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グランドスラム東京最終日5階級ひとこと展望

(2015年12月5日)

※ eJudoメルマガ版12月5日掲載記事より転載・編集しています。
最終日5階級(男子90kg級、100kg級、100kg超級、女子78kg級、78kg超級)ひとこと展望
グランドスラム東京
■ 90kg級・メダリストがズラリ揃った大会きっての激戦階級、第1シードはアスタナ王者のガクドンハン
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アスタナ世界選手権で一気に躍進、90kg級で頂点を極めたガク・ドンハン

【階級概況・有力選手】

アスタナ世界選手権王者のガク・ドンハン(韓国)を筆頭にイリアス・イリアディス(ギリシャ)、アスレイ・ゴンザレス(ギリシャ)と世界王者が3人、さらにヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)にクリスチャン・トート(ハンガリー)、ベイカー茉秋に西山大希と世界大会のメダル経験者がズラリ揃った豪華トーナメント。技の切れ味なら階級ナンバーワンの吉田優也に一発屋のセリオ・ディアス(ポルトガル)、ツアー皆勤で成績上昇中のノエル・ファンテンド(オランダ)とダークホース位置にもタイプの違う好役者が揃った、大会屈指の激戦階級だ。

優勝候補の軸は現役世界王者のガクとしておくべきなのだろうが、相性、地力、コンディション取り混ぜると現在のこの階級に絶対的な存在はない。ガク、イリアディス、リパルテルアニとトート、それに日本勢を入れたところまでが優勝候補と考えておくべきだろう。

日本の五輪代表争いは世界選手権で2大会連続を務め、今年のアスタナで銅メダルを獲得したベイカーが一歩リード。グランドスラム・パリで西山大希が予選ラウンド敗退に終わり、吉田優也が負傷欠場したという周囲の事情がこの一強構図をさらに補強しているという状況だ。吉田か西山の優勝を持ってのみ、この勢力図に変化が起こる可能性がある。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ガク・ドンハン(韓国)
Bシード選手:西山大希(新日鐵住金)

ガクと西山が突出、これを覆し得る曲者の影もなし。両者の激突は不可避だ。
西山は2013年グランドスラム東京でガクを下して優勝、以降は2014年グランドスラム東京、今年のグランプリ・デュッセルドルフにアジア選手権と形上は3連覇を喫しているがその内容は決して結果ほどの差があるものではない。相手に組ませず、間合いをずらしながら一種自分勝手に試合を進めるタイプのガクにとって、しっかり持って威力ある一発を狙う西山は決してやりやすい相手ではないはず。ペースに嵌らないように足技で崩しながら自分の形に持ち込みたい。

【プールB】
Aシード選手(第4シード):クリスチャン・トート(ハンガリー)
Bシード選手:ベイカー茉秋(東海大3年)

チェリャビンスク世界選手権2位のトート、アスタナ世界選手権3位のベイカーと同世代の若い選手がシードを張る。両者の準々決勝対決はほぼ確実、ベイカーはアスタナ世界選手権の敗者復活戦で内股透「有効」で勝利しており、ここは連勝してしっかり序列を見せつけておきたいところ。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)
Bシード選手:アスレイ・ゴンザレス(キューバ)
有力選手:吉田優也(旭化成)、セリオ・ディアス(ポルトガル)

非常に密度の高い山。上側の山では吉田が2回戦でリパルテリアニに挑戦、下側の山ではゴンザレスとディアスが準々決勝進出を争う。ネームバリューはリパルテリアニだが、コンディションさえ整っていれば吉田勝利の可能性は十分。

22歳のディアスは2014年世界選手権でベイカーを大外刈一発に仕留めて周囲を驚かせた選手だが以後は極端に低迷。あまりのメンタルの脆さに再浮上の可能性は薄いかと思われたが、技種を増やして今季は意外な躍進。6月のグランプリ・ブタペストでツアー初優勝を飾ると、10月のグランドスラム・パリでは西山大希を巴投「有効」からの横四方固という完璧な内容で下し3位入賞を果たしている。不確定要素として注目しておきたい。五輪に向けて緩やかにコンディションを上げて来ている模様のゴンザレスの出来にも注目だ。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ノエル・ファンテンド(オランダ)
Bシード選手:イリアス・イリアディス(ギリシャ)
有力選手:キリル・ヴォプロソフ(ロシア)
日本選手:大辻康太(日本エースサポート)

大辻は上側の山に配され、初戦でマーカス・ニマン(スウェーデン)、2回戦でファンテンドに挑戦。ニマンは2010年の欧州選手権優勝以後は低迷、しかしツアーに皆勤を続けて10月のグランドスラムアブダビでは3位入賞の大躍進、先週の済州大会では学生王者江畑丈夫を「指導4」で破るなど久々存在感を発揮しているタイミング。大辻としては、国際大会で戦う力があることを、まずこの初戦に勝利することで証明したいところ。

■ 100kg級・90kg級と並ぶ最激戦階級、王者羽賀龍之介を巡る戦術選択に注目
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内股一本槍で世界王者に辿り着いた羽賀龍之介

【階級概況・有力選手】

ここも90kg級に劣らずスター選手が目白押し。現役世界王者羽賀龍之介(旭化成)に14年世界選手権の覇者ルーカス・クルパレク(チェコ)、13年の覇者エルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)と直近3年間の金メダリストが全て揃い、世界王座経験者ということであればナイダン・ツブシンバヤル(モンゴル)とルシアーノ・コヘア(ブラジル)の老雄2人も参戦。第1シードにはワールドランキング1位のエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)が座り、爆発力のある不確定要素としてはイワン・レマレンコ(UAE)とホセ・アルメンテロス(キューバ)の一発屋2人、さらに現在グランプリ2大会連続優勝中の日本代表ウルフアロン(東海大2年)と、世界選手権を超えるレベルの強豪が打ち揃ってエントリーしている。2週連続優勝を狙うチョ・グハン(韓国)に今大会から階級を上げたヴェカ・グビシアシビリ(ジョージア)までエントリーを敢行し、ちょっと異常な密度のトーナメントとなっている。

みどころとしては得意の内股で欧州シリーズを勝ちまくり、かつその内股一本槍で世界の頂点を極めた羽賀龍之介がどのような戦いを志向し、周囲がどう止めに来るかだ。一段上のレベル、新しい手立てを上積みしないと勝てないはずの五輪に向け、羽賀の柔道の進むべき方向が測られる大会。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
Bシード選手:ホセ・アルメンテロス(キューバ)
有力選手:ウルフアロン(東海大2年)、イワン・レマレンコ(UAE)

通常無風になるはずのプールAだが、ガシモフに第1シードのアドバンテージはまったくなし。これぞダークホースという最高到達点の高い3名がまとめて突っ込まれた激戦ブロックだ。

日本のファンの注目はウルフに集まる。本格派の大型選手を、それも密着したまま捌けるのがウルフの長所だが、担ぎの爆発力抜群のアルメンテロス、離れた間合いから怖じずに飛び込んでくるレマレンコは少々毛色が異なる。まずは2回戦のガシモフ越えが目標だが、意外と怖いのはこの2人と連戦する3回戦、準々決勝。

【プールB】
Aシード選手(第4シード):羽賀龍之介(旭化成)
Bシード選手:マーティン・パチェック(スウェーデン)
有力選手:ヴェカ・グビニアシビリ(ジョージア)

羽賀は準々決勝まで無風。準々決勝はパチェックかグビニアシビリとの対戦が濃厚だが、少なくとも巴投ファイターのパチェックはこれまでの戦いから様相の計算が立つ。順行運転で羽賀の勝利を推しておく。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ルーカス・クルパレク(チェコ)
Bシード選手:チョ・グハン(韓国)
有力選手:ツブシンバヤル・ナイダン(モンゴル)、下和田翔平(京葉ガス)

長身で懐深いクルパレクに、短躯で下から潜るように試合を作ってくるチョ・グハンとナイダンは相性的にやりにくい相手であり、このブロックの勝ち上がりの行方は混沌。下和田は初戦でチョと対戦、いきなり大きな山場を迎える。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):シリル・マレ(フランス)
Bシード選手:マキシム・ラコフ(カザフスタン)
有力選手:エルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)、ルシアーノ・コヘア(ブラジル)
日本選手:高木海帆(日本中央競馬会)

ノーシードのママドフの勝ち上がりを推しておきたい。対抗し得るのは地力を越えた足業という序列上昇のハシゴを持つラコフ。

■ 100kg超級・第1シードの七戸龍を軸に、トーナメントの主役は日本勢
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世界選手権で2大会連続の銀メダルを獲得している七戸龍

【階級概況・有力選手】

2週連続優勝を飾った絶対王者テディ・リネール(フランス)が戦略的に出場を回避。第1シードの七戸龍を中心に、グランドスラム・チュメンとグランドスラム・パリを素晴らしい内容で優勝している原沢久喜、昨年の全日本選手権覇者である王子谷剛志、そして講道館杯に優勝しギリギリで代表に滑り込んだロンドン五輪代表上川大樹と揃った日本勢4名が優勝争いの中心だ。率直にいって、七戸が一番手を走る日本の五輪代表争いが日本、そして世界のファンが注視する最大のポイントなのではないだろうか。

海外勢は今季好調のキム・スンミン(韓国)に、スタイルをマイナーチェンジして復活基調にあるアダム・オクルアシビリ(ジョージア)、新進気鋭のイアキフ・カモー(ウクライナ)の3人に注目。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):七戸龍(九州電力)
Bシード選手:王子谷剛志(旭化成)
有力選手:アスラン・カンビエフ(ロシア)

七戸と王子谷が同居する超過酷なブロック。優勝する以外に五輪への道を繋ぎ止めることが出来ない王子谷にとってはまさしく正念場。

【プールB】
Aシード選手(第4シード):レヴァニ・マテアシビリ(ジョージア)
Bシード選手:キム・スンミン(韓国)

西潟健太ばりの「ハンドル投げ」に高橋和彦ばりの浮技と、技数を増やすことで復活を遂げたキムが勝ち上がり候補の第一。マテアシビリは好選手だが、現在のキムを止めることは難しいだろう。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):アダム・オクルアシビリ(ジョージア)
Bシード選手:イアキフ・カーモ(ウクライナ)
有力選手:上川大樹(京葉ガス)

上川が2回戦でオクルアシビリ、準準決勝でカーモと激突。裏投と隅落一辺倒から浮技を交えてスタイルを変化させつつあるオクルアシビリの試合の進め方に注目。勝ち上がり候補の第一は上川。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ロイ・メイヤー(オランダ)
Bシード選手:原沢久喜(日本中央競馬会)
有力選手:ダビド・モウラ(ブラジル)

原沢はモウラ、メイヤーと力も技もハッキリ測れている2人との連戦。良い勝ち方で、後半戦に向けた勢いをつけておきたい。猪突型のメイヤーはともかく、巴投と寝技でリズムを作ってくるモウラは時間を掛けると厄介。しっかり圧をかけて体力を消耗させながら試合を進めたい。

■ 78kg級・世界王者梅木の実力検証にハリソンら強者の逆襲、寝技師濵田の戦いぶりと見どころ満載の注目階級
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アスタナ世界選手権で優勝を果たした梅木真美

【階級概況・有力選手】

一言で言って非常に面白い階級。注目すべき視点をいくつか挙げると。

まずは梅木真美の実力再検証。環太平洋大のポリシーある育成に支えられ、あくまで二本持って相手を追い込み、取り味のある寝技を展開して一気に世界選手権を制した梅木だが、同大会ではトーナメントの「荒れっぷり」に助けられた感もややあり。ここ数年他を大きく引き離していたケイラ・ハリソン(アメリカ)、マイラ・アギアール(ブラジル)、オドレイ・チュメオ(フランス)らとの直接対決はなく、今大会は安定感、もっとくだけた言い方をすれば「その強さが本物かどうか」を測られる大会になるだろう。

その「世界選手権王者グループ」の逆襲がもう1つのテーマ。今大会にはワールドツアーを含めた通算の序列では誰もが最強と認めるであろうハリソン、地元開催の五輪に向けて復調を期すアギアールの世界王者2人が参加。世界選手権後初お目見えとなる梅木に対して相当なライバル心を抱いてくることは想像に難くない。ここで潰しておけば梅木の優勝を「アクシンデント」の域に押し込め、ツアー上位常連にその位相を押し戻すことも可能。激しい試合が展開されるのではないだろうか。

そして選抜体重別、実業個人、講道館杯の国内3大会を制したばかりか、2週間前のグランプリ青島ではハリソンとチュメオの世界王者2人をそれぞれ得意の腕緘と送襟絞で完璧に下して優勝を果たした濵田尚里の活躍が見逃せない。今大会でもこのレベルの勝ちっぷりを見せて優勝となれば梅木を脅かす存在として五輪代表争いに加わることも十分可能。緒方亜香里と佐藤瑠香の復活なるかという重大トピックを越えた、大きなみどころだ。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ケイラ・ハリソン(アメリカ)
Bシード選手:ヴィクトリア・タークス(トルコ)
有力選手:緒方亜香里(了徳寺学園職)

緒方が準々決勝でかつてのライバル・ハリソンに挑む。復調のアピールにあたってハリソン狩りはこれ以上ない絶好の場であり、かつ勝利必須の超重要試合でもある。腰の差し合いで堂々渡り合った北京-ロンドン期のイメージと引き比べつつ、その戦いぶりを観察したい。

【プールB】
Aシード選手(第4シード):梅木真美(環太平洋大3年)
Bシード選手:マイラ・アギアール(ブラジル)

梅木とアギアールが激突。足技が巧くパワーも十分のアギアールに、アスタナで梅木が見せた「組んで崩す」ことで相手の良さを消していくような図太い試合が展開出来るかどうかが勝敗のカギを握る。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)
Bシード選手:ヨー・アビゲイル(ハンガリー)
日本選手:佐藤瑠香(コマツ)

混戦ブロック。ヴェレンチェクと佐藤の準々決勝対決を推す。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):フッシェ・ステインハウス(オランダ)
Bシード選手:マデリーン・マロンガ(フランス)
有力選手:濵田尚里(自衛隊体育学校)

注目の濵田、初戦はフランス期待の新鋭マロンガが相手。準々決勝でマッチアップするステインハウスも含め他と比べるとこのブロックは陣容薄し。濵田の「引き」は決して悪くない。後半戦に向けて勢いがつくような面白い戦いを期待したい。

■ 78kg超級・第1シードのオルティスは出来に疑問符、アンドルと山部、アルセマムが優勝争いの3強
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3度世界王座に就いたオルティス、今大会は第1シードもその出来は疑問

【階級概況・有力選手】

2012年ロンドン五輪、2013年リオ世界選手権、2014年チェリャビンスク世界選手権と3年連続で世界タイトルを獲得し、今夏のアスタナ世界選手権でも素晴らしいパフォーマンスを披露したイダリス・オルティス(キューバ)が第1シードで参戦。

しかし周知の通りこの選手は好不調の波が激し過ぎ、実はワールドツアー(グランプリ以上)での優勝は1度もなし。2週間前の青島、先週の済州ともにまったく冴えない出来であり今大会も好パフォーマンスが期待出来る状況ではない。

オルティスのライバルであるマリア・スエレン・アルセマム(ブラジル)、今季躍進著しいエミリー・アンドル(フランス)、そして日本の山部佳苗が優勝争いの3強と見ておきたい。山部としては。五輪代表争いを独走し始めた感のある田知本愛を追撃するために優勝以外に選択肢がない状況。覚悟のある試合を見せて欲しい。昨年決勝を争った稲森奈見と朝比奈沙羅、若手2人の追い上げにも期待。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):イダリス・オルティス(キューバ)
Bシード選手:冨田若春(埼玉栄高3年)
有力選手:ヴァネッサ・ザンボッティ(メキシコ)

冨田は初戦のラリッサ・セリック(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、2回戦のザンボッティ戦を勝ち抜けば「オルティス越え」の機会が与えられるという好配置。ぜひこのチャンスを生かして欲しい。


【プールB】
Aシード選手(第4シード):スヴィトラナ・イアロムカ(ウクライナ)
Bシード選手:ヤスミン・クルブス(ドイツ)
有力選手:朝比奈沙羅(東海大1年)

勝ち上がり候補はワールドツアー2週連続優勝を狙う朝比奈で間違いないかと思われる。クルブスというビッグネームも配置されたが、本命は朝比奈。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):エミリー・アンドル(フランス)
Bシード選手:クセニア・チビソワ(ロシア)
有力選手:イリナ・キンザルスカ(ウクライナ)

強者アンドルと曲者チビソワが勝ち上がりを争うというなかなか面白いブロック。勝ち上がり候補はアンドル。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):山部佳苗(ミキハウス)
Bシード選手:稲森奈見(三井住友海上)
有力選手:マリアスエレン・アルセマム(ブラジル)、サラ・アドリントン(イギリス)

大激戦区でここも様相読み難し。山部は初戦でいきなりアルセマムと対戦、自分のペースでしっかり試合を進めたい。

※ eJudoメルマガ版12月5日掲載記事より転載・編集しています。

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