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【ROAD TO 高校選手権】各校前週とは打って変わった好パフォーマンスを披露、激戦制したのは日体荏原高・第29回國學院大學松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会マッチレポート

(2015年12月25日)

※ eJudoメルマガ版12月25日掲載記事より転載・編集しています。
各校前週とは打って変わった好パフォーマンスを披露、激戦制したのは日体荏原高
【ROAD TO 高校選手権】第29回國學院大學松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会マッチレポート
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選手宣誓は國學院大栃木高・宮坂友希選手

冬の高校柔道「招待試合サーキット」中、近年もっともレベルが高い大会として関係者の注目を集める第29回國學院大學松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会が23日、國學院大學たまプラーザキャンパス体育館(横浜市)で行われた。

今年度大会には北海道から九州まで全国の強豪66校が集結。わけても前代全国高校柔道「三冠」を達成したチームから3枚が残った国士舘高(東京)、昨年度大会優勝でインターハイ2位の日体荏原高(東京)、蓜島剛を中心に好選手を揃える埼玉栄高(埼玉)ら、全国で頂点を競うレベルにあると目される3チームに注目が集まった。

まずはトーナメントA~Dブロック、それぞれのブロック決勝(準々決勝)までの戦いを簡単に振り返ってみたい。

■ Aブロック
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3回戦、日体荏原高の先鋒原田健士が市立船橋高・青柳幸希から内股「技有」

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ハンガルオドウバータルが市立船橋高・中野航希から「やぐら投げ」で一本勝ち

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4回戦・藤原崇太郎が小杉高・駒沢玲峰から払腰「一本」。

シード校:日体荏原高(東京)、近畿大学付属広島高(広島)

連覇を狙う日体荏原高(東京)が順当にベスト8進出。初戦となる3回戦は市立船橋高(千葉)を相手に先鋒から原田健士、大吉賢、ハンガルオドウバータル、長井晃志、繁田陽介というオーダーで布陣。エース藤原崇太郎を温存したまま先鋒から副将まで連勝を重ねて4-0でこの試合を勝利すると、4回戦は小杉高(富山)を相手に、大吉、長井、ハンガル、藤原、繁田というオーダーで臨み、これも大吉の大外刈「一本」、長井の袖釣込腰「一本」、ハンガルの「指導3」奪取による僅差優勢、藤原の払腰「一本」と一気の4連勝。大将戦は繁田が駒沢祐馬に小外刈「技有」で敗れたが、通算スコア4-1の圧勝でブロック決勝への勝ち上がりを決めた。

下側の山からは、前代全国大会で大活躍した木更津総合高(千葉)が勝ち上がり。2回戦は箕島高(和歌山)を4-0、3回戦は水戸啓明高(茨城)との大熱戦を3-1で制し、4回戦は前戦で近大福山高に3-2で競り勝った東海大静岡翔洋高(静岡)を4-0で下すという充実の勝ち上がりで準々決勝進出。今代の全国大会上位進出の可能性を探るべく、日体荏原に挑戦することとなった。

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準々決勝、長井晃志が木更津総合高・長澤大雅から膝車「有効」

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準々決勝、大吉賢は体格差をものともせずに黒部健太から裏投「技有」

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藤原崇太郎が大淵泰志郎から内股「一本」。藤原の支釣込足を狙った「ナオスペ」をさらに呼び込み返して投げるという身体能力の高さ際立つ一撃。

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木更津総合は大将兼原潤がハンガルを大外刈「一本」に仕留めて一矢を報いる

【ブロック決勝(トーナメント準々決勝)】

日体荏原高(東京) 4-1 木更津総合高(千葉)
(先)原田健士○大内刈△北潟大地
(次)長井晃志○小外刈△長澤大雅
(中)大吉賢○腕挫十字固△黒部健太
(副)藤原崇太郎○内股△大淵泰志郎
(大)ハンガルオドウバータル△大外刈○兼原潤

日体荏原はこの試合も先鋒から副将までが4連勝。先鋒戦は軽量の原田が90kg級の長身選手・北潟大地との体格差をものともせず大内刈「一本」、2連勝を受けた中堅戦ではこれも体格に大きく劣る73kg級の大吉が裏投「技有」、小外掛「有効」と立て続けにポイントを積んで最後は腕挫十字固で勝利するまさしく快勝。副将戦でエース藤原が内股「一本」でダメを押し、前代強気を持って鳴らした木更津総合をまさに一蹴。原田の「汗をかく」という表現がふさわしい実直な戦いぶり、大吉のまるで自らの方が重量選手であるかのような大胆な攻撃と、軽量2枚の活躍がチームを引き締め、長井と藤原のダブルエースがしっかり加点するという良い流れ、今年の日体荏原のチームカラー、「雰囲気」が端的に表れた一番だった。

エース山下魁輝を外して布陣した木更津総合は大将兼原潤がハンガルを真っ向からの右大外刈「一本」で下して一矢を報いた。3回戦の水戸啓明との撃ち合いを見る限りでも前代から続く良い意味での「ヤンチャさ」は継承されている模様で、今年も活躍の予感は十分。

[Aブロック1回戦]

北海高(北海道) 4-0 大原高(千葉)

[Aブロック2回戦]

市立船橋高(千葉) ②-2 武相高(神奈川)
羽黒高(山形) 3-1 前橋育英高(群馬)
小杉高(富山)○不戦△國學院久我山高(東京)
北海高(北海道) 2-1 近畿大付広島高(広島)
東海大静岡翔洋高(静岡) 2-0 安田学園高(東京)
水戸啓明高(茨城) 4-1 日大藤沢高(神奈川)
木更津総合高(千葉) 4-0 箕島高(和歌山)

[Aブロック3回戦]

国士舘高(東京) 4-0 市立船橋高(千葉)
小杉高(富山) 2-0 羽黒高(山形)
東海大静岡翔洋高(静岡) 3-2 北海高(北海道)
木更津総合高(千葉) 3-1 水戸啓明高(茨城)

[Aブロック4回戦]

日体荏原高(東京) 4-1 小杉高(富山)
木更津総合高(千葉) 4-0 東海大静岡翔洋高(静岡)

[Aブロック決勝(トーナメント準々決勝)]

日体荏原高(東京) 4-1 木更津総合高(千葉)

■ Bブロック
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準々決勝、足立学園高の次鋒雨森俊哉が四日市中央工高・弓矢晃奨から背負投「一本」

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準々決勝、四日市中央工高の大将山口陸人が足立学園高・山本瑛介から小外刈「一本」。この一撃で四中工はベスト4進出決定。

シード校:修徳高(東京)、桐蔭学園高(神奈川)

シードチームの修徳高(東京)が初戦敗退という波乱の幕開け。加藤学園高(静岡)との競り合いにスコア3-2で敗れ、元気ないままトーナメントから姿を消した。修徳は前週の黒潮旗でも予選リーグ敗退に終わっており、今季は苦しい戦いが続く。

上側の山からは、その加藤学園を2-0で下した四日市中央工高(三重)がベスト8へと駒を進めた。

下側の山ではシードチーム桐蔭学園高(神奈川)と、今代非常に良い陣容の足立学園高(東京)が4回戦で激突。
この試合は、1点ビハインドで迎えた副将戦から足立学園が2連勝。副将佐々木卓摩が酒井清将から「指導」2つを奪っての僅差優勢、大将山本瑛介が関根聖隆から小外刈「技有」の優勢で逆転に成功、この試合を2-1で制した足立学園が四日市中央工の待ち受ける準々決勝へと勝ち上がる。

【ブロック決勝(トーナメント準々決勝)】

四日市中央工高(三重) 3-2 足立学園高(東京)
(先)柳川昂平○優勢[技有・小外刈]△上江一平
(次)弓矢晃奨△背負投○雨森俊哉
(中)堤大志○優勢[僅差]△白石隼人
(副)弓矢凌奨△上四方固○佐々木卓摩
(大)山口陸人○小外刈△山本瑛介

四日市中央工が奮闘。前戦で一本勝ちしている柳川昂平を先鋒に、計算できる堤大志を中盤に、そして勝負どころに強い山口陸人を大将に置く配置も相手の布陣にピタリと嵌り、2つの一本負けを喫しながらこれしかないという3点奪取。今季全国大会上位候補の足立学園を食って見事ベスト4進出を決めた。近年の四中工の持ち味である勝負強さを如何なく発揮した一番であった。

[Bブロック1回戦]

前橋商高(群馬) 5-0 山形電波工高(山形)

[Bブロック2回戦]

加藤学園高(静岡) 3-2 修徳高(東京)
清風高(大阪) ②-2 水戸葵陵高(茨城)
長崎南山高(長崎) 5-0 八戸工高(青森)
四日市中央工高(三重) 3-0 東京学館高(千葉)
桐蔭学園高(神奈川) 5-0 前橋商高(群馬)
文星芸大附高(栃木) ①-1 豊栄高(新潟)
育英高(兵庫) 2-1 津幡高(石川)
足立学園高(東京) 5-0 千葉商科大付高(千葉)

[Bブロック3回戦]

加藤学園高 4-1 清風高
四日市中央工高 2-0 長崎南山高
桐蔭学園高 3-1 文星芸大附高
足立学園高 4-0 育英高

[Bブロック4回戦]

四日市中央工高 2-0 加藤学園高
足立学園高 2-1 桐蔭学園高

[Bブロック決勝(トーナメント準々決勝)]

四日市中央工高 3-2 足立学園高

■ Cブロック
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3回戦、飯田健太郎が常盤高・石坂直斗から内股「一本」

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常盤はエースの加賀谷武弘が清水雅義から小外掛「有効」、一矢を報いる

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4回戦、飯田健太郎が山形工・相田輝から「やぐら投げ」で「有効」を奪う

シード校:国士舘高(東京)、木更津総合高(千葉)

シードチーム国士舘高が順当にベスト8入り。
黒潮旗で肘を負傷したばかりの磯村亮太は勿論登録外だが、今大会には前週で取り置いたエース飯田健太郎を投入。初戦となった3回戦の常盤高(群馬)戦は山田祐太、岩渕晃大、清水雅義、河田闘志、飯田健太郎というメンバーで臨み、岩渕が引き分け、そして清水が体重140キロの巨漢・加賀谷武弘に小外掛「有効」で敗れたものの通算スコア3-1で勝利して大会を滑り出す。

4回戦の山形工高(山形)戦は清水・岩渕を下げ、黒潮旗大会で優勝選手賞を獲得した本間壘と稲垣由生を投入。先鋒から山田、稲垣、河田、飯田、本間と並べて全試合「一本」の奪取することに成功。河田が飯田ばりの左の「やぐら投げ」で試合を決めると、続く飯田も同じ「やぐら」で「有効」、さらに上四方固「一本」と瞬く間に奪取するなど大駒2枚の破壊力はさすが。大将本間も落ち着いた戦いぶりを見せ、まさしく盤石の戦いでベスト8進出決定。

下側の山からはつくば秀英高(茨城)がベスト8入り。黒田拳伍、岡田英志らの攻撃力をテコに國學院大栃木高(栃木)を2-0、長崎日大高(長崎)を3-2、習志野高を3-1で下して王者・国士舘への挑戦権を得た。

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準々決勝、つくば秀英高の次鋒黒田拳伍が国士舘高・稲垣由生から出足払「一本」

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飯田健太郎がつくば秀英の副将・吉田慶次郎から小外掛「一本」

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大将戦は国士舘高・本間壘が村岡功貴から裏投「一本」

【ブロック決勝(トーナメント準々決勝)】

国士舘高(東京) 3-1 つくば秀英高(茨城)
(先)山田祐太○大外刈△阿部友哉
(次)稲垣由生△出足払○黒田拳伍
(中)河田闘志×引分×岡田英志
(副)飯田健太郎○小外掛△吉田慶次郎
(大)本間壘○裏投△村岡功貴

国士舘は次鋒稲垣が黒田の鮮やかな出足払「一本」に沈み、中堅河田も岡田の強気を前に詰めきれず引き分けを演じたものの、この中盤戦の停滞がゲーム自体を揺るがすことはなし。3つの「一本」でつくば秀英を沈め、通算スコア3-1で勝利することとなった。

内股を徹底警戒された飯田は判断良く深々小外掛に体を切り返し、この試合も汗をかく前に鮮やかな「一本」。大将本間も自信満々の裏投「一本」で試合を締めて、中盤までのバタバタ感よりも飯田の圧倒的な強さ、本間の強靭さが際立つ形で国士舘は準決勝進出決定。

つくば秀英は組み合わせに恵まれた感はあったものの、ベスト8という結果からもその気風の良い戦いぶりからも、近年の上昇ベクトルの継続を十分感じさせる大会であった。

[Cブロック1回戦]

佐久長聖高(長野) 4-1 工学院大附高(東京)

[Cブロック2回戦]

常盤高(群馬) 3-0 拓殖大紅陵高(千葉)
山形工高(山形) 4-0 常葉学園橘高(静岡)
相洋高(神奈川) 2-1 和歌山北高(和歌山)
東海大甲府高(山梨) 3-1 佐久長聖高(長野)
習志野高(千葉) 3-0 盛岡大附高(岩手)
つくば秀英高(茨城) 2-0 國學院大栃木高(栃木)
長崎日大高(長崎) 4-0 樹徳高(群馬)

[Cブロック3回戦]

国士舘高(東京) 3-1 常盤高(群馬)
山形工高(山形) 2-0 相洋高(神奈川)
習志野高(千葉) 2-1 東海大甲府高(山梨)
つくば秀英高(茨城) 3-2 長崎日大高(長崎)

[Cブロック4回戦]

国士舘高 5-0 山形工高
つくば秀英高 3-1 習志野高

[Cブロック決勝(トーナメント準々決勝)]

国士舘高 3-1 つくば秀英高

■ Dブロック
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2回戦、崇徳高・森近唯が茂木・藤沼佑太から大外刈「一本」

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2回戦、八王子学園高・戸髙竜之介が初芝橋本高・茂田諒平らから大外刈「技有」

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3回戦、本荘高の中堅板本広大が崇徳・福永矩宣から背負投「技有」、スコアを1-1に戻す

シード校:崇徳高(広島)、埼玉栄高(埼玉)

大会最大の激戦区。シードチームは中国ブロック新人戦を制した崇徳高(広島)と蓜島剛を中心に好メンバーを揃えて今季全国大会の頂点を伺う埼玉栄高(埼玉)。崇徳が配された上側の山には東海大仰星高(大阪)に、今代東北ブロック優勝候補の第一と目される本荘高(秋田)、さらに2014年全国中学大会3位で身長190センチ体重140キロの偉丈夫・戸高竜之介を中心に積極的な強化を図る東京地区の注目チーム八王子学園八王子高(東京)が詰め込まれ、序盤から目の離せない戦いが続く。

2回戦、崇徳は茂木高(栃木)を無失点で下し順調なスタート、本荘は神奈川の強豪校横浜高の組み手に苦労して地力を発揮仕切れずスコア1-1の内容差という辛勝。八王子学園高は初芝橋本高(和歌山)にこれも体重140キロの1年生巨漢藤井海斗が裏投「一本」で敗れるなど綻びを見せたが、戸高の一本勝ちに安田拓洋と小口湧久の2年生2人の勝利により3-2で勝ち抜け。

3回戦では崇徳と本荘が激突。本荘の中堅、66kg級ながらエースを張る板本広大が福永矩宣から背負投「技有」を挙げたが、崇徳は次鋒長岡季空の後袈裟固「一本」をテコに、大将戦も僅差で制し2-1で勝ち抜け決定。

東海大仰星は2回戦で成田高(千葉)を5-0と一蹴し、3回戦では八王子学園と対戦。この試合は先鋒に投入された岡虎が小口湧久から小外刈「一本」を奪うなど3点を挙げて快勝。八王子学園は次鋒安田拓洋が安達広太朗から一本勝ちを挙げたが、期待の大将戸高が坂本豪一に完封されて最終スコアは3-1。東海大仰星が全国大会上位常連のプライドと、個の錬磨に留まらないチームとしての強化体制の差を見せつけた形。

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4回戦、崇徳高・長岡季空が東海大仰星高・海江田充輝を小外刈で大きく崩す。

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2回戦、埼玉栄高・今入晃也が京都共栄学園高・福谷翼から内股「一本」

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4回戦、蓜島剛が田村高・斉藤大輔から払腰「一本」

崇徳と東海大仰星がマッチアップした4回戦は接戦。この試合、東海大仰星は先鋒奥野友輝が福永矩宣から小外刈「有効」を挙げて先制。次鋒戦では坂本豪が森近唯を、中堅戦では深山将剛が空辰乃輔と引き分けてリードを保ったがここから崇徳が連勝。勝負どころの副将戦で神垣和多が岡虎から小外刈「有効」、大将戦では長岡季空が海江田充輝から横四方固「一本」で勝利して逆転に成功、この「底力」と呼ぶべき崇徳らしいパフォーマンスにより、最終スコア2-1で準々決勝進出を決めた。

下側の山からは埼玉栄高が他を圧する強さを見せてベスト8入り。レギュラーを落として不完全燃焼に終わった黒潮旗の鬱憤を晴らすかのように初戦からメンバー全員がキリリと巻き上がった試合を披露、2回戦の京都共栄学園高(京都)戦から焼谷風太、長濱快飛、蓜島剛、今入晃也、岩田歩夢とフルメンバーで布陣してこの試合は5-0の圧勝。3回戦は松本第一高(長野)を3-0、4回戦は田村高(福島)を4-0で下して崇徳の待ち受ける準々決勝へと臨む。

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準々決勝、蓜島剛が長岡季空から出足払「一本」

【ブロック決勝(トーナメント準々決勝)】

埼玉栄高(埼玉) 2-1 崇徳高(広島)
(先)焼谷風太×引分×森近唯
(次)長濱快飛×引分×福永矩宣
(中)蓜島剛○出足払△長岡季空
(副)今入晃也○支釣込足△神垣和也
(大)岩田歩夢△優勢[僅差]○空辰乃輔

埼玉栄が勝利。いよいよ上位対戦、全国で力を発揮出来る選手が誰かが厳しく問われるこのステージにおいて蓜島剛が長岡季空から出足払「一本」、今入晃也が神垣和也から支釣込足「一本」で勝利して見事勝ち抜け決定。蓜島の出足払はタイミングも良し、足が当たるなりこちらの予想を超える勢いで長岡が「ぶっ飛ぶ」物凄い一撃だった。

崇徳は伝統である試合の巧さが全戦線に染みてスコア上は1-2と接戦に持ち込んだが、焼谷、長濱、蓜島、今入の前代からのレギュラー4枚からポイントを挙げることが出来ず、勝ち味が見い出しにくい戦い。むしろ良くここまで持ち堪えたという印象の一番であった。

結果決まった準決勝カードは、

日体荏原 - 四日市中央工
国士舘 - 埼玉栄

の2試合となった。

[Dブロック1回戦]

京都共栄学園高(京都) 3-0 八千代高(千葉)

[Dブロック2回戦]

崇徳高(広島) 5-0 茂木高(栃木)
本荘高 ①-1 横浜高(神奈川)
八王子学園八王子高(東京) 3-2 初芝橋本高(和歌山)
東海大仰星高(大阪) 5-0 成田高(千葉)
埼玉栄高(埼玉) 5-0 京都共栄学園高(京都)
松本第一高(長野) 3-0 市立柏高(千葉)
関西高(岡山) 4-0 日本学園高(東京)
田村高(福島) 3-1 桐生第一高(群馬)

[Dブロック3回戦]

崇徳高 2-1 本荘高
東海大仰星高 3-1 八王子学園八王子高
埼玉栄高 3-0 松本第一高
田村高 ②-2 関西高

[Dブロック4回戦]

崇徳高(広島) 2-1 東海大仰星高(大阪)
埼玉栄高(埼玉) 5-0 田村高(福島)

[Dブロック決勝]

埼玉栄高 2-1 崇徳高

■ 準決勝
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準決勝、日体荏原高の次鋒長井晃志が四日市中央工高・弓矢晃奨から内股「一本」

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日体荏原は副将藤原崇太郎の袖釣込腰「一本」で決勝への勝ち上がりを決める

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大将ハンガルも一本勝ちで、最終スコアは3-0となる

日体荏原高 3-0 四日市中央工高
(先)原田健士×引分×柳川昂平
(次)長井晃志○内股(2:03)△弓矢晃奨
(中)大吉賢×引分×堤大志
(副)藤原崇太郎○袖釣込腰(0:16)△弓矢凌奨
(大)ハンガルオドウバータル○小内刈(1:45)△山口陸人

準決勝第1試合は日体荏原が快勝。

先鋒戦は原田健士が柳川昂平の鋭い左大内刈に引かずに試合を進め、終盤には崩袈裟固で「抑え込み」の声を聞く大チャンスも作り出す。しかし柳川が2秒で逃れてノーポイント、この試合は引き分け。

次鋒戦は長井晃志がケンカ四つの弓矢晃奨を相手に優位に試合を進め、1分36秒には立ったままの右袖釣込腰で完璧に投げるがこれは「待て」の後でノーポイント。しかしこの一発で完全に主導権を掌握、続くシークエンスでは思い切り良く右内股。弓矢跨いで捌くが長井は委細構わずそのまま歩を進めて追い込み、腰をぶつけて担ぐ形で投げ切って文句なしの「一本」。

中堅戦も大吉賢が堤大志から開始18秒で小外刈「有効」を奪い、日体荏原は視界良好。しかし堤は意地を見せ、2分26秒裏投「有効」を取り返して激しく抵抗。以後も二段の小外刈などで激しく攻め、この試合は引き分け。

副将戦は日体荏原のエース・藤原崇太郎が開始早々に左袖釣込腰を決めて一本勝ち。この時点でチームの勝利を決めた。

四日市中央工は山口陸人のしぶとさで一矢を報いたいところだが、ハンガルオドウバータルの内股を捌き、捨身技に入ろうというところにハンガルの小内刈がかち合って主審の判定は「一本」。結果、日体荏原が最終スコア3-0を持って勝利、2年連続で決勝へと駒を進めることとなった。

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国士舘と埼玉栄がマッチアップした準決勝第2試合

国士舘高 - 埼玉栄高
(先)山田祐太 - 長濱快飛
(次)稲垣由生 - 今入晃也
(中)河田闘志 - 蓜島剛
(副)飯田健太郎 - 岩田歩夢
(大)本間壘 - 焼谷風太

国士舘は準々決勝とオーダー順を変えずに布陣。埼玉栄はこれまで一貫して先鋒に起用してきた焼谷風太をまとめ役として大将に回し、先鋒から長濱快飛、今入晃也、そしてエース蓜島剛と攻撃型を3枚並べた前重心オーダーを組んだ。

今大会、というよりこのシリーズにおける国士舘のテーマは飯田、河田の取り味と最高到達点の確認、そして周辺戦力の人選と強化。一方の埼玉栄は既に強さ明らかな蓜島の今代の上位対戦における戦闘力と、長濱や今入が各校エース級とどこまで戦え、どこまで我慢でき、そして周辺戦力を相手にどこまでの得点力を発揮するかを炙り出しておかねばならない。

そして盤面は、どちらかというと埼玉栄の「テーマ」に沿った形の配置。飯田には前代唯一レギュラーに入っていない岩田がマッチアップし、ここでの失点は致し方なし。長濱、今入が優勝候補筆頭の国士舘チームでレギュラー入りのボーダーライン上にある山田と稲垣からしっかり獲る力があるのかどうか、そして蓜島がエース「級」ではあるがトップではない、しかし圧力と歩留まりの良さは全国屈指の河田からどのような形で得点するか。選手間で評判の高い埼玉栄チームが現実的に頂点を狙う力があるのか、その可能性を探るのに絶好の配置であると言える。

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埼玉栄高の次鋒今入晃也が国士舘高・稲垣由生から内股「一本」

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蓜島剛は度々大外刈で攻め込むが、河田闘志の前進の前にあと一歩を踏み込めず

先鋒戦は山田、長濱ともに右組みの相四つ。この試合は長濱が組み際の右内股と左右の小内刈を中心に優位に試合を進めるが、山田は要所で単発ながら大技を放って展開を押しとどめる。結果、2分16秒に山田に与えられた「指導」1つ以外にポイントの積み上げないまま試合は終了、先鋒戦は引き分け。

次鋒戦は今入が完勝。前に出て左内股、左大外刈と攻め続けると稲垣捌き続けるものの徐々に流れを失い、1分30秒に偽装攻撃の「指導1」を宣告される。続くシークエンスで今入が圧力を掛けながら前に出、気づけば稲垣はコーナーに詰まって逃げ場のない状態。今入ここで思い切った左内股を仕掛ければ稲垣耐えきれず吹っ飛び「一本」。国士舘が先制に成功。

明らかにこの試合の分水嶺である中堅戦は河田、蓜島ともに右組みの相四つ。序盤は双方切り離して組み手を直す場面が目立ったものの、1分9秒の両者に対する「指導」宣告後は双方二本持ち合っての攻防が続く。一見拮抗の静かな展開も主導権は明らかに度々右内股を放ち、大外刈に乗り込む蓜島の側にあったが、河田は蓜島が攻めれば前進、足が飛んで来ればこちらも撃ち返し、と影がゆらめくようにそのペースの上げ下げにつかず離れず並走。蓜島も河田の体の力を警戒したかあと一歩踏み込むリスクを冒すことが出来ず、この試合はそのまま引き分けに終わる。

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飯田健太郎が岩田歩夢から内股「一本」

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本間壘が焼谷風太を抱え上げ、真裏に投げて「一本」

副将戦は今代の高校柔道界最大の大駒・飯田健太郎が登場。組み勝ち、間合いを整え、引きずり出しと淀みなく手順を進め、開始僅か23秒右内股一閃「一本」。ここまで健闘の埼玉栄の新レギュラー岩田歩夢を全く寄せ付けず。

1-1で迎えた大将戦は国士舘・本間壘がケンカ四つの焼谷風太を圧倒。気合十分で畳に現れた焼谷は得意の左内股を放って先制攻撃を試みるが本間は落ち着いて流すと、寄り、脇を差し、距離を詰めて相手を捕まえるなり腹上に抱え上げて裏投一発。僅か25秒文句なしの「一本」で勝負あり、この一発で勝ち越した国士舘高が2-1で勝利を決めた。

国士舘高 2-1 埼玉栄高
(先)山田祐太×引分×長濱快飛
(次)稲垣由生△内股(1:57)○今入晃也
(中)河田闘志×引分×蓜島剛
(副)飯田健太郎○内股(0:23)△岩田歩夢
(大)本間壘○裏投(0:25)△焼谷風太

殊勲者は大将本間。一発がありむしろイチかバチかの近距離戦が得手の、しかも気合十分で明らかに「やる気」の焼谷を全く恐れることなく距離を詰め、上から目線の大技一発で仕留めて試合を終わらせてみせた。黒潮旗から一貫してその試合ぶりには自身の力への自信が感じられ、どうやら飯田、河田、磯村に続く4番手の位置確保は間違いないものと思われる。

今入がしっかり獲った一方で蓜島が河田に止められた埼玉栄。来るべき全国大会での決戦を考えれば、蓜島が飯田以外に「止められる」という事態は看過出来ない結果ではある。
ただし、この試合の蓜島は良くも悪くも力を余していたという印象。行けば行けるが今はその時ではないとばかりにあと一歩の踏み込み、あと一段のギアチェンジを抑えたような破綻のない試合ぶりであった。まだまだ続く招待試合シリーズのさ中、本当の勝負は全国大会と捉えて敢えて無理をしなかったのか、あるいは縺れてこの段階で飯田健太郎と一戦交えるリスクを避けたのか。

メンバーを落としてチームの底上げの場として活用した黒潮旗の様相も考え合わせると、少なくとも、埼玉栄は例えば三冠達成時の東海大浦安(2011~2012年チーム)のように「勝ち続けて、勝つこと自体で自信をつける」戦略を狙うのではなく、勝負どころをしっかり絞って、ここ一番で力を出すことを目論んでいるのではないかと思われる。

良いメンバーを揃えながらムラ気の激しかった前代までの戦いぶりだけで考えると、この戦略は賛否の分かれるところ。しかし明らかに「乗れば強い」このチームの手綱をとるには面白い考え方の一つかもしれない。以後どのようなプロセスをたどって全国大会にたどり着くのか、今後の展開に期待したい。

結果決まった決勝カードは本命対決、

日体荏原高 - 国士舘高

となった。

■ 決勝
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日体荏原高 - 国士舘高
(先)大吉賢 - 山田祐太
(次)長井晃志 - 稲垣由生
(中)ハンガルオドバヤル - 河田闘志
(副)藤原崇太郎 - 飯田健太郎
(大)繁田陽介 - 本間壘

盤面配置は国士舘有利。藤原は高校入学後飯田には分が悪く、国士舘としては副将戦で「エースでエースを潰す」ことが可能。
日体荏原としては得点源の藤原で失点を喫することは差し引き2点ぶんのダメージとなる。そして5番手の繁田の相手は本間という中間ニッチの難敵。つまりは山田・稲垣と勝負を張ることも河田、飯田の得点源2枚を「消費」することも許されない配置で、ほか4枚がマッチアップすれば乗り切れるはずのこの相手に失点が濃厚。ハンガルと河田もこれまでの戦いぶりと力関係を考える限りでは河田の「指導」奪取による勝利と考えるのが事前予測としては妥当で、順行運転で試合を予想するのであれば中堅以降の三枚はいずれも国士舘の得点の可能性が高い。日体荏原としては次鋒長井の得点を織り込み、先鋒大吉に斬り込ませて前衛2枚で2点獲得、以降3枚のうち2試合をなんとか引き分けで終わらせるしか勝ちのシナリオが想像し難い状況。

逆に国士舘としては前半をしっかり耐え抜いて、中堅以降が取りに出る手堅い戦い方で走り抜けられるはずの盤面配置。前衛2枚の失点を出来得れば長井相手の1点のみ、それも可能であれば優勢に抑え、中堅以降の3枚で一気に勝負を掛けたいというところ。

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先鋒戦は日体荏原・大吉賢が左、国士舘・山田祐太が右組みのケンカ四つ。
山田は右大外刈、右内股にケンケンの右大外刈と連続攻撃。大吉いずれも跳ね返すが、みたび山田がケンケンの大内刈を見せた直後の1分48秒大吉に「指導」が宣告される。

直後大吉は攻勢に出て左内股、さらにタイミングピタリの巴投で山田の心胆を寒からしめる。流れが僅かに自身に傾いたこの機を逃さず、大吉勝負に出て抱きつきの左小外掛。まず小さく左小外刈に触り、続いて身を翻して右引き手で脇を差しながら放ったこの思い切った一撃に山田両足を宙に上げて吹っ飛び「一本」。日体荏原、見事先制。

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次鋒戦、稲垣由生が大内返「技有」で先制

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長井晃志は落ち着いて内股「一本」奪取、逆転勝ちを収める

続く次鋒戦は日体荏原・長井晃志、国士舘・稲垣由生ともに右組みのケンカ四つ。
ここで流れを変えようと、あるいはレギュラーの座を奪取せんと稲垣は気合十分。開始早々に長井が左大内刈、大きく崩れた山田に対し一気に決めようと体を浴びせに掛かるが、膝を着くところまで崩れていたはずの山田は時計周りに上半身を捩じって振り返し大内返「技有」奪取。ここまでの試合時間は18秒、「一本」でもおかしくない強烈な一発だった。

強敵長井を沈黙させるには「一本」で試合を終わらせてしまうことが必要。稲垣渾身の返し技が「技有」に留まったことでこの後の試合は荒れること必定というところだが、稲垣は再開直後の縺れ際を再び制し「有効」を追加。

これ以上ないほど荒れた展開だが、しかし長井は冷静。稲垣はにらみ合うような膠着を経て巧いタイミングの「横巴」を放ちしっかり展開に楔を入れるが、1分58秒の組み際に長井が大外刈で外側を止めておいての右背負投。長井得意のこの技があっという間に決まってこれは「有効」。

さらに直後、長井は呼吸を整えると内股に飛び込んで逆転の「一本」。試合時間2分10秒、日体荏原はこれで2-0と大幅リード。

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中堅戦、ハンガルオドウバヤルが河田闘志を小外掛「一本」に仕留める

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一気の3連勝で優勝決定、ハンガルがうれしさを露わにする

我慢のしどころを2つながら「一本」で失った国士舘はここで「三冠」メンバーの河田闘志が登場。ここから手堅く戦えばまだまだ十分逆転可能な盤面配置だがm2連敗、それも逆転で試合を失うという荒れた展開を河田は押しとどめることが出来ない。18秒に「指導1」を奪って一本背負投崩れの支釣込足で崩すところまでは河田ペースだったが、あくまで奥襟を求めるハンガル相手に下がりながら組み手を切り続けるという河田らしからぬミス。ハンガルはその後退に乗じて奥襟を叩き、最大の武器である抱きつきの左小外掛に打って出る。河田一瞬耐えたが初動でアゴが上げられてしまい、のけ反ってバランスを崩すと大木が倒れるように真っ逆さま。これは文句なしの「一本」、ハンガルは両手を挙げて喜びをあらわにする。

この時点でスコアは早くも3-0、日体荏原の優勝が決まった。

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飯田健太郎が藤原崇太郎とのエース対決に内股「一本」で快勝

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大将戦、本間壘が繁田陽介を横四方固に捉える

副将戦は今季の全日本ジュニア王者対決。日体荏原・藤原崇太郎が左、国士舘・飯田健太郎が右組みのケンカ四つ。

藤原は飯田の脇を突き、左背負投に左体落と相手の横からスライドするように低い技に入ってなんとか展開を握らんとするが飯田は全く崩れず。飯田が30秒過ぎに繰り出した左内股と左大内刈のコンビネーションは藤原辛くもしのぐが、2分10秒には飯田が狙いすまして再び右内股。作用足をねじ込むと同時に頭を下げて押し込んだこの技に藤原抗えず、この一撃はあっさり決まって「一本」。拍子抜けするほど一方的な試合で国士舘が1点を返す。

大将戦は日体荏原・繁田陽介、国士舘・本間壘ともに右組みの相四つ。横変形で対峙した繁田、呼吸を整えるなり思い切り良く右内股に打って出るが本間は釣り手操作で崩して潰し、その釣り手を利かせて暴れる繁田の体をコントロール。まさしく寝技に「引きずり込む」という体で二度と繁田を立たせずそのまま横四方固で一本勝ち。僅か1分21秒の「一本」奪取で2-3とスコアを整えて試合を終えた。

日体荏原高 3-2 国士舘高
(先)大吉賢○小外刈(2:44)△山田祐太
(次)長井晃志○内股(2:10)△稲垣由生
(中)ハンガルオドバヤル○小外掛(1:16)△河田闘志
(副)藤原崇太郎△内股(1:50)○飯田健太郎
(大)繁田陽介△上四方固(1:21)○本間壘

日体荏原としてはまさしく会心の試合。勝利必須の前衛2枚をいずれも豪快な「一本」で勝ち切り、その衝撃力で力関係を揺すったかのごとく不利なはずの中堅戦をも、それも「一本」で取り切る。大吉の腹の括りっぷり、長井の落ち着き、そして力関係に劣る試合でポイントを挙げながら「一本」取り切れないために逆転を許した稲垣由生と対照的に逆転不可能の一本勝ちで国士舘の命脈を絶ったハンガルの思い切りの良さと、前衛3枚の試合には文句のつけようがない。後衛に試合を託すわけにはいかないという盤面の読み、それがもたらした覚悟が流れを作った、と言ってしまうのは簡単だが、盤面配置から帰納して自らの仕事を考える「弁えた勝負」は歴代の日体荏原がむしろ苦手にしていた部分のはず。強いは強いが場当たり的、勝つには勝つがそのプロセスの凸凹ぶりで流れ自体を失うことの多かったここまでと比べ、今代は少々毛色の違うチームが出来つつあるという印象を受けた。

小久保純史監督が言い続けた「役割を考える」というテーマ。なかなかこれが出来なかった数年間を経てようやく前代のインターハイ準決勝で光が見えたこの課題がチームに浸透しつつあると観察することも可能であるし、現在準レギュラーとして奮闘している原田健士の真摯な、一種荏原の選手らしからぬ献身的な戦いぶりがチーム全体を締めていると考えることも可能かと思われる。

少なくとも一週間前の黒潮旗とは全く違うチームであった。体格に劣るにも関わらず単発大技に頼って取り切れなかった大吉の特徴は「大胆に懐に入る思い切りの良さで体格差を克服した」という方向に変換され、受けて立つことで良さが失われていた長井はしつこく技が嵌るポイントまで追い掛けることで本来の攻撃力を取り戻した。早くも今代チームの最高到達点では、とすら思えてしまうほどの完璧な試合を繰り広げた荏原チームがどのような成長を見せてくれるか、今後が非常に楽しみだ。

敗れた国士舘だが、飯田の大駒っぷりの再確認も果たし、何より今シリーズ最大の課題である周辺勢力の整備という観点から大いに収穫のあった試合ではないかと思われる。本間の強靭さと戦闘力の高さが実戦で証明出来、レギュラー争いの渦中にある稲垣も敗れたとはいえ全国有数のポイントゲッターである長井から2つのポイントを挙げるなど上がり目がハッキリ見えた大会でもある。上位対戦で計算できる磯村が復帰すること、飯田がおそらくは全国大会の最後の段階まで「エースでエースを潰す」ことが可能な超大駒であることを勘案すると、少なくとも抜き試合レギュレーションでは国士舘が優勝候補一番手であることは間違いないだろう。磯村抜きの今シリーズで、岩渕公一監督が毎年最大のポイントとして挙げる「5、6、7番手の底上げ」がどこまで果たせるか、次にこのチームが出場する若潮杯はここが焦点となるだろう。

素晴らしい腹の括りっぷりで優勝をさらった日体荏原、敗れたが戦力計算が立ち始めた国士舘、粒ぞろいの戦力の攻撃力の高さが確認できた埼玉栄に、持ち前の勝負力の高さを発揮した四日市中央工高と上位陣はいずれも収穫アリの大会。いったいにどのチームも黒潮旗よりは一段も二段も締まった試合を披露しており、高校生の成長の早さ、試合という場が与える経験値の高さがあらためて感じられた大会であった。

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

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2連覇の日体荏原高

【入賞者】
(参加66校)
優 勝:日体荏原高(東京)
準優勝:国士舘高(東京)
第三位:四日市中央工高(三重)、埼玉栄高(埼玉)

優秀選手:長井晃志、大吉賢(日体荏原高)、本間壘(国士舘高)、山口陸人(四日市中央工高)、今入晃也(埼玉栄高)

日体荏原高・小久保純史監督のコメント
「(-先週とは見違えるような戦いぶりでした?)黒潮旗でバタバタ失点して全くチームになっていないと、かなり『ミーティング』をしました。藤原と長井という核があるので、他の選手がしっかり自分の役割を果たせば優勝する力があるんだぞ、自分の仕事が何かをしっかり考えようと皆であらためて話し合いました。今日出たメンバーも良くやっているし、黒潮旗の直前でケガをした百々雄弥らも含めてまだまだ伸びると思っています。今はいろいろ試しているところです。国士舘さんもベストではなかったし、足立学園さんも強い。上を見過ぎると足元をすくわれますので、まずは東京予選。コツコツ、頑張ります」


【準々決勝】

日体荏原高(東京) 4-1 木更津総合高(千葉)
四日市中央工高(三重) 3-2 足立学園高(東京)
国士舘高(東京) 3-1 つくば秀英高(茨城)
埼玉栄高(埼玉) 2-1 崇徳高(広島)

【準決勝】

日体荏原高 3-0 四日市中央工高
国士舘高 2-1 埼玉栄高

【決勝】

日体荏原高 3-2 国士舘高

※ eJudoメルマガ版12月25日掲載記事より転載・編集しています。

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