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中村美里優勝で代表権ほぼ手中、日本勢ベスト4独占も評価は明暗・グランドスラム東京52kg級レポート

(2016年1月17日)

※ eJudoメルマガ版1月17日掲載記事より転載・編集しています。
中村美里優勝で代表権ほぼ手中、日本勢ベスト4独占も評価は明暗
グランドスラム東京52kg級レポート
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2回戦、西田優香がザーナ・スタンケビッチから背負投「技有」

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準々決勝、志々目愛がアナベール・ウラニーから大内刈「技有」

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2回戦、中村美里がルツ・オルベラから横四方固「一本」

グランプリ青島大会(西田優香が優勝)で3位のマー・インナン(中国)、グランプリ済州で優勝したアンドレア・キトゥ(ルーマニア)ら東アジアシリーズの主役として活躍してきた海外の強豪が出場回避。急速にレベルが上がる現在の52kg級戦線にあって世界選手権で表彰台を得るレベルの海外選手は出場せず、第1シードのアナベール・ウラニー(フランス)、第3シードのマレーン・クラエー(ドイツ)、Bシード評価のプリシラ・ネト(フランス)らが辛うじて「顔」になり得るという、他階級と比べるといささか寂しい陣容のトーナメント。

地元開催で気合の入った日本選手が4人出場するという困難な大会を持ちこたえるだけの地力はこのメンバーにはなく、当然のようにベスト4は中村美里(三井住友海上)、西田優香(了徳寺学園職)、志々目愛(帝京大4年)、橋本優貴(コマツ)とすべて日本勢が占めることとなった。

第2シードの中村は組み合わせに恵まれここまで強敵との対戦はなし、西田は準々決勝でクラエー、橋本は同じく準々決勝でネトにそれぞれ「指導1」で競り勝っての準決勝進出。もっとも厳しい位置に配された志々目は初戦でギリ・コーヘン(イスラエル)、3回戦でヨアナ・ラモス(ポルトガル)に連続一本勝ちと順調な立ち上がり、準々決勝のウラニー戦は大内刈「技有」に横四方固「有効」と積む。以後は受けに回る悪癖が顔を出したものの相手の反撃を残り4秒で失った「指導3」までに抑えて準決勝への勝ち上がり決定。

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準決勝、志々目愛が橋本優貴から左内股「有効」

準決勝第1試合は志々目と橋本がマッチアップ。橋本は横巴投で先制攻撃、さらに志々目の左内股を狙って潰し、立て続けに寝勝負に持ち込むがことごとく取り切れず。結果先んじて仕掛ける志々目が主導権を得ることとなり、志々目の左内股に橋本が崩れて頭から畳に落ちた直後の2分28秒橋本に「指導1」。

直後志々目が左内股。橋本抱きついて返そうとするが縦回転にもろとも落ちて志々目の「有効」。以降橋本は右大腰に三角絞と激しく攻めに出、残り1分を過ぎたところで横四方固で抑え掛かる大チャンス。決定的な場面かと思われたが志々目に足を絡むことを許してしまい残り42秒で「待て」。直後志々目に「指導」が与えられるがこのミスが最後まで響き、「有効」優勢で志々目が勝利するに至った。

後半志々目はは両手を離して内股を掛け潰れるなど流れを失いかねない場面があったが、序盤の積極的な攻めが効いて決勝進出決定。一方の橋本は寝勝負を狙って後手に回った前半、決定的なワンチャンスを逃した後半とこの大事な試合で本領を発揮できず。試合時間が短い女子で寝業師というアイデンティを貫くのであればいずれもやってはならないミスであり、双方ベストパフォーマンスとは言い難い試合であったが相対的に勝敗の結果は妥当と言える。橋本は2013年の圧倒的な強さを取り戻すことなくどうやらリオ代表戦線からは脱落。3位決定戦は手堅く勝って表彰台は確保したものものの、勝負どころで引いてしまうキャリア通じた悪癖がこの大事な大会でも出た形となってしまった。

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準決勝、中村が西田を立たせず寝勝負で着実に時間を消費

準決勝第2試合は中村と西田の両世界王者が激突する豪華カード。序盤は組み手の直し合いが続き、1分2秒西田に「指導1」、直後の1分7秒中村に場外の「指導1」。

以後も試合は拮抗。2分20秒には西田が中村の足技の牽制に鋭く左小内刈を合わせて転がす場面を作り流れを動かしかけたが、直後中村は釣り手を持ちながらの左大外刈をきっかけに両襟をガッチリ掴み西田の頭を下げさせることに成功。その形のまま大内刈で崩し落とすと、しばらく試合が進んだのちに主審は試合を止め、西田に偽装攻撃による「指導2」を宣告。

以後中村は両袖組み手に足技と手堅く試合を作り、西田はなかなか反撃ポイントを作り出せない。残り30秒で左内巻込に打って出るが中村はこれを捌くとしつこく寝技を仕掛けて西田を立たせず、中村の腕挫十字固に「待て」が宣告された時点で残り時間は僅か9秒。そのまま試合は終了となり「指導2」対「指導1」の反則累積差で中村の決勝進出が決まった。

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3位決定戦、ウラニーの左内股巻込。相手の長い手足に判断が狂ったか西田受け切れず「技有」失陥

西田はこの敗戦のショックゆえか3位決定戦でウラニーを相手に立て続けに2つの「指導」を失い、さらに左内股巻込を受け損ねて「技有」失陥とミスを連発。中盤左背負投で「有効」を取り返したが届かず優勢負け、5位に沈んだ。講道館杯とグランプリ青島で連続優勝し、態勢を整え直しての大会だったが残念ながら結果を残すことは出来ず。

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中村は組み手と足技、素早い寝技への移行で抜け目なく試合を作る

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試合終了、ここぞで的確に山場を作った中村に凱歌が上がった

決勝は中村、志々目ともに左組みの相四つ。中村は組み手の一手目を譲らず、50秒過ぎには組み際に志々目を崩して横三角を2連発。じわじわと主導権を握ると、奥襟を得た1分過ぎには小内刈、小外刈で志々目の頭を下げ、抗しきれなくなった志々目が膝を屈した1分13秒志々目に偽装攻撃の「指導」。

以後も中村は奥襟確保に足技、素早い寝技への移行で隙を見せず。残り48秒で双方に「指導」、残り27秒で志々目に片袖の「指導3」が与えられる。キャリアを見据えたマクロな視点からも、一発投げるか少なくとも「指導」2つを得なければ試合が終わってしまう眼前の状況からも当然志々目による捨て身のスクランブル攻撃が予期されるところだが、志々目はこの状況を受け入れたまま試合は極めて静かに進行。波乱ないまま終了ブザーが鳴り響き、結果「指導1」対「指導3」の優勢で中村の勝利が決まった。

アスタナ世界選手権に優勝、凱旋試合にしてリオ五輪代表選考の最重要試合となる今大会を制した中村はこの時点で代表権の獲得が決定的。今大会の出来は決して良くなかったが、爆発力を稼げないこの状態であってもきちんと勝利を得る安定感と勝負力の高さはさすがであった。中村の勝負を読む目と安定感、そして志々目と橋本ら後を追うライバルが見せた意外なまでの淡白さは好対照。現実的な五輪代表権獲得への可能性の有無が勝負どころでの執念を分けたと言えばそれまでだが、可能性僅かなりとも追う立場としてこの時点で為しておくべき仕事はあったはず。ベスト4独占、表彰台も3つを日本勢が占めるという賑やかな結果ではあったが、評価と運命まさしく明と暗に分かれた階級、各選手のキャリアの大きな分岐点となった大会であったと総括したい。

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優勝の中村美里

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52kg級入賞者。左から志々目、中村、ウラニー、橋本。

【入賞者】
(エントリー27名)

1.NAKAMURA, Misato(JPN)
2.SHISHIME, Ai(JPN)
3.EURANIE, Annabelle(FRA)
3.HASHIMOTO, Yuki(JPN)
5.KRAEH, Mareen(GER)
5.NISHIDA, Yuka(JPN)
7.GIUFFRIDA, Odette(ITA)
7.GNETO, Priscilla(FRA)

中村美里選手のコメント
「グランドスラムは最近勝てていないし、日本で唯一の国際大会。世界選手権で勝ったことは前進とではなく、そこからがスタート。ここで勝って一歩前進だと思っていて、勝ちたい気持ちが強かったです。ただ、内容が悪いです。足技で崩して寝技で攻めてと考えていたのですがあまり出せなかった。自分の問題もありますし、相手の対策も同じことだけをやっていてもうまくいかない。(-どんな1年でしたか?)うまくいかない時もありましたがしっかり耐え抜いた結果が出たと思います。成長できた1年でした。」

【日本代表選手成績】

中村美里(三井住友海上):優勝
志々目愛(帝京大4年):2位
橋本優貴(コマツ):3位
西田優香(了徳寺学園職):5位

【準々決勝】

志々目愛○優勢[技有・大内刈]△アナベール・ウラニー(フランス)
橋本優貴○優勢[指導1]△プリシラ・ネト(フランス)
中村美里○優勢[指導1]△オデット・ジュッフリダ(イタリア)
西田優香○優勢[指導1]△マレーン・クラエー(ドイツ)

【敗者復活戦】

アナベール・ウラニー(フランス)○優勢[有効・大内刈]△プリシラ・ネト(フランス)
マレーン・クラエー(ドイツ)○優勢[有効・小外掛]△オデット・ジュッフリダ(イタリア)

【準決勝】

志々目愛〇優勢[有効・内股]△橋本優貴
中村美里〇優勢[指導2]△西田優香

【3位決定戦】

アナベール・ウラニー(フランス)〇優勢[技有・内股巻込]△西田優香
橋本優貴〇横四方固(2:37)△マレーン・クラエー(ドイツ)

【決勝】

中村美里〇優勢[指導3]△志々目愛

【日本代表選手勝ち上がり】

中村美里(三井住友海上)
成績:優勝

[2回戦]
中村美里〇横四方固(1:10)△ルツ・オルベラ(メキシコ)

[準々決勝]
中村美里〇優勢[指導1]△オデット・ジュッフリダ(イタリア)

[準決勝]
中村美里〇優勢[指導2]△西田優香

[決勝]
中村美里〇優勢[指導3]△志々目愛

志々目愛(帝京大4年)
成績:2位

[1回戦]
志々目愛〇崩袈裟固(2:07)△ギリ・コーヘン(イスラエル)

[2回戦]
志々目愛〇片手絞(2:27)△ヨアナ・ラモス(ポルトガル)

[準々決勝]
志々目愛〇優勢[技有・大内刈]△アナベール・ウラニー(フランス)

[準決勝]
志々目愛〇優勢[有効・内股]△橋本優貴

[決勝]
志々目愛△優勢[指導3]〇中村美里

橋本優貴(コマツ)
成績:3位

[2回戦]
橋本優貴〇横四方固(1:15)△クセニア・ベルディアギナ(キルギスタン)

[準々決勝]
橋本優貴〇優勢[指導1]△プリシラ・ネト(フランス)

[準決勝]
橋本優貴△優勢[有効・内股]〇志々目愛

[3位決定戦]
橋本優貴〇横四方固(2:37)△マレーン・クラエー(ドイツ)

西田優香(了徳寺学園職)
成績:5位

[1回戦]
西田優香〇合技[小内刈・大内刈](2:34)△ヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)

[2回戦]
西田優香〇合技[背負投・背負投](1:29)△ザーナ・スタンケビッチ(アルメニア)

[準々決勝]
西田優香〇優勢[指導1]△マレーン・クラエー(ドイツ)

[準決勝]
西田優香△優勢[指導2]〇中村美里

[3位決定戦]
西田優香△優勢[技有・内股巻込]〇アナベール・ウラニー(フランス)

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