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グランプリ・デュッセルドルフ最終日5階級ひとこと展望

(2016年2月20日)

※ eJudoメルマガ版2月20日掲載記事より転載・編集しています。
最終日5階級ひとこと展望
グランプリ・デュッセルドルフ
■ 90kg級・中堅層目減りも上位陣は好役者揃う、ガクとイリアディスの準決勝対決に期待
(エントリー41名)

現役世界王者ガク・ドンハン(韓国)がパリ大会から居残って第1シードに座ったものの、81kg級同様中堅選手がガクリと目減り。パリ大会ではBシード選手扱いであったラグワスレン・オトコンバータル(モンゴル)が今回第3シードに入り、ランキング21位のチアゴ・カミーロ(ブラジル)がBシード選手に滑り込むなど全体の平均値は明らかに落ちたトーナメント。役者の数が限定された、見どころがハッキリした階級と言えるだろう。

その中で注目されるべき選手はまず「柔道小僧」ことイリアス・イリアディス(ギリシャ)。今季はこれがツアー初参戦だ。「小手投げ」の投入をテコに2014年チェリャビンスク世界選手権を制したが、昨年は大方の予想と警戒を裏切り特段の新兵器導入はなし。成績も下降線で力の衰えが指摘され始めていたが、国際合宿などの様相を聞く限りまだまだやる気は十分。五輪に向けて如何なるスケジュールで、何を企んでいるのか、その試合ぶりは非常に楽しみ。

パリ大会で初戦敗退という思わぬつまずきを見せた若手世代の旗手クリスチャン・トート(ハンガリー)の復権、久々の大会出場となる30歳ディルショド・チョリエフ(ウズベキスタン)の出来なども非常に気になるトピック。トートは組み合わせに恵まれ、ラグワスレン・オトコンバータル(モンゴル)との準決勝を乗り越えての決勝進出までは既定路線と思われる。少なくとも表彰台に乗って、昨年終盤から続く閉塞感を脱してしまいたいところだ。

優勝候補の筆頭はガクとしておきたい。パリでは西山大希に敗れているが、今大会初日における韓国勢の一貫した調子の良さと、継続参戦による試合勘の研磨が戦術派であるガクの柔道には好材料として働くはずという見立てをその根拠として提示する。不安材料は早い段階でチョリエフとマッチアップすることだが、いかなチョリエフといえども加齢による斬新的なパワー低下は明らかで、余程コンディションが良くない限り現状の序列を覆すのは難しいかと思われる。

トーナメント通じた最注目カードはガクとイリアディスがぶつかる準決勝。結局のところガップリ持って仕掛けるしかないイリアディス、持たせる位置をずらしながら担ぎ技に嵌めていきたいガクという意図のぶつかり合いが見どころ。もしこの構図がズレるとすれば両者のパワーの優劣がかつてと入れ替わっていることが想定され、それはそれで五輪に向けた力関係のマッピングには非常に貴重なデーター。必見カードだ。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ガク・ドンハン(韓国)
Bシード選手:チアゴ・カミーロ(ブラジル)
有力選手:ディルショド・チョリエフ(ウズベキスタン)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):イリアス・イリアディス(ギリシャ)
Bシード選手:コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)
有力選手:マーカス・ナイマン(スウェーデン)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):クリスチャン・トート(ハンガリー)
Bシード選手:ヨアキム・ドゥファービ(スウェーデン)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ラグワスレン・オトコンバータル(モンゴル)
Bシード選手:アレクサンダー・クコル(セルビア)

■ 100kg級・フレイの「上がり」でピータースの奮起必至、戦線復帰のカイブラエフの出来にも注目
(エントリー41名)

飛び抜けた存在はいないが、面白いバックグランドを持った選手が揃った。第1シードのエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)らAシード選手に注目すべきはもちろんだが、五輪に向けて抱える事情がひときわ熱い国と選手という観点から、フォーカスポイントをいくつか挙げておきたい。

まずロシア。31歳となったタギル・カイブラエフと現在ワールドツアーで継続起用している最前線兵士アドラン・ビスルタノフを同時投入する策に出ており、このシリーズで五輪代表を見極めるという視点の存在が明らかだ。2011年パリ世界選手権と2012年ロンドン五輪の金メダリストであるカイブラエフは2年間掛けてゆっくりしたペースで試合に復帰中、昨年の世界選手権は5位に滑り込み、続いて出場した11月のグランドスラム・アブダビではついに優勝を飾っている。その背負投の技術の高さとスピード、爆発力はやはり異次元の域にある。ただし年齢からして当然ながらスタミナには不安を見せており、追い足の速さと距離の長さで投げ切ってきたあの担ぎの威力がどこまで再現できるのか疑問視する声があがるのは当然。一方のビスルタノフは組み手の粘りに掛け逃げ、遅延行為に挑発行為とすべての手立てを駆使して勝利を拾おうとするタイプで役者の「格」は到底カイブラエフに及ぶものではないが、ツアーの戦いぶりからしてどうやらある程度以上の成績を残す安定感は期待できる。首脳陣としては。カイブラエフがどこまで力を戻せるか、ビスルタノフがどこまで伸びるかの両方を見極めつつ戦略を練るというところであろうが、ここ数戦でほぼその様相が見えてくるはずだ。ファン視点からはひとまずカイブラエフがどのくらいやれるのか、その出来をしっかり観察したいところ、

地元ドイツは豪華ツートップのうち、若いカールリヒャード・フレイを外して30歳となったディミトリ・ピータースひとりを投入。地元大会の直接対決で五輪代表争いの趨勢が決まるはずという周囲の事前予測からすればやや意外な措置をとった。

アスタナ世界選手権ではフレイが2位(世界大会のメダルは2回目)、ピータースが3位(世界大会のメダルは3回目)と到達点の高さはフレイが上、ピータースが経験したことのないファイナリストの座も勝ち得ているが、国際大会での直接対決はピータースがここまで4戦3勝。柔道の質的にも、戦い方がわかりやすいフレイよりも、懐の深さを存分に使ってきて組み立て自体に意外性を孕むピータースのほうが周囲からすれば面倒。それでも敢えて行ったフレイの「あがり」措置は客観的にはやや解せないところがある。既にフレイ起用で肚を括っているということなのか、それとも何らかのアクシデントなのか。いずれにしてもピータースは優勝以外に選択肢がない状況のはずで、その奮起ぶりには大いに注目しておきたい。

と、ロシアとドイツの五輪代表選考事情から注目ポイントを書き出したがもう1か国。強国ジョージアからノーシード扱いで出場するベカ・グヴィニアシビリにも注意を払っておきたい。グヴィニアシビリは先輩ヴァーラム・リパルテリアニに90kg級の「席」を譲る形で昨年末のグランドスラム東京から100kg級に転向、同大会でいきなり5位入賞する活躍を見せた。この時点では「すぐにでも通用する」との評が優勢であったが、グランドスラム・パリでは無名選手に思い切り巻かれて初戦敗退、現在100kg級のランキングは77位(90㎏級では6位)でもはや残り大会で勝ちまくるしか五輪出場の目はない状況。しかし低ランキングゆえ毎大会組み合わせには恵まれず、今回も2回戦でパワー系曲者の極ツブシンバヤル・ナイダン(モンゴル)という高いハードルが待ち受けている。どうこの苦境を脱するのか、その戦いぶりに注目。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
Bシード選手:ツブシンバヤル・ナイダン(モンゴル)
有力選手:ベカ・グヴィニアシビリ(ジョージア)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):マーティン・パチェック(スウェーデン)
Bシード選手:ホセ・アルメンテロス(キューバ)
有力選手:タギル・カイブラエフ(ロシア)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ディミトリ・ピータース(ドイツ)
Bシード選手:ヘンク・グロル(オランダ)
有力選手:エルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)
Bシード選手:アドラン・ビスルタノフ(ロシア)

■ 100kg超級・目玉不在も密度は極めて高し、注目選手はパリ大会でブレイク果たしたサッソン
(エントリー37名)

絶対王者テディ・リネール(フランス)と、続く席に座る七戸龍と原沢久喜の日本勢2人が不在だが、以降の強豪はダビド・モウラ(ブラジル)が欠けたくらいで有力選手がほぼ隈なくエントリー。目玉選手はいないがレベルは高いという、他階級とは少々異なる様相のトーナメントだ。

1人注目選手を挙げるとすれば、2週間前のグランドスラム・パリで一本勝ちを連発、なんと七戸龍をも倒して決勝まで進んだオール・サッソン(イスラエル)で間違いないだろう。同国出身でブレイクしつつある73kg級のセージ・ムキ同様に左右に高く担ぐスタイルは重量級選手としては異色で、非常に面白いキャラクター。このまま五輪の好役者という立場まで出世出来るかどうかは、周囲の本格マークを初めて受けると言って良い、今大会の活躍に掛かる。初戦の相手はいきなり難敵ロイ・メイヤー(オランダ)。キャリア最高と言って良い出来を見せたパリ大会の勢いが続くのか、これは絶対に見逃せない一番。

パリ大会ではアダム・オクルアシビリ(ジョージア・初戦敗退)、ファイセル・ヤバラー(チュニジア・2回戦敗退)、キム・スンミン(韓国・初戦敗退)、ラファエラ・シウバ(ブラジル・初戦敗退)らベテラン勢、そしてバルナ・ボル(ハンガリー・初戦敗退)ら常連選手の出来が非常に良くなかった。それぞれ相性の良くない相手や面倒な選手とマッチアップしたという事情はあったが、組み合わせがシャッフルされた今大会はしっかり勝ち上がってパリ大会の惨敗を「アクシデント」の域に押し込めておきたいところ。特に昨年の不在中に存在感を上げた後輩モウラがパリ大会の銅メダル獲得を受けて「上がり」となった中、かつての銀メダリスト・シウバは五輪代表生き残りを掛けて今大会がどうやら正念場だ。リネールと日本勢に続く、長く上位を維持してきた第3グループが五輪直前にしてついに世代交代の波に飲まれるのか、それともあれは1大会きりの突発トレンドなのか。場合によっては非常に大きな節目となり得る大会。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ファイセル・ヤバラー(チュニジア)
Bシード選手:ラファエラ・シウバ(ブラジル)
有力選手:アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)、アンドレ・ブライドバルト(ドイツ)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):アダム・オクルアシビリ(ジョージア)
Bシード選手:レヴァニ・マティアシビリ(ジョージア)
有力選手:イスラム・エルシャハビ(エジプト)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):バルナ・ボル(ハンガリー)
Bシード選手:キム・スンミン(韓国)
有力選手:バトトルガ・テムーレン(モンゴル)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ロイ・メイヤー(オランダ)
Bシード選手:イアキフ・カモー(ウクライナ)
有力選手:オール・サッソン(イスラエル)、アブドゥロ・タングリエフ(ウズベキスタン)

■ 78kg級・パリ大会の上位は「上がり」、チュメオら残留組によるサバイバル戦
(エントリー27名)

世界大会の王者たちが強豪グループを形成、そのスター達が他と一段違う力を見せ続ける78kg級。2週間前のグランドスラム・パリには久々ツアーにこれでもかとばかりに役者が揃ったが、今大会はパリ大会で優勝したアギアールと準優勝者のケイラ・ハリソン(アメリカ)が「上がり」。

トーナメントの中心は、パリ大会から残留した形のオドレイ・チュメオ(フランス)とアナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)のAシード選手2人とみて間違いない。ともにパリではまさかの初戦敗退に終わっており、ここはしっかり勝ち上がって力を示しておきたいところ。配置はチュメオがプールA、ヴェレンチェクはプールB。ヴェレンチェクは準々決勝でマルヒンデ・フェルケルク(オランダ)戦という大山場があり、ここを勝ち抜けばチュメオと準決勝を争うことになる。

下側の山に目を移すと、プールCにはパリ大会3位のルイーズ・マルツァン(ドイツ)、プールDにはBシード扱いながら同じくパリで3位に入賞したナタリー・ポウエル(イギリス)がいる。これにAシード選手フッシェ・ステインハウス(オランダ)を加えた3人が決勝進出候補と考えてほぼ間違いない。もう少し踏み込むと、パリではポウエルとマルツァンがともにステインハウスに勝利しており、ステインハウスは昨年の大躍進の勢いが消え始めている気配。上向きベクトルにあるという1年スパンのバックグラウンドから、またジェンマ・ギボンスとの激しい五輪代表争いの渦中にあるという緊張感の高さから、決勝進出候補の第一にはポウエルを推しておきたい。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):オドレイ・チュメオ(フランス)
Bシード選手:ヴィクトリア・タークス(ウクライナ)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)
Bシード選手:マルヒンデ・フェルケルク(オランダ)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ルイーズ・マルツァン(ドイツ)
Bシード選手:アビゲイル・ヨー(ハンガリー)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):フッシェ・ステインハウス(オランダ)
Bシード選手:ナタリー・ポウエル(イギリス)

■ 78kg超級・中国がエース2人の同時投入を継続、不確定要素は日本の稲森
(エントリー23名)

現役世界王者ユー・ソンとマー・スースーを同時投入して五輪代表を競わせるという中国の大戦略は今大会も継続。パリ大会に引き続きエントリーを敢行したこの2人がそれぞれ第1、第2シードの座を占めている。

パリでは田知本愛が予選ラウンドでユーを倒して中国の序列を大いに混乱させたが、今大会もトーナメント最大の不確定要素は日本選手。ユーを倒す可能性があるとすれば稲森奈見以外にはないだろう。

客観的に見れば五輪でもっとも怖いのは間違いなくユーだが、中国の強化陣は相当にマーを推しているのか実績十分のユーに五輪代表の確定を与えず、ひたすら2人の同時投入を続けて競り合いを演出し続けている。もしここで稲森が勝てばユーは欧州シリーズ2大会連続の優勝なし、つまりは五輪の舞台からもっとも面倒な相手であるユーを事前に弾き出せる可能性が出て来るわけで、これは日本勢の金メダル奪取という観点からすれば最高の布石。稲森は準々決勝でキム・ミンジョン(韓国)戦という大きな山場があり、これを乗り越えれば準決勝でユーと対決することとなる。なんとしてもここまでは辿り着きたいところ。

下側の山、マーが配されたプールCとプールDもなかなかの役者が揃う。クセニア・チビソワ(ロシア)、ニヘル・シェイキロウホウ(チュニジア)ら柔道の特徴の尖った選手が置かれたが、やはり気になるのはマリアスエレン・アルセマム(ブラジル)の存在。パリでは無名選手相手に初戦で一本負けを喫しているが、いかに復帰間もないとはいえシリーズ2連敗は避けたいはずで、今回は勝敗はともかく相当に本気度の高いパフォーマンスを見せてくれるだろう。初戦でオドクー・ジャブズマー(モンゴル)、2戦目でヤスミン・クルブス(ドイツ)と組み合わせは比較的戦い易い。地元での五輪に向けてどんな上がり目を見せてくれるのか、これも非常に楽しみな観戦ポイント。

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ユー・ソン(中国)
Bシード選手:チィッシエ・サベルコウルス(オランダ)
有力選手:サラ・アドリントン(イギリス)

【プールB】
Aシード選手(第4シード):稲森奈見
Bシード選手:キム・ミンジョン(韓国)

【プールC】
Aシード選手(第2シード):マー・スースー(中国)
Bシード選手:イリナ・キンザルスカ(ウクライナ)
有力選手:クセニア・チビソワ(ロシア)、ヴァネッサ・ザンボッティ
(メキシコ)、グルザン・イッサノワ(カザフスタン)

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ニヘル・シェイキロウホウ(チュニジア)
Bシード選手:ヤスミン・クルブス(ドイツ)
有力選手:マリアスエレン・アルセマム(ブラジル)、ルーシー・ルエットカニング(フランス)

※ eJudoメルマガ版2月20日掲載記事より転載・編集しています。

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