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近藤亜美が大会3連覇、決勝はライバル浅見八瑠奈を「一本」で下す・グランドスラム東京48kg級レポート

(2015年12月18日)

※ eJudoメルマガ版12月18日掲載記事より転載・編集しています。
近藤亜美が大会3連覇、決勝はライバル浅見八瑠奈を「一本」で下す
グランドスラム東京48kg級レポート
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準々決勝、サラ・メネゼスがムンクバット・ウランツェツェグを出足払「一本」に仕留める

2年間に渡り絶不調と評してよい状態にあったロンドン五輪金メダリスト、サラ・メネゼス(ブラジル)の復調がトーナメント前半戦の大きなトピック。2回戦でテリー・クスマワーダニ・スサンティ(インドネシア)を手堅く横三角からの横四方固「一本」(1:36)で下すと、続く準々決勝では第1シードに座ったリオ世界選手権王者ムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)とマッチアップ。ここ2年ほどの両者の戦歴を考えればムンクバット優位と考えて然るべきカードであったが、メネゼスは得意の足技でリズムを作ると、ムンクバットが右小内刈の形で足を当ててきたところにリアクションの左出足払。ムンクバットは両足を宙に浮かせて背中から畳に真っ逆さま、これはもちろん「一本」。

まさかの敗戦にムンクバットはしばし畳に座り込んで呆然。組み合って足技の探り合いというメネゼスのフィールドに付き合いすぎたきらいはあったが、ここのところの力関係を考えればこの戦い方は責められず。メネゼスの出来がムンクバットの予想を大きく上回っていたと判断すべきだろう。

そしてこの大一番を勝ち抜いたメネゼスが準決勝で積年の宿敵浅見八瑠奈(コマツ)とマッチアップ。これが決勝ラウンドに至るまでの最大の山場となった。

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準々決勝、浅見八瑠奈がナタリア・コンドラチェワから払腰「技有」

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準決勝、開始早々にメネゼスが浅見から出足払「技有」

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試合終了直前、浅見がメネゼスから足車「技有」

メネゼスは前述の通りここまで2試合連続の一本勝ち、一方の浅見は2回戦でダヤリス・メストレアルバレス(キューバ)を「指導2」対「指導3」の優勢、準々決勝ではナタリア・コンドラチェワ(ロシア)を払腰と崩袈裟固の合技「一本」(3:17)で下しての準決勝進出。動きは決して良くはなく、少なくとも絶好調とは思われなかったが手堅く結果を残してきたというここまでの勝ち上がり。

世界王者同士によるこの一番はメネゼス、浅見ともに右組みの相四つ。
軽量級らしく鋭い手先の組み手争いを経て、両者二本持って横変形で組み合う。
と、組み合うなり間合いを整えようと浅見が放った右小内刈にメネゼス鋭く反応、攻防一致の左出足払に捉え返すと浅見の体はあっという間に引きずり込まれてこれは「技有」。ここまでの経過時間はわずか15秒。

メネゼスそのまま崩袈裟固に抑え込む。浅見と近藤亜美の日本人決勝を期待する観客席からは思わず悲鳴があがるが、浅見は一瞬の間をおいて立ち直りリアクション、相手の上体を押し戻しながら転がり伏せて「解けた」の宣告を引き出す。

もはや「一本」、あるいは「指導4」を奪うしか勝利への道が残されていない浅見は両袖の小内刈に右背負投と取り味のある技を連発するが、メネゼスは得意の足技で展開を留保、「指導1」を失った残り1分半過ぎからは右背負投の掛け潰れで試合を流しに掛かり、2つ目の「指導」が宣告された時点で残り時間は僅か28秒。もはや浅見の勝利は絶望的と思われたが、浅見は「始め」が宣告されると同時にメネゼスに走り寄り、下がる相手の左膝裏に足先を入れて膝車。嫌ったメネゼスに反時計回りの移動を強いると、動くその先に作用足を伸ばして右足車の大技一発。メネゼスが崩れると上半身の捩じりを強め、最後まで投げ切って劇的な「技有」奪取。

寝技の攻防を経て「待て」が宣告された時点で残り時間は僅か4秒、敗戦を悟ったメネゼスは場外際で正座したまま、時計をみつめてガックリ。「始め」の声からほどなく試合は終了となり、浅見が「指導2」の優勢を以て見事決勝の畳へと駒を進めることになった。

どちらかというと相手の駆け引きの中に投げを嵌めていくタイプで強引な一発技に欠けるところのある浅見、追撃戦は苦手と思われていたがその予見を払いのける見事な逆転劇。攻めに攻めて流れを掴み、無理やり相手を固定しての大技一発は紛れもない強者の戦いぶり。間違いなく一段評価を上げた試合であった。

一方のメネゼスは直前までの不調が嘘のようなハイパフォーマンス。ムンクバットと浅見に畳を這わせた足技の一撃はこの人が「危険な選手」であり続けていることを雄弁に語るものであった。今後の国際大会の成績がどうあれ、地元開催のリオ五輪では相当な難敵になると認識しておくべきだろう。

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準決勝、近藤亜美がエブル・サヒンから小外刈「技有」

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決勝は近藤と浅見の日本人対決

【決勝】

近藤亜美〇合技[大外刈・袈裟固](3:52)△浅見八瑠奈

もう片側から決勝に勝ち上がって来たのはチェリャビンスク世界選手権王者・近藤亜美(三井住友海上)。

近藤は2回戦から登場、まず52kg級で活躍する若手選手ディストリア・クラスニキ(コソボ)をあっという間に浮落と縦四方固の合技「一本」(1:04)、準々決勝はナサリア・ブリヒダ(ブラジル)を縦四方固「一本」(1:58)、準決勝はエブル・サヒン(トルコ)から大内刈「有効」、小外刈「技有」、一本背負投「有効」と立て続けに奪っての圧勝で決勝進出決定。メネゼスという大山場を越えてきた浅見とは対照的に、中堅の選手を相手にきわめて順調な勝ち上がり。

決勝は両者右組みの相四つ。
近藤は相手と呼吸を合わせず先に「礼」を済ませて開始線内に踏み入りやる気十分、逸る気持ちを抑えられない様子。

双方引き手で袖を求め、開始からこの袖の確保を最前線とした激しい組み手争い。近藤が両袖を厭わず右足車で先制攻撃、浅見も右小内刈と支釣込足でリズムを整えながらチャンスを伺う。

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近藤が浅見の右袖を両手で抑え、「指導2」が宣告される

1分半を過ぎ、浅見が組み際に釣り手で片襟を握った支釣込足、近藤はこれをきっかけに引き手で袖を確保、直後組み際に片襟の右大外刈を見せる。これは深く入りかかったが近藤はその場に軸足の膝を落として追い切れず、流れる。

以後は足技の撃ち合いが続き、やや展開は膠着。しかし浅見の右小外刈を近藤が左一本背負投に切り返した直後の1分37秒、浅見に消極的との咎で「指導1」が宣告される。審判がスコアに差をつけたくなる時間帯に、近藤が的確に技を嵌めたという印象。

浅見は組み際の右大内刈、さらに左袖釣込腰と技を繋ぐ。続けて狙った釣り手を叩き入れながらの右足車はモーションの段階で止められたものの、立て続けに放った左袖釣込腰で近藤を大きく崩し、直後の2分33秒ついに近藤に「指導1」。残り時間1分半、勝負はスコア、展開ともまさに拮抗。

以後も引き手による袖の確保を双方最重視。浅見が右小外刈、近藤が右払腰と互いに不十分な組み手での攻め合いが続くが、近藤あまりにも袖の確保に拘って両手で浅見の右袖を掴んで絞り落したまま攻防を進めてしまい、3分11秒近藤に片袖の咎による「指導2」が宣告される。

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近藤の右大外刈が「技有」

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優勝の近藤亜美

残り時間49秒、ビハインドを負った近藤は直後果敢に前に出て引き手で浅見の右襟を掴むと、釣り手を片襟に叩き込みながら右大外刈に打って出る。一瞬前技である右払腰のフェイントを入れたこの技を浅見は抱き止め、後ろに踏ん張ろうとするが近藤の技のベクトルはすでにまさしくその真裏方向に向いており、浅見はこの刈りに耐えられず。膝裏に食い込んだ近藤の刈り足が綺麗に上がり、浅見は刺さる勢いで畳に落ちる。これは決定的な「技有」。

近藤はこの機を逃すまいとガッチリ袈裟固に抑え込み、浅見の抵抗を力づくで封じてフィニッシュ。残り8秒、「一本」が宣告されて熱戦の幕が下りた。

近藤はこれでグランドスラム東京大会3連覇達成。直接対決でライバル浅見に一本勝ちしての優勝は五輪代表争いにおいても非常に大きい意味を持つ。値千金の勝利であった。得意の払腰の残像を利用して大外刈を決めた勝負勘の良さ、その奔放な技を唯一無二の勝負どころで繰り出せる度胸の良さ、ワールドツアー優勝3大会のすべてを代表選考上の最重要大会であるグランドスラム東京で成し遂げるいう勝負強さはやはり特筆もの。準決勝まで難敵ナシというめぐりあわせの良さすら「(運を)持っている」と評したくなってしまう。

アスタナ世界選手権で銀メダルを獲得した浅見と、同大会銅メダルの近藤の五輪代表争いは先の読めない拮抗状態。少なくとも最終選考会である選抜体重別の直接対決まで、予断を許さない状況が続く。

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3位決定戦、コンドラチェワの右袖釣込腰でサヒンが負傷

表彰台には、3位決定戦でジュリア・フィギュロアを小外刈「技有」、小内巻込「一本」と圧倒したメネゼスと、ナタリア・コンドラチェワ(ロシア)が登壇。ムンクバットは敗者復活戦でコンドラチェワに一本負けを喫して7位、今大会も健闘のサヒンは3位決定戦でコンドラチェワの無茶な袖釣込腰で肘を負傷。担架で運び出されて棄権負けを喫し5位に終わった。

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1回戦、クリスティーナ・ルミャントセワが山崎珠美から裏投「一本」

世界ジュニアと講道館杯を制し、グランプリ青島でもムンクバットを破って優勝を飾っている渡名喜風南(帝京大2年)は2回戦でムンクバットと再戦。手堅い戦いぶりを崩せず「指導1」で敗れた。

山﨑珠美(山梨学院大4年)は1回戦敗退。クリスティーナ・ルミャントセワ(ロシア)に裏投で放り投げられ、僅か33秒で一本負けを喫した。ルミャントセワは今年のグランドスラム・チュメニで2位入賞を果たしているがここ2年のツアーでの平均成績は5位から7位、予選ラウンド敗退も数多くこのレベルの大会ではアウトサイダー。この選手に、得意とするはずの接近戦パワーファイトで「秒殺」されてしまうという非常に厳しい結果だった。

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48kg級入賞者。左から浅見、近藤、コンドラチェワ、メネゼス。

【入賞者】
(エントリー24名)
1.KONDO, Ami(JPN)
2.ASAMI, Haruna(JPN)
3.KONDRATYEVA, Nataliya(RUS)
3.MENEZES, Sarah(BRA)
5.FIGUEROA, Julia(ESP)
5.SAHIN, Ebru(TUR)
7.BRIGIDA, Nathalia(BRA)
7.MUNKHBAT, Urantsetseg(MGL)

【日本代表選手成績】

近藤亜美(三井住友海上):優勝
浅見八瑠奈(コマツ):2位
渡名喜風南(帝京大2年):2回戦敗退
山﨑珠美(山梨学院大4年):1回戦敗退

【準々決勝】

サラ・メネゼス(ブラジル)○出足払(1:26)△ムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)
浅見八瑠奈〇合技[払腰・袈裟固](3:17)△ナタリア・コンドラチェワ(ロシア)
エブル・サヒン(トルコ)○優勢[技有・崩袈裟固]△ジュリア・フィギロア(スペイン)
近藤亜美○縦四方固(1:58)△ナサリア・ブリヒダ(ブラジル)

【敗者復活戦】

ムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)○背負投(1:16)△ナタリア・コンドラチェワ(ロシア)
ジュリア・フィギロア(スペイン)○優勢[指導1]△ナサリア・ブリヒダ(ブラジル)

【準決勝】

浅見八瑠奈〇優勢[指導3]△サラ・メネゼス(ブラジル)
近藤亜美〇優勢[技有・小外刈]△エブル・サヒン(トルコ)

【3位決定戦】

ナタリア・コンドラチェワ(ロシア)〇棄権(2:31)△エブル・サヒン(トルコ)
サラ・メネゼス(ブラジル)〇小内刈(1:45)△ジュリア・フィギロア(スペイン)

【決勝】

近藤亜美〇合技[大外刈・袈裟固](3:52)△浅見八瑠奈

【日本代表選手勝ち上がり】

近藤亜美(三井住友海上)
成績:優勝

[2回戦]
近藤亜美〇合技[浮落・縦四方固](1:04)△ディストリア・クラスニキ(コソボ)

[準々決勝]
近藤亜美〇縦四方固(1:58)△ナサリア・ブリヒダ(ブラジル)

[準決勝]
近藤亜美〇優勢[技有・小外刈]△エブル・サヒン(トルコ)

[決勝]
近藤亜美〇合技[大外刈・袈裟固](3:52)△浅見八瑠奈

浅見八瑠奈(コマツ)
成績:2位

[2回戦]
浅見八瑠奈〇優勢[指導3]△ダヤリス・メストレ アルバレス(キューバ)

[準々決勝]
浅見八瑠奈〇合技[足車・崩袈裟固](3:17)△ナタリア・コンドラチェワ(ロシア)

[準決勝]
浅見八瑠奈〇優勢[指導3]△サラ・メネゼス(ブラジル)

[決勝]
浅見八瑠奈△合技[大外刈・袈裟固](3:52)〇近藤亜美

渡名喜風南(帝京大2年)
成績:2回戦敗退

[1回戦]
渡名喜風南〇横四方固(2:16)△アンドレア・ゴメス(ベネズエラ)

[2回戦]
渡名喜風南△優勢[指導1]〇ムンクバット・ウランツェツェグ(モンゴル)

山﨑珠美(山梨学院大4年)
成績:1回戦敗退

[1回戦]
山﨑珠美△裏投(0:33)〇クリスティーナ・ルミャントセワ(ロシア)

※ eJudoメルマガ版12月18日掲載記事より転載・編集しています。

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