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33歳エマヌ驚きの優勝、決勝は台風の目ベルナベウを一蹴・アスタナ世界選手権70kg級レポート

(2015年8月28日)

※ eJudoメルマガ版8月27日掲載記事より転載・編集しています。
33歳エマヌ驚きの優勝、決勝は台風の目ベルナベウを一蹴
アスタナ世界選手権70kg級レポート
【成績上位者】 エントリー44名
1.EMANE, Gevrise(FRA)
2.BERNABEU, Maria(ESP)
3.ALVEAR, Yuri(COL)
3.POSVITE, Fanny Estelle(FRA)
5.ARAI, Chizuru(JPN)
5.GRAF, Bernadette(AUT)
7.POLLING, Kim(NED)
7.WILDIKAN, Lior(ISR)

準々決勝で第1シードのキム・ポリング(オランダ)を破ったマリア・ベルナベウ(スペイン)と、同じく準々決勝で第2シードのユリ・アルベール(コロンビア)を退けたジブリス・エマヌ(フランス)。本命を食った2人が、その正当な対価として決勝進出を果たした。

ワールドランキング23位のベルナベウはまさしくダークホース、その勝ち上がりには斬り伏せられた優勝候補たちの骸が山積みだ。まず1回戦でリンダ・ボルダー(イスラエル)を横四方固「一本」(2:58)で下して会場を驚かせると、2回戦はベスト8シード選手スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)を右払腰「一本」(0:49)で一蹴。3回戦はマリア・ポーテラ(ブラジル)を「指導3」対「指導4」の反則で下すと、準々決勝はキム・ポリングを右払腰「技有」で投げつけ堂々の勝利。準決勝はベルナデッテ・グラフ(オーストリア)を右内股で攻め続け「指導2」を奪っての快勝で、大躍進の決勝進出決定。

一方のエマヌは2回戦のサンネ・ファンダイク(オランダ)戦をGS延長戦の右一本背負投「有効」(GS1:10)でなんとかモノにするというなかなか厳しい滑り出し。しかし3回戦でアリックス・レナウドロイ(カナダ)を右一本背負投と上四方固の合技「一本」(3:09)で下してペースを掴むと、最大の山場となったユリ・アルベール(コロンビア)との準々決勝では右袖釣込腰「有効」、裏投「有効」と2つのポイントを奪って完勝。

準決勝ではケンカ四つの新井千鶴を相手に苦しい試合が続いたが、中盤に引き手側から襟を掴ませてくれることに気付き、同じ組み立てから組み際の右一本背負投を3連発。ここで得た「指導」をテコに「指導2」対「指導1」で試合を終えて決勝進出決定。

決勝は早々に決着。両袖を絞り合うとエマヌが右袖釣込腰。ほとんど後ろ回り捌きと言って良い距離と早い座り込みによる落差の掛け算で出来上がった空間に、ベルナベウはあっと言う間に引きずり込まれる。倒れるように前に崩れたベルナベウ、エマヌはその股中にもぐりこんだ腰を跳ね上げて投げ切る。僅か14秒、文句なしの「一本」でエマヌの優勝が決まった。エマヌは畳上に突っ伏し、次いで天井を仰ぎ、立ち上がると涙を流して大喜び。

決勝はこれまで63kg級と70kg級の2階級を跨いで2度世界選手権を制している大物エマヌと、27歳にして初めて世界大会の決勝ラウンドに駒を進めたベルナベウの経験の差が明らかだった。畳を見据えてジッと集中するエマヌに対し、不安そうに目を泳がせて落ち着きのないベルナベウ。勝負は試合前に決していたという印象だ。

昨年前半は低調で世界選手権の代表からも漏れ、一時は「終わった」との観測もあったエマヌ。五輪を前年に控える中での鮮やか過ぎる復活劇であった。

日本の新井千鶴は5位入賞に終わった。サリー・コンウェイ(イギリス)にGS延長戦「有効」で勝利した初戦の段階では世界選手権前に抱えていた心身のアンバランスさを克服したとは言えない出来であったが、それでも集中力を切らずに準決勝まで勝ち上がり、エマヌ戦は新井勝利が妥当な結果と評して差し支えない大熱戦。単にルール上の「試合」に負けただけという体の惜しい試合ぶりには次戦に大いに期待させるものがあったが、続く3位決定戦は同じフランスのファニーエステル・ポスヴィトに内股を返されて一本負け。一貫して持ち味を出せずに、それでもなんとか心を強く保つことで結果を残して来た新井だが、早く投げてしまおうとするあまり崩しないままに頭を下げて、ために体勢を悪くしたこの攻防はその「結果」の所以のついに訪れた崩壊。新井の今大会の出来を端的に示す一撃であった。

準々決勝以降の結果と、日本代表選手の勝ち上がり詳細は下記。

【準々決勝】

マリア・ベルナベウ(スペイン)◯優勢[技有・払腰]△キム・ポリング(オランダ)
ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)◯優勢[指導3]△ファニーエステル・ポスヴィト(フランス)
ジブリス・エマヌ(フランス)◯優勢[有効・袖釣込腰]△ユリ・アルベール(コロンビア)
新井千鶴◯大内刈(1:35)△リオール・ウィルディカン(イスラエル)

【敗者復活戦】

ファニーエステル・ポスヴィト(フランス)◯腕挫十字固(1:25)△キム・ポリング(オランダ)
ユリ・アルベール(コロンビア)◯反則[指導4](0:49)△リオール・ウィルディカン(イスラエル)

【準決勝】

マリア・ベルナベウ(スペイン)◯優勢[指導2]△ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)
ジブリス・エマヌ(フランス)◯優勢[指導2]△新井千鶴

【3位決定戦】

ファニーエステル・ポスヴィト(フランス)◯内股返(0:37)△新井千鶴
ユリ・アルベール(コロンビア)◯優勢[技有・大内刈]△ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)

【決勝】

ジブリス・エマヌ(フランス)◯袖釣込腰(0:14)△マリア・ベルナベウ(スペイン)

【日本代表選手結果】

新井千鶴(三井住友海上)
成績:5位

[2回戦]

新井千鶴〇GS有効・小内刈(GS0:23)△CONWAY, Sally (GBR)

新井が左、コンウェイが右組みのケンカ四つ。コンウェイ新井の組み手のナイーブさを知るがごとく両袖を志向、新井の釣り手を殺しながら前へ。新井場外に詰まってしまい、両袖の内股で流れを切るが主審見逃さず場外の「指導」を宣告、49秒。

以後も新井はこの両袖という課題をクリアできず、時折この突破に成功するも釣り手は手首を寝せたまま肩口に貼り付けるに留まり、力を伝える形を作ることが出来ない。

新井足技に活路を見出すが、これもコンウェイは織り込み済みでなかなか効かず。2分42秒コンウェイに「指導1」が宣告され、動的膠着と言って良い攻め合いの末に試合はGS延長戦へ。

23秒、コンウェイが自身の左に滑る、おそらくは右出足払を狙う動きに先んじて新井タイミングを合わせて左小内刈。「送り小内刈」とも呼ぶべき素晴らしいタイミングの一撃にコンウェイ抗せず転がる。「有効」で勝負あり。

新井千鶴〇片手絞(1:37)△エステル・スタム(ジョージア)

左相四つ。長身のスタムはまず左一本背負投で奇襲攻撃、さらに右、左と構えを変えながら両袖、奥襟と粘着。33秒新井に首抜きの「指導」。スタムは左組みをベースに1分過ぎには奇襲の右大外刈を見せるが新井は動ぜず。

新井、思い切って左内股。股中で捌いたスタムをケンケンで追い込むと、伏せたスタムの襟を首に潜らせ、まず正面から頭上に座って圧力。次いで腰を切って絞め上げるとこの片手絞は逃れようがないほどしっかり嵌る。力を込める一合あって、スタム「参った」。

[準々決勝]

新井千鶴〇大内刈(1:35}△ライオール・ウィルディカン(イスラエル)

左相四つ。開始早々新井に首抜きの「指導」。
1分30秒過ぎ、新井が左内股。大内刈に連絡してケンケンで数歩追い、真裏に倒して「一本」

[準決勝]

新井千鶴△優勢[指導2]〇ジブリス・エマヌ

新井が左、エマヌが右組みのケンカ四つ。
双方一度ずつの伏せる展開有り、エマヌが背負投で攻めて、応じた新井が大内刈から左内股に連絡した直後の1分10秒に新井にのみ少々不可解な「指導」。

新井は両襟の積極的な組み手で前進、切りながら場外に逃れたエマヌに1分57秒場外の「指導」。

続くシークエンス、エマヌは新井の右襟を確保して右一本背負投に両襟の右背負投と担ぎ技を2つ繋ぐ。これに感触を得たか続くシークエンスも引き手側からアプローチ、襟を掴んで高い打点の右一本背負投を見せる。

あと1回同じシークエンスが続けば間違いなく「指導」。ここで新井は侵入角を変えて釣り手側からアプローチすべきと思われたが、前2回と同じ角度で接近してしまう判断ミス。再び右襟を掴んだエマヌは有無を言わさず右一本背負投。当然ながら主審は新井に2つ目の「指導」を宣告。経過時間は2分59秒、残り時間は1分1秒。

直後、新井角度のない立ち位置から左大内刈をネジ入れ、正面に立ち直しながら激しく前に追う。エマヌ体を捻って倒れるが主審は「有効」を宣告。しかし新井の引き手が剥がれてエマヌは腹這いに落ちており、これは取り消し。新井は場外に落ちたエマヌをほどんど抑えかかる体勢であったが主審「待て」で手順の進行を止める。

スクランブルを掛けるしかない新井は上から釣り手を叩きおろして大内刈、さらに左内股に連絡。もう1度繰り返すと覚悟を決めたエマヌ思い切り抱いて裏投で放るが新井身を切って腹から落ちる。以後も新井は大内刈で深く攻め、エマヌは裏投狙いの守勢。エマヌ、残り8秒と残り3秒で背負投に潰れ、常の大会であれば少なくとも後者は確実に偽装攻撃であったが主審はこれを取らず。そのままタイムアップ。新井は勝負には負けなかったが試合に負けたという体。新井結果を受け入れがたい表情。

[3位決定戦]

新井千鶴△内股返(0:37)〇ファニー・エステルポスヴィト(フランス)

ポスヴィトが右、新井は左組みのケンカ四つ。
ポスヴィトが釣り手を下から突き、右体落。新井は応じて左内股を仕掛けるが頭を下げる動作が早く、引き手も引き切れず片足のまま崩れて軸足の膝から着地。ポスヴィト釣り手側にめくり回して「一本」。

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