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髙藤直寿圧勝V、ナンバーワンの実力あらためて証明・グランドスラム東京60kg級レポート

(2015年12月16日)

※ eJudoメルマガ版12月16日掲載記事より転載・編集しています。
髙藤直寿圧勝V、ナンバーワンの実力あらためて証明
グランドスラム東京60kg級レポート
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準々決勝、髙藤直寿がダシュダヴァー・アマーツブシンから左一本背負投「有効」

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準決勝、髙藤がキム・ウォンジンの払腰を返して2つ目の「技有」獲得

【決勝】

髙藤直寿〇合技[袖釣込腰・大内刈](3:08)△ベスラン・ムドラノフ(ロシア)

アスタナ世界選手権を制したイェルドス・スメトフ(カザフスタン)こそ不在だが、世界選手権で表彰台を狙うクラスの主役級が軒並み参加した豪華トーナメント。

その中を決勝まで勝ち抜いたのは第4シードの髙藤直寿(東海大4年)と、Bシード配置ながら髙藤最大のライバルと目されたベスラン・ムドラノフ(ロシア)の2人。もっとも可能性が高いと思われたシナリオが実現した恰好、期待通りの強者対決となった。

5月のワールドマスターズ、10月のグランドスラム・パリに続く今季ワールドツアー3つ目のタイトルを狙う髙藤は一貫して動き鋭く、非常に良い勝ち上がり。1回戦でアン・ジャンチイ(中国)をあっと言う間の上四方固「一本」(0:49)、2回戦ではルクミ・チュクビミアニ(ジョージア)を攻めに攻めまくって「指導2」優勢で下し、準々決勝ではリオ世界選手権決勝の再現カードとなるダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)との対戦を、「指導1」リードの残り8秒で挙げた左一本背負投「有効」を以て危なげなく勝ち抜く。

圧巻は第1シードのキム・ウォンジン(韓国)との準決勝。2分28秒にキムの背後に体を捨てて谷落で引きずり倒し「技有」獲得、さらに焦ったキムの払腰を完璧に制して隅落「技有」と、世界選手権で2度銅メダルを獲得した強豪を今回もまったく相手にせず完勝。充実の内容で決勝進出を決めた。

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準々決勝、ベスラン・ムドラノフが青木大から左大内刈「一本」

一方のムドラノフはチェリャビンスク世界選手権準決勝で微妙な判定ながら髙藤に勝利して銀メダルを獲得している強者。2回戦はヤン・シッカルディ(モナコ)に支釣込足「有効」を失うも、大内刈「技有」に払腰返「有効」と連取して快勝、3回戦はエリック・タカバタケ(ブラジル)を小内刈「一本」(2:10)に仕留め、準々決勝はここまで快進撃の青木大(日体大3年)を抱きつきの大内刈「一本」(0:43)で一蹴。準決勝はアスタナ世界選手権銅メダリスト志々目徹(了徳寺学園職)を片襟、背中と釣り手の位置を変えながら淡々と攻め続け、1分4秒双方に「指導」、2分4秒に志々目に場外の「指導」、さらに3分37秒再び志々目に場外の「指導」と反則ポイントを連取。展開の要所を抑えて「指導3」対「指導2」で勝ち抜けを決め、髙藤の待つ決勝へとたどり着くこととなった。

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決勝、髙藤が右袖釣込腰、左で相手の首を抱えると振り向きながら裏へ押し込み「技有」獲得。

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髙藤が左大内刈、ムドラノフは引込返を狙った形のまま真裏に倒れ「技有」

決勝は髙藤が左、ムドラノフが右組みのケンカ四つ。
開始早々髙藤が右袖釣込腰、横向きに背中に載ったムドラノフを固定せんと左手を相手の首裏越しに回して背中を掴み、コントロールを試みる。これを感知したムドラノフはバランスを取り直してその背から降りるが、髙藤振り向きざまにその降りる方向に胸を合せて押し込む。さしものムドラノフもこの速い、そして異次元の展開についていけずに転がり「技有」。

ここまで僅か15秒。毒気を抜かれたムドラノフは気を取り直して釣り手を深く背中に、あるいはクロスに入れて短躯の髙藤を組み手で制そうと試みるが、髙藤は横落に左の大外刈、左の一本背負投と速いリアクションで取り味のある技を仕掛け続けて対抗、まったく展開を譲らず。

3分8秒、ムドラノフが釣り手をクロスに叩き入れる。と見えた瞬間既にアクションを起こした髙藤は深々と左大内刈。ムドラノフは返そうとしたまま足元を掬われて吹っ飛び「技有」。

この一撃で合技「一本」、髙藤の優勝が決定した。ダシュダヴァー、キム、ムドラノフと世界選手権で優勝を狙うレベルの強豪を3タテ、それもいずれも紛うことなき圧勝という完璧な形での優勝劇だった。

ダシュダヴァーが背中を持った瞬間に仕掛けた左一本背負投「有効」、ムドラノフの釣り手がクロスに入った瞬間決めて見せた大内刈「技有」。他にも同種の場面は多々あったが、この2つに現在の髙藤の「方針」は明らかだ。

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優勝の高藤直寿。今季はこれでワールドマスターズ、グランドスラムパリに続いてハイレベル大会3連勝。

「組み合う」新ルールの中にあって、双方まともに組み合った地力比べ、技比べでは髙藤が明らかにナンバーワン。となるとライバルたちは体の小さい髙藤を力づくで制すべく、釣り手で脇を差し、あるいはクロスに入れて背中を抱えるといった変則パワーファイトを挑むしかない。そしてその「傾向と対策」に対し、あらゆる形に多種多様な、それもその全てが自身の攻撃というリアクショントラップを用意して対抗するという、グランドスラムパリで見せた髙藤の「五輪モード」の新スタイルが一段明確になった大会であったのではないだろうか。この素早く、かつ攻撃性の極めて高い「躊躇なき攻撃への変換」という方法論にライバル達が対応できる気配はいまのところなし。スイッチを押した瞬間襲ってくる髙藤の攻撃に攻め手を封じられ、結局はその餌食となっていった。

即応性の高さと反応スピードはもともと髙藤最大の長所であり、ここを前面に押し出したこの手立てをライバル達が攻略するのは至難の業。持てば投げられ、持たずば反則、ならばと手順を飛ばして優位を取りに行くと待ってましたと意外な発想で技が飛んでくる。かつて標榜した「あくまで二本持つことで相手の研究の上を行く」という方針とは違ったベクトルでの上積みではあるが、リオ五輪に向けて髙藤の「本命」としての存在感が一段上がった印象であった。

この結果と内容を以て、髙藤のリオ五輪代表権獲得はほぼ確定。他階級に何人か存在する「出来ればもう国際大会には出さずプロテクトすべき」「最終予選として意味のない選抜体重別に出場させるべきではない」唯一の代表候補というステージに上り詰めたと言える。強化陣には、髙藤(に限らずこの枠に到達した選手達)が五輪の畳に最高のコンディションで臨めるよう、スケジュール面で最大限の配慮をお願いしたいところだ。

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ムドラノフと志々目徹の準決勝

五輪代表争いにおける唯一の対抗馬であった志々目は前述の通り準決勝でムドラノフに敗退、3位決定戦は日本人選手の「お客さん」であるロンドン五輪3位のフェリペ・キタダイ(ブラジル)を鮮やかな左内股「一本」に仕留めて持ち味を見せたが、準決勝では静かな試合展開を壊せず、課題であった攻めの遅さを払拭出来たとは言い難い出来。実績ナンバーワン選手である髙藤の今大会のパフォーマンスの良さと比較すると、残念ながら代表争いはほぼ終戦の気配。準々決勝までは表彰台クラスとのマッチアップがない恵まれた組み合わせであっただけになんとか髙藤との直接対決ステージまでは辿り着きたかったところだが、唯一立場逆転の目があったこのカードは実現ならず。失意の大会であった。

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1回戦、青木大がガヴィン・モゴパ(ボツワナ)を相手に珍しい「小手絞り」からの絞技を決める

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最後は馬乗りに被さって絞め上げ「一本」

グランプリ青島では持ち味を発揮出来ず初戦敗退に終わった青木大は、今大会では面目躍如の大活躍。初戦では柔術で言う「小手絞り」からの絞技で一本勝ち、3回戦では第2シード選手のアミラン・パピナシビリ(ジョージア)から巴投「有効」に三角絞「一本」と連取して勝利、敗者復活戦のルドウィック・シャンマルタン(スイス)戦も腕挫脚固で勝利するなど、いかにもこの人らしい面白い試合を連発。3位決定戦はキム・ウォンジンに逆に裸絞「一本」という珍しい決まり技で敗れて最終成績は5位だったが、勝ちも負けも良い意味でのケレン味たっぷり。存在感を発揮した大会だった。

講道館杯王者の山本浩史(ALSOK)は1回戦で敗退。ルドウィグ・ペイシャー(オーストリア)の隅返を受けた際に足を抱えたと判断され、ダイレクト反則負け。かつて優勝したグランドスラムの畳に上がった時間は僅か1分39秒、残念な大会であった。

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60kg級入賞者。左からムドラノフ、高藤、志々目、キムウォンジン。

【入賞者】
(エントリー44名)
1.TAKATO, Naohisa(JPN)
2.MUDRANOV, Beslan(RUS)
3.KIM, Won Jin(KOR)
3.SHISHIME, Toru(JPN)
5.AOKI, Dai(JPN)
5.KITADAI, Felipe(BRA)
7.CHAMMARTIN, Ludovic(SUI)
7.DASHDAVAA, Amartuvshin(MGL)

髙藤直寿選手のコメント

「『高藤を出しておけば必ず金メダルが取れるだろう』と回りに思って貰えるような試合を目指して戦いました。自分の柔道をしっかりやれば誰にも負けないだろうという自信が出来た大会です。世界選手権は出ることが出来ず、代表の志々目選手が負けた相手は僕が全部勝っている選手で、その舞台にすら立てないのかと余計に悔しい思いをしました。負けたり、問題を起こしてしまったり、そういう自分を井上監督が見捨てずに声を掛けてくれて『ここから頑張り直そう、自分のためだけでなく監督のためにもう1回頑張ろう』と思うことが出来ました。感謝しています。来年は、夢を叶える1年にしたいです」


【日本代表選手成績】

髙藤直寿(東海大4年):優勝
志々目徹(了徳寺学園職):3位
青木大(日体大3年):5位
山本浩史(ALSOK):1回戦敗退

【準々決勝】

キム・ウォンジン(韓国)〇優勢[有効・隅落]△フェリペ・キタダイ(ブラジル)
髙藤直寿〇優勢[有効・一本背負投]△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
ベスラン・ムドラノフ(ロシア)〇大内刈(0:43)△青木大
志々目徹〇優勢[指導2]△ルドウィック・シャンマルタン(スイス)

【敗者復活戦】

フェリペ・キタダイ(ブラジル)〇優勢[指導3]△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
青木大〇腕挫脚固(2:26)△ルドウィック・シャンマルタン(スイス)

【準決勝】

髙藤直寿〇合技[谷落・隅落]△キム・ウォンジン(韓国)
ベスラン・ムドラノフ(ロシア)〇優勢[指導3]△志々目徹

【3位決定戦】

志々目徹〇内股(4:59)△フェリペ・キタダイ(ブラジル)
キム・ウォンジン(韓国)〇裸絞(2:16)△青木大

【決勝】

髙藤直寿〇合技[袖釣込腰・大内刈](3:08)△ベスラン・ムドラノフ(ロシア)

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1回戦、高藤はあっという間の上四方固でアン・ジャンチイに一本勝ち

【日本代表選手勝ち上がり】

髙藤直寿(東海大4年)
成績:優勝

[2回戦]
髙藤直寿〇上四方固(0:49)アン・ジャンチイ(中国)

[3回戦]
髙藤直寿〇優勢[指導2]△ルクミ・チュクビミアニ(ジョージア)

[準々決勝]
髙藤直寿〇優勢[有効・一本背負投]△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)

[準決勝]
髙藤直寿〇合技[谷落・隅落]△キム・ウォンジン(韓国)

[決勝]
髙藤直寿〇合技[袖釣込腰・大内刈](3:08)△ベスラン・ムドラノフ(ロシア)

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3位決定戦、志々目徹がフェリペ・キタダイを鮮やかな左内股「一本」に仕留める

志々目徹(了徳寺学園職)
成績:3位

[2回戦]
志々目徹〇優勢[有効・背負]△チョ・インヒョク(韓国)

[3回戦]
志々目徹〇優勢[技有・大外刈]△フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)

[準々決勝]
志々目徹〇優勢[指導2]△ルドウィック・シャンマルタン(スイス)

[準決勝]
志々目徹△優勢[指導3]〇ベスラン・ムドラノフ(ロシア)

[3位決定戦]
志々目徹〇内股(4:59)△フェリペ・キタダイ(ブラジル)

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敗者復活戦、青木大が腕挫脚固で一本勝ち

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3位決定戦、キム・ウォンジンが青木大の虚を突き、裸絞「一本」

青木大(日体大3年)
成績:5位

[1回戦]
青木大〇送襟絞(2:08)△ガヴィン・モゴパ(ボツワナ)

[2回戦]
青木大〇GS技有・内股(GS1:02)△ツェンドチル・ツォグトバータル(モンゴル)

[3回戦]
青木大〇三角絞(3:32)△アミラン・パピナシビリ(ジョージア)

[準々決勝]
青木大△大内刈(0:43)〇ベスラン・ムドラノフ(ロシア)

[敗者復活戦]
青木大〇腕挫脚固(2:26)△ルドウィック・シャンマルタン(スイス)

[3位決定戦]
キム・ウォンジン(韓国)〇裸絞(2:16)△青木大

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1回戦、山本浩史はルドウィグ・ペイシャーの隅返に思わず脚を抱えてしまう

山本浩史(ALSOK)
成績:1回戦敗退

[1回戦]
山本浩史△反則(1:39)△ルドウィグ・ペイシャー(オーストリア)

※「足取り」によるダイレクト反則負け

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