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クズティナ、キトゥ、マーらパワーファイターに挑む中村、不確定要素は出場試合絞って好調気配のミランダ・アスタナ世界選手権52kg級展望

(2015年8月24日)

※ eJudoメルマガ版8月24日掲載記事より転載・編集しています。
クズティナ、キトゥ、マーらパワーファイターに挑む中村、不確定要素は出場試合絞って好調気配のミランダ
アスタナ世界選手権52kg級展望
■ 有力選手
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今期のワールドマスターズを制しているナタリア・クズティナ(ロシア)

2013年から世界選手権を連覇、圧倒的なパワーで52kg級に「時代」を築いたマイリンダ・ケルメンディ(コソボ・WR2位)が出場せず。2015年のワールドツアーに姿を現しておらず世界選手権に注力しているとの観測が濃厚だったが、3連覇にはこだわらず来年の五輪にフォーカスして調整することになった模様だ。

どうしても勝てないケルメンディがいなくなり、今大会はこの「空位」を巡る功名地獄。ケルメンディとともにパワーファイター全盛期を築いている昨年2位のアンドレア・キトゥ(ルーマニア・WR1位)、同じく3位のナタリア・クズティナ(ロシア・WR3位)、さらに欧州シリーズで3連勝と出色の出来を見せたマー・インナン(中国・WR7位)が優勝争いの主役ということになる。これに中村美里(日本・WR18位)を加えた4人までが頂点に届く可能性のある強豪と規定しておいて良いだろう。好調の気配が見えるエリカ・ミランダ(ブラジル・WR4)はこの枠に割って入る可能性が十分あるが、ほかアナベール・ウラニー(フランス・WR8位)、ヤネット・ベルモイアコスタ(キューバ・WR27位)、マレーン・クラー(ドイツ・WR5位)ら有力選手として挙げるべき強豪の中に、潜在能力と予想される仕上がりにおいて優勝候補とまで評することが出来る選手は少ない。比較的みどころのハッキリした階級。

■ 組み合わせ
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日本代表の中村美里

優勝候補4人のうち、クズティナと中村がプールCで同居。ベルモイ、ムンクフバータル・ブンドマー(モンゴル)らも詰め込まれた非常に厳しいブロックだ。

【Aブロック】

Aシード選手(第1シード):アンドレア・キトゥ(ルーマニア)
Bシード選手:ギリ・コーヘン(イスラエル)
有力選手:ディストリア・クラニスキ(コソボ)、オデット・ジュッフリダ(イタリア)

キトゥの山。キトゥはワールドツアーに皆勤、出場試合の多さゆえにシーズン成績をトータルで考えるタイプ。それゆえに不利となればあっさりあきらめ、昨年のグランプリ青島に至っては西田優香が絶好調と見るや確信的な脇固で相手を壊して敢えて反則負けを食らうなど「捨て試合」を作ることも多い。よって意外に成績は安定しないが、勝負どころの欧州選手権ではしっかり勝ち切り優勝。今回はそのムラ気のキトゥが絶対に捨てられないはずの世界選手権でどのようなパフォーマンスを見せてくれるか、お手並み拝見といったところ。

奥を叩いて相手の頭を下げさせ、腰を差し込んで一発投げつける典型的な欧州系パワーファイターであるキトゥは、同型の究極というべきケルメンディには逆にどうしても勝てないという力関係にある。ケルメンディ不在の今大会で悲願の頂点に立つことが出来るか。決してメンタルが強いわけではないキトゥにこの状況がどう影響するかもみどころとしては面白い。

そしてキトゥへの刺客として、ケルメンディの後輩であり、今季ワールドツアーで3位3回、優勝1回(グランプリ・サムスン)とキャリア最高の成績を残している19歳のディストリア・クラニスキ(コソボ)がこの山に配された。5月のグランドスラム・バクーの直接対決ではキトゥがクラニスキを一蹴しているが、挑む立場の若さと勢い、そして「代理戦争」という構図からも注目しておきたい対決。

下側の山ではギリ・コーヘン(イスラエル)とオデット・ジュッフリダ(イタリア)という好取組があるが、両者とも本気モードのキトゥを倒すのは少々荷が重すぎるであろう。勝ち上がり候補はキトゥ。

【Bブロック】

Aシード選手(第4シード):マリーン・クラー(ドイツ)
Bシード選手:マー・インナン(中国)
有力選手:イルゼ・ヘイレン(ベルギー)、ローラ・ゴメス(スペイン)、アディヤサンプ・ツォルモン(モンゴル)

マーの勝ち上がり濃厚のブロック。初戦のゴメス、準々決勝で対戦濃厚なクラーはともに突飛なところのない欧州系ファイターであり、相手を組み止められることがその一手目。パワーに勝り、左右に担ぎのあるマーとしてはやりにくい相手ではない。この型の選手がマーを止めるには圧倒的な地力と、担ぎファイターにリアクションをさせない試合構成上の確たるロジックが必要だが、ゴメスは明らかに、クラーはギリギリでこのラインには届いていないと見る。
マーはワールドマスターズでは冬季の強さが嘘のように、初戦でアナベール・ウラニー(フランス)にあっさり敗れているが、今回どちらの目が出るか。序盤戦の勝ちぶりを注視しておきたい。

38歳になったヘイレンは昨年来寝技の進境著しく今年のワールドツアーでも2位に2回(いずれも選手層が薄いサムスン大会とトビリシ大会ではあるが)入賞するなど健闘中。ただし世界選手権のシードクラス選手にはまったく勝てておらず、具体的にグランドスラム・チュメンではクラーに敗れてもいる。クラーとマーの準々決勝、ベスト4進出はマーという観測は変わらず。

【Cブロック】

Aシード選手(第2シード):ナタリア・クズティナ(ロシア)
Bシード選手:ヨアナ・ラモス(ポルトガル)
有力選手:ヤネト・ベルモイアコスタ(キューバ)、ムンクフバータル・ブンドマー(モンゴル)、中村美里(日本)

非常に厳しい山だが、クズティナと中村の準々決勝対決は既定路線。

中村はそこまでヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)、ヨアナ・ラモス(ポルトガル)と中堅選手2人と連戦するがタイプ的にも力的にもこれは問題なし。

クズティナは初戦で曲者・ベルモイとの対戦がありこれがひとつの山。パワーがあり、手順をスキップした一発勝負も間合いを取った駆け引きも出来、かつ何より立ち技から得意の寝技への移行の早さが売りのクズティナが、掛け潰れの手数攻撃を「作り」として使用してくるベルモイに後れを取る可能性は僅少。しかしベルモイは既に1回戦で北朝鮮選手と1戦をこなし、ケルメンディ不在で優勝の大チャンスを貰った格好のクズティナはこの2回戦が初試合と、メンタル的な部分で考えれば揉める要素は決してゼロではない。クズティナが慎重に試合に入り、ベルモイが最初の1秒から潰れることなく攻め続けるという出だしがあれば、面白いのではないだろうか。中村戦への伏線として、しっかり注目しておきたい一番。

クズティナと中村。直近対決のワールドマスターズ・ラバトではクズティナが左背負投「有効」から腕挫十字固「一本」と流れるように技を繋いで快勝している。パワーに蹂躙されたこの対戦を踏まえて間合いを取って戦いたい中村だが、慎重に試合を構成して積み重ねた「指導」を技一発でめくられ(あるいは先に攻撃ポイントを取られ)、大枠優位を取るも試合としては負けてしまうというのが最近の中村の悪いパターン。組み手で嵌めてまず「指導」を奪い、窮した相手から足技でポイントを奪って寝技に繋ぐという「北京-ロンドン期」に猛威を振るった必勝パターンだけではルール的にも周囲の選手のタイプから見ても、現在の52kg級では勝ち切れない。ここに何を積んでくるのか、クズティナ戦は五輪までを見据えた「中村の可能性」が厳しく問われる一番。

【Dブロック】

Aシード選手(第2シード):エリカ・ミランダ(ブラジル)
Bシード選手:アナベール・ウラニー(フランス)

シード選手2人によるマッチレース。
13年リオ世界選手権で2位、14年チェリヤビンスク世界選手権では3位に入賞しているミランダは最近存在感が薄れているが、これはワールドツアーの出場を絞っているゆえ。グランドスラム東京(中村美里と志々目愛に敗れて5位)以降は4月のパンナム選手権に優勝、そして久々姿を現したグランドスラム・バクーでは決勝でキトゥを送襟絞「一本」に下して驚きの優勝を飾っている。57kg級のシウバ同様出来不出来が激しい選手であったが、ひそかに、実は、来年のリオ五輪に向けてかなりの出来で仕上がっている可能性もある。階級最大の不確定要素は実はこの人かもしれない。

※ eJudoメルマガ版8月24日掲載記事より転載・編集しています。

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