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勝負強さ発揮した日本が優勝、圧倒的強さ見せた韓国を決勝で寄り切る・アスタナ世界選手権男子団体戦レポート

(2015年9月9日)

※ eJudoメルマガ版9月9日掲載記事より転載・編集しています。
勝負強さ発揮した日本が優勝、圧倒的強さ見せた韓国を決勝で寄り切る
アスタナ世界選手権男子団体戦レポート
■ 1回戦
韓国 5-0 フランス
[66kg級]アン・バウル〇優勢[指導3]△ダヴィド・ラローズ
[73kg級]アン・チャンリン〇優勢[技有・小内刈]△ピエール・デュプラ
[81kg級]イ・センス〇腕挫十字固(1:24)△アラン・シュミット
[90kg級]ガク・ドンハン〇背負投(2:27)△アレクサンドル・イディー
[90kg超級]チョ・グハン〇優勢[指導1]△シリル・マレ

14チームが参加した男子団体戦、1回戦でもっともインパクトのあった試合はこの韓国-フランス戦。
テディ・リネール、ロイック・ピエトリらチャンピオンクラスこそ下げたが、フランスのメンバーは見ての通り重厚。優勝を狙いに来た感ありの強力陣容だが、個人戦王者2人をメンバーに並べた韓国が地力の高さを以てこの5人を叩き潰した。

世界王者のアン・バウルがダヴィド・ラローズを「指導2」対「指導3」の反則累積差で破った66kg枠終了時点では試合は予断を許さない状況だったが、ここから韓国が一気に走る。73kg枠では個人戦銅メダリストのアン・チャンリンが左小内刈「技有」、左釣込腰「有効」とピエール・デュプラを圧倒して2勝目。2-0のリードで迎えた81kg枠ではイ・センスが13年リオ世界選手権銅メダリストのアラン・シュミットを左背負投で潰すと腕挫十字固「一本」奪取、あっという間の3連勝で勝ち抜け決定。

90kg枠はガク・ドンハンが順当に、90kg超枠もチョ・グハンがしぶとく取って辿り着いた最終スコアはなんと5-0。個人戦で素晴らしいパフォーマンスを見せた韓国男子、団体戦もこれ以上ないという滑り出し。

ほか、強豪各チームは順当にベスト8入り。ブラジルは個人戦で好パフォーマンスのヴィクトール・ペナウベルがシャクソド・ソビロフに大内返「一本」で敗退するアクシデントがあったが、ウズベキスタンを3-2で下して結果的には力関係通りに勝利。中国とマッチアップしたドイツは73kg枠と81kg枠を落として最終戦まで勝負を持ち越したが、ディミトリ・ピータースがホゥイ・カイを僅か11秒の三角絞「一本」破って3-2で勝利を決めている。

[1回戦結果]

カザフスタン 5-0 オーストラリア
ブラジル 3-2 ウズベキスタン
ドイツ 3-2 中国
韓国 5-0 フランス
ジョージア 4-1 チュニジア
モンゴル 5-0 キューバ

■ 準々決勝
日本 4-1 カザフスタン
[66kg級]海老沼匡〇大腰(3:00)△アイベック・イマシェフ
[73kg級]中矢力△優勢[指導2]〇ズハンサイ・スマグロフ
[81kg級]永瀬貴規〇横四方固(2:55)△ライナト・イブラギモフ
[90kg級]吉田優也〇合技[体落・横四方固](3:29)△イェッセン・サマット
[90kg超級]王子谷剛志〇払腰(3:54)△ヤーサン・シンヤキエフ

日本の初試合。盤面配置はどこからどう見ても日本が有利。手堅く勝利を積み続けたい試合だ。

66kg枠の海老沼は組み手争いを挑む相手に駆け引きの中で「指導2」対「指導1」のビハインドを負ってしまい少々苦戦の気配が漂ったが、3分0秒に左大腰「一本」を奪って事態を収拾。日本がまず1点を先制。

73kg枠の中矢力は中堅選手のズハンサイ・スマグロフを相手に3分0秒、場外に出ながら「一本」相当の右背負投を決めたが、主審はこの攻防を見極める前に「待て」を宣告してしまうミス。これはスルーされ、以後駆け引きに嵌った中矢は「指導2」対「指導1」の痛恨の敗戦を喫してしまう。
しかし日本は永瀬貴規が横三角から脚を与えて絡ませておき、腕を拘束しての横四方固という得意のパターンでライナト・イブラギモフにしっかり一本勝ち。吉田優也もパワー勝負を挑むヤーサン・シンキエフに技で対抗、体捌き良く右内股「有効」、右体落「技有」と連取して横四方固に抑え込み「一本」で勝利。最後は王子谷剛志がヤーサン・シンヤキエフを相手に余裕を持って払腰「一本」、4-1で準決勝進出を決めた。地元カザフスタン、前衛2戦の抵抗は骨太だったが、結局地力の差が出てしまったという一番。

ドイツ 3-2 ブラジル
[66kg級]セバスティアン・ザイドル〇GS技有・腰車(GS0:53)△チャールス・チバナ
[73kg級]イゴール・ヴァンドケー△崩上四方固(1:50)〇マルセロ・コンティーニ
[81kg級]スヴェン・マレシュ〇優勢[技有・袖釣込腰]△レアンドロ・ギヘイロ
[90kg級]アレクサンデル・ヴィークツェルツァク△優勢[指導2]〇ヴィクトール・ペナウベル
[90kg超級]ディミトリ・ピータース〇三角絞(1:30)△ダビド・モウラ

戦力拮抗の一番は予想通りの大激戦。ドイツは勝利必至と思われた73kg枠を落としたが、ここぞというところは譲らず着々点を積み上げる。

66kg枠ではセバスチャン・ザイドルが階級屈指の強豪チャールス・チバナを相手に「指導」ビハインドの苦しい試合を強いられたが、残り10秒で追い付き、GS延長戦に勝負を持ち込む。そして53秒、左腰車で強引に投げ切って「技有」獲得で見事勝利。81kg枠でもスヴェン・マレシュがレアンドロ・ギヘイロ相手に早々に3つの「指導」失う大ピンチに陥ったが、袖釣込腰一閃「技有」で逆転、残り2分を凌ぎ切って勝利を収める。

2-2で迎えた90kg超枠では1回戦に続いてディミトリ・ピータースが大仕事。ケンカ四つのダビド・モウラを相手に左内股で「有効」を失うものの、右払腰で相手を伏せさせると引き込んで三角絞。モウラの「参った」表明で試合終了、スコア3-2を以てドイツの勝利が決まった。

ドイツが獲得した3点は全て逆転。中心選手3人の高い責任感が存分に発揮された、いかにもこのチームらしい一番だった。

韓国 4-1 ロシア
[66kg級]アン・バウル〇GS指導2(GS1:06)△アルセン・ガルスチャン
[73kg級]アン・チャンリン〇背負投(1:31)△デニース・ヤルツェフ
[81kg級]イ・センス△優勢[指導1]〇カサン・カルモルゼフ
[90kg級]ガク・ドンハン〇優勢[技有・隅返]△クーシェン・カルモルゼフ
[90kg超級]キム・スンミン〇横落(0:40)△タギル・カイブラエフ

ロンドン五輪60kg級王者のアルセン・ガルスチャンに100kg級王者タギル・カイブラエフというスター2人がワールドツアーの主役級3名を挟んで布陣したロシアの陣容は重厚。この豪華メンバーのロシアを韓国が粉砕した。

66kg枠のアン・バウルはGS延長戦に入ると足技を増やして相手を崩し、消極的「指導」奪取でガルスチャンを破る。73kg枠のアン・チャンリンはツアー初優勝を飾ったばかりのロシア期待の星デニース・ヤルツェフを問題にせず左背負投「一本」で畳に沈め、81kg枠のイ・センスはカサン・カルモルゼフに「指導1」で敗れたものの、90kg枠のガク・ドンハンはクーシェン・カルモルゼフと「指導3」ずつを奪い合う激戦の中で挙げた隅返「技有」をテコに優勢勝ち。この時点ではスコアは3-1、韓国の勝利が決定する。

圧巻は90kg超級。今大会復活気配を見せていたキム・スンミンが巨体をガクリと捨てて横落を放つと、バランスの良さが売りのカイブラエフが全く耐えられずに吹っ飛び僅か40秒の「一本」。韓国が4-1の大差でロシアを下し、準決勝進出を決めた。

モンゴル 3-2 ジョージア
[66kg級]ハッシュバータル・ツァガンバータル〇優勢[有効・巴投]△アミラン・パピナシビリ
[73kg級]ガンバータル・オドバヤル〇大外返(2:16)△ヌグザリ・タタラシビリ
[81kg級]オトゴンバータル・ウーガンバータル〇反則(2:23)△アヴタンディル・チリキシビリ
※ダイレクト反則負
[90kg級]ラグバスレン・オトコンバータル△横四方固(2:43)〇ベカ・グヴィナシビリ
[90kg超級]バトトルガ・テムーレン△反則[指導4]〇レヴァニ・マティアシビリ

ジョージアとモンゴル、ともに陣容充実の強豪同士による激戦。
モンゴルは66kg枠でハッシュバータル・ツァガンバータルが「階級落ち」のアミラン・パピナシビリから巴投「有効」を奪って勝利。73kg級枠も今大会好調のガンバータル・オドバヤルが大外返「一本」で強敵ヌグザリ・タタラシビリを退ける。

しかしジョージアの布陣の中心は後衛の強力3枚。勝負はここからというところだが、81kg枠で大アクシデント。アヴタンディル・チリキシビリが袖釣込腰を仕掛けた際に相手の関節が極まってしまい、体を捨てたチリキシビリに下されたのは「関節を極めながら体を捨てる」行為によるダイレクト反則負け。何があっても後ろ3枚でめくり返せるはずのジョージアの意図は端緒でいきなり崩壊、この時点でスコアは3-0となり早くもモンゴルの勝ち抜けが決定した。

ジョージアは90kg枠でベカ・グヴィナシビリがラグバスレン・オトコンバータルに「技有」「有効」と先制されたが、相手の釣込腰をきっかけに横四方固に抑え込んで一本勝ち。90kg超枠でもレヴァニ・マティアシビリがバトトルガ・テムーレンを大外刈「技有」に4つの「指導」を奪って圧倒したものの時既に遅し。モンゴルが最終スコア3-2を以て勝利し、準決勝へと進むこととなった。ジョージアは余力を十分残しながら悔しい敗戦で、敗者復活戦へ。

[準々決勝結果]

日本 4-1 カザフスタン
ドイツ 3-2 ブラジル
韓国 4-1 ロシア
モンゴル 3-2 ジョージア

■ 敗者復活戦
カザフスタン 4-1 ブラジル
[66kg級]ガビット・イェシムベトフ〇内股透(2:52)△チャールス・チバナ
[73kg級]ダスタン・イキバエフ〇GS指導1(GS1:42)△マルセロ・コンティーニ
[81kg級]アジズ・カルカマヌリ〇優勢[指導2]△レアンドロ・ギヘイロ
[90kg級]サマト・イェッセン△裏投(0:54)〇ヴィクトール・ペナウベル
[90kg超級]ヤルザン・シンキエフ〇大外返(3:56)△ダビド・モウラ

単に選手名を並べた陣容比べからは想像しがたいスコア。地元開催でメダル獲得に燃えるカザフスタンと、本戦に脱落して気落ちしたブラジルという状況の差が存分に表れた形の結果となった。66kg枠のチバナ、81kg枠のギヘイロとブラジルは取るべきところをことごとく落とし、81kg枠終了時点でスコアはまさかの3-0。カザフスタン、会心の戦いで3位決定戦進出決定。

ジョージア 3-2 ロシア
[66kg級]アミラン・パピナシビリ△優勢[有効・小内刈]〇アンザルウル・アルダノフ
[73kg級]ラシャ・シャフダトゥアシビリ〇大腰(1:47)△ウアリ・クルシェフ
[81kg級]ウサンジ・マーギアニ△優勢[技有・内股透]〇シラズディン・マゴメドフ
[90kg級]ヴァーラム・リパルテリアニ〇後袈裟固(3:58)△キリル・デニソフ
[90kg超級]レヴァニ・マティアシビリ〇合技[支釣込足・外巻込](1:05)△アスラン・カンビエフ

ジョージアがロシアに競り勝ち。最大の勝負どころとなった90kg枠でリーダー格のヴァーラム・リパルテリアニが個人戦2位のキリル・デニソフを相手に右内股「有効」から繋いでの後袈裟固「一本」と完勝。結果的にはロンドン五輪66kg級王者のラシャ・シャフダトゥアシビリにリパルテルアニ、そしてマティアシビリと大駒3枚がキッチリ仕事を果たしたという形で勝利することとなった。戦力豊富なロシアは前戦とオーダーをかなり入れ替えたもののシラズディン・マゴメドフ、デニソフ、カンビエフの強者3名を入れてあくまで「勝てる」レベルの構成を崩さなかったが、ジョージアに押し切られる形で敗戦、今大会は7位に留まることとなった。

■ 準決勝
日本 3-2 ドイツ
[66kg級]高市賢悟△優勢[技有・腰車]〇セバスチャン・ザイドル
[73kg級]大野将平〇優勢[技有・大外刈]△イゴール・ヴァンドケー
[81kg級]丸山剛毅〇優勢[技有・内股]△スヴェン・マレシュ
[90kg級]吉田優也〇優勢[有効・袖釣込腰]△アーロン・ヒルデブランド
[90kg超級]王子谷剛志△優勢[指導1]〇ディミトリ・ピータース

66kg枠の試合で高市賢悟が「指導2」をリードしながら最終盤に左腰車で「技有」を失い、セバスチャン・ザイドルに逆転負け。先鋒戦の逆転負けという団体戦としてはもっとも嫌な出だしだったが、73kg枠では大野将平が「指導」3つをリードした末に大外刈を捻じ込んで「技有」奪取、イゴール・ヴァンドケーを下してあっという間に1点奪回。

81kg枠では世界選手権初登場の丸山剛毅がこの日好調のスヴェン・マレシュから追い込みの左内股で「技有」奪取、相手の追撃を「指導2」までに抑えて優勢勝ちを果たす殊勲。日本はあっさり逆転に成功。
90kg枠では吉田優也がアーロン・ヒルデブランドを相手に残り1分からラッシュを許し「指導2」対「指導1」でリードされる大ピンチ。しかし左袖釣込腰「有効」で再逆転、この勝利でチームの勝ち抜けを決める。

最終戦は王子谷剛志がディミトリ・ピータースに奥襟を叩かれ「指導1」失陥。展開を変えるべく袖釣込腰を繰り出すが投げ切れず、この反則ポイントひとつで優勢負け。しかし日本はスコア3-2で無事決勝へと駒をすすめることになった。
やってはいけない試合が2つあったが、丸山と吉田という「団体戦代表」の頑張りが日本を救った一番。ドイツは紛うことなき強敵であった。

韓国 4-1 モンゴル
[66kg級]アン・バウル〇優勢[有効・背負投]△ダバドルジ・ツムルフレグ
[73kg級]アン・チャンリン〇袖釣込腰(0:11)△ガンバータル・オドバヤル
[81kg級]イ・センス〇優勢[有効・小内刈]△オトゴンバータル・ウーガンバータル
[90kg級]ガク・ドンハン△内巻込(1:48)〇ラグバスレン・オトコンバータル
[90kg超級]キム・スンミン〇上四方固(4:56)△ナイダン・ツブシンバヤル

韓国がこの試合も圧倒的な強さを発揮してモンゴルを一蹴。73kg枠のアンは1試合ごとに自身の序列を踏み固めている感あり、個人戦でハッシュバータル・ツァガンバータルを66kg級に追いやって5位に入賞しているガンバータル・オドバヤルを僅か11秒の袖釣込腰「一本」に仕留めて絶好調継続、90kg超枠のキムは曲者ナイダン・ツブシンバヤルの背負投を後ろに引き倒し「有効」、さらに谷落「技有」、そのまま上四方固に抑え込んでもと五輪王者の「参った」を引き出すまさしく圧勝。

個人戦王者のガク・ドンハンがラグバスレン・オトコンバータルの内巻込で一本負けを喫するアクシデントが、大勢には影響なし。
ここまでのベストチームは間違いなく韓国。3試合を戦って13勝2敗という素晴らしい出来で、宿敵日本が待ち受ける決勝へと向かう。

■ 3位決定戦
ジョージア 4-1 ドイツ
[66kg級]ヴァスハ・マルグヴェラシビリ〇優勢[有効・払腰]△セバスチャン・ザイドル
[73kg級]ラシャ・シャフダトゥァシビリ〇優勢[技有・大外刈]△イゴール・ヴァンドケー
[81kg級]ヌグザリ・タタラシビリ△優勢[有効・小内刈]〇スヴェン・マレシュ
[90kg級]ベカ・グヴィナシビリ〇合技[腰車・袈裟固](2:29)△アーロン・ヒルデブランド
[90kg超級]ヴァーラム・リパルテリアニ〇棄権(1:35)△スヴェン・ハインル

一種独特の団結力をテコに会場を沸かせて来たドイツだが、この試合はスター選手を揃えたジョージアが大勝。ラシャ・シャフダトゥァシビリ、ベカ・グヴィナシビリ、ヴァーラム・リパルテリアニら看板3人の得点をテコにあっさり表彰台を確保した。

ドイツはイゴール・ヴァンドケーがシャフダトゥァシビリを追いかけ右大外刈「有効」をマークして食い下がり、絶好調のスヴェン・マレシュが右小内刈「有効」で勝利するなど善戦したが、大黒柱のピータースが下がったことも影響したか実力差をひっくり返すまでに骨太な抵抗には至らず。最後はリパルテリアニの横落で「技有」を奪われた際にスヴェン・ハインルが頭を打って脳震盪で立ち上がれず。ハインルの棄権負けで、スコア4-1を以てジョージアの銅メダル獲得が決まった。

モンゴル 4-1 カザフスタン
[66kg級]ハッシュバータル・ツァガンバータル〇優勢[技有・小外刈]△ガビット・イェシムベトフ
[73kg級]ガンバータル・オドバヤル〇反則[指導4]△ズハンサイ・スマグロフ
[81kg級]オトゴンバータル・ウーガンバータル〇片手絞(3:59)△アジズ・カルカマヌリ
[90kg級]ラグバスレン・オトコンバータル〇合技[内巻込・横四方固](4:59)△サマト・イェッセン
[90kg超級]ナイダン・ツブシンバヤル△優勢[技有・支釣込足]〇マキシム・ラコフ

モンゴルが地元カザフスタンを、力を以てすりつぶす。ハッシュバータル・ツァガンバータルが抱きつきの小外刈「技有」でガビット・イェシムベトフを破った66kg級枠から一気の4連勝。電車道でカザフスタンを寄りきって3位入賞を決めた。

地元カザフスタンは惜しくも表彰台に上がれず。しかしリーダー格のマキシム・ラコフが、アジア大会で物議を醸した「押し出し」攻撃によって敗れたナイダン・ツブシンバヤルに右一本背負投「有効」、さらに右一本背負投で2つ目の「有効」、さらに得意の支釣込足「技有」と3回投げて晴れの舞台でキッチリお返し。一矢を報いた。

■ 決勝
個人戦で3階級を制した日本と2階級を制した韓国の頂上対決。日本は試合振りに凹凸あるも勝負どころをしっかり抑えて着実な勝ち上がり、一方の韓国は他を圧する強さを発揮しての決勝進出。

選手の配置は下記。

日本 - 韓国
[66kg級]海老沼匡 - アン・バウル
[73kg級]中矢力 - アン・チャンリン
[81kg級]永瀬貴規 - イ・センス
[90kg級]吉田優也 - ガク・ドンハン
[90kg超級]王子谷剛志 - キム・スンミン

日本は90kg級のベイカー茉秋、100kg超級の七戸龍と個人戦代表を最後まで起用せず、吉田優也と王子谷剛志に後衛を託す。73kg枠にも大野将平ではなく、中矢力を継続起用した。

韓国は不動の布陣。アン・バウル、ガク・ドンハンと世界王者2人を中心に、73kg級でセンセーショナルな強さを発揮して銅メダルを獲得したアン・チャンリン、復活基調のキム・スンミンと優勝を狙うにふさわしい布陣。海老沼匡、中矢力、永瀬貴規と3人の世界王者を擁する日本だが、5戦全ての位置が勝負ポジション。一戦一戦を個々が勝ち抜いてIJFルールに必要な「3勝」を挙げるしかない。

66kg枠は海老沼がアン・バウルを左背負投で攻め続けて、31秒「指導1」、1分28秒「指導2」と立て続けに反則ポイントを獲得。さらに3分38秒には左大外刈でアンを腹這いに伏せさせ快走。残り29秒で「指導」ひとつを失うが、「指導2」対「指導1」の優勢で勝利する。

73kg枠は中矢力がケンカ四つのアン・チャンリンを相手に巴投と「韓国背負い」で攻め続け、53秒「指導」を獲得。さらに1分57秒2つ目の「指導」を獲得する。しかし、横落に2回潰れた2分55秒偽装攻撃の「指導」を失い、雲行きが怪しくなった試合は拮抗のまま終盤戦へ。
しかし残り17秒、アンのいわゆる「韓国背負い」が炸裂。抱えようとした中矢はそのまま一回転「一本」。韓国、1点を返して試合は1-1のタイスコアとなる。

81kg枠は力関係的には個人戦でも勝利している永瀬が優位。しかしイ・センスは右相四つの永瀬貴規の片襟を上下にあおって一方的な形を作り上げ、58秒永瀬に偽装攻撃で「指導1」宣告。
永瀬は慌てず前進圧力継続、その地力にプレッシャーを感じたイは組み手を切り離しながら場外に逃れ、1分28秒場外の「指導1」。スコアをタイに戻した永瀬は右内股に大内刈と的確に攻めて「指導2」を確保、そのまま攻め続けて試合を終え日本は再び2-1とリードを確保する。永瀬の自信と冷静さが光った一番。

90kg枠は吉田優也がガク・ドンハンとマッチアップ。ガクは世界王者だが吉田の力は劣らず、過去の対戦では勝利歴もある。会場固唾を呑んで見守る一番だが、吉田は59秒に袖口を絞り込んだ咎で痛恨の「指導1」失陥。戦術派の典型であるガクに反則差のビハインドは致命的で、以後ガクは吉田に形を作らせないまま試合を進め3分8秒には双方に「取り組まない」咎の「指導」が与えられる。吉田は終盤「韓国背負い」を繰り出すが、窮したときのこの手立てはガクの想定の範囲内で効かず。残り22秒で放った片手の右大内刈はポイント相当かと思われたがガクが必死で身を捻ってノーポイント。このまま試合は終了し、「指導2」対「指導1」の小差でガクが勝利。4戦を終えてスコアは2-2、勝敗の行方は王子谷剛志とキム・スンミンがマッチアップする最終戦へと持ち込まれる。

90kg超枠は王子谷、キムともに右組みの相四つ。王子谷が引き手でまず襟、釣り手で奥、そして引き手を袖へという王道の組み立てで十分の組み手を確保するとキムも釣り手を高く二本持って応じ、ガップリの組み合い。しかし王子谷は膝車、キムは出足払と互いに牽制の足技のみで時間が過ぎ去り、1分23秒双方に「指導」。

王子谷は同じ組み立てで前進継続、釣り手で背中を握って抵抗するキムを前に出ること自体で払いのけ、1分36秒には思い切った右大外刈。これは膝が抜けてしまって投げ切れなかったが、2分過ぎからは動きの止まったキムに立て続けに膝車を撃ち込み、2分31秒にキムに2つ目の「指導」が宣告される。

キムは3分1秒に、近い足に打ち込む支釣込足で大きく王子谷を崩し、さらに被って浮落を狙う。さらに残り1分では王子谷が奥襟に叩き入れた釣り手を外すと、脇を差して西潟健太ばりの左方向への浮落。いずれも取り味十分の技だが王子谷はしっかり逃れ、思い切りの良い大外刈に鋭くステップを切った支釣込足を放って譲らず。最後まで続いたキムの猛攻に対して技を撃ち込むことで展開を保ち続けてタイムアップ。結果この試合は王子谷が「指導2」対「指導1」の優勢で勝利し、通算スコア3-2で日本の勝利決定。日本、激しい競り合いを制して優勝を決めた。

日本 3-2 韓国
[66kg級]海老沼匡〇優勢[指導2]△アン・ボウル
[73kg級]中矢力△背負投〇アン・チャンリン
[81kg級]永瀬貴規〇優勢[指導2]△イ・センス
[90kg級]吉田優也△優勢[指導2]〇グァク・ドン ハン
[90kg超級]王子谷剛志〇優勢[指導3]△キム・スンミン

双方取りどころを逃さず、厳しく隙なく点を取り合った試合。結果2-2のまま最終戦にもつれ込む大接戦であったが、最終的な星勘定では日本に軍配があがった。中矢の敗戦はあったが、大枠地力に勝る日本が韓国にアップセットを許さず、隙を見せずに力をスコアにきちんと反映させた試合であり、王子谷が特徴である前進圧力を切らず、癖のあるキムに何もさせないまま「寄り切った」形の最終戦が全戦を象徴していたと言える。女子同様、勝負どころを読む目と各選手に染みた使命感の高さが勝利の因であった。

復活基調にある日本と、同じく若手の活躍で再び世界に存在感を示した韓国。東アジアの強豪二か国が大会を席巻した個人戦の結果が存分に反映された、団体戦における両国の活躍であった。

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