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講道館杯全日本柔道体重別選手権大会・第1日男子4階級展望

(2015年11月5日)

※ eJudoメルマガ版11月5日掲載記事より転載・編集しています。
第1日男子4階級(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級)展望
講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
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大会最注目選手は66kg級の阿部一二三

平成27年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会は7日(土)、8日(日)の両日、千葉ポートアリーナ(千葉市)で開催される。

例年世界大会代表選考の「入り口」(一次予選)と位置付けられる本大会であるが、今年はリオ五輪を目指す第1グループであるアスタナ世界選手権出場メンバーと、彼らと競い得る立場のグランドスラムパリ派遣メンバーが出場免除。つまり現時点で「権利」のある選手のほとんど全員が出場しないということで、代表争いという観点だけから見れば今年度大会の見どころは決して多くはない。

選手の柔道キャリアにとって絶対に外すことの出来ない「出世の階段」である今大会の興味を代表争いのみから見るのは少々勿体ない行為ではあるが、五輪前年という特別な年である本年にこの要素を全く外して大会を観察するのもまた味気ないものがある。

この大会の両側面を考えると、優勝に絡む力を持った新進気鋭の注目若手が存在する階級、本来代表に絡むべき国際的な実績を持ったベテランが復活を期す階級、そして今回出場しない代表候補が絶対的なアドバンテージを持たず僅かながら他選手にもチャンスのある階級、この3要件の掛け算が注目すべき階級を規定するとしておくべきだろう。

男子でもっとも注目すべきは、間違いなく昨年高校2年生でグランドスラム東京を制した阿部一二三(神港学園神港高3年)が出場する66kg級。この階級は8月の実業個人で階級変更以来初タイトルを獲得した五輪銀メダリスト平岡拓晃(了徳寺学園職)を始め対抗勢力のメンバーも粒ぞろいで、非常に面白い。

次いで、選抜体重別王者西潟健太(旭化成)が上川大樹(京葉ガス)と再び雌雄を決し、石井竜太(日本中央競馬会)や百瀬優(旭化成)ベテランの有力選手に、大学カテゴリを制したばかりの小川雄勢(明治大1年)を筆頭に充実陣容の大学1年生~高校3年生の有力若手選手が顔をそろえる100kg超級。

実業個人で復活優勝を遂げ「壮絶な一年にしたい」と代表挑戦を明言した五輪銅メダリスト西山将士(新日鐵住金)が復活を期す90kg、新進気鋭の若手がズラリと顔を揃えた60kg級も非常に面白い。

女子は国内で勝ちに勝ち捲っている濵田尚里(自衛隊体育学校)が第1シードを張る78kg級、グランドスラム東京で決勝を戦った稲森奈見(三井住友海上)と朝比奈沙羅(東海大1年)が競演する78kg超級、西田優香(了徳寺学園職)が復活を期す52kg級、ごく近い将来の国際大会上位常連と目される若手有力選手が一同に会する57kg級などを注目階級として挙げておきたい。

■ 60kg級・大島優磨と山本浩史中心の乱戦、若手世代で抜け出すのは誰か?
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第1シード配置は大島優磨

【階級概況・有力選手】

昨年グランドスラム東京で3位入賞の健闘を見せた大島優磨(国士舘大3年)と、昨年の覇者で8月の実業個人を素晴らしい内容で優勝した山本浩史(ALSOK)がそれぞれ第1、第2シード扱い。この2人が軸になるのは間違いないが、なんといっても現在の60kg級は若手の勃興期。大島世代の下にも世界ジュニアを圧倒的な内容で制したばかりの永山竜樹(東海大1年)を筆頭に、永山と同学年のライバル藤阪泰恒(國學院大)、高校選手権と世界カデを制した古賀玄暉(大成高2年)ら才能ある選手が頭角を現しつつあり、現時点でどれだけ戦えるかは「リオ後」を占うマイルストーンとなり得る。優勝争いという観点からは既にシニアカテゴリで存在感を発揮している青木大(日体大3年)、河野亮哉(了徳寺学園職)の活躍も見もの。「門番」ロールが期待される川端龍(了徳寺学園職)の出来もトーナメントの行方を大きく左右しそうだ。

代表候補は高藤直寿(東海大4年)と志々目徹(了徳寺学園職)の2人に絞り込まれており「ゴボウ抜き」の可能性はゼロと言って良いが、個々の戦い自体が非常に面白い階級だ。

【組み合わせ】

[Aブロック]

大島優磨の山。初戦では竹内文汰(東海大3年)と、実業個人で野村忠宏に一本勝ちした椿竜憧(新潟総合警備保障)の勝者と対戦する。

下側の山には古賀玄暉が配されて、初戦の相手は箱田圭努(山梨学院大4年)。シニアでどれだけの力を出せるか、初戦には大いに注目したい。勝ち上がり候補は大島。

[Bブロック]

学生体重別王者青木大の山。ここは逆側の山に世界ジュニア代表の藤阪泰恒、学生体重別2位の林浩平(国士舘大3年)、同3位の田中崇晃(筑波大3年)、青木の直下に同じく3位の齊藤昂矢(鹿屋体育大3年)と大学生の有力選手がギッシリ詰め込まれた激戦区。学生体重別をこの山でもう1回、という観のある配置であり、「このカテゴリへの上位進出権付与は2名のみ」(※準々決勝敗退者には敗者復活戦進出権が与えられる)という天の声が聞こえてきそうな配置。実績からは青木有利だが、青木の柔道はいちでも誰にでも確実にその力が発揮出来るとは限らない飛び道具的な側面もあり、勝負は予断を許さず。

[Cブロック]

山本浩史と川端龍の対決構図。両者同年齢で「ロンドン以前」に代表を伺う立場であったというところではキャリアも近似。これもこの枠からのベスト4進出者は1名に絞るという意志が見え隠れする。抜群の技の切れ味を持ちながら常にそれが発揮されるわけではない、秋の空のような不安定感が払拭出来なかった山本だが実業個人優勝時の内容には相当の覚悟が感じられた。戦前評では山本有利、川端は際の一発に頼らず全盛時のような一種歩留まりの良い連続攻撃が出来るかどうかが勝利のカギ。

[Dブロック]

永山竜樹と河野亮哉の対決。永山がその柔道のエンジンである「上から目線」で試合を進められるかが最大のポイントだが、永山はこれぞという一撃を放つ勝負どころ以外にも、形に拘らずひとまず攻勢を取ってしまうバリエーションが増えて来ており、攻めの引き出しが豊富。この最近のやり口を以て展開を塗りつぶすような試合が出来れば永山勝利の可能性は高い。

■ 66kg級・連覇狙う阿部一二三に試練の組み合わせ
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阿部一二三は優勝なくばリオへの道が断たれる背水の陣

【階級概況・有力選手】

例年選手の粒が揃う激戦階級。今年も面白い選手には事欠かないが、中心人物は間違いなく阿部一二三(神港学園神港3年)。
昨年高校2年生にして優勝を飾り、一気にグランドスラム東京制覇まで駆け抜けたのはご存じの通り。冬季欧州国際大会と選抜体重別の敗退で一段減速はしたが、以後メインキャスト不在の大会とはいえ国際大会2大会で表彰台に上がり(グランプリ・ウランバートル2位、グランプリ・タシケント1位)、今秋以降もう一段の躍進に準備体制が整った印象。ランキングも15位(オリンピック出場ランキング16位)につけており、「この先全勝」で五輪に届く可能性を僅かながら残す貴重な資格者となっている。今大会はその最初の関門。

そして、最初の関門であると同時に実は崖っぷちで迎える大会でもある。グランドスラム東京進出枠「4」のうち3枠はアスタナ世界選手権代表の2人(海老沼匡、高市賢悟)とグランドスラムパリ代表の1人(高上智史)で埋まっているおり、残る進出権は僅かに「1」。そしてグランドスラム東京進出者以外に五輪選抜大会である冬季欧州大会に出場する目は全くない。つまり優勝する以外にリオ五輪出場への道はない、まさしく背水の陣の大会なのだ。追い込まれた状況で阿部がどのような柔道を見せてくれるのか、その活躍に期待したい。

有望人材多すぎる階級だが、もう1人の注目選手としては60kg級ロンドン五輪銀メダリスト平岡拓晃(了徳寺学園職)を挙げておきたい。8月の全日本実業個人で66kg級転向後初のタイトルを獲得して、「五輪をあきらめない」と発言するなど尽きぬ執念を見せている。60kg級時代に幾度も激戦を繰り広げたリショド・ソビロフ(ウズベキスタン)、ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)、そしてアルセン・ガルスチャン(ロシア)らのライバル達がことごとく66kg級に転向、徐々に対応していずれも今や主役級の活躍を見せていることもあり、ここは平岡の奮起にも期待したいところ。

【組み合わせ】

[Aブロック]

阿部一二三の実力を試すがごとく、非常に強力な人材が配された。阿部以外の7名の陣容は青木勇介(パーク24)、世界ジュニアを獲ったばかりの浅利昌哉(東海大2年)、丸山城志郎(天理大4年)、石黒亮太(自衛隊体育学校)、警察王者の小寺将史(警視庁)、本間大地(ALSOK)。

阿部の対戦順は初戦で青木-浅利の勝者、準々決勝(2戦目)では丸山-小寺-本間のの勝者という非常に厳しいもの。浅利は世界ジュニアを獲ったばかりで勢いがあり、かつ徹底的に寝技に持ち込むその柔道は対阿部戦に噛みあうはず。まったく予断を許さないカード。

そしてもっとも警戒すべきは、パワーファイターとの戦いに慣れ、かつ力関係に関わらず切れ味鋭い一発で試合を終わらせる技を持つ丸山ではないかと見る。全選手通じて阿部にもっとも取り口が良いのは丸山という観察すら可能であり、早い段階ながらここは非常な大一番と規定したい。

[Bブロック]

西山祐貴(日本体育大)と六郷雄平(了徳寺学園職)のシード位置2人を軸に、ベテラン前野将吾(旭化成)、学生の実力者磯田範仁(国士舘大2年)、田川兼三(筑波大1年)と学生の実力者が配された。勝ち上がり候補最右翼は六郷、ダークホース的活躍が期待出来るのは田川。

[Cブロック]

竪山将(鹿屋体育大4年)のブロック。ジュニアカテゴリで激戦を繰り広げた橋口祐葵(明治大3年・Dブロック配置)ともども阿部一二三の台頭に押されて今年は存在感を発揮出来ていないが、一気の形勢逆転なるか。初戦ではサンボファイター江藤康太(熊本県警)とのマッチアップが濃厚。

下側の山は宮崎廉(日本通運)、小倉武蔵(了徳寺学園職)、学生王者藤阪太郎(国士舘大3年)がまとめられた激戦区。ブロック勝ち上がりが誰になるのか、予断を許さない山だ。

[Dブロック]

橋口祐葵の山。準々決勝での橋口への挑戦権を争う下側の山は吉田惟人(神奈川県警)、木戸清孝(天理大2年)、平岡拓晃が配されるというこれも非常な激戦区。

前述の通り、橋口は阿部の台頭でホープの座を奪われた感あり。今年は戦いぶりも不安定で、瞬間的な攻防の冴えにその潜在能力の高さをうかがわせるのみで、まだこれという結果を残せていない。「元祖・天才」の奮起に期待。

平岡は初戦を突破すると吉田-木戸戦が待ち受けており、ここが最初の関門。まずはここにしっかり勝ってレペチャージ以降の進出権を獲得することが肝要。

■ 73kg級・選抜王者橋本壮市が優勝候補筆頭
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選抜体重別、実業個人に続く今季3タイトル目を狙う橋本壮市

【階級概況・有力選手】

世界王者3人がトーナメントに同居する選抜体重別で見事優勝し、8月の実業個人も制した橋本壮市が当たり前のように第1シード。ここは当然優勝候補の筆頭と規定するべきだろう。

第2シード配置が土井健史(ダイコロ)。さらに中村剛教(大阪府警)、太田慶一(了徳寺学園職)など強化クラスの選手がセパレート配置されたが、大野将平、中矢力、秋本啓之の王者3人が不在でシニアの戦力は少々手薄な印象。世界ジュニア代表の山本悠司(天理大2年)、高校カテゴリをことごとく制した立川新(新田高3年)など若手の躍進に期待したい大会である。

【組み合わせ】

[Aブロック]

橋本の山。初戦は宮山翔多(山梨学院大3年)か細木智樹(国士舘大3年)の学生カテゴリの強者との対戦となる・
下側の山に立川新が配されており、初戦の新垣直也(沖縄県警)戦を突破出来れば両者の対戦が実現する。勝ち上がり候補はもちろん橋本。

[Bブロック]

山本悠司の山。下側の山は西岡和志(京葉ガス)、竹内信康(筑波大3年)、太田慶一が配された大激戦区。勝ち上がりを読むのが非常に難しいブロック。

[Cブロック]

土井の山。下側の山では学生体重別を制したばかりの福岡克仁(日本大1年)と岩渕侑生(国士舘大4年)の対決が見込まれる。同大会では3回戦で福岡が一本勝ちしているが東京学生体重別では岩渕が勝利しており、これは非常に楽しみな一番。土井は大学時代の一種不気味なまでの強さが鳴りを潜めつつあるが、正念場の大会だ。

[Dブロック]

中村剛教の山。田村和也(パーク24)、久々警察カテゴリを制した金岡真司(警視庁)、学生体重別2位の三井大輝(国士舘大4年)が配されたが実績に鑑み、勝ち上がり候補には中村を押しておくべきだろう。

■ 81kg級・幅広い世代の有力選手揃う、決定打なき混戦
【階級概況・有力選手】

永瀬貴規が世界選手権を獲り、一人勝ちの様相の81kg級。長島啓太と丸山剛毅の代表候補2人も出場免除で、有力選手の数は多いが目玉選手を絞ることが難しいという大混戦トーナメントとなった。

代表候補への復帰を狙う中井貴裕(パーク24)に川上智弘(國學院大職)、当たり前のように実業個人を獲った海老泰博(旭化成)、成長止まらぬ山下諒輔(静岡県警)といったシニアの強豪たちからから学生王者佐藤正大(国士舘大3年)、ジュニアで活躍する藤原崇太郎(日体荏原高2年)に正木聖悟(天理大1年)ら若手のホープまで、非常にマクロな目線で言えば戦前の評価はフラットであると言える。グランドスラム代表枠の残り「1」を巡り、強化サイドとしても「勝ったものを評価する」という姿勢で大会を待ち受けるしかないだろう。

【組み合わせ】

[Aブロック]

小原拳哉の山。強豪の密度で考えると比較的戦い易い山のはず。逆側の山には学生体重別3位の中上駿(早稲田大3年)、春山友紀(自衛隊体育学校)、小林雅司(パーク24)とうるさい選手が揃うが、勝ち上がり候補としては小原を推しておきたい。

[Bブロック]

海老泰博の山。初戦は不確定要素として機能し得る村山辰巳(日体大2年)という油断のならない対戦。準々決勝の相手は山下諒輔(静岡県警)と見ておきたい。勝ち上がり候補は海老、次いで山下。

[Cブロック]

中園史寛(東海大4年)の山。メンバーは住谷仁志(大阪府警)、正木聖悟、藤原崇太郎、山邉雄己(自衛隊体育学校)、中井貴裕、そして川上智弘という超激戦区。中井-川上が戦う初戦はまさに互いのキャリアを賭けたサバイバルマッチで、これはどうしても見逃せない一番。

[Dブロック]

安田知史の山。直下に渕原槙一(日体大3年)が配され、逆側の山では佐藤正大と尾方寿應(東海大2年)の学生の強者同士が1回戦で対戦する。Cブロックの中井-川上戦同様、「同じ箱」からの上位進出者を絞るという意志を感じる非常に厳しい組み合わせ。

安田が学生時代の取り味を確保していれば勝ち上がり候補は間違いなく安田が第一だが、ここは佐藤の勢いを買っておきたい。

※ eJudoメルマガ版11月5日掲載記事より転載・編集しています。

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