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日本苦戦の中量級に歴史的1ページ、永瀬貴規が世界王者2人下して初優勝飾る・アスタナ世界選手権81kg級レポート

(2015年8月27日)

※ eJudoメルマガ版8月27日掲載記事より転載・編集しています。
日本苦戦の中量級に歴史的1ページ、永瀬貴規が世界王者2人下して初優勝飾る
アスタナ世界選手権81kg級レポート
【成績上位者】 エントリー76名
1.NAGASE, Takanori(JPN)
2.PIETRI, Loic(FRA)
3.PENALBER, Victor(BRA)
3.VALOIS-FORTIER, Antoine(CAN)
5.LEE, Seungsu(KOR)
5.TCHRIKISHVILI, Avtandili(GEO)
7.DUMINICA, Valeriu(MDA)
7.MARESCH, Sven(GER)

永瀬貴規が2度目の世界選手権挑戦で、見事初優勝達成。

立ち上がりの2回戦はドゥーディミラト・コジャグルイエフ(トルクメニスタン)を内股で3回投げて一本勝ち(2:06)と危なげなかったが、3回戦から準々決勝まではいずれも体幹が強く、かつほぼ無名の選手とマッチアップするというなかなかに面倒な状況。失うものなく体を寄せ合う一発のチャンスに賭けて守り続けるこれらの相手に対して永瀬は一貫して苦戦。3回戦はケンカ四つのイワンフェリペ・シウバモラレス(キューバ)に3分を消費した末に、的確な技選択を見せ大内刈と足車の合技による一本勝ち(3:12)、4回戦はこれもケンカ四つのモハメド・アブデラル(エジプト)に粘られ続けて一発勝負のリスクを冒せないまま「指導1」の奪取による優勢勝ち、準々決勝のイ・センス(韓国)戦は「指導2」対「指導1」のせめぎ合いで辿り着いた残り36秒で大外刈「技有」奪取、そのまま抑え込んで合技の一本勝ち(4:40)。苦しい試合をなんとか勝ち残り、ベスト4入りを果たす。

しかしここからが本番とばかりに永瀬は加速。迎えた最大の難敵、昨年王者のアヴタンディル・チリキシビリ(ジョージア)との準決勝は「左右両組み」の相手に対して先に組むことでその選択肢を限定し、常に主導権を握って攻め続ける。そして迎えた1分42秒、やや手が詰まったチリキシビリの左大外刈の掛け潰れを見逃さず、抱くようにめくり返して隅落「有効」奪取。このポイントを最後まで保持して勝利決定。

13年リオ大会王者のピエトリ(フランス)との決勝は早々に決着。1分30秒過ぎにピエトリの右足を右小内刈で蹴り飛ばすと崩れたピエトリが腹這いに伏せる。永瀬すかさず得意の横三角に捉え、長い脚で腕一本と頭をロックして崩上四方固、2分12秒「一本」が宣告されて勝利決定。

1999年に現行の階級分けが定められて以降、この階級で日本人選手が優勝するのは初めて。体格にパワー、身体制御能力に技の多彩さと、アスリートとして全ての要素が要求される中量級で日本選手が勝つのは厳しいという観察はもはや定説となりつつあったが、ついに永瀬がそれを覆して見せた、歴史的な1日だった。

3位にはこの日も安定の試合を繰り広げたアントワーヌ・ヴァロワフォルティエ(カナダ)と、久々素晴らしい出来を見せたヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)が入賞。ペナウベルは2回戦でセルジュ・トマを片手絞「一本」、4回戦でヤキョー・イマモフ(ウズベキスタン)を背負投「一本」で下すなど大会優秀選手級の出来。この日一貫して元気のなかったチリキシビリはペナウベルを相手に3つの「指導」を失って5位に沈んだ。

2009年世界選手権の覇者イワン・ニフォントフ(ロシア)は3回戦のイ・センス戦で背負投「技有」失陥後、イの袖釣込腰を巡る攻防で膝を負傷。無念の棄権負けで大会を終えた。

世界選手権と五輪合わせて通算3度の優勝を誇るキム・ジェブン(韓国)は初戦でカルロス・ルッツ(ポルトガル)に敗退。自身の巴投に小外刈を合わされた文句なしの一本負けであったが、納得のいかないキムはビデオチェックの間にジュリーに歩み寄り、手を広げてアピールし、挙句座り込んで畳を殴りつけ、柔道衣をはだけたままなかなか「礼」に応じない。キムらしいといえばそれまでだが、輝かしい実績に似合わぬあまりにも見苦しい態度でまたしても一段評価を下げることとなった。

準々決勝以降の結果と、永瀬のコメントおよび全試合の経過は下記。

【準々決勝】

永瀬貴規○合技[大外刈・袈裟固](4:40)△イ・センス(韓国)
ロイック・ピエトリ(フランス)○優勢[有効・浮落]△ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)
アントワーヌ・ヴァロワフォルティエ(カナダ)○腕挫十字固(0:55)△バレリウ・ドミニカ(モルドバ)
アヴタンディル・チリキシビリ(ジョージア)○優勢[指導2]△スヴェン・マレシュ(ドイツ)

【敗者復活戦】

イ・センス(韓国)○優勢[指導3]△スヴェン・マレシュ(ドイツ)
ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)○体落(2:59)△バレリウ・ドミニカ(モルドバ)

【準決勝】

永瀬貴規○優勢[有効・払腰返]△アヴタンディル・チリキシビリ(ジョージア)
ロイック・ピエトリ(フランス)○小内巻込(4:25)△アントワーヌ・ヴァロワフォルティエ(カナダ)

【3位決定戦】

アントワーヌ・ヴァロワ フォルティエ(カナダ)○優勢[有効・払腰]△イ・センス(韓国)
ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)○優勢[指導3]△アヴタンディル・チリキシビリ(ジョージア)

【決勝】

永瀬貴規○崩上四方固](2:12)△ロイック・ピエトリ(フランス)

【日本代表選手結果】

永瀬貴規(筑波大4年)
成績:優勝

「初めて世界一になれて心の底からうれしいです(笑)。(-決勝の横三角について解説してください)寝技は、行けたら行こうと常にチャンスを狙っていました。相手が潰れたので仕掛けたところあっさり回って来てくれたのでここは意地でも獲り切ろうと頑張りました。意外とスンナリ足が入ったので自分でもびっくりしました。(-試合終了の瞬間、むしろ驚いているような表情に見えましたが?)そうですか?自分ではわかりませんが『やっと世界一になった、やった』という心境でしたので、そういう顔をしていたと思います。日本代表、最初は思うような結果が出せなかったところがありますが、昨日先輩方が頑張って優勝してくれたので、自分も行こうと頑張りました。明日のベイカーに繋げられたと思います。次の目標は、もちろんオリンピックで勝つことです」

[2回戦]

永瀬規貴〇内股(2:06)△HOJAGULYYEV, Durdymyrat (TKM)

右相四つ。組み手で粘ろうとする相手を見て取り、34秒金丸雄介コーチから「二つ持ってしまえ」と一声喝が入る。
59秒相手に「指導1」。続く展開で永瀬は釣り手を高く持つと引き手で相手の頭をはたきこんで落とし、次いで袖を確保、形が出来上がるなり間を置かずに右内股。高く舞ったが飛んだ相手の位置がやや外側にずれ、回転の中途で着地点が訪れてしまいこれは「有効」、1分27秒。

続いて永瀬再び右内股、これも回り切らず「技有」。しかし取られた相手が慌てて中途半端に立ち上がり、永瀬待ち構えて再度右内股。「連続投げ込み」の体で決まり「一本」。

[3回戦]

永瀬貴規〇合技[大内刈・足車](3:12)△イワン フェリペ・シウバ モラレス(キューバ)

ケンカ四つ。相手はパワーと体力、元気の良さで勝負といった体で、遠間から脚だけを振り回す左内股で度々攻撃。崩しがないため引っ掛かる可能性は僅少だがパワーはどうやら十分、永瀬にとっては「間違えられない」試合。
永瀬落ち着いて組み手を進め、1分35秒にはシウバの大外刈を支釣込足にい近い体捌きで振り回し返す。しかしシウバ無理やり身を捻って腹から落ち「待て」。

永瀬組み際に左大内刈。引っ掛けてから開き、ほとんど真横に落とすところまで刈り回して「技有」。次いで腕挫十字固に乗り込むが、シウバ力任せに剥がして抜け出し「待て」。

シウバ引き手で手首を握るが、永瀬切られるよりは良しとそのまま継続。2度仕掛けた内股は体を開かれて逃げられてしまうが、3分12秒一計案じて右足車。足先で膝を捕まえ、再び体を開いて防ごうとした相手を無理やり固定、足先は膝、脚は腹に掛かってほとんど大車という態勢になったまま回し切り「技有」。的確な技選択をテコに勝利決定。

[4回戦]

永瀬貴規〇優勢[指導1]△モハメド・アブデラル(エジプト)


ケンカ四つ。手が長く、明らかに体幹が強いこの相手に永瀬は苦戦。組み際の左襟を両手で持った右体落など崩し技は良く効くものの、勝負技である大内刈や内股は懐深く受け止められ、あるいは切られ、あるいは返しを狙われることが頻発。近い距離で最後の「決め」を打つにはかなりのリスクを伴う印象で、いま一つ踏み込むことが出来ない。アブデラルも自身が消耗する前に接近戦の一発を決めるべく背中を深く抱きに出ることを続け、まったく油断のならない試合。

永瀬、2分すぎに右内股に打って出るが相手に捌かれて頭から畳に倒立する形で落ち、決め切れず、直後の再開早々には背中を抱かれた左大内刈に大きく崩されて畳に伏せてしまう。非常に苦しい戦い。

永瀬が引き手を求めるとアブデラルが嫌い、2分48秒片手の咎でアブデラルに「指導1」。

結果的にはこれが決勝点。タイプ的に後半消耗すると目されたAアブデラルであるが、最後まで永瀬の技に崩れず、背中を抱える強気の組み手で度々永瀬に冷や汗をかかせる。永瀬、「指導1」の優勢でなんとか入賞圏内のベスト8入り決定。

[準々決勝]

永瀬貴規〇合技[大外刈・横四方固](4:40)△イ・センス(韓国)

右相四つ。永瀬またしても体幹系パワーファイターに苦戦。43秒にイに袖を絞り込んだ咎での「指導」が与えられるが、以降は一進一退の組み手の優位の取り合いに陥り、なかなか技を出すことが出来ない。2分30秒にはイが放った肘抜きの左背負投崩れの大外刈で大きく崩され、逆襲に放った右大内刈も不発。

しかしここでイがケアレスミス。釣り手を片襟に差してあおり、小内刈を一発放つとこの形のまま組み手を継続。主審過たず片襟の「指導2」を宣告。

永瀬は残り1分で「ケンカ四つクロス」の形から大内刈を放ち、その後組み手を直さないというイ同様のミスを犯し「指導1」を失う。

残り36秒、永瀬は大枠自分の形で両手を持つことに成功。小内刈を使って相手の右側に回り込むと、ノーステップで刈り足を差し入れ右大外刈。上体の拘束は甘かったが抜き上げの高さが効いて「技有」。そのまま横四方固に抑え込んで合技の一本勝ち。

[準決勝]

永瀬貴規〇優勢[有効・隅落]△アヴタンディル・チリキシビリ(ジョージア)

最大の山場。両方の組み手が出来るチリキシビリは左、右と構えを変えながら前進。永瀬は右釣り手を片襟に差した支釣込足で崩し、次いで左引き手で袖を抑える。
チリキシビリ片襟を差しての右内股を放つが、永瀬崩れずその戻りを右小外刈で捉え、大きく崩して押し込む。ポイントが想起される一撃だったがチリキシビリ腹這いに伏せて「待て」。

1分42秒、チリキシビリが左の大外刈。永瀬が耐えると頭を下げて前に潰れようと体を捨てるが、永瀬はこの回避行動を許さず、抱くようにしてめくり返し隅落「有効」。

永瀬ここからが大事とまず右足車の大技で攻勢権を確保。以降は先んじて左引き手でチリキシビリの右袖を制し続け、左右があるチリキビシビリの組み手のバリエーションを限定。以後は大枠永瀬が袖を制することで展開をコントロール、「指導」ひとつずつを取り合って試合は最終盤へ。

残り時間僅か、チリキシビリが右大外刈。しかし永瀬は後ろ回り捌きに返しながら体を捨てて大外返に変換、そのまま時間過ぎ去って試合終了。永瀬「有効」優勢で勝利して決勝進出決定。


[決勝]

永瀬貴規〇崩上四方固(2:12)△ロイック・ピエトリ(フランス)

右相四つ。永瀬右小内刈でピエトリの足を蹴ると、ピエトリは得意の左一本背負投で応戦。永瀬はなんなく潰して横三角を試みる。ピエトリは亀の体勢のまま永瀬の足を抱えて耐え「待て」。経過時間は57秒。

永瀬組み際に思い切って右大内刈、次いで右内股。十分深く入ったと思われたが獲り切れず、ピエトリ腹這いに伏せる。直後ピエトリ反撃の「韓国背負い」を見せるが自ら潰れて「待て」。

組みつきながらの内股を仕掛けて攻勢を崩さない永瀬、右小内刈を蹴りいれてピエトリを崩すと、伏せたピエトリに横三角。2度目の仕掛けでピエトリの腕が剥がれかけ、永瀬これを引っ張り出して体との間に手を差し入れると、拘束して崩上四方固。ピエトリ激しく抵抗するが永瀬中途で拘束の重心を腕から脚にシフトし、足裏を組み合わせてピエトリの頭をガッチリ挟み込む。2分12秒「一本」宣告。

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