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ムドラノフら実力者6名が鍔迫り合いの大混戦、志々目徹はキムウォンジンとの因縁対決待つ準々決勝が最初の山場・アスタナ世界選手権60kg級展望

(2015年8月23日)

※ eJudoメルマガ版8月23日掲載記事より転載・編集しています。
ムドラノフら実力者6名が鍔迫り合いの大混戦、志々目徹はキムウォンジンとの因縁対決待つ準々決勝が最初の山場
アスタナ世界選手権60kg級展望
■ 有力選手
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連覇を狙うガンバット・ボルドバータル。今期ワールドツアーでは低調だが、ハイコンディション時の到達点の高さは折り紙つき

混戦である。なんのかんので階級を測る軸でありおそらく誰もが実力ナンバーワンと買う高藤直寿の不在により、上位陣が横一線という様相。決勝ラウンドは誰が勝ってもおかしくない、様相の読めない殴り合いだ。

優勝に挑み得る位置にいるのは14年チェリャビンスク世界選手権王者ガンバット・ボルドバータル(モンゴル・WR2位)と13年リオ世界選手権3位のキム・ウォンジン(韓国・WR3位)、昨年2位のベスラン・ムドラノフ(ロシア・WR5位)のAシード配置選手3名に、爆発力ナンバーワンの14年アジア大会王者イェルドス・スメトフ(カザフスタン・WR9位)、アミラン・パピナシビリ(グルジア・WR8位)、そして志々目徹(日本・WR11位)を加えた合計5名。他は好選手あれど、一気に優勝に手が届くかというと微妙であり事前評としてはこの中から王者が生まれると考えておくのが妥当。

各人のコンディション調整、仕上がりの程が大きく様相を左右するというところだが、ワールドツアーから予想される「順行運転」の出来を大きく上回る要素を色濃く持つのはガンバット、ムドラノフ、スメトフの3人。

モンゴル勢は試合に皆勤、あまりに試合に出過ぎるせいかほとんどの選手は好不調にかなりの波があり、ガンバットは1年通じて低調。しかし逆にあの世界選手権並みの出来をただの1度も見せていないというところに不気味さを感じる。国内に有力選手3名がひしめく中、ただ1枠のみの派遣の栄を得た今大会に臨むガンバットが調整を誤るとは思えない。久々の最高到達点、ワールドツアーの出来とは位相の違うパフォーマンスを見せてくれるのではないか。

ムドラノフは14年世界選手権で高藤直寿打倒を果たして以来、あまり試合をこなしていない。年内は休養、冬季欧州大会は一切出ずに冬季にロシア勢が敢行した南米ツアーに参加して、さしたる敵がいないパンナムオープン2大会で優勝を飾っている。そして「これだけは欲しい」とばかりに参加した4月の欧州競技大会(欧州選手権を兼ねる)では見事3連覇達成。続くワールドマスターズ・ラバトではまったく映えずトビアス・エンゲルマイエル(ドイツ)2度投げられて敗退しているが、この人の評価は「欧州選手権3連覇」と「試合出場を絞って今大会に向けて調整」の2つを以て為されるべき。ハイパフォーマンスへの助走十分と見る。

スメトフはキム・ウォンジン(韓国)同様アジア大会優勝を狙って昨年度大会を欠場、そして見事狙い通りにアジアタイトルを獲得した強者だ。日本にあってはもともと選手間の評価が非常に高く、シニア世界大会での実績がない段階から強化陣も非常に警戒していた選手。その後のワールドツアーではコンスタントに上位入賞も爆発的なパフォーマンスを見せてはいないが、アジア大会時に見せた最高到達点の高さをぶつけてくるようであれば間違いなく優勝候補。ワールドツアーの「序列」に化学変化を起こす資質を持つ強者だ。

日本からは志々目徹が参加。技の切れ味は参加選手中ナンバーワンだが、誰もがその必殺技である左内股を徹底警戒し、そして誰もがその攻めの遅さと攻撃のスイッチになる組み手の「形」のナイーブさを知るという状況は、常に優勝候補に挙げられながらなかなか勝ち切れなかった全日本学生体重別を思い起こさせる状況。投げに来るよりも「指導」をまず積もうとしてくる相手の意図を超える「何か」を今大会に準備出来ているかどうかが何よりの勝利のカギ。攻め続ける、という一事をクリアするだけでも優勝に到達するだけの力はある。グランプリ・デュッセルドルフで見せた果敢な寝技攻撃などはその「何か」を期待させるものであった。健闘を祈りたい。

■ 組み合わせ
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初の世界選手権に挑む志々目徹。誰もが左内股を警戒する「包囲網」をどう突破するか

【Aブロック】

Aシード選手(第1シード):ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)
Bシード選手:ヴィンセント・リマール(フランス)
有力選手:ホバネス・ダフチャン(アルメニア)、フェリペ・キタダイ(ブラジル)


ブロック最注目対決のヴィンセント・リマール対ホバネス・ダフチャンが初戦で組まれた下側の山が面白い。

22歳のリマールは長年ソフィアン・ミルス以外にさしたる選手がおらず低調だったフランスの60kg級に差した光、国内での評価が非常に高い。5月のグランドスラム・バクーで2位に入賞した際は直接対決でガンバットに勝利してもおり、組み合わせさえ良ければ十分表彰台に手が届く力のある選手だ。ダフチャンに勝利し、一貫して低調のフェリペ・キタダイ(ブラジル)に勝ち、準々決勝でガンバットとの対決に挑むところまでは既定路線。この試合は前述のガンバットの仕上がり具合が問われる重要な一番。ワールドツアー並みの出来であればリマール勝利の可能性も十分。

【Bブロック】

Aシード選手(第4シード):シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)
Bシード選手:アミラン・パピナシビリ(グルジア)
有力選手:ルスタン・イブラエフ(カザフスタン)

ルトフィラエフの山だが、ブロックの主役はパピナシビリ。ただしパピナシビリは14年世界選手権3位入賞後ワールドツアーでは映えた出来を一度も見せておらず、この人もガンバット同様「世界選手権モード」の調整が為されていることが評価の大前提だ。6月の欧州競技会(欧州選手権を兼ねる)では3位に入賞しており緩やかながらブレイク前に上向きベクトルも見せており、昨年並みの出来を見せる可能性は高い。グランドスラム・バクーで優勝したばかりのルスタン・イブラエフ(カザフスタン)と対決する3回戦が最初の大きな山場。

対照的にルトフィラエフはワールドツアーでコツコツ成績を残すことでのしあがってきた選手。今期は3月のグランプリ・トビリシとグランプリ・サムスンで連続優勝を飾りワールドマスターズでも3位に入賞するなど主役級の出来。パピナシビリの出来がワールドツアーモードの「順行運転」に留まるようであれば食う可能性も十分。

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実現すれば1年間で4度目の対決となるキム-志々目戦

【Cブロック】

Aシード選手(第2シード):キム・ウォンジン(韓国)
Bシード選手:志々目徹(日本)
有力選手:ツァイ・ミンイェン(台湾)、フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)

キム・ウォンジンと志々目徹の準々決勝対決が規定路線。志々目の直下には好選手ツァイ・ミンイェンと世界ジュニア王者でようやくワールドツアーで存在感を発揮しつつあるフランシスコ・ガリーゴスが配されたが、これは両者にとっては少々不運な組み合わせ。足技の切れ味で変化を作り出すツァイ、まだまだ柔道に意外性がなく「自分より強い相手に勝つ」手立てに欠けるガリーゴスともに志々目を攻略するのは容易ではなく、6月のグランプリ・ブタペスト3位決定戦では志々目がガリーゴスを「有効」優勢で破っている。「指導」2つずつを貰うという志々目の悪い目が出た試合にも関わらず大枠危なげなかったその様相からは、ガリーゴス勝利の可能性を感じることは難しい。

準々決勝の志々目-キム戦は大山場。昨年来の対戦成績はアジア大会で志々目が大外刈「技有」で勝利、グランドスラム東京では「指導2」対「指導3」の優勢でキムが勝利、グランプリ・デュセルドルフでは逆に「指導3」対「指導2」の優勢で志々目が勝利しているという因縁カードだ。

左相四つでガリガリ背中を叩いてくるキムに対し、アジア大会では志々目が相手にクロスで釣り手を持たせたまま大外刈を入れるという一段上の技で「技有」を取り、グランドスラム東京ではキムが志々目の弱点である攻めの遅さを突いて上から目線のパワフルな組み手で「指導」を連続奪取して勝利、グランプリ・デュッセルドルフでは志々目が周到に山場を作ってキムの意図を挫き、「指導」差で勝利しているというのがこれまでの来歴。

デュセルドルフ大会では明らかにキムに元気がなかったが、いずれにせよ「攻めの遅さを突いて、背中を叩く強気の組み手」というキムのスタートダッシュの手法は今回も来襲間違いなし。志々目がどのような策に出るか注目したい。「攻めの早さ」「組み手を嫌わずに強気で攻める」という頂点に立つための2つの課題がシビアに問われる、今大会の志々目を決めてしまう一番とも言える。

【Dブロック】

Aシード選手(第3シード):ベスラン・ムドラノフ(ロシア)
Bシード選手:イェルドス・スメトフ(カザフスタン)

はっきり2強が抜け出た山。他選手にとっては非常に面倒なムドラノフとスメトフという優勝候補2人が潰し合うというありがたい山であるが、敗者復活戦にいったいどちらが回ってくるのか、激戦のAブロックとBブロックに配された選手達にとっては非常にその様相気になるブロックでもある。ともに「世界選手権合わせ」の調整を行ってここまでのワールドツアーの成績からは出来が読み難い選手でもあり、勝敗の行方は蓋を開けてみるまでわからない。スメトフは足技が切れ、ムドラノフも非常に柔道の巧い選手だが、ともに最後の武器は近接戦闘。接近戦で組み合ったときに、今回の「力関係」が明らかになるはずだ。

※ eJudoメルマガ版8月23日掲載記事より転載・編集しています。

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