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ライバル3人に直接対決で完勝、中村美里3度目の世界選手権制覇なる・アスタナ世界選手権52kg級レポート

(2015年8月25日)

※ eJudoメルマガ版8月25日掲載記事より転載・編集しています。
ライバル3人に直接対決で完勝、中村美里3度目の世界選手権制覇なる
アスタナ世界選手権52kg級レポート
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3度目の世界選手権制覇を成し遂げた中村美里

※写真は2014年グランドスラム東京時

【成績上位者】 エントリー43名
1.NAKAMURA, Misato(JPN)
2.CHITU, Andreea(ROU)
3.MIRANDA, Erika(BRA)
3.SKRYPNIK, Darya(BLR)
5.BABAMURATOVA, Gulbadam(TKM)
5.GIUFFRIDA, Odette(ITA)
7.ADIYASAMBUU, Tsolmon(MGL)
7.KUZIUTINA, Natalia(RUS)

中村美里が2009年ロッテルダム大会、2011年パリ大会に続く3度目の世界選手権制覇を達成した。

中村は初戦から両手両足ともに良く動き、生命線である組み手と足技の連動性が抜群。1回戦はワールドツアーの常連選手ヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)を左大内刈「技有」から崩上四方固に抑え込み合技「一本」(1:56)、2回戦ではシード選手ヨアナ・ラモス(ポルトガル)に全く隙を見せず横四方固「一本」(2:51)、3回戦もツェチアナ・レヴイツカ(ウクライナ)を左内股と横四方固の合技で下して(1:45)3戦連続の一本勝ちという好スタート。

以降は優勝候補のライバル3人と連戦。最大の難敵と思われた今季のワールドマスターズ王者ナタリア・クズティナ(ロシア)との準々決勝は左相四つの相手にこれでもかと先に引き手で袖を確保し続け、常に横を向かされるクズティナはほとんど何も出来ない状態。効なしとわかっていても担ぎ技の掛け潰れで拮抗を演出するほかはないクズティナが焦れて背中を抱きに来たGS延長戦23秒、待ち構えた中村は襲来したクズティナの右肩をグイと落として左小外刈。釣り手の絞りと引き手の拘束が良く効いた一撃見事に決まって「有効」。このポイントで勝利決定。

準決勝はこの日素晴らしい出来を見せているミランダ・エリカ(ブラジル)とマッチアップ。体格とパワーのある相手にこの日唯一と言って良い苦戦を強いられ、主審のやや不可解な裁定もあって残り12秒に宣告された「待て」の時点でスコアは「指導2」対「指導1」のビハインド。絶体絶命と思われたが残り1秒で右小外刈に捕まえて転がし、大逆転の「技有」獲得。見事決勝進出を決める。

第1シードのアンドレア・キトゥ(ルーマニア)との決勝はなかなかまともに組み合おうとしないケンカ四つの相手を足技で攻め続け、左小内刈と左小外刈で2度あわや「有効」かという場面を作る。いずれも引き手不十分でポイント宣告には至らなかったが、後者の展開からガッチリ横四方固に抑え込む盤石の試合運び。これは体幹の強いキトゥが8秒で逃れてノーポイントだったが、以後も全く危なげなく試合を進めてタイムアップ。2分30秒に獲得していた「指導1」の優勢を以て優勝を決めた。

後半3戦のスコアはGS延長戦「有効」、「技有」優勢、「指導1」優勢と記録上は決して圧倒的なものではなかったが、その内容はスコアだけでは測り切れない圧勝。特に階級を代表するパワーファイターであるクズティナとキトゥという2人に全く試合をさせなかった準々決勝と決勝は圧巻であった。

中村に残る敵はもはや一昨年、昨年と世界選手権を連覇している(今大会は欠場)マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)のみ。リオ五輪では欧州系パワーファイターの究極であるケルメンディと業師・中村による世界王者同士の頂点対決という、この4年間を締めくくる大一番が期待される。

3位にはミランダとダリヤ・スクリプニク(ベラルーシ)が入賞。大会通して低調だったクズティナは中村戦の敗戦で糸が切れたか、敗者復活戦でスクリプニクに敗れ7位に終わった。

冬季欧州シリーズの大活躍で優勝候補の一角に挙げられていたマー・インナン(中国)は初戦でユリア・リツォヴァ(ロシア)得意の腕挫十字固に捕まり一本負け。ヤネット・ベルモイアコスタ(キューバ)も初戦で北朝鮮選手に「指導2」の優勢で敗れた。

準々決勝以降の結果、中村の勝ち上がりと全試合の経過詳細、およびコメントは下記。

【準々決勝】

アンドレア・キトゥ(ルーマニア)〇横四方固(1:27)△オデット・ジュッフリダ(イタリア)
中村美里〇GS有効・小外刈△ナタリア・クズティナ(ロシア)
グルバダム・ババムラトワ(トルクメニスタン)〇背負投(3:29)△アディヤサンブ・ツォルモン(モンゴル)
エリカ・ミランダ(ブラジル)〇片手絞(0:59)△ダリヤ・スクリプニク(ベラルーシ)


【敗者復活戦】

オデット・ジュッフリダ(イタリア)〇優勢[有効・大内刈]△アディヤサンブ・ツォルモン(モンゴル)
ダリヤ・スクリプニク(ベラルーシ)〇優勢[指導2]△ナタリア・クズティナ(ロシア)


【準決勝】

アンドレア・キトゥ(ルーマニア)〇優勢[技有・内股巻込]△グルバダム・ババムラトワ(トルクメニスタン)
中村美里〇優勢[技有・小外刈]△エリカ・ミランダ(ブラジル)

【3位決定戦】

エリカ・ミランダ(ブラジル)〇優勢[指導1]△オデット・ジュッフリダ(イタリア)
ダリヤ・スクリプニク(ベラルーシ)〇小内刈(1:53)△グルバダム・ババムラトワ(トルクメニスタン)

【決勝】

中村美里〇優勢[指導1]△アンドレア・キトゥ(ルーマニア)

【日本代表選手結果】

中村美里(三井住友海上)
成績:優勝

「今の気持ちは『ホッとしています』です。準決勝は残り時間数秒までリードされていて、これは負けてしまうかなとも思いましたが、今までのきつい練習を思い出して勝負しました。決勝は抑え込んで、このまま勝てると思ったところを逃げられてしまいましたが、気持ちを切らさず最後まで戦いました。(-3回目の優勝ですが、モチベーションは?)単に3回勝ったと言っても、その間には、負けたり、手術をしたり、リハビリをしたりと色々なことがあって、ずっと高いレベルに居続けたわけでは全くない。モチベーションがどうというよりは、応援してくれる人のために頑張る、その時々でやれる努力をしてきたというだけです。(-決勝で勝っても非常に冷静な表情に見えましたが?)うれしい気持ちと、寝技で逃してしまって悔しい思いがあったので。冷静に見えたのであれば、そういう気持ちが混ざった顔だったのではないでしょうか(苦笑)。この大会で課題もたくさん見つかったのでそれをひとつひとつ克服して、来年の五輪に出て前回の悔しさを晴らしたい。リオでは金メダルを狙います」


[1回戦]

中村美里〇合技[大内刈・崩上四方固](1:56)△ヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)

左相四つ。組み、動かし、左体落と左大内刈で追い込んでと自在に試合を展開。1分28秒に組み際の左大内刈を決めて「技有」。被さり、絡みつくスンドベルグの長い脚を抜き、横四方固。最後は崩上四方固に移行して「一本」。

[2回戦]

中村美里〇横四方固(2:51)△ヨアナ・ラモス(ポルトガル)

左相四つ。両袖組み手となるが、中村引き寄せ、動かし、足技で崩し、ラモスに策を弄する暇を与えない。
窮したラモスは左払巻込に潰れる。中村この機を逃さず抑え込みに掛かり、ラモスが絡めた足をアフターの動き少なく敢えて小さく抜き、返すきっかけを与えないまま横四方固、「一本」。

[3回戦]

中村美里〇合技[体落・横四方固](1:45)△ツェチアナ・レヴイツカ(ウクライナ)

左相四つ。両袖で粘る相手を足技で崩し、伏せた相手を寝技で攻めるという展開が続き、レヴイツカは早い段階で手詰まり。1分20秒、レヴイツカが右袖釣込腰を狙って腰を入れて来たところに中村の左体落炸裂「技有」。そのまま横四方固に抑え込んで終戦。

[準々決勝]

中村美里〇GS有効・小外刈(GS0:23)△ナタリア・クズティナ(ロシア)

左相四つ。中村両手が連動性高くかつ良く動き、一貫して常に引き手で先に袖を得て押し込みながら組み手を優位に展開。しつこく袖を腹側に織り込みながら大内刈に膝車、左小外刈で攻める。常に先に袖を抑えられるクズティナは苦しいところだが背負投に掛け潰れながら決定的場面を先送りしてチャンスを伺う。双方ポイントなく試合はGS延長戦へ。

中村の巧い組み手に全く形を作らせてもらえないクズティナ、我慢出来なくなり右腕を中村の背中に横から大きく回し、組み際の右大腰を狙う。しかしこれは想定内の中村、クズティナの接近に合わせて膝裏に左足を入れ、滑り降ろしながら小外刈。自らの勢いと前技狙いの遠心力を利用された形のクズティナ反時計回りに転がって畳に伏せ掛かり、中村はこのチャンス見逃さず体を使って押し込み「技有」。注目対決は中村の勝利に終わる。中村の自在の組み手と足技の巧さが如何なく発揮された一番。スコア以上の完勝。

[準決勝]

中村美里〇優勢[技有・小外刈]△エリカ・ミランダ(ブラジル)

左相四つ。上背があり、これまでの相手とは体の力も一段違うミランダの前進に序盤は苦戦。ミランダは「はたきこみ」からの横三角による先制攻撃に続き、背中に釣り手を回しての足車。中村が伏せたところに素早く片手絞を狙う。ミランダがここまで2戦連続この技で一本勝ちしていることと中村がこの1年で2度絞め技で敗れている来歴が思い起こされる、中村にとっては冷や汗ものの攻防だったが、主審手がアゴに入ったと判断したか目視の上で「待て」。

体の力の強さに加えて右構えにスイッチしながら長いリーチでアプローチしてくるミランダの柔道はまことに厄介、中村は小外刈で対抗して展開に楔を入れ続けるが、主審のやや不可解な裁定もあり終盤まで「指導2」対「指導1」でミランダがリード。絶体絶命かと思われた残り1秒、中村は相手の膝裏から滑り降ろす右小外刈でミランダを転がし、伏せかけた相手を押し込み直して「技有」獲得。劇的逆転で決勝進出決定。

[決勝]

中村美里〇優勢[指導1]△アンドレア・キトゥ(ルーマニア)

中村が左、キトゥは右組みのケンカ四つ。この試合も両手両足が良く動く中村、一貫して組み手を優位に進める。奥襟以外は組み合いたくないとばかり一手目に慎重なキトゥは後ろ重心の組み手争いを志向。ために序盤は手先の組み手争いが続くが、中村は引き出しの左小内刈でキトゥを大きく崩してあわや「有効」という場面を作り、1分12秒には組み合うなりの左小外刈でまたもやキトゥを転がし横四方固。ガッチリ抑え込んだかと思われたがキトゥ体の力を生かして8秒で「解けた」に持ち込み、これはノーポイント。

一方的に中村が攻める展開が続く。中村が小外刈から左内股と技を繋いだ2分30秒になってようやく主審が動きキトゥに「指導1」宣告。

以降も中村は早い組み手と鋭い足技でキトゥの反撃を寄せ付けない。残り30秒には背中を抱いて組みつこうとするキトゥのインパクトの襲来前に体を寄せて、逆に弾き飛ばすなどパワー自慢のはずのキトゥは形無し。残り10秒、キトゥは座り込みの左背負投で最後の攻撃を試みるがあっさり横に出て捌いた中村、立ち上がろうとしたキトゥを左小内刈で転がし、ここでタイムアップ。この試合も「指導1」というスコアでは表現しきれない完勝。中村3度目の世界選手権制覇なる。

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