統とでもいうべき「本番の強さ」が埼玉栄最大の売りだ。12月の黒潮旗では決勝で小杉高(富山)に敗れたが、10日弱しか経っていない若潮杯武道大会では重量選手2人が全くの別人のような試合を披露、見事大本命の敬愛を凌いで優勝を飾っている。
とはいえ、重量級の大駒を軸に計算を立てることが出来た前代までとは戦力構成が大きく異なり、今年のポイントゲッターは世界カデ選手権52kg級王者の富沢佳奈。重量級枠には石塚早稀と都結乃という計算の立つ2枚がいるが、63kg枠は「本職」がおらず空白域。52kg級と57kg級の選手が豊富な台所事情を生かすしかないわけだが、勝利にはオーダー順、コンディション、戦術性、そして本松監督がもっとも重視する「当日の波を捕まえる」と全ての条件をそろえることが必要だ。

続く勢力は「四つ角」シードにピックアップを受けた残り2チーム、大成高(愛知)と桐蔭学園高(神奈川)と考えて良いだろう。

大成の県予選での布陣は前から順に武田亮子、山室未咲、粂田晴乃。技の切れ味抜群で天才肌の武田、状況判断が利く業師山室、前代の「黄金世代」期から度々出場して図太い柔道を披露していた粂田と3枚の平均値の高さは今大会ナンバーワン。重量級のバックアッパーには個人無差別で粂田を凌いで出場する和田梨乃子と夏の金鷲旗で22人抜きを果たした松井絵名がおり、選手層も厚い。

桐蔭学園は前から48kg級の仲田奈央と57kg級の若藤唯、無差別枠で63kg級の朝飛七海と布陣は豪華ながら3名がいずれも「階級落ち」の小型チーム。技の切れ味と試合力の高さで上位進出を狙う。

以降は、シード校にピックアップされた比叡山高(滋賀)、小杉(富山)、創志学園高(岡山)、熊本西高(熊本)の4校に加え、富士学苑高(山梨)、夙川学院高(兵庫)が上位進出の有力候補。

■ 組み合わせ
【Aブロック】
Aシード校:埼玉栄高(埼玉)
Bシード校:小杉高(富山)

埼玉栄のベスト8入りは動かしがたいように思われる。ムラ気の石塚(あるいは都)の出だし、おそらく前日の個人戦で相当の試合数をこなしているはずの富沢の疲労度とチェックポイントは多々あるが、「そもそもどういうオーダーで来るのか」から疑ってかからねばならないのがこのチームの怖いところ。どんな布陣を組んで来ても驚くにはあたらない。富沢は大きい選手への耐性が十分あり、まさかの「後ろずらし」の可能性すら否定できないのではないだろうか。

下側の山ではシード校小杉の直下に、土浦日大高(茨城)と東大阪大敬愛高(大阪)の名門対決があり、勝者が2回戦で小杉と戦うことになる。

小杉のシードピックアップの所以は井澤泉紀と松田美悠の活躍によって成し遂げた黒潮旗優勝。しかし今大会はレギュレーション上使えるのはいずれか1枚のみ。気風の良い柔道をする1年生中堅・番匠美沙希の活躍に期待。

埼玉栄と小杉の準々決勝での対戦なれば、黒潮旗決勝に続く因縁対決。この時は先鋒戦を埼玉栄の富沢が取り(対高橋純奈)、以降の2戦は小杉・井澤が石塚に、同じく松田が都に一本勝ちして小杉が勝利している。井澤が座るであろう大将枠は今大会も小杉が有利。埼玉栄はこのあたりから「前衛2枚で試合を決める」という今大会のミッションがシビアに要求されるはず。

【Bブロック】
Aシード校:大成高(愛知)
Bシード校:比叡山高(滋賀)
有力校:富士学苑高(山梨)、平田高(島根)

富士学苑と、63kg級世界カデ代表佐々木ちえを擁する平田が1回戦で激突。1回戦全体を通じた最注目カードではないだろうか。勝ち上がりは富士学苑を推す。

山場は下側の3回戦、比叡山対富士学苑。比叡山は63kg級のインターハイ準優勝者伊藤友希と52kg級ベスト8の瀧川萌を擁し、富士学苑は中堅ポジションに全日本ジュニア57kg級王者舟久保遥香を置く。レギュレーションに噛み合い、かつ小型の富士学苑に対してきっちり大将枠に重量選手を配した比叡山が有利と見る。

大成-比叡山は、全域に渡って強豪選手を置き、局地戦でも総戦力比べでも優位に立つ大成の勝ち上がりを推す。ベスト4進出は大成。

【Cブロック】
Aシード校:敬愛高(福岡)
Bシード校:創志学園高(岡山)
有力校:淑徳高(東京)

上側の山の3回戦で敬愛と淑徳が早くも激突。淑徳は先鋒菅谷友紀の活躍がカギ、というよりも相手方の大将児玉の存在がある以上、前衛でリードしないと計算が立たない背水の陣だ。敬愛は大駒児玉の相手がしぶとい西願寺里保ということで、縺れた試合での得点力とスタミナが問われる一番。互いに順行運転なら勝ち上がりは敬愛と考えるべきだがやり方次第では縺れる可能性が十分あるカードであり、敬愛の「児玉に繋ぐシナリオ」の浸透度が測られるのではないだろうか。

下側の山は中堅三浦裕香里の存在をテコに、創志学園の勝ち上がりが濃厚。いずれも1年生が置かれた先鋒、大将ポジションの頑張りが上位進出のカギを握る。

ベスト4入りは、敬愛と見ておきたい。

【Dブロック】
Aシード校:桐蔭学園高(神奈川)
Bシード校:熊本西高(熊本)
有力校:夙川学院高(兵庫)

桐蔭学園にとっては2回戦で藤枝順心高(静岡)、準々決勝では熊本西と夙川学院の勝者いずれかと戦わねばならないタフなブロック。熊本西は中堅にインターハイ63㎏級ベスト8の塔本葵葉、大将に70kg級準優勝の坂田愛里を置く今代注目の強豪チーム。夙川学院はパワーをテコにした刹那的な「脇差し柔道」が特徴になりつつあるチームで、昨年の出来を見る限り今年も嫌な存在になること確実。

勝ち上がりの行方は混沌。桐蔭学園、熊本西いずれにもベスト4の目があると考えておくべきだろう。

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金鷲旗大会決勝、この時は児玉ひかるが粂田晴乃を払巻込「技有」から袈裟固に抑え込んで一本勝ちを果たしている。

【準決勝-決勝】

埼玉栄 - 大成
敬愛 - 桐蔭学園(熊本西)

という顔合わせを予測する。

埼玉栄と大成は、普通に並べていく限り少なくとも大成の失点をイメージすることは難しい。先鋒戦で富沢と武田がマッチアップしたとして、後衛の優位を計算に入れて戦う武田から富沢が盤面全体を決めてしまうような決定的なポイントを奪うのでは難しいのではないかと考える。順行運転なら大成、埼玉栄が勝利するには何らかの仕掛けが必要と思われる。

もう片側の決勝進出校は敬愛と考える。児玉を止め得る駒としては粘戦を苦にしない桐蔭学園・朝飛の存在があるが、事前予測として客観的に「児玉のストップ」を推すのは難しい。敬愛優位、そのシナリオ崩れるとすれば桐蔭学園が上がってきて前衛2枚が奮戦して朝飛の戦い方をハッキリ規定してあげること、というところまでを予想しておきたい。

決勝も様相は変わらず「大将児玉」を巡る前衛の流れの取り合いが試合の焦点。児玉のここまでの消耗度、個人戦終了時点まで正確にマップしきれない寺田宇多菜と小柳穂乃果の戦闘力が勝負を分ける。

※ eJudoメルマガ版3月17日掲載記事より転載・編集しています。

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