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グランドスラム東京第2日4階級ひとこと展望

(2015年12月4日)

※ eJudoメルマガ版12月4日掲載記事より転載・編集しています。
第2日4階級(男子73kg級、81kg級、女子63kg級、70kg級)ひとこと展望
グランドスラム東京
■ 73kg級・充実の日本勢がトーナメントの主役、躍進著しいアンチャンリンが対抗一番手
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昨年世界選手権で2度目の優勝を果たした中矢力

【階級概況・有力選手】

日本が世界選手権で5連覇中と「王国」を築いているこの階級であるが、その第一人者である大野将平(旭化成)が直前で欠場表明。それでも日本勢の陣容は厚く、中矢力(ALSOK)と秋本啓之(了徳寺学園職)の世界王者2人、そして選抜体重別と講道館杯を制して2週間前のグランプリ・青島にも優勝している橋本壮市(パーク24)を加えた充実の布陣で海外勢を迎え撃つ。五輪代表争いは大野が大幅リードしている情勢だが、中矢と秋本の2人にとっては差を詰めることが出来る数少ないチャンスだ。

海外勢の一番手はアスタナ世界選手権で唯一王者・大野に「技有」の一太刀を浴びせることに成功したアン・チャンリン(韓国)。続くグループにはロンドン五輪王者のマンスール・イサエフとムサ・モグシコフのロシア勢、躍進著しいガンバータル・オドバヤルとサインジャルガル・ニャムオチルの2枚を投入してきたモンゴル勢が強力。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):アン・チャンリン(韓国)
Bシード選手:ラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)
日本選手:田村和也(パーク24)

アンと、66kg級ロンドン五輪金メダリストのラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)がシードを張る山。アンは背負投と小内刈のコンビネーションを軸に左右に担ぎ捲るクラシカルなスタイルの選手だが、その技の威力は抜群。近い間合いでもあっという間に相手の懐の中で回転してしまう「巧さ」と投げ切る馬力は同階級選手の畏怖の的だ。隅返一本槍から脱却して序列を駆け上がっている最中のシャフダトゥアシビリといえども攻略は難しいと見る。田村の活躍に期待しつつ、勝ち上がり候補の第1はアン。


【プールB】
Aシード選手(第4シード):ミクロス・ウングバリ(ハンガリー)
Bシード選手:中矢力
有力選手:ガンバータル・オドバヤル(モンゴル)、ムサ・モグシコフ(ロシア)、ヴィクター・スクボトフ(UAE)

ウングバリがシードを張る上側の山は、そのウングバリ自身を加えてさほどレベルが高くない真空地帯。逆に中矢の山はその割を食うかのように強豪を吸引。スクボトフ、モグシコフも最高到達点が高く面倒な選手だが、勢いからすると勝っておくべきはアスタナ世界選手権で5位入賞のオドバヤルではないだろうか。長身で体幹が強く、柔道も大きい。サインジャルガルから同国一番手の座を奪わんとする、まさしくその中途にあると観察できる選手だ。勝ち上がり候補は中矢、ダークホースはガンバータル。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ヌグザリ・タタラシビリ(ジョージア)
Bシード選手:ロク・ドラクシック(スロベニア)
日本選手:橋本壮市(パーク24)

今季のワールドマスターズ銀メダリスト、選手間の評判が常に高いヌグザリ・タタラシビリ(ジョージア)とツアー皆勤選手ロク・ドラクシック(スロベニア)の2人がシード選手を張るが、全体から見れば間違いなくもっとも選手層の薄いブロック。ここに、今季好調の橋本がその「引きの良さ」を誇示するかのように、過たず配されることとなった。3回戦のタタラシビリ戦に勝利すれば表彰台はすぐ手の届くところにあると見る。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):秋本啓之(了徳寺学園職)
Bシード選手:サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)
有力選手:マンスール・イサエフ(ロシア)、デックス・エルモント(オランダ)、ディルク・ファンティシェル(ベルギー)

プールB下側と並ぶ「死のブロック」。秋本は準々決勝までは無風、下側の山には勝負師イサエフ、そしてエルモントとファンティシェルというタイプの違う試合巧者2人が配された。秋本がもっともやりにくい選手はイサエフではないかと観察するが、これまでのツアーを見る限りではまだまだ本調子ではない模様。いずれ秋本は準々決勝までの2戦をなるべく消耗なく戦い、以降の強豪との連戦に備えておきたい。

■ 81kg級・世界王者3人が再び集結、3連覇狙う永瀬を軸に覇を競う
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アスタナ世界選手権を制した永瀬貴規

【階級概況・有力選手】

ワールドマスターズと世界選手権という最高峰大会2つに優勝、今季最強選手と呼ぶにふさわしい活躍を見せている永瀬貴規(筑波大4年)がロイック・ピエトリ(フランス)とアヴタンティル・チリキシビリ(ジョージア)の世界王者2人を劇激、地元で3連覇を狙うというのがこの階級大枠の構図。

81kg級転向後精力的に大会に出続け、キム・ジェブンから代表の座を奪わんとするもと73kg級世界王者ワン・キチュン(韓国)やツアー上位常連のアントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)、丸山剛毅(パーク24)やトマ・セルジュ(UAE)とダークホースを務め得る役者も十分揃っているが、上記の世界王者3人とはいささか力量、実績とともに差がある。主役は上記の王者3人だ。

五輪でも間違いなくメインキャストを務めるこの3人の戦いは、もはやどこまで力を出し、勝敗をどう次につなげるかという「駆け引き」の段階に入ってくるのではないだろうか。特にこれまで「両組み」という特性を押し出した駆け引きを繰り返し、ここのところ技一撃の強さをバックに永瀬有利に転じている永瀬-チリキシビリの戦いは見ものだ。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):アヴタンティル・チリキシビリ(ジョージア)
Bシード選手:ロマン・モウストポロウス(ギリシャ)

フランク・ダビド(ドイツ)、アントニオ・チャノ(イタリア)らツアー常連の姿も見えるが、ジュニア期の活躍以降なかなかブレイク出来ないロマン・モウストポロウス(ギリシャ)も含めてチリキシビリを脅かす存在はなし。勝ち上がりはほぼ間違いなくチリキシビリ。


【プールB】
Aシード選手(第4シード):ロイック・ピエトリ(フランス)
Bシード選手:セルジュ・トマ(UAE)
有力選手:ワン・キチュン(韓国)、イワン・ヴォロベフ(ロシア)
日本選手:海老泰博(旭化成)

面白いメンバーの集まったブロック。階級転向後も変わらず担ぎと足技で成果を残しつつあるワンと小外掛ファイターの一発屋ヴォロベフ(ロシア)が戦う1回戦、その勝者がピエトリと戦う2回戦はいずれも見もの。海老は3回戦でピエトリ、準々決勝では試合巧者トマが待ち受ける。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):永瀬貴規(旭化成)
Bシード選手:シラズディン・マゴメドフ(ロシア)
有力選手:トラヴィス・スティーブンス(アメリカ)

計算しにくい曲者の姿もなく、シード選手永瀬がそのまま勝ち上がる可能性が非常に高い。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):アントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)
Bシード選手:ウサンジ・マーギアニ(ジョージア)
有力選手:丸山剛毅(パーク24)、サボールチュ・クリージャン(ハンガリー)、イ・センス(韓国)、

混戦ブロック。「指導」奪取マシーンことヴァロアフォルティエと丸山が戦う2回戦が大きな山場。クリージャンとイ・センスが戦う2回戦の結果も重要で、丸山はクリージャンなら順行運転でOK、世界選手権でも永瀬を相手に非常な粘りを見せたイの場合は一段ギアを上げたパフォーマンスが必要だ。

■ 63kg級・世界王者トルステニャク降臨、日本勢は銅メダリスト田代筆頭に若手4人揃えて迎撃
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2連覇を狙うティナ・トレステニャク

【階級概況・有力選手】

アスタナ世界選手権王者ティナ・トルステニャク(スロベニア)が2連覇を狙って来日。右組みでありながら一本背負投に小内刈、大外刈と持ち技のほとんどが釣り手一本の左技という変則スタイルの選手だが、そのパワーと連続攻撃、そして一撃の威力で並み居る本格派を相手にせず今季は世界選手権を含めてツアー5大会で優勝を飾っている、現在独走態勢を築きつつある強者だ。

これを世界選手権2大会連続の銅メダリスト田代未来(コマツ)とアスタナで3位入賞のツェデフレン・ムンクザヤ(モンゴル)、今季の欧州選手権王者マルチナ・トラジドス(ドイツ)が追うというのがトーナメント大枠の様相。

日本勢は田代以外の3人を全員ジュニア世代で固めて臨む。嶺井美穂(桐蔭学園高3年)と鍋倉那美(大成高3年)の世界ジュニア王者2人に講道館杯を制した能智亜衣美(筑波大2年)という陣容は非常に面白い。ニューカマーらしい思い切りのある試合に期待したい。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ティナ・トルステニャク(スロベニア)
Bシード選手:アリス・シュレシンジャー(イスラエル)
日本選手:鍋倉那美(大成高3年)

鍋倉がトルステニャクの直下に配された。初戦のアンナ・ベルンホルム(スウェーデン)戦を突破すれば2回戦でその胸を借りることになる。

前述の通りトルステニャクの生命線は右釣り手。一方同じ右組みの鍋倉が得意とする内股は、引き手の確保が最重要となるタイプのものである。鍋倉の技の切れ味は抜群、トルステニャクの釣り手が効かない状態でその袖を鍋倉の左引き手が確保することができれば面白い場面が見られるかもしれない。

【プールB】
Aシード選手(第4シード):田代未来(コマツ)
Bシード選手:エドウィッジ・グウェン(イタリア)

学生体重別王者の渡邊聖未がフィリピン代表で出場、初戦を勝ち抜けば田代への挑戦権を得ることが出来るが、ここまでのツアーの戦いぶりからすると1回戦突破は意外と高いハードル。健闘を期待したい。
Bシード選手のグウェンは体に力があり泥臭い戦いを厭わない面倒なタイプだが組み立てが単調で、田代としては「投げごろ」の型の選手でもある。勝ち上がりは田代と見ておいて良いだろう。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):マルチナ・トラジドス(ドイツ)
Bシード選手:リズレン・ゾウアック(モロッコ)
日本選手:能智亜衣美(筑波大2年)

能智が2回戦で欧州トラジドスに挑戦。曲者多い63kg級では割合に波の少ないタイプであり、勝ち負けを越えて能智の国際大会の適性を測るには丁度良い選手であるとも言える。健闘に期待。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):ツェデフレン・ムンクザヤ(モンゴル)
Bシード選手:アニカ・ファンエムデン(オランダ)
日本選手:嶺井美穂(桐蔭学園高3年)

嶺井の初戦はファンエムデン。日本のファンは北京-ロンドン期のイメージが強くこの選手の力を高く見積もりがちなところがあるが、現在は勝てる選手とそうでない選手がハッキリした、3位決定戦が指定席の試合巧者という位置づけ。グランドスラム・パリでも嶺井が勝利している。嶺井の準決勝勝ち上がりを期待したい。

■ 70kg級・ファルカスコッホ中心の混戦、ライバル田知本不在の中で新井千鶴は優勝が至上命題
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今季世界選手権で代表を務めた新井千鶴

【階級概況・有力選手】

一次エントリーに名前のあったキム・ポリング(オランダ)が出場回避。第1シードのラウラ・ファルカスコッホ(ドイツ)と第3シードのサリー・コンウェイ(イギリス)、ともに一皮剥けつつあるツアー常連選手が優勝候補のトーナメントが出来上がった。これに新井千鶴とファニー・エステルポスヴィト(フランス)が絡む展開と捉えておいて良いだろう。

今季の世界選手権で代表を務めた(5位)新井は本来であれば五輪代表候補の一番手だが、今季は煮え切らないパフォーマンスを繰り返して独走するには至らず。その一方で今シーズンは田知本遥(ALSOK)がグランドスラム2大会を連続で制してまさしく猛追、第一候補に名乗りをあげつつある。

そんな状況下、田知本が直前で出場を断念。今大会は新井、そして14年チェリャビンスク世界選手権銀メダリストのヌンイラ華蓮にとっては是が非でも勝っておきたい、一歩抜け出す大チャンス。覚悟溢れるパフォーマンスに期待したい。

【組み合わせ】

【プールA】
Aシード選手(第1シード):ラウラ・ファルカスコッホ(ドイツ)
Bシード選手:アスマ・ニアン(モロッコ)
日本選手:池絵梨菜(国士舘大1年)

田知本の代替選手は学生体重別王者の池絵梨菜(国士舘大1年)、これは非常に楽しみな起用となった。
池は1勝すればファルカスコッへの挑戦が可能。大内刈を入れては前進、また大内刈に戻っては今度は内股との往復を繰り返すという体のファルカスコッホの柔道は力強いがやや雑でもある。池得意の背負投一発が決まる可能性も十分で、ここはアップセット(国際的に見れば)に大いに期待したい。

【プールB】
Aシード選手(第4シード):新井千鶴(三井住友海上)
Bシード選手:ファニー・エステルポスヴィト(フランス)
有力選手:アネット・ブライトンバッハ(ハンガリー)

ポスヴィトとブライトンバッハが潰しあい、準々決勝で新井と戦う。高い確率でポスヴクトとの対戦を推しておきたい。
新井はアスタナ世界選手権でポスヴィトと3位決定戦を戦い、内股からの体の捨て際をめくられて一本負けを喫している。早く技を掛けてしまいたいがゆえの弱気を突かれた格好のこの敗戦を、今大会にしっかり生かすことが出来るか。組み手の曖昧さをきっかけに今季すっかりトンネルに入り込んでしまった感のある新井が、最終戦でそこから抜け出すことが出来るかどうか、勝ち負けを越えたその内容に注目したい。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ケリタ・ズパンシック(カナダ)
Bシード選手:マリア・ベルナベウ(スペイン)
有力選手:ヌンイラ華蓮(了徳寺学園職)

ヌンイラは組み合わせに恵まれ、間違いなくもっとも戦い易いプールに配置。ベスト4進出は至上命題だ。

【プールD】
Aシード選手(第3シード):サリー・コンウェイ(イギリス)
Bシード選手:リンダ・ボルダー(イスラエル)
日本選手:大野陽子

大野は初戦でベテランのファン・イスル(韓国)、そしてボルダーにコンウェイという躍進中の2人と立て続けに戦うという非常に厳しい組み合わせ。移籍当初の勢いが失せ始めたボルダーに対し、コンウェイは高いアベレージでパフォーマンスに安定感が出始めている印象。勝ち上がり最有力候補はコンウェイ。

※ eJudoメルマガ版12月4日掲載記事より転載・編集しています。

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