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松本薫2度目の世界選手権制覇、抜きんでた強さと安定感見せる・アスタナ世界選手権57kg級レポート

(2015年8月26日)

※ eJudoメルマガ版8月25日掲載記事より転載・編集しています。
松本薫2度目の世界選手権制覇、抜きんでた強さと安定感見せる
アスタナ世界選手権57kg級レポート
【成績上位者】 エントリー55名
1.MATSUMOTO, Kaori(JPN)
2.CAPRIORIU, Corina(ROU)
3.DORJSUREN, Sumiya(MGL)
3.PAVIA, Automne(FRA)
5.BEAUCHEMIN-PINARD, Catherine(CAN)
5.MALLOY, Marti(USA)
7.KARAKAS, Hedvig(HUN)
7.MONTEIRO, Telma(POR)

松本薫が圧勝で2010年東京大会以来2度目となる世界選手権制覇を達成。
この日の松本は一貫して二本持ち、両手を狭く圧を掛けながら足技を仕掛け続ける丁寧な試合を展開。地力に自信がなければ為し得ないこの新スタイルは他の強豪たちとの差を一段押し広げた感あり、松本の今大会の勝ちぶりは圧勝と評して差し支えないものであった。

1回戦はチョ・ヒョンア(北朝鮮)を肩固「一本」(3:06)、2回戦はコマツ所属のレン・チェンリン(台湾)を座り込んで刈り足を差し入れる右小内刈で捻り落として「一本」(2:03)、3回戦はイリーナ・ザブルディナ(ロシア)を左一本背負投と小外刈で2度思い切り投げつけ合技「一本」(3:02)と3試合連続の一本勝ち。対戦相手のレベルが一段上がる準々決勝以降も丁寧な試合ぶりは変わることなく、まず難敵ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)を最終盤に挙げた座り込みの右小内刈「有効」を以て下し、準決勝では戦術性に長けたオトーヌ・パヴィア(フランス)を足技で完封、何もさせないまま「指導1」の優勢で退ける。

積年のライバルであるコリナ・カプリオリウ(ルーマニア)との決勝も試合構成は同様。組み合っての前進行動で主導権を握り、1分29秒両手のハンドル操作を大きく効かせて足を継ぎ、強烈な右小外刈を決めて「技有」奪取。相手に反撃のきっかけすら与えないまま4分を戦い切り、見事優勝を決めた。

開始線で会心の笑顔を見せた松本は試合直後に「以前よりも自分は強くなっている」とコメント。その言葉の通り、かつて鳴らした即興性ではなく、組んで、崩して、刈って獲り切るシナリオの確かさと、取り味のある足技という具体的な武器の投入という「理」に基づいた、勝つべくして勝つ隙のない戦いぶりであった。

3位には松本に敗れたパヴィアとドルジスレンが揃って入賞。若手のキャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)の復活躍進とプールファイナル以降のテルマ・モンテイロ(ポルトガル)の連敗というトピックはあったが、大枠お馴染みのメンバー、上位常連の強豪たちが入賞圏内で立ち位置を僅かに上下させながら順当に上位を占めたというべき様相だった。

ただ1人、このグループから零れ落ちたのが13年リオ世界選手権王者のラファエラ・シウバ(ブラジル)。初戦でブーシェミンピナードを相手に戦略定まらない散発攻撃を繰り返すうちに疲労し、終盤は「待て」の声にその場に正座して帯を直す時間稼ぎで注意を受けてしまうほど消耗。決着は「指導」ビハインドの最終盤に自ら寝技を挑むという選択ミスの挙句、逆に送襟絞に捕まって「参った」。しかも降参表明の後に落ちてしまい立ち上がれずと散々な出来だった。明らかにコンディション調整に失敗しており、もともとムラ気のシウバにはこの逆境を支えるメンタルの強さもなし。浮き沈みの激しいシウバ、今回は完全なコインの「裏」を見せて良いところなく畳を去ることとなった。

準々決勝以降の結果と松本のコメント、および勝ち上がり詳細は下記。

【準々決勝】

コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)〇腰車(4:00)△ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)
キャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)〇GS技有・浮落(GS0:24)△マーティ・マローイ(アメリカ)
松本薫〇優勢[有効・小内刈]△ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)
オトーヌ・パヴィア(フランス)〇優勢[有効・大内刈]△テルマ・モンテイロ(ポルトガル)

【敗者復活戦】

マーティ・マローイ(アメリカ)〇優勢[技有・引込返]△ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)
ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)〇反則(1:23)△テルマ・モンテイロ(ポルトガル)

※立ち姿勢から相手の関節を極めたまま(脇固)に体を捨てたことによるダイレクト反則負け

【準決勝】

コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)〇優勢[技有・隅落]△キャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)
松本薫〇優勢[指導1]△オトーヌ・パヴィア(フランス)

【3位決定戦】

オトーヌ・パヴィア(フランス)〇GS指導2(GS1:57)△マーティ・マローイ(アメリカ)
ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)〇GS指導3(GS1:42)△キャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)

【決勝】

松本薫〇優勢[技有・小外刈]△コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)

【日本代表選手結果】

松本薫(ベネシード)
成績:優勝

「ここが私の居場所だと思っていますので、しっかり一番高いところに立てて安心しています。(-カプリオリウ選手とはロンドン五輪決勝の再戦ですが、その時とはどんなことが違いますか?)ロンドンより今のほうが精神的に安定しているし、肉体も・・・全体的に強くなっています。(-来年についてお願いします)もちろんリオ五輪が目標です。まず日本代表に選ばれること、そして2連覇を狙います。(色々ありましたが、ここに戻ってきた気分は?)負けた意味も全部理解して、吸収して来ました。ですので、これからはもう負けません」

[1回戦]

松本薫〇肩固(3:06)△チョ・ヒョンア(北朝鮮)(AUS)

松本が右、チョが左組みのケンカ四つ。チョは組み合う前に片手内股に座り込みの背負投で展開を切ってしまい、松本は寝技に持ち込むが取りきれないというシークエンスが4回続く。
2分半過ぎ、チョが半端な組み手の右内股。松本潰し、相手の体の下に腕を通し、脇下で手を組んでめくり返して拘束、変則の肩固「一本」。

[2回戦]

松本薫〇小内刈(2:03)△レン・チェンリン(台湾)

ケンカ四つ。松本は組み手と足技で手堅く試合を構成。互いが足技の攻防に浸かった中盤、松本は右小外刈で相手を下げ、釣り手で前技動作のフェイントを入れて1回胸を張ると、右小内刈を差し込む。反時計回りに腕を操作しながら体を捨てる「小内落」で背中から叩き落とし「一本」。

松本薫〇合技[一本背負投・小外刈](3:02)△イリナ・ザブルディナ(ロシア)

右相四つ。袖を絞り込む相手を足技で丹念に攻め、気を見て両袖の右大外刈で攻める。2分31秒に両袖技の攻防から一歩抜け出し左一本背負投を決め「技有」。リードを得ると手堅く両袖を絞り、右小外刈を絡ませて転がし落とし「技有」。

松本薫〇優勢[有効・小内刈]△ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)

松本が右、パワーが売りのドルジスレンは左構えで応じてスタート。ドルジスレンは背中を持って肘を上げ下げしながら「出し投げ崩し」をベースに大技の機会を伺い、松本は前襟を握って下側に圧を掛けながら足技でリズムを刻む。

ドルジスレンの左大腰、松本の左袖釣込腰と応酬あり、1分49秒松本が右構えに戻したドルジスレンの釣り手を潜り抜けたとの判断で松本に首抜きの「指導」。2分27秒ドルジスレンに消極の「指導」。直後ドルジスレンの圧力に松本膝を屈して潰れるが、主審これは見逃し反則裁定はなし。最終盤、松本の粘り強い組み手と足技に焦れたドルジスレンがあおりを呉れて試合を動かそうとすると、松本右足を差し込んで座り込みの右小内刈。反時計回りに捻り倒して残り7秒決定的な「有効」奪取。一発を狙って脇を差しに来る相手を捌いて、タイムアップ。

[準決勝]

松本薫〇優勢[指導1]△オトーヌ・パヴィア(フランス)

松本「アサシンポーズ」で一瞬静止、次いで跳びかかるように突進。
右相四つ。パヴィアが釣り手で奥襟を叩くと松本片手の左大腰で応じ、パヴィアも片手の内股で応じるという攻防で戦端が開かれる。

松本一貫して引き手でまず襟、駆け引きの中でこれを袖に持ち替えて制する良い組み立て。パヴィアは常に釣り手側から持ち、中盤は横変形での釣り手の噛み殺し合いが続く。やがて力の差が出始めたか松本が一方的に引き手で袖を殺す場面が目立ち始め、松本の袖の押し込みに背中を向けて耐えたパヴィアは場外にはたき出される。これを受けて2分14秒パヴィアに「指導」。

以後も松本は左引き手によるパヴィアの右袖確保を徹底。この日2度決めている座り込みの右小外刈はパヴィアに予期されてかわされたが、組み手の形の良さと前進行動でパヴィアに一切の打開策を許さない。

残り30秒を過ぎてから様相は再び横変形による噛み殺し合いに収束する。松本絡みつくような右小外刈に左袖釣込腰と放って隙を見せないままタイムアップのブザーを聞く。パヴィアは最後まで何も出来ず、松本の完封勝利といった感。

[決勝]

松本薫〇優勢[技有・小外刈]△コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)

松本が右、カプリオリウが左組みのケンカ四つ。
松本両袖を厭わず、手を狭めて相手の動きをコントロール。カプリオリウは左袖釣込腰、さらに釣り手を背に回して左釣込腰を放つが松本落ち着いて回り込んで回避、立ったまま体をゆすってリズムを刻むことを止めず、前進継続。

松本前に出続ける。カプリオリウ立ったまま腕を抱き込む外巻込動作を見せるが松本敢えてリアクション少なくに立ったまま耐え、戻ったカプリオリウに圧を掛けながら右小外刈で攻める。切ることを許されず、掛けても組み合いから解放してもらえないカプリオリウは苦しいところ。松本体をゆすって圧を出し入れりながら前に出ると場外に詰まったカプリオリウ窮して左内股巻込で展開を一回切る。松本立ったまま、相手を宙に浮かせて止め「待て」。

松本が「アサシンポーズ」、カプリオリウが低い構えで応じる一瞬のにらみ合いを経て「はじめ」の声が掛かる。

と、松本組みついて右小外刈。引き手を低く、釣り手を高く握った初期設定からグルリとハンドル動作で振り戻して引き手を思い切り高く、釣り手を低く。凄まじい落差の崩しが効いたこの一撃をカプリオリウ耐え切れず背中から畳に落ち「技有」、1分29秒。

直後カプリオリウ両手で相手の袖を切り離してしまい「指導1」。

松本、以降も体をゆするように圧を掛けながら、低く懐に侵入して引っ掛ける右小外刈、あるいは足を当ててから継ぎ直して前進する右小外刈と足技に拘って試合を進める。カプリオリウ有効な打開策ないままあっという間に時間が過ぎ去り、タイムアップ。松本握った両の拳を低く上下させ、開始線では会心の笑み。見事世界王座奪還なる。

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