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グランプリ・デュッセルドルフ最終日5階級(90㎏級、100kg級、100kg超級、78kg級、78kg超級)レポート

(2016年3月16日)

※ eJudoメルマガ版3月16日掲載記事より転載・編集しています。
最終日5階級(90㎏級、100kg級、100kg超級、78kg級、78kg超級)レポート
グランプリ・デュッセルドルフ
■ 90kg級・ナイマン大爆発、世界王者2人倒して5年ぶりのツアー戴冠
(エントリー41名)

【入賞者】
1.NYMAN, Marcus(SWE)
2.TOTH, Krisztian(HUN)
3.KIM, Jae Yun(KOR)
3.LKHAGVASUREN, Otgonbaatar(MGL)
5.GANTULGA, Altanbagana(MGL)
5.GWAK, Dong Han(KOR)
7.CHENG, Xunzhao(CHN)
7.ILIADIS, Ilias(GRE)

25歳のマーカス・ナイマン(スウェーデン)が大爆発。1回戦でイサオ・カルデナス(メキシコ)を横四方固「一本」(2:17)、2回戦でコムロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)を同じく横四方固「一本」(3:13)、3回戦ではラミン・グルバノフ(アゼルバイジャン)も横四方固「一本」(4:41)に仕留めてベスト8入り。

凄いのはここから。準々決勝でイリアス・イリアディス(ギリシャ)に巴投「技有」で勝利する殊勲を上げると、準決勝では現役世界王者ガク・ドンハン(韓国)も巴投「有効」で退ける。決勝のクリスチャン・トート(ハンガリー)戦はひたすら巴投と隅返で相手を崩し続けて翻弄、「指導3」の優勢で勝利して見事表彰台の真ん中まで辿り着いた。

ナイマンは2010年の欧州選手権を19歳で制して大いに注目を浴びた選手。翌年2月のグランプリ・デュッセルドルフにも優勝して前途は洋々と思われたが以後は世界選手権の上位入賞どころかワールドツアーのタイトルすらまったく取れず低迷。2015年からは緩やかな上昇傾向を見せてツアーの入賞も出始めていたが、大会皆勤のアウトサイダーという感がぬぐえなかった。

よって今回はまさしく意外な大爆発。今大会の90kg級はガク、イリアディス、トートの3強が突出して主役のハッキリしたトーナメントであったが、その3人を全員倒しての勝利は見事の一言。巴投と寝技中心の柔道で今後継続して勝ち続けることは難しいかもしれないが、一大会限定ならば「大穴」になり得る資質を示した大会であった。

イリアディスは敗者復活戦でガントルガ・アルタンバガナ(モンゴル)に「指導3」で敗れて最終順位は5位。ガク・ドンハンは同じ韓国のキム・ジェヤンに表彰台を譲る形で3位決定戦の畳に姿を現さず同じく5位に終わった。

久々ツアーに顔を見せたディルショド・チョリエフ(ウズベキスタン)は初戦を一本勝ちしたが、3回戦でガクに4つの「指導」を奪われて敗退。チアーゴ・カミロ(ブラジル)も3回戦でガントルガ・アルタンバガナに小外掛「技有」で敗れた。

【準々決勝】

ガク・ドンハン(韓国)○優勢[指導2]△ガントルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
マーカス・ナイマン(スウェーデン)○優勢[技有・巴投]△イリアス・イリアディス(ギリシャ)
クリスティアン・トート(ハンガリー)○裏投(2:28)△チェン・シュンジャオ(中国)
ラグバスレン・オトコンバータル(モンゴル)○優勢[技有・小外刈]△キム・ジェヤン(韓国)

【準決勝】

マーカス・ナイマン(スウェーデン)○優勢[有効・巴投]△ガク・ドンハン(韓国)
クリスティアン・トート(ハンガリー)○優勢[技有・釣腰]△ラグバスレン・オトコンバータル(モンゴル)

【3位決定戦】

ラグバスレン・オトコンバータル(モンゴル)○崩上四方固(2:51)△ガントルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
キム・ジェヤン(韓国)○不戦△ガク・ドンハン(韓国)

【決勝】

マーカス・ナイマン(スウェーデン)○優勢[指導3]△クリスティアン・トート(ハンガリー)

■ 100kg級・ピータース意地の全試合「一本」V、五輪代表獲得に向け地元で猛アピール
(エントリー41名)

【入賞者】
1.PETERS, Dimitri(GER)
2.ARMENTEROS, Jose(CUB)
3.BISULTANOV, Adlan(RUS)
3.MAHJOUB, Javad(IRI)
5.FONSECA, Jorge(POR)
5.PACEK, Martin(SWE)
7.GASIMOV, Elmar(AZE)
7.GROL, Henk(NED)

アスタナ世界選手権銀メダリストのカールリヒャード・フレイと五輪代表の座を激しく争うディミトリ・ピータース(ドイツ)が素晴らしい内容で優勝。

まだ今大会優勝者を出していない地元ドイツの期待を一身に背負うピータースは第2シード配置。まず2回戦でフレデリック・ヨーゲンセン(デンマーク)を払腰「有効」から縦四方固に抑え込んであっという間の一本勝ち(0:50)、3回戦はラシャ・タベルリ(ジョージア)から崩袈裟固「一本」(3:21)、そして準々決勝で強敵ヘンク・グロル(オランダ)を片羽絞「一本」(2:23)に仕留めると、準決勝では曲者アドラン・ビスルタノフ(ロシア)をもあっという間の片手絞「一本」(1:10)に仕留めて決勝進出。

決勝の相手はチェリャビンスク世界選手権銀メダリストのホセ・アルメンテロス(キューバ)。袖を絞りながら下がって間合いを図るアルメンテロスの前に試合は膠着し双方に「指導1」。ここまではアルメンテロスに勝ち味を見出すことが難しいピータース寄りの展開だったが、直後の組み際にアルメンテロスが左背負投。片襟を差しながらもろとも転がった一撃決まってこれは「有効」。

ビハインドを負ったピータースは背負投崩れの右大外刈で抗するが、アルメンテロスはさらに左袖釣込腰に体を捨てる思い切った一撃。もろとも転がりピータースは尻餅、2つ目の「有効」が入る。しかし空回りする形で体勢を崩したアルメンテロスの腕を捉えてピータースが下から腕挫十字固。アルメンテロス持ち上げ掛けたが、痛みに耐えかねたか意外なほどあっさり「参った」を表明。「待て」が掛かってもおかしくないタイミングだが、主審は選手を開始線に戻した上でこのタップを認め「一本」を宣告、この瞬間ピータースの優勝が決まった。

ピータースは前述の通り、若き銀メダリスト・フレイとの激しい五輪代表争いの渦中にある。2人が同時出場したグランドスラム・パリの成績はフレイが3位で、業師ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)に食われたピータースは初戦敗退で入賞なし。もはや後のない状況であったが、優勝必須の大会でみごと戴冠、それも全試合一本勝ちという素晴らしい内容で再アピールを果たした形。

久々本領発揮となったアルメンテロスも素晴らしかったが、今大会で非常に目立っていたのが前述のホルヘ・フォンセカ。ピータースを裏投一発に仕留めたパリ大会に引き続き、今大会初戦では右小内刈から左出足払の素晴らしいコンビネーションで大会ベスト一本級の素晴らしい一発を披露。3回戦ではベカ・グヴィナシビリ(ジョージア)を右一本背負投「一本」(2:14)で下し、準々決勝で第1シードのエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)をGS延長戦「指導1」(GS0:31)で破るなどまさしく前半戦の主役であった。業師ゆえの脆さかここから連敗して最終順位は5位だったが、以後絶対に見逃せない選手。マークを怠ってはならない五輪最大の不確定要素だ。

【準々決勝】

ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)○GS指導1(GS0:31)△エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
ホセ・アルメンテロス(キューバ)○優勢[有効・袖釣込腰]△マーティン・パチェック(スウェーデン)
ディミトリ・ピータース(ドイツ)○片羽絞(2:23)△ヘンク・グロル(オランダ)
アドラン・ビスルタノフ(ロシア)○小外刈(2:25)△アヴァド・マージョウブ(イラン)

【準決勝】

ホセ・アルメンテロス(キューバ)○優勢[有効・抱分]△ホセ・アルメンテロス(キューバ)
ディミトリ・ピータース(ドイツ)○片手絞(1:10)△アドラン・ビスルタノフ(ロシア)

【3位決定戦】

アドラン・ビスルタノフ(ロシア)○優勢[指導3]△マーティン・パチェック(スウェーデン)
アヴァド・マージョウブ(イラン)○釣腰(0:51)△ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)

【決勝】

ディミトリ・ピータース(ドイツ)○腕挫十字固(2:59)△ホセ・アルメンテロス(キューバ)

■ 100kg超級・サッソン再爆発ならず、荒れた大会はカモーが制す
(エントリー37名)


【入賞者】
1.KHAMMO, Iakiv(UKR)
2.EL SHEHABY, Islam(EGY)
3.BOR, Barna(HUN)
3.KIM, Sung-Min(KOR)
5.GARCIA MENDOZA, Alex(CUB)
5.VOLKOV, Andrey(RUS)
7.PASKEVICIUS, Marius(LTU)
7.WAHID, Ahmed(EGY)

戦前もっとも注目された選手はグランドスラム・パリで七戸龍を投げて決勝まで進んだオール・サッソン(イスラエル)。今大会も初戦で第3シードのロイ・メイヤー(オランダ)を「指導1」優勢で倒してトーナメントを荒らしたが、3回戦ではほぼ無名といって良いアーメド・ワヒド(エジプト)に「指導1」で屈し予選ラウンド敗退。もちろん入賞にも絡めず評価は次回に持ち越し。

決勝に進んだのは復活を期すイスラム・エルシャハビ(エジプト)と、2015年に躍進した新鋭イアキフ・カモー(ウクライナ)。

エルシャハビは荒れたトーナメントに助かられた面があり、対戦が予想された強豪との対戦がまったくなし。2回戦はムカマドムロッド・アブドゥラクモノフ(タジキスタン)に「指導4」(4:28)、3回戦はダニエル・アレストルフェル(オーストリア)から左一本背負投「技有」優勢で勝利し、準々決勝はGS延長戦の末にマリウス・パスケビシャス(リトアニア)の右内股を横車に切り返し「技有」奪取で切り抜ける。準決勝はアレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)の左払腰を返した谷落「技有」で勝利し決勝進出決定。

一方のカモーの2回戦は、地元代表のロベルト・ジマーマン(ドイツ)の当日欠場による不戦勝。3回戦はアブドロ・タングリエフ(ウズベキスタン)との消耗戦の末にGS「指導3」(GS1:25)でなんとか勝ち抜き、準々決勝はサッソンを下したアーメド・ワヒドと対戦、「指導」差ビハインドで迎えた終盤に浮技「有効」、さらに横四方固「一本」と連取して逆転勝ち。準決勝はこの日最大の強敵キム・スンミン(韓国)に隅返と横四方固の合技で勝利(2:13)して決勝へ。

決勝はエルシャハビが右、カモーが左組みのケンカ四つ。カモーはエルシャハビの厳しい組み手管理に根負けせずにじっくり前進してチャンスをうかがい、3分3秒に引き手を先に得ると釣り手を争うアクションに混ぜ込みながら片襟を差した左大外刈。これが見事決まって「一本」、カモーの優勝が決まった。

アスタナ世界選手権で銅メダルに輝いたカモーはこれが昨年5月のグランプリ・ザグレブに続く2度目のツアー制覇。同期の世界ジュニア王者ですっかり影が薄くなったウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)を後目に、完全にこの世代の旗手として定着した感あり。

第1シードのファイセル・ヤバラー(チュニジア)は初戦でアンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)に「指導3」で敗れ、第4シードのアダム・オクルアシビリ(ジョージア)も初戦でダニエル・アレストルフェル(オーストリア)に一本背負投「一本」(3:39)で敗退。復活を目指しBシード配置でスタートしたラファエラ・シウバ(ブラジル)も3回戦で同じパンナム地域のアレックス・ガルシアメンドーサに「指導1」で敗れており、ロンドン-リオ期の前半戦を牽引した主役たちは退潮明らか。キム・スンミンは奮戦したが、五輪を前に最重量級の「リネール以外」のグループは明らかに勢力図が入れ替わりつつある。


【準々決勝】

アレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)○優勢[指導2]△アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)
イスラム・エルシャハビ(エジプト)○GS技有・横車(GS1:29)△マリウス・パスケビシャス(リトアニア)
キム・スンミン(韓国)○優勢[技有・小外刈]△バルナ・ボル(ハンガリー)
イアキフ・カモー(ウクライナ)○横四方固(5:00)△アブドロ・タングリエフ(ウズベキスタン)

【準決勝】

イスラム・エルシャハビ(エジプト)○優勢[技有・谷落]△アレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)
イアキフ・カモー(ウクライナ)○合技[隅返・横四方固](2:13)△キム・スンミン(韓国)

【3位決定戦】

キム・スンミン(韓国)○横四方固(4:32)△アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)
バルナ・ボル(ハンガリー)○優勢[技有・払腰返]△アレックス・ガルシアメンドーサ(キューバ)

【決勝】

イアキフ・カモー(ウクライナ)○大外刈(3:03)△イスラム・エルシャハビ(エジプト)

■ 78kg級・チュメオ優勝、パリ大会の名誉回復なる
(エントリー27名)
【入賞者】
1.TCHEUMEO, Audrey(FRA)
2.MALZAHN, Luise(GER)
3.STEENHUIS, Guusje(NED)
3.VELENSEK, Anamari(SLO)
5.POWELL, Natalie(GBR)
5.VERKERK, Marhinde(NED)
7.GIAMBELLI, Miranda(AUS)
7.TORT MERINO, Marta(ESP)

第1シードのオドレイ・チュメオ(フランス)が優勝。2回戦の相手であるヤレニス・カスティージョ(キューバ)が棄権したため、この日の初戦は準々決勝。まずこの試合でヴィクトリア・タークス(ウクライナ)を払腰「技有」、大外刈「一本」(1:24)と2度投げつけて片づけると、勝負どころと目された準決勝では強敵マリンダ・フェルケルク(オランダ)を体落「一本」(0:12)で秒殺。決勝は第2シード選手ルイーズ・マルツァン(ドイツ)の釣り手を完全に封じて一方的な試合、体落「技有」でしっかり勝利を決めた。

チュメオは優勝が期待された地元大会のグランドスラム・パリで初戦敗退(ジェンマ・ギボンスに横四方固で一本負け)という屈辱を味わったばかり。圧倒的な強さを見せた今大会でどうやら名誉回復、本気のチュメオはやはり強いと周囲に印象付けた大会となった。

マルツァンは準決勝のナタリー・ポウエル(イギリス)戦で「有効」を失いながらも払腰「一本」(2:01)で逆転勝利。一線級が出てくるとなかなか勝てない状況が続いていたが、今大会の戦いぶりは逞しかった。

3位決定戦のオランダ勢対決、マリンダ・フェルケルク対フッシェ・ステインハウス戦は「指導1」優勢でステインハウスが勝利。2015年に躍進したステインハウスは、これでこの1年でフェルケルクに2勝1敗、ワールドツアーでも着実に成績を残しておりその勢いは増すばかり。ほんの少し前までフェルケルク以外にないと思われていた五輪代表の行方は、いよいよわからなくなってきた。

【準々決勝】

オドレイ・チュメオ(フランス)○大外刈(1:24)△マルタ・トルト メリーノ(スペイン)
マリンダ・フェルケルク(オランダ)○反則[指導4](3:29)△アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)
ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)○大外刈(1:53)△ミランダ・ギアムベリ(オーストラリア)
ナタリー・ポウエル(イギリス)○優勢[指導2]△フッシェ・ステインハウス(オランダ)

【準決勝】

オドレイ・チュメオ(フランス)○体落(0:12)△マリンダ・フェルケルク(オランダ)
ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)○払腰(2:01)△ナタリー・ポウエル(イギリス)

【3位決定戦】

アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)○横四方固(2:26)△ナタリー・ポウエル(イギリス)
フッシェ・ステインハウス(オランダ)○優勢[指導1]△マリンダ・フェルケルク(オランダ)

【決勝】

オドレイ・チュメオ(フランス)○優勢[技有・体落]△ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)

■ 78kg超級・アルセマン突如復活、中国勢立て続けに「一本」で下し2013年以来のツアー制覇
(エントリー23名)

【入賞者】
1.ALTHEMAN, Maria Suelen(BRA)
2.YU, Song(CHN)
3.KIM, Jiyoun(KOR)
3.KIM, Minjeong(KOR)
5.INAMORI, Nami(JPN)
5.MA, Sisi(CHN)
7.LOUETTE KANNING, Lucie(FRA)
7.SAVELKOULS, Tessie(NED)

なかなか復活のきっかけを掴めなかったマリアスエレン・アルセマン(ブラジル)が突如大爆発、一気に優勝を浚った。

1回戦でオドクー・ジャブズマー(モンゴル)を左内股と崩袈裟固の合技「一本」(1:57)で下すと、2回戦ではドイツの「壁」ヤスミン・クルブスを問題にせず左払巻込と崩袈裟固の合技(1:30)であっさり勝利。準々決勝は前戦でニヘル・シェイキロウホウ(チュニジア)を破ったリューシー・ルエットカニング(フランス)を浮落「有効」で破り、そして勝負どころの準決勝では超大型選手マー・スース(中国)を一蹴。まず相手の右小外掛をかわして潰し浮落「有効」、さらに自ら体を寄せて裏投「一本」と2度立て続けに投げる圧勝で決勝進出決定。

決勝はアスタナ世界選手権の覇者、第1シードのユー・ソン(中国)と対戦。始まるなり相手の頭を下げさせて、左斜めに引っ張り出しながら腰を切る牽制を2度見せると、3度目に作用足を引っ掛けて左足車「技有」。そのまま袈裟固に抑え込み僅か56秒の合技「一本」で優勝を決めた。

2013年リオ世界選手権と2014年チェリャビンスク世界選手権で銀メダルを獲得したアルセマンは昨年極端に試合出場を絞りほぼ完全休養。7月のパンナム選手権では2勝1敗で3位に入ったが、8月のアスタナ世界選手権、12月のグランドスラム東京はともに初戦敗退。今年2月のグランドスラム・パリでも初戦敗退に終わっており、復活にはまだまだ時間が掛かると思われていた。

それが前週のヨーロッパオープン・ローマ3位(イダリス・オルティスに敗退)で復帰の兆候ありと観測されるや、あっという間の大爆発。ワールドツアーの制覇は2013年のグランドスラム・バクー以来だが、率直に言ってアルセマンのキャリアの中で一番の強さであると断じて良い出来であった。マーとの接近戦にまったく引かず、それも数度失敗しながら怖じずに投げ切った準決勝、パワー自慢のユーを圧し、引きずり、そして投げつけた決勝の出来はまさしく圧巻。組んでみて感じる力関係によほどの自信がなければこういう試合はできないはずで、地元開催のリオ五輪に向けてかなり体の力を増しているのではと推察される。2015年は中国勢の活躍が目立った最重量級だが、五輪イヤーの2016年度はロンドン-リオ期の前半戦を席巻したパンナム勢の巻き返しが大いにありうるのではないか。誰もがそんな予感を抱いて然るべき、デュッセルドルフ大会におけるアルセマンの大爆発であった。

日本の稲森奈見は5位。準決勝で演じたユーとの「指導」累積差の試合は致し方なし、やり方次第ではこの先十分に勝機ありという範囲に収まる戦いであった。しかしユーが決勝で思い切り投げられたことと、自身の3位決定戦の敗退で点を大きく落とした感あり。準々決勝で強敵キム・ミンジョン(韓国)を下したところまではまずまず順調であったが、アピール少ない大会であった。

韓国勢は1番手のキム・ミンジョン(韓国)、3位決定戦で稲森に一本勝ちしたキム・ジヨウンともに上昇気配継続。よく動き、しっかり技を掛けて投げを狙うスタイルはひと世代前の、「カベ」を揃えた韓国重量級の戦い方とは一線を画すものがある。男子同様、チーム総体としての上がり目にあると観察して良いだろう。

【準々決勝】

ユー・ソン(中国)○崩袈裟固(4:00)△テッシェ・サベルコウルス(オランダ)
稲森奈見○優勢[指導1]△キム・ミンジョン(韓国)
マー・スースー(中国)○GS有効・大外刈(GS0:40)△キム・ジヨウン(韓国)
マリア・スエレン・アルセマン(ブラジル)○優勢[指導2]△リューシー・ルエット カニング(フランス)

【準決勝】

ユー・ソン(中国)○優勢[指導3]△稲森奈見
マリア・スエレン・アルセマン(ブラジル)○裏投(2:13)△マー・スースー(中国)

【3位決定戦】

キム・ミンジョン(韓国)○横四方固(2:56)△マー・スースー(中国)
キム・ジヨウン(韓国)○合技[袖釣込腰・横四方固](1:06)△稲森奈見

【決勝】

マリア・スエレン・アルセマン(ブラジル)○合技[足車・袈裟固](0:56)△ユー・ソン(中国)

※ eJudoメルマガ版3月16日掲載記事より転載・編集しています。

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