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日本勢2人が他を寄せ付けず、決勝は大野将平が中矢力を小外刈「技有」で下す・アスタナ世界選手権73kg級レポート

(2015年8月26日)

※ eJudoメルマガ版8月26日掲載記事より転載・編集しています。
日本勢2人が他を寄せ付けず、決勝は大野将平が中矢力を小外刈「技有」で下す
アスタナ世界選手権73kg級レポート
【成績上位者】 エントリー76名
1.ONO, Shohei(JPN)
2.NAKAYA, Riki(JPN)
3.AN, Changrim(KOR)
3.SAINJARGAL, Nyam-Ochir(MGL)
5.GANBAATAR, Odbayar(MGL)
5.HONG, Kuk Hyon(PRK)
7.MUKI, Sagi(ISR)
7.UNGVARI, Miklos(HUN)

13年リオ世界選手権王者大野将平と、3度目の世界選手権制覇を狙う中矢力の日本勢2人がともに圧勝で決勝に進出。

大野はまず2回戦でサイ・インジガラ(中国)を内股と袖釣込腰で2度投げつけ合技の一本勝ち。3回戦はホルヘ・フェルナンデス(ポルトガル)からまず小内刈「有効」、さらに相手の両足がもろとも宙に浮く豪快な大外刈「一本」と連取して快勝、4回戦はヴァジム・ショーカ(ベラルーシ)が意を決して叩き込んだクロス組み手を委細構わず大外刈で突破して「技有」、続いて右内股「技有」と連取して合技の一本勝ち。第1シードのセージ・ムキ(イスラエル)とマッチアップした準々決勝は「首抜き」の反則を狙う戦術派ムキの意図を技で粉砕、大内刈「有効」、大外刈「有効」、釣込腰「技有」、小内刈「有効」と4度投げつける圧勝。本日絶好調のアン・チャンリン(韓国)とマッチアップした準決勝はまず右内股「技有」、続いて放った大外刈は仕留め損ない隅落「技有」を失うが、全く慌てず豪快な裏投「一本」で決勝進出決定。


一方の中矢の勝ち上がりも抜群。2回戦はジェイク・ベンステッド(オーストラリア)を内巻込と横四方固の合技「一本」、3回戦はハヴィエル・ラミレス(スペイン)を崩上四方固「一本」、4回戦はシャロフィディン・ボルタボエフ(ウズベキスタン)を「ケンカ四つクロス」の内股から連携しての巴投というテクニカルな組み立てで投げ捨て「一本」、準々決勝はミクロス・ウングバリ(ハンガリー)を縦四方固「一本」で下し、昨年大会決勝の再現カードとなったホン・カクヒョン(北朝鮮)戦は大外返「一本」で完勝。全試合一本勝ちで決勝へと駒を進める。

決勝は右相四つ。中矢は釣り手から、大野は引き手から襟を持ち合っての鍔迫り合い。攻め合いながらの拮抗が続いたが、中矢が手立てを変えて釣り手を首裏に回す強気の組み手を試みた1分31秒、大野これを好機と見て思い切り右大外刈。入りが浅いと見ると刈り足を畳について左小外刈に連絡し、釣り手を効かせて叩き落とし決定的な「技有」。

以後は中矢が「巴十字」で取りかかる山場はあったが、大枠は攻め合いの拮抗にモードが戻りその拮抗崩れぬままタイムアップ。大野が世界王者対決を制し、2013年大会以来2年ぶり2度目の世界選手権制覇を決めた。

大野は6戦して4つの一本勝ちに2つの「技有」優勢勝ち、中矢は5勝1敗で勝利は全て「一本」。ワールドツアーでは勝負どころしかトップ選手を送らず決して存在感が高いわけではない日本が、誰もがフォーカスする「本番」でその群を抜くレベルの高さを見せつけた大会だった。

日本勢2人以外にトーナメントで目立っていたのは、なんといっても14年世界ジュニア王者のアン・チャンリン(韓国)。激戦ブロックから3回戦でデックス・エルモント(オランダ)から背負投「技有」を奪い、準々決勝ではサインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)から左袖釣込腰「技有」、左背負投「一本」と連取するなど快勝続きでベスト4入り、あるいは打倒大野もありえるのではという強さを見せていた。前述の大野からも「技有」を奪うなど健闘し、あり余るほどの存在感を見せつけ見事3位入賞。

大野、中矢、アン、ホンと東アジア勢がベスト4を占め、モンゴル勢2人を加えて1位から5位までを独占。軽中量級戦線をリードする地域としてのレベルの高さを見せた大会でもあった。

ロンドン五輪王者のマンスール・イサエフ(ロシア)は3回戦でニコラ・グシッチ(モンテネグロ)に「指導3」優勢で敗れた。同大会の66kg級王者ラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)は初戦でピエール・デュプラ(フランス)の払腰を受け損ない、軸足を後ろから刈ったと判断されてダイレクト反則負け。第2シードのヌグザリ・タタラシビリ(ジョージア)は4回戦でガンバータル・オドバヤル(モンゴル)に「指導1」の優勢で敗れ、ムサ・モグシコフ(ロシア)は2回戦で同じくガンバータルを相手に足取りの反則を犯しダイレクト反則負け。ヴィクター・スクボトフ(UAE)は初戦でサム・ファンヴェステンド(オランダ)に「指導1」の優勢で敗れた。

準々決勝以降の結果、日本代表選手の結果とコメント、日本代表選手の全試合の経過詳細は下記。

【準々決勝】

大野将平〇優勢[技有・釣込腰]△セージ・ムキ(イスラエル)
アン・チャンリン(韓国)〇背負投(2:27)サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)
ホン・カクヒョン(北朝鮮)〇優勢[技有・一本背負投]△ガンバータル・オドバヤル(モンゴル)
中矢力〇横四方固(1:33)△ミコロス・ウングバリ(ハンガリー)

【敗者復活戦】

サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)〇優勢[有効・裏投]△セージ・ムキ(イスラエル)
ガンバータル・オドバヤル(モンゴル)〇優勢[有効・内股返]△ミコロス・ウングバリ(ハンガリー)

【準決勝】

大野将平〇裏投(4:29)△アン・チャンリン(韓国)
中矢力〇大外返(2:17)△ホン・カクヒョン(北朝鮮)

【3位決定戦】

アン・チャンリン(韓国)〇優勢[指導3]△ガンバータル・オドバヤル(モンゴル)
サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)〇優勢[有効・袖釣込腰]△ホン・カクヒョン(北朝鮮)

【決勝】

大野将平〇優勢[技有・小外刈]△中矢力

【日本代表選手結果】

大野将平(旭化成)
成績:優勝

「素直に優勝出来てうれしいですが気を抜けない状態ですので、次に向けて頑張りたい。(一昨年の優勝から、この日までは?)僕の柔道が一番強いんだと証明したい、その気持ちで1日1日稽古に励んできました。(-大外刈や内股の他に色々な技を使っていた。いままで隠していたのか?)たまたま試合では大外刈や内股で投げる確率が高かっただけで全て稽古で使っている技です。隠しているわけではないです。(-決勝の技について)大外刈を掛けたら中途半端だったので、そのまま連絡技で小外で刈って、釣り手がしっかり持てたので投げ切ることが出来ました。(-次の目標は?)次の大会で勝つことです)


中矢力(ALSOK)
成績:2位
「優勝を目指していたのでやっぱり悔しいです。(-決勝はやりにくかったか?それともやりやすかったか?)日本でいつも戦っていて互いを知り尽くしている。そういう意味ではやりにくかった。(-日本の73kg級はなぜこんなに強いのか?)日本の国内に世界チャンピオンがいて切磋琢磨出来る、互いに負けたくないと思って稽古出来るのが良いのではないでしょうか。(王者に返り咲くには?)国内にチャンピオンがいるということは、その人に勝たないとオリンピックに出られないということ。返り咲く道は、彼に勝つことです」

【日本代表選手勝ち上がり】

[2回戦]

大野将平〇合技[内股・袖釣込腰](3:15)△サイ・インジガラ(中国)

右相四つ。大野が右内股、返そうとしたサイが前に出ると振り向いて巴投に変換する動きの良さを見せて「待て」。42秒サイに「指導1」。

大野釣り手で奥襟を持ち、手首を動かしながら機を伺い呼吸を整えて右内股「技有」、2分5秒。大野、3分15秒には右袖釣込腰を決めて「技有」奪取、合技の一本勝ち。

大野余裕の勝利も、投げ急いで早く体を捨てる場面が散見されまだ体が温まりきっていない印象。

中矢力〇合技[内巻込・横四方固](1:31)△ジェイク・ベンステッド(オーストラリア)(AUS)

中矢右、ベンステッド左組みのケンカ四つ。43秒、中矢内巻込で粘って投げ切り「技有」獲得。直後ベンステッドが圧に負けて真捨身技で自ら畳に落ちると中矢は被さり、縦四方固の形でまず上体を固める。絡まれた脚を丁寧に引き抜き、横四方固で合技「一本」

[3回戦]

大野将平〇大外刈(1:46)ホルヘ・フェルナンデス(ポルトガル)

右相四つ。組みたがらずに奇襲を狙う相手を前に出ることでジワリと追い詰める。
1分24秒、釣り手で脇下を掴んだフェルナンデスが半ば体を捨てながら支釣込足。しかし全く崩れぬ大野は逆にその作用足を空中で捉え、右小内刈「有効」。

足技でお茶を濁して決着を先送りしたいフェルナンデス、小さく左右に足を出して間合いを測ると、大きく右出足払を振り込む。この技を透かした大野、攻防一致の右大外刈。フェルナンデスの両足まで宙に浮く豪快な一撃は文句なしの「一本」。

中矢力〇崩上四方固(1:08)△ハヴィエル・ラミレス(スペイン)

ラミレスは長身、中矢の両袖を絞って封殺を狙う。中矢左を切り離すと組み手とは逆の形で、左手を肩越しにクロスに入れる。ラミレス慌てて膝を屈し、中矢はたったまま横三角に移行すべく引きずり倒す。めくり返す動作に「有効」が宣告される中、中矢は相手に足を与えて絡ませ、脇を差して状態を制し、相手の頭上に体を載せて足を引き抜きと粛々手順を進攻。体を安定させるのが難しい体勢のはずだが全くバランスを崩すことなく相手から降りて崩上四方固。名人芸ともいうべき淀みなき手順で「一本」

[4回戦]

大野将平〇合技[大外刈・内股](2:22)△ヴァジム・ショーカ(ベラルーシ)

右相四つ。組みたがらない相手を捕まえるなり遠間から右大外刈。座り込むことで安定を確保し投げ切ろうとするがショーカなんとか身を捻って逃れる。ショーカに立て続けに「指導」2つ宣告。

大野二つ持って前進、あるいは体を使って前にあおり出し、ショーカはなんとか展開を流して耐える。
3分すぎ、ショーカは肩越しに釣り手で背中を叩く勝負組み手。ショーカにとっては初めて訪れた大チャンスだが、しかし大野組んでくれるならそれで構わないとばかりにそのまま右大外刈で応じ「技有」。

再開直後大野釣り手を入れるなり右内股。反転動作で釣り手が片襟側にずれたがおかまいなし、投げ切って「技有」。合技「一本」で試合終了。

中矢力〇巴投(0:46)△シャロフィディン・ボルタボエフ(ウズベキスタン)

ケンカ四つ。中矢相手の釣り手を両手で掴む「ケンカ四つクロス」の右内股。この崩し技で相手が膝をつくと身を翻し、正面に立ちなおして腕を抱えながらの巴投。蹴り放しの良く効いた一撃にボルダボエフ背中から畳に落ち、主審は「一本」を宣告。

[準々決勝]

中矢力〇縦四方固(1:33)△ミクロス・ウングバリ(ハンガリー)

ケンカ四つ。開始から前に出て、ウングバリに場外の「指導」。双方への「指導」を経て、中矢ウングバリが掛け潰れたチャンスを見逃さず、丁寧に寝技を展開。縦四方固で「一本」。

大野将平〇優勢[技有・釣込腰]△セージ・ムキ(イスラエル)

右相四つ。大野が右大外刈で攻めて20秒ムキに「指導1」。
大野は両襟で前進、ムキの左袖釣込腰にも切らずにあくまで持ったまま捌き、持つことで相手を追い詰めに掛かる。

ムキ左構えの半身でディフェンスするが、大野は横から足を差し入れて大内刈。反時計回りの方向に捻り倒して「有効」、2分38秒。

ムキは長い腕を大野の首裏に回し、肘を上げて大野が首を抜く形を演出しようとする。組まれることを厭わない大野の姿勢も相まって、主審は2分51秒大野に首抜きの「指導」を宣告。
大野やや怒気を発して片襟の右体落で叩き落とすがノーポイント。直後ムキの大外刈を首を抱えながら返して「有効」奪取。ムキは「首抜き」狙いの釣り手操作を続けながら胸を合わせる機会を伺うが、大野右釣込腰で思い切り投げつけ「技有」。さらに小内刈「有効」を追加してフィニッシュ。

[準決勝]

中矢力〇大外返(2:17)△ホン・カクヒョン(北朝鮮)

昨年大会決勝の再現カードは両者右組みの相四つ。
ホンは度々肩越しに釣り手を入れて右大外刈を狙う。中矢は粘り強い組み手に「韓国背負い」で対抗。
2分過ぎ、ホンまたもや釣り手を肩越しに背中に入れる。中矢腹を突き出して前進、ホンの体重を腹上に載せ掛かると、抗したホンは乗り越えるように右大外刈。予期した中矢は刈り込むインパクトの襲来に先んじて釣り手を厳しく拘束したまま大外落の形で体を捨てる。ホン激しく落ちて主審は「技有」を宣告。さらにホンがブリッジをしたとの判断が下されこれは「一本」に訂正。中矢全試合一本勝ちで決勝に進出。

大野将平〇裏投(4:29)△アン・チャンリン(韓国)

大野が右、アンは左組みのケンカ四つ。アンは右一本背負投で先制攻撃、横について捌いた大野は体勢を立て直すと両襟を握って出足払、さらに右内股に打って出るが頭を下げるのが早過ぎて効かず「待て」。

1分を過ぎてから攻防緩やかに加速。アンが大きく振りかぶっての思い切った左背負投、これは大野が耐えきり、大野の右払腰は腹を出したアンが釣り手を突いて大野の体を伸ばして無力化「待て」。

2分3秒、アンが腹を突き出すように打点高く左背負投。しかし大野腰を入れて引き手を引き寄せながら右内股に切り返し、釣り手で頭を押さえつけるように投げ切り「技有」。

試合の趨勢ほぼ決定かと思われたが、アンは肘抜きの左背負投で粘り強く攻め、2分29秒に放たれた大野の右大外刈から体を抜き、抱くようにしてめくり返し隅落。主審「有効」を宣告、しばしあって技の効果を「技有」に訂正する。

これでスコアはタイ。直後、アンこれまでと全く組み立てを変えて左釣り手一本で奥襟を叩く。そのまま腰を寄せて牽制、奇襲の匂いを漂わせるが大野は股を割る様に腰を下げて膝柔らかくアンを呼び込み、抱え上げて思い切り裏投。フリーで垂れ下げていたアンの引き手の下から横腹をガッチリ抱えたこの一撃、アンには残す理はなし。豪快に決まって「一本」。


[決勝]

大野将平〇優勢[技有・小外刈]△中矢力

大野、中矢ともに右組みの相四つ。中矢釣り手から掴むと両襟の巴投、大野落として引き起こし「待て」。

大野は引き手から襟、中矢は釣り手から一手目を開始する。大野釣り手を奥襟に入れて中矢の右足を内側から蹴り払うと中矢釣り手を潜り抜けてしまい、25秒中矢に片襟の「指導」。

以後は大野が「引き手から襟を持ち、袖に持ち替えた上で釣り手で奥襟を狙う」、中矢が「釣り手から持って、首を横に向けて大野の釣り手の来襲をアゴで除ける」という大枠の図式の中で攻防が続く。その中で1分10秒の大野の右内股は中矢が釣り手側に体を逃がして浮き伏せ「待て」、1分20秒に放たれた中矢の左小内巻込は大野が予期して空振りさせて「待て」。

直後の展開、中矢これまでと手立てを変えて釣り手の掌で大野の首裏を抱く強気の組み手。応じた大野間を置かずに思い切り右大外刈、中矢が耐えると作用足を畳に着いて左小外刈に技を継ぐ。奥足まで届きかかった足を戻し、その軌道の中途で右足を捕まえて爪先側にズイと引きずる素晴らしいボディコントロール。釣り手の拘束良く効いたこの刈りに中矢耐え切れず「技有」。両者の力関係を考えると決定的なポイント。

大野は二本持って体をゆすりながら前進。3分0秒、4分9秒と思い切った右大外刈も見せる。中矢のハイライトは3分10秒に放った巴投。大野に畳に手をついて耐えさせると流れるような動作で腕挫十字固を狙ったが、拘束の後に大野が立ち位置を並行方向にずらして「待て」。

攻め合いのままあっという間に時間が過ぎ去る。残り23秒で大野に首抜きの「指導」、残り6秒で突進した中矢に押し出しの「指導」が与えられるが勝敗には影響せず、そのままタイムアップ。大野2度目の世界選手権制覇が決定。

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