PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

デニソフ出色の出来も最後の勝者はガクドンハン、ベイカー茉秋はグヴィニアシビリに惜敗で3位・アスタナ世界選手権90kg級レポート

(2015年8月28日)

※ eJudoメルマガ版8月28日掲載記事より転載・編集しています。
デニソフ出色の出来も最後の勝者はガクドンハン、ベイカー茉秋はグヴィニアシビリに惜敗で3位
アスタナ世界選手権90kg級レポート
【成績上位者】 エントリー62名
1.GWAK, Dong Han(KOR)
2.DENISOV, Kirill(RUS)
3.BAKER, Mashu(JPN)
3.LIPARTELIANI, Varlam(GEO)
5.GVINIASHVILI, Beka(GEO)
5.USTOPIRIYON, Komronshokh(TJK)
7.HILDEBRAND, Aaron(GER)
7.TOTH, Krisztian(HUN)

強豪打ち揃う激戦ブロックを素晴らしい内容で勝ち上がって来たキリル・デニソフ(ロシア)と、組み合わせの好配置を生かしてしぶとい試合で勝ち上がったガク・ドンハン(韓国)の2人が決勝で相まみえる。

デニソフは本日のトーナメントの主役。1回戦でもと世界王者ティアゴ・カミロ(ブラジル)から「指導2」で勝利すると、2回戦はラファエル・ロモ(チリ)を浮落「有効」からの横四方固「一本」(1:16)で下し、3回戦は2005年カイロ世界選手権81kg級王者の大ベテラン、ギョーム・エルモント(オランダ)を「指導4」の反則(4:59)で畳から弾きだす。
圧巻はここからの2戦で、準々決勝では昨年世界選手権2位入賞の若手世代の旗手クリスティアン・トート(ハンガリー)を開始から圧倒。開始から1分半経たずに「消極的試合姿勢」と「場外」の2つの「指導」を奪うと、あとは地力の差を悟ったトートの散発奇襲を受け流しながら左体落と小内刈で崩し続ける余裕の展開。トートが投げられずに済んだことが不思議なほどの差のある内容で、「指導2」優勢を以て勝利。

準決勝は前戦でベイカー茉秋と大激戦、試合終了後にわかに立ち上がれないほどに消耗していたベカ・グヴィニアシビリ(ジョージア)を子ども扱い。左大腰と左内股でそれぞれ「技有」を奪って合技の一本勝ち(2:45)。これぞと目された優勝候補たちを全く寄せ付けず、素晴らしい出来を見せての決勝進出。

難敵続きであったデニソフと比較すると、ガクは明らかに対戦相手に恵まれ、優勝候補との対戦は準々決勝のヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)戦のみ。1回戦はロバート・フロレンティーノ(ドミニカ)から低い左背負投で「有効」「一本」(4:33)と連取して勝利、2回戦はヴァディム・シンヤフスキー(ウクライナ)から左袖釣込腰「技有」と4つの「指導」を奪って完勝(4:54)、3回戦はダビド・ルイズザイヤック(スペイン)を左背負投で転がし「有効」、さらに左大外刈「有効」と2つのポイントを奪って優勢勝ち。

迎えたリパルテルアニとの準々決勝は組み手で絡み続けて山場を先送り、しかし勝負どころは謝らず相手の右小外掛を左浮落で切り返して「有効」を奪っての優勢勝ち。準決勝は3回戦で第2シードのノエル・ファンテンド(オランダ)を組み手とは逆の左小内刈「一本」で破っているダークホースのコムロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)からまず低い左背負投で「有効」奪取、あとは一切リスクを冒さずに優勢勝ちを決める。

決勝はデニソフとガク、ともに左組みの相四つ。ガクは引き手、釣り手と綱登りよろしく組み手を渡り歩く片手の柔道、デニソフに二本与えることを許さない。30秒過ぎからデニソフ横変形で二本を得ることが2度続くが、ガクあっという間に切り離し、片襟の背負投で展開を止める。デニソフは釣り手を持っても低く落とされ、あるいは切られて全く攻めの形を作れない。1分11秒双方に「取り組まない」咎による「指導1」。

残り2分となるところで勝負に出たガク、まずスルリと抜け出て左大外刈を放ち、デニソフに耐えさせておいて直後今度は左背負投。大外刈で一旦入れた蓋が効き、外側の逃げ道を封じられたデニソフ思い切り転がりこれは「技有」、3分6秒。

もはや行くしかないデニソフ引き手で襟を引っ掴み前進するが殿戦はガクのもっとも得意とするところ。組み手で絡み、切り、落としと試合を流し、デニソフの反撃は残り27秒で得た「指導」の積み上げ1回に留まる。

残り19秒、ガクは先んじて引き手で袖を掴む。ここを抑えられては反撃も何もあったものではないデニソフは下、上、前、後ろと幾度も切ろうとするがガクは握り込んだまま相手の動きに合わせて細かく立ち位置を調整してあくまで切らせず。デニソフが切ろうとする動作の中で終了ブザーが鳴り響き、ガクの優勝が決定。

ガクは6戦6勝。一本勝ちは序盤戦の2つのみだが、全ての試合で背負投によるポイントをマークしており、粘質な組み手と低い担ぎ技という自身の持ち味を十分発揮しての優勝だった。

ベイカー茉秋は準々決勝で同世代の好敵手ベカ・グビニアシビリ(グルジア)に惜敗。開始した時点ではグビニアシビリのパワーに分があったが、ジワジワ展開を引き寄せ中盤を過ぎたところで明らかに主導権を奪回。しかし後は獲るのみと打って出た引込返を読まれ、横四方固に抑え込まれて「有効」を失ってしまう。以後攻めに攻めたが主審の動きは終盤鈍り、グビニアシビリへの「指導」は3つまで終了。結果グビニアシビリが「有効」優勢で勝利しベスト4入り決定、疲労で座り込むグビニアシビリに納得いかない表情のベイカーというその瞬間の絵がこの試合の様相をよく物語っていた。

ベイカーは敗者復活戦で初対決のクリスチャン・トートを隅落「有効」で破り、3位決定戦は不戦勝で銅メダルを確保。

興味深かったのは3位決定戦で実現したリパルテリアニとグビニアシビリの同国対決。3月のグランプリ・トビリシ決勝ではグビニアシビリが横四方固で一本勝ち、7月の欧州選手権ではリパルテリアニが合技「一本」で勝利しているこのカードは、先輩リパルテリアニがグビニアシビリを子ども扱い。開始早々に自信満々に放った右内股で「技有」を獲得すると、この力関係は当然とばかりに以後はゆったりと試合を展開。終盤主審が双方に「指導3」を宣告すると冗談ではないとばかりに色をなし、直後外巻込で投げつけて「一本」。投げたいときに投げ、守りたいときに守る。両者の力にはまだ相当の差がある模様だった。

準々決勝以降の結果と、ベイカーのコメントおよび勝ち上がり詳細は下記。

【準々決勝】

キリル・デニソフ(ロシア)○優勢[指導2]△クリスティアン・トート(ハンガリー)
ベカ・グヴィナシビリ(ジョージア)○優勢[有効・袈裟固]△ベイカー茉秋
コロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)○優勢[指導2]△アーロン・ヒルデブランド(ドイツ)
ガク・ドン ハン(韓国)○優勢[有効・浮落]△ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)

【敗者復活戦】

ベイカー茉秋○優勢[有効・内股透]△クリスティアン・トート(ハンガリー)
ヴァーラム・リパルテルアニ(ジョージア)○合技[内股巻込・袈裟固](2:09)△アーロン・ヒルデブランド(ドイツ)

【準決勝】

キリル・デニソフ(ロシア)○合技[大腰・内股](2:45)△ベカ・グヴィナシビリ(ジョージア)
ガク・ドン ハン○優勢[有効・背負投]△コムロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)

【3位決定戦】

ベイカー茉秋○棄権△コムロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)
ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)○外巻込(4:28)△ベカ・グヴィナシビリ(ジョージア)

【決勝】

ガク・ドンハン(韓国)○優勢[技有・背負投]△キリル・デニソフ(ロシア)

【日本代表選手結果】

ベイカー茉秋(東海大3年)
成績:3位

「今は悔しい気持ちが強いですが、去年より良い成績が出せたなとは思っています。(-なぜ日本はこんなに強いのか?)1年間世界選手権という目標に向かって頑張っているので、それが結果として出ているのだと思います。最終目標は五輪の金メダルなので、今日は良い通過点にしなければいけないというか、課題としてしっかり捉えて五輪に向かっていきたい」

【日本代表選手勝ち上がり】

[1回戦]

ベイカー茉秋〇優勢[技有・大内刈]△シラリ・ジュラエフ(ウズベキスタン)

右相四つ。上背に勝るジュラエフ、引き手の袖を押し込んで釣り手で奥襟を叩き、ベイカーをはたき込む。

膝を屈して崩れたベイカー、以後はそのパワーを警戒して間合いを取りつつ試合を進める。1分10秒、引き手で襟を低く持ったベイカーは釣り手を奥襟に入れながら右大内刈。ケンケンで投げ切り「有効」。
ジュラエフこの後は引き手で左襟を持ち、釣り手を狙いながら形的には優位で試合を進める。前線はジュラエフの釣り手へと移り、その釣り手を殺すことに腐心したベイカーやや守勢。2分32秒と3分38秒の2度、ベイカーに「指導」が宣告される。

残り40秒、二本持ったベイカーは一旦反時計回りに相手を引出し、呼び戻しながら右大内刈で刈り開く。これは「技有」。そのままポイントの積み上げなくタイムアップ。ほとんどの時間帯はどちらかというと守勢だったが、的確な技2発で初戦を勝ち抜け。

[2回戦]

ベイカー茉秋〇小外掛(2:51)]△ザック・ピオンテク(南アフリカ)

ケンカ四つ。腰を引きながら、長い釣り手を背中に回してくる相手をやや持て余し、1分7秒ベイカーに「指導」。

ベイカー敢えて脇の差し合いに応じて片手の内股を掛けさせ、その腕を腕固に狙う罠を張るが獲り切れず。直後の1分59秒組み際の右大内刈を放つがこれも獲り切れず。2分35秒釣り手で背中を叩くと相手が潰れ、ポンテックに偽装攻撃の「指導1」。これでようやくスコアはタイ。

残り時間2分にならんとするところでポンテック再び背中を引っ掴む。ベイカー横から釣り手を背中に回し、ほとんど後襟に近い位置を高く握って準備完了。ピオンテクが小内刈に触ろうとしたところに捻り倒しの小外刈に打って出る。高く握った釣り手を引き落とし、袖を握り込んだ引き手を捻り上げと落差ある崩しが効いた一撃は文句なしの「一本」。

[3回戦]

ベイカー茉秋〇大外落(4:49)△ハテム・アブドエルアーヘル(エジプト)

右相四つ。アブドエルアーヘルが釣り手で奥襟を叩き、11秒ベイカーに首抜きの「指導1」。アブドエルアーヘルは自信満々に釣り手で深い位置を叩き、ベイカーの頭を下げる。ベイカー首を抜きながら技を仕掛け潰れて状況を流すが、主審はこれを見逃さず偽装攻撃の判断でベイカーに「指導2」宣告、32秒。アブドエルアカーは釣り手で奥、ベイカーの頭が下がると引き手を背に回して左浮腰を度々試み、相当パワーに自信がある様子。

厄介な相手だが、ベイカーは粘り強く試合を進めて相手のスタミナの消耗を待つ。徐々にアブドエルアーヘルの組み手が粗くなってきた2分8秒に引き手で脇下、釣り手で腰を抱えて右大内刈。見事決め切り「有効」。

試合のビジョンを崩されたアブドエルアーヘルは組み手の優位確保でチャンスを伺いに掛かるが、2分33秒両手で袖を絞ってしまい「指導」。残り11秒、ベイカー右背負投の形で座り込みながら大外落。疲れ切ったアブドエルアーヘル耐えられず転がり「一本」。

[準々決勝]

ベイカー茉秋△優勢[有効・横四方固]〇ベカ・グビニアシビリ(グルジア)

大一番は右相四つ。グビニアシビリ奥襟を叩き、クロスに釣り手を入れてと上から目線の試合構成。少なくとも試合が始まったばかりのこの段階においてはパワーでグビニアシビリが勝る模様。47秒ベイカーに偽装攻撃の「指導1」、1分32秒ベイカーに「指導2」。

しかしベイカー粘り強く試合を進めると、そのパワーを受け続けたグビニアシビリは2分3秒の「待て」の段階で早くも既に膝に手を当て、かなり消耗した模様。ベイカーいよいよ自分の番が来たとばかりに奥襟、クロス、大内刈とペースを上げながらジワジワ主導権を掴み返し、「指導1」も得る。3分45秒に「始め」が宣告されると飛び出したのはベイカーのみ、疲労したグビニアシビリは前に歩みを進めることが出来ない。

もはやベイカーに残るのは具体的なポイントのみと思われた残り1分。奥襟、クロス、帯と釣り手を進めたベイカーが得意の引込返に打って出る。しかしグビニアシビリ先んじて一歩移動し蹴り上げを食わず、そのまま被って横四方固。ベイカー位置関係を縦に修正してなんとか逃れるがこれは「有効」。

この時点で残り時間は48秒、ベイカー突進して攻め、潰れて立てないグビニアシビリに残り34秒で「指導2」。ベイカー一方的に攻めるがここで主審は2度の「待て」のきっかけに反則宣告を行わず様子見。ベイカーも残り24秒で引込返に出て時間を使ってしまい、ようやく残り7秒で3つ目の「指導」が宣告される。

もはや「始め」の声にグビニアシビリはまっすぐ下がるのみ。残り2秒で「待て」、4つ目の「指導」宣告があると思われたが主審はスルー。そのまま試合終了となる。

ベイカーは不満げ、グビニアシビリは畳に膝をついて疲労困憊。熱戦は「有効」対「指導3」でグビニアシビリに軍配。

[敗者復活戦]

ベイカー茉秋〇優勢[有効・隅落]△クリスチャン・トート(ハンガリー)

ホープ2人の初対決。
右相四つ。ベイカーは奥を叩きに来るトートとの組み合いに真っ向から応じる。トート間合いを十分測っての右内股はベイカーがしっかり止め、奥襟を叩き返してトートを伏せさせる。ベイカーの前進をトートが嫌ってバックステップを踏んだ1分4秒トートに「指導」。

2分過ぎ、釣り手を奥襟に入れたトートが引き手で脇を差して左への「やぐら投げ」、ベイカー崩れつつ伏せてこらえるがトートはすかさずめくり返して抑え込みに掛かる。首を固められかけたベイカー冗談ではないとばかりに慌てて回避、「待て」。直後ベイカーに「指導」。

ベイカーが片襟の大内刈から右体落に繋いでトートを転がした2分52秒あたりから、主導権は緩やかにベイカーへ。ベイカーが引き手の袖を織り込み、今度は相手の左腕を横から抱えてと圧を掛けたまま渡り歩くとトート膝を屈して潰れ、3分16秒トートに2つ目の「指導」。トート疲労が明らか。

ベイカーが奥襟を叩くとトートは腹を出して正面から抱き返して応じ、投げ切れないと見るや組み手とは逆の左内股巻込に逃げる。ベイカーこのチャンスを逃さず抱き止め、体を捨てながらめくり返して「有効」。経過時間は3分35秒。

トートは奥襟、クロスと繰り返して追撃するがベイカー付き合わずに順行運転。片襟の右体落を織り交ぜながら大枠危なげなく残り時間を戦い切る。「有効」優勢でベイカーの勝利決定。


[3位決定戦]

ベイカー茉秋〇不戦△コムロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)

相手が畳に現れず。

※ eJudoメルマガ版8月28日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.