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最強選手リネールの勝ちぶりが最大のみどころ、七戸龍は決勝での再戦狙う・アスタナ世界選手権100kg超級展望

(2015年8月29日)

※ eJudoメルマガ版8月29日掲載記事より転載・編集しています。
最強選手リネールの勝ちぶりが最大のみどころ、七戸龍は決勝での再戦狙う
アスタナ世界選手権100kg超級展望
■ 有力選手
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絶対王者として君臨するリネール

優勝争いという観点からは、100kg超級7連覇に挑むテディ・リネール(フランス)の名前以外を挙げることは出来ない。通りいっぺんの評、しかも毎大会同じ観点の指摘で恐縮するほかはないが、今大会はリネールの勝利は前提としてその戦いぶりを楽しみ、そして五輪に向けてファン各人がリネールの弱点はどこか、敗れるとしたらどのようなシナリオを考え、議論することが観戦上最大の「肴」ではないかと考える。

「肴」のためにいくつか材料を提供すると、リネールの強さを規定するものはその圧倒的体格と身体能力、そして比類なき「臆病さ」。相手に持たせずに自分だけが持つ「100-0」の組み手以外では柔道をしたがらず、状況が悪いとなればまず投げる可能性がなくても攻勢を取れる「崩し技」で手堅く「指導」を取りに来る。絶対に負けるわけにはいかない臆病さゆえ、組み手の手順もオーソドックスそのもの。そのリネールの「臆病さ」、状況を固めなければ柔道をしてこない手堅さにどの角度からアプローチするか、これは一つ視点として持っておきたい。

技術的にはまだまだたくさんの観点があるが、大会を楽しむために呑み込んでおく人間的バックグランドとしては、七戸龍およびバルナ・ボール(ハンガリー)との関係を挙げておきたい。

七戸は周知の通り昨年大会決勝でリネールと激戦。「指導3」で敗れはしたが大外刈で崩し、大内刈であわや「有効」というシーンを演出して会場を大いに沸かせたている。ただし今年5月のワールドマスターズでは完璧な組み手を得たリネールの大外刈一発に吹っ飛び、力の差を見せつけられてしまったばかりだ。素人目には「やればやるほど差が付く」力関係に思われたこの一戦だが、事後井上康生監督と七戸本人は相当の手応えを口にしていたという。そこで見つけたものはなんなのか、五輪を控えたこの段階で「それ」はそもそも投入されることはあるのか。再戦あるとすればまずここに注目したい。七戸は再び接戦を演じて、一時手に仕掛けていた「リネールのライバル」の座にアプローチすることが出来るのか、それともまたもや弾き返され、Bグループの1人という立場に追い落とされるのか。

ボールはワールドマスターズ決勝でリネールと残り30秒を切るところまで戦い、事後リネールに「なかなか飛ばない。なんのかんので勝ち上がっている。注目している」と言わしめた選手。ボールが左組みのパワーファイターで接近戦志向という自身の苦手なタイプであることがなにより大きいのではないかと思うが、であればこそ、直接対決あればそこでのリネールの行動は非常に有用なデータになるはずである。

2番手以下の勢力争いということでは、長年安定した地位を確保してきたラファエラ・シウバ(ブラジル)の欠場が大きなトピック。七戸、ファイセル・ヤバラー(エジプト)、アダム・オクルアシヴィリ(ジョージア)、ボール、ロイ・メイヤー(オランダ)、レヴァニ・マティアシビリ(ジョージア)といったメンバーが序列の再編成に挑む。

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昨年銀メダルの七戸

【プールA】
Aシード選手(第1シード):テディ・リネール(フランス)
Bシード選手:レヴァニ・マティアシビリ(ジョージア)
有力選手:アンドレ・ブライドバルト(ドイツ)、ユーリ・クラコベツキ(キルギスタン)

マティアシビリは地味ながら年々着実に力と戦術性を増しており、今年は一時アダム・オクルアシビリを越えてジョージアの第一人者の座に就くのではないかと観測された選手。良い意味で都合よく構えと技の左右を切り替える難剣の使い手でもあるが、その地力は到底リネールを脅かすには至らない。ブロックの争点は入賞を目指す権利であるベスト8入りを掛けた、マティアシビリとブライドバルトによる3回戦。

【プールB】
Aシード選手(第4シード):バルナ・ボール(ハンガリー)
Bシード選手:ロイ・メイヤー(オランダ)
有力選手:イスラム・エルシャハビ(エジプト)、キム・スンミン(韓国)、オール・サッソン(イスラエル)

ボールは実力者で成績的にも躍進著しい。突出した技があるわけではないがリネールが嫌がる左組みのパワーファイターということでニッチ的には決勝ラウンドでの活躍が担保されるべき存在であるが、このブロックは簡単にそれを許さない大激戦区だ。古典的重量選手で力が落ちて来ているキム、粗削りのパワーファイターで実力十分だがミスも多いメイヤーはともかくとして、力関係やツアーの流れといったバックグランドを飛び越えて突如平均値を超える力をみせることのあるエルシャハビは危険な存在。3回戦でのボール対エルシャハビはなかなかの好カードである。

【プールC】
Aシード選手(第2シード):ファイセル・ヤバラー(チュニジア)
Bシード選手:アダム・オクルアシヴィリ(ジョージア)

シード選手2人によるマッチレース。本格派でしっかりした技を持つヤバラーはこのところパフォーマンス低調だが、注目は「裏投げダルマ」こと13年ワールドマスターズ王者のオクリアシヴィリ。2014年初頭からの低調で少々「終わった」感が漂っていたが、6月の欧州競技会で突如復活の優勝、それも後輩マディアシビリ以外からは全て一本勝ちという素晴らしい出来を見せている。準々決勝は大外刈のヤバラーと抱きかかえの裏投を狙うオクルアシヴィリという巨人同士の「表のシナリオ」である投げ合いに期待。負のシナリオは先手掛け潰れによる「指導」の取り合いで、これを演じてしまうようであれば双方ともに以降の勝ち上がりの道は暗い。


【プールD】

Aシード選手(第3シード):レナト・サイドフ(ロシア)
Bシード選手:七戸龍(日本)
有力選手:イアキフ・カーモ(ウクライナ)、アブドゥロ・タングリエフ(ウズベキスタン)

七戸の初戦はブラジルの2番手、モウラ・ダビドとの対決が濃厚。シウバやサントスといった巨漢とはことなり硬質な試合巧者で面倒な相手ではあるが、力的にはどう勝つかという内容が課題となるカードで、七戸の勝利自体は動かない。問題は準々決勝のサイドフで、七戸はグランドスラム東京でこの選手に苦杯、5月のワールドマスターズでは「指導4」で勝利しているが、序盤から中盤に至る「差のつかなさ」にはかなりヤキモキさせられた。前者は当日に負った負傷、後者は準決勝でリネールに敗れて気持ちを立て直しながらの戦いであったというエクスキューズはあるが、長身で手足のパーツが長いサイドフは同型の七戸と相性的に「やれてしまう」印象も強い。しっかり勝って準決勝に備えたい。

※ eJudoメルマガ版8月29日掲載記事より転載・編集しています。

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