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大荒れトーナメントを制したのは日本の新鋭、初出場の梅木真美が見事世界を制す・アスタナ世界選手権78kg級レポート

(2015年8月29日)

※ eJudoメルマガ版8月29日掲載記事より転載・編集しています。
大荒れトーナメントを制したのは日本の新鋭、初出場の梅木真美が見事世界を制す
アスタナ世界選手権78kg級レポート
【成績上位者】 エントリー33名
1.UMEKI, Mami(JPN)
2.VELENSEK, Anamari(SLO)
3.MALZAHN, Luise(GER)
3.VERKERK, Marhinde(NED)
5.POGORZELEC, Daria(POL)
5.TCHEUMEO, Audrey(FRA)
7.GIBBONS, Gemma(GBR)
7.YOON, Hyunji(KOR)

順調に進行していたトーナメントは3回戦ラウンドで音を立てて崩壊、これでもかとばかりに荒れた。

優勝候補筆頭のケイラ・ハリソン(アメリカ)はユン・ヒュンジ(韓国)を相手に延長戦で右大外刈、しかし突如スピードアップしたユンの裏投を思い切り食ってしまい、バウンドする勢いで畳に叩きつけられ「技有」失陥、この時点で敗戦決定。

昨年王者のマイラ・アギアール(ブラジル)はダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)を相手に左大外刈「有効」失陥、必死に「指導3」まで追い上げたものの届かず、これもまさかの予選ラウンド敗退。

13年リオ世界選手権王者のソル・キョン(北朝鮮)はジェンマ・ギボンス(イギリス)を相手に得意の左袖釣込腰で「技有」を奪い視界良好だったが、2分51秒に左大内刈を食って一本負け。

つまりはこれら世界王者3人が枕を並べて予選ラウンドで討ち死に、敗者復活戦にも残れないという緊急事態。ロンドン五輪以後3年を掛けて培われた世界王者経験者グループとその他という二極分解の「流れ」はこの時点を以て断たれ、リオ五輪へと続く新たな序列を求めて準々決勝以降が争われることになった。

地割れだらけとなったトーナメントを決勝まで辿り着いたのは日本代表の梅木真美と昨年大会の銅メダリスト、アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)。

比較的組み合わせに恵まれた梅木は初出場とは思えないほどの落ち着きぶりで、静かに、図太くトーナメントを勝ち上がる。2回戦はジャーン・ジョアホゥイ(中国)から左払腰「有効」、そのまま袈裟固に抑え込んで一本勝ち(2:01)、3回戦は今季好調のフッシェ・ステインハウス(オランダ)を「指導2」対「指導1」の優勢で凌ぎ切り、勝負どころと目されたAシード選手ルーズ・マルツァン(ドイツ)との準々決勝も「指導2」対「指導1」の優勢で競り勝つ。迎えた準決勝はハリソンとアギアールの消えたプールAを制したダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)を左払腰と後袈裟固の合技「一本」に仕留め、見事決勝進出決定。

一方のヴェレンチェクは第3シード配置からのスタート。2回戦でアナスタシア・デミトリエワ(ロシア)を右外巻込「有効」からの崩袈裟固「一本」(2:47)、3回戦でパク・ユジン(韓国)を横四方固「一本」、準々決勝ではジェンマ・ギボンス(イギリス)から「指導3」を奪った末に外巻込「有効」でダメを押しての優勢勝ち。そして準決勝では11年パリ世界選手権の覇者オドレイ・チュメオ(フランス)を「指導2」対「指導1」で退けて決勝へと勝ち上がって来た。

決勝は梅木が左、ヴェレンチェクが右組みのケンカ四つ。ヴェレンチェクの狭く握り込んだ両襟の圧に釣り手を弾き返され続ける梅木は苦しい試合が続いたが、度々現出した寝技の展開で腕緘を狙い続けて相手を消耗させると、この直後からヴェレンチェクが方針を切り替えて釣り手で奥、背中を狙い始める。釣り手が持てるようになった梅木は以降ペースを取り返し、残り10秒からは腕緘を極め続けて相手に耐えさせたまま終了ブザーを聞く。一進一退もやや梅木に流れが傾き始めたこのタイミングで、試合はGS延長戦へ。

梅木の圧に苦しくなったヴェレンチェクは、内股に反応して座り込みの右小外刈、しかし手が離れて自分だけが畳に落ちる。一瞬時が止まったかのような間があって、梅木倒れた相手に被って横四方固。絡まれた脚を引き抜いて抑え切り、「一本」。梅木見事に初出場初優勝を決めた。

苦戦が続いた日本の78kg級に光明、梅木の優勝はまさしく見事。これぞという超強豪との対戦は一試合もなかったが、その輝きいささかも鈍ることなし。日本の女子柔道の強さとともに、大学柔道界で抜群の育成力を誇る環太平洋大の強化機関としてのレベルの高さを証明してみせた金メダル獲得劇であった。

準々決勝以降の結果と、梅木選手のコメントおよび全試合の経過詳細は下記。

【準々決勝】

ダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)◯優勢[有効・大外刈]△ユン・ヒュンジ(韓国)
梅木真美◯優勢[指導2]△ルイーズ・マルツァン(ドイツ)
オドレイ・チュメオ(フランス)◯優勢[技有・体落]△マリンダ・フェルケルク(オランダ)
アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)◯優勢[有効・外巻込]△ジェンマ・ギボンス(イングランド)

【敗者復活戦】

ルイーズ・マルツァン(ドイツ)◯合技[大内刈・横四方固](2:20)△ユン・ヒュンジ(韓国)
マリンダ・フェルケルク(オランダ)◯反則[指導4](3:47)△ジェンマ・ギボンス(イングランド)

【準決勝】

梅木真美◯合技[払腰・後袈裟固](2:04)△ダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)
アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)◯優勢[指導2]△オドレイ・チュメオ(フランス)

【3位決定戦】

ルイーズ・マルツァン(ドイツ)◯合技[大外返・横四方固](1:52)△オドレイ・チュメオ(フランス)
マリンダ・フェルケルク(オランダ)◯優勢[指導1]△ダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)

【決勝】

梅木真美◯横四方固(GS1:10)△アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)


【日本代表選手結果】

梅木真美(環太平洋大3年)
成績:優勝

「今は勝ててとてもうれしいです。決勝はGSになって相手がバテていたので、(寝技の)チャンスがあったら逃すわけにはいかないなと思っていました。『一本』の瞬間ですか?『あ~、勝てたな』という気持ちでした(笑)。今日は優勝出来たけど、内容を見てみるとまだまだ良くない。しっかり自分の柔道を見据えて、今日見つけた課題にも取り組みたい。来年の五輪で金メダルを取りたいです」


[2回戦]

梅木真美〇袈裟固(2:01)△ザン・ゼフイ(中国)

梅木は左、ザンは右組みのケンカ四つ。腰を抱いてくる相手に退かずに応じ、首を抱えての内股で対抗。

1分30秒すぎに梅木が左払腰、相手が外側に逃げると足を継いで追い込み再度の払腰「有効」。そのまま袈裟固で抑え込んで一本勝ち。

[3回戦]

梅木真美〇優勢[指導2]△フッシェ・ステーンフイス(オランダ)

左相四つ。30秒梅木に首抜きの「指導」、続けざまにステーンフィスにも「指導」
互いに釣り手で高い位置を持ち合い、横変形がっぷりの組み合いが続く。梅木は腰を切る牽制に左小内刈、支釣込足と放って拮抗の中からジワジワ展開を手繰り寄せる。

幾度かあった横三角のチャンスはいずれも審判ほとんど展開を許さず早い段階で「待て」。
釣り手で横襟、引き手で袖を掴む梅木はあくまで二本持ったまま前へ。残り28秒、釣り手を奥襟、背中と進めるとステーンフィス膝を屈して潰れ、偽装攻撃で2つ目の「指導」。

梅木は小外刈に横三角と攻めて隙を見せずに終了ブザーを聞く。山場少ない試合だが、前進圧力に徹した梅木の順当勝ち。

[準々決勝]

梅木真美〇優勢[指導3]△ルイーズ・マルツァン(ドイツ)

梅木が左、マルツァン右組みのケンカ四つ。梅木引き手の袖をガッチリ確保、釣り手を高い位置で保持して前へ。マルツァン切らずに耐えて場外に詰まる。主審は双方に消極的との判断で「指導」を宣告、56秒。

組み合うと不利と見たかマルツァン抱きつきの大内刈に出るが梅木は潰して「腹包み」で攻める。以後も前に出、潰しては寝技と冷静沈着に試合を進め2分7秒マルツァンに「指導2」。残り1秒でもマルツァンに偽装攻撃の「指導3」が積み重なる。完勝。


[準決勝]

梅木真美◯合技[払腰・後袈裟固](2:04)△ダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)

梅木が左、ポゴジャレッツが右組みのケンカ四つ。
ポゴジャレッツが右払巻込に潰れると、梅木は「腹包み」。手を畳について相手の腕を蹴ってあくまで継続を試みるが「待て」。経過時間は38秒。

ポゴジャレッツ一本背負投の形に腕を抱えた左大外刈。受け止められて投げる望みが薄いと理解すると早々に潰れる。梅木再び腹を包んで返そうとするが、ポゴジャレッツは目の前の脚を抱えてディフェンス。直後の1分33秒、梅木に「指導」。

奮起した梅木は左大外刈。ポゴジャレッツが前受け身の形で倒れて逃れると、すかさず横三角。しかし獲り切れず「待て」。

梅木ケンケンの左大内刈から左払腰、相手の後退を詰めると引き手を腹に抱き込んで再度の左払腰。これが決まって「技有」、そのまま後袈裟固に抑え込んで一本勝ち。

[決勝]

梅木真美◯GS横四方固(GS1:10)△アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)

ヴェレンチェクは両襟の圧。頭を下げられる梅木は苦しいところで、柔道衣を頭に被せられ「待て」。
ヴェレンチェクはさらに両襟。梅木は大外刈、大内刈、さらに相手の内股を潰しての横三角と攻めるが、ガッチリ前襟に入れられた釣り手を突破出来ず、釣り手が利かない。

1分40秒過ぎ、ヴェレンチェクが右払巻込に潰れると梅木引き起こして横三角。相手が脚を絡んで耐えると腕の拘束に方針を切り替え、腕緘。完全に極まったかと思われたがヴェレンチェクその形のまま必死で耐え、長い寝技のシークエンスが終了「待て」。経過時間は2分44秒。

この攻防で疲労したか考え方を変えたか、ヴェレンチェクは続くシークエンスで方針変更し前襟ではなく上から釣り手を叩き入れる。釣り手操作の隙間を得た梅木は大内刈で大きく崩し、払腰で攻める。払巻込で潰れた相手の腕をまたもや横三角を経由して制すると、再度の腕緘。極まる形、ヴェレンチェクが耐えた形のまま終了ブザーが鳴り響き本戦4分が終了。試合の行方はGS延長戦へと持ち込まれる。

ヴェレンチェクまたもや上から釣り手を入れ、浅く大内刈で探りを入れる。
梅木圧を掛けて左内股、下がったヴェレンチェクは右小外刈に抱き着いて自ら体を捨てるが両手が離れて自分だけが畳に落ちる。

梅木逃さずすぐに被って横四方固の形。ヴェレンチェクの脚が絡むとこの日3度目の腕緘。腕に気を取られたヴェレンチェクの足を動き小さく抜き、敢えてスタティックに横を向かせたまま抑え込む。ヴェレンチェクがリアクションするとそれを利して胸を合わせ、あとはまったく危なげなし。「一本」。

※ eJudoメルマガ版8月29日掲載記事より転載・編集しています。

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